遺品整理
形見分けはいつどのようにするべき?知っておきたい時期やマナー
更新日:2022.02.03 公開日:2022.02.03

記事のポイントを先取り!
- 形見分けとは故人の愛用品を家族などで分けること
- 形見分けの時期は忌明け後が最適
- 形見分けは綺麗にしてから渡すのがマナー
- 遺産分割後に行うことでトラブル回避になる
故人が残した愛用品を近親者などで分ける「形見分け」という風習をご存じでしょうか。
親が亡くなった際などに混乱することがないよう、形見分けをする時期やマナーについて知っておきましょう。
そこでこの記事では、形見分けについて詳しく説明していきます。
この機会に形見分けはどのようにするべきなのかを覚えておきましょう。
形見分けをする際の注意点や現金でもできるのかについても触れているので、ぜひ最後までご覧ください。
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- 形見分けとは
- 形見分けは必ずするの?
- 形見分けを行うタイミング
- 形見分けのマナー
- 形見分けをする時の注意
- 形見分けに適した品
- 形見分けは受け取るのがマナー
- 形見分けは現金でもできる?
- 形見分けをする人がいない時は?
- 形見分けについてのまとめ
形見分けとは
「形見分け」とは、故人の愛用品(形見)を家族・親戚などの近親者や親しい友人などに分けることです。
物品を残された者で分けるという点で、「遺品整理」や「遺産分割」との違いに混乱される方もいるかもしれません。
ここでは、「形見分け」「遺品整理」「遺産分割」の違いについて説明していきます。
形見分けの特徴
形見分けとは、故人の愛用品を家族・親族などの近親者や親しい友人などに贈り、形見として持ってもらうことです。
この形見を通して、故人との思い出を分かち合おうという気持ちで行われます。
葬儀などが一通り終わった後の供養の意味合いもあります。
形見を受け取った方が思い出を偲んで使ってくれるなら、故人にとっても喜ばしいことです。
遺品整理との違い
遺品整理とは、故人が生前保有していたもの全てにおいて、残しておくのか捨てるのかを決めることです。
シンプルに遺品を整理することだけを意味し、供養の意味合いはありません。
一般的に、この遺品整理と次に挙げる遺産分割の後に形見分けが行われます。
遺産分割との違い
まず遺産分割とは何かについて触れましょう。
故人の残した財産(遺産)を受け継ぐことを「遺産相続」といいます。
また、相続する方を「相続人」といいます。
この相続人が何人もいるケースの時、遺産配分について全員で相談して決めることが遺産分割です。
遺産相続とは、資産価値があるものを相続することです。
形見分けの品は一般的に資産価値が高くないものなので、この点が大きな違いといえます。
また形見分けは、家族や親戚などの血縁者に限らず、親しい友人などにも比較的気軽に行われます。
スポンサーリンク形見分けは必ずするの?
それでは、故人の愛用品は必ず形見分けしなくてはならないのでしょうか?
実は形見分けは、してもしなくてもかまいません。
必ずしなければならないと法律等で決まっているわけではありません。
あくまでも古くから行われてきた風習であり、残された家族や親族がするかしないかを自由に決められます。
最近はこのような古くから伝わる風習にとらわれない方が増えていますし、様々な事情から形見分けを行わない方もいます。
とはいえ、特に高齢の方は形見分けするのが当たり前といった考え方をもっているかもしれません。
近親者に高齢の方が多いという方は、円満な関係を続けていくためにも形見分けをすることを考えておいたほうが無難でしょう。
形見分けを行うタイミング
形見分けを行うのに適したタイミングはあるのでしょうか。
形見分けは、必ずこの時期にしなければならないといった決まりはないため、家族の都合で決めても問題ありません。
ただし一般的には、忌明け(きあけ・いみあけ)の法要が終わってから行われます。
ちなみに忌明けとは、残された家族が喪に服す期間を終えることです。
仏教においては四十九日法要が最初の忌明けとなるので、四十九日法要が終わってから形見分けをします。
四十九日法要の儀式と合わせて行う方が多いようです。
四十九日法要の場では、親族が集まり話し合える時間もあるので都合が良いでしょう。
神道(しんとう)では、五十日祭や三十日祭の後に形見分けを行います。
キリスト教では、形見分けという考え方がないので元々そういう風習がありません。
しかし日本では行われることもあり、その時期は1ヶ月命日の追悼ミサの後です。
仏教では、四十九日は故人が極楽浄土(ごくらくじょうど)に行けるかどうかの裁きが下される日とされています。
形見分けは最後の見送りであり、これからも故人を忘れないための儀式のようなものと考えられるでしょう。
スポンサーリンク形見分けのマナー
ここでは、形見分けのマナーについてご説明します。
以下にまとめた4点についてのマナーを守れば、形見分けはスムーズに進むでしょう。
目上の人には形見分けをしない
形見分けは本来、目上の人には行わないものです。
親の品を子供に、兄や姉の品を弟や妹にというのが元々のならわしであり、目上の人に形見分けをすることは失礼とされています。
ただし現在では、年齢の上下に関係なく形見分けすることもあるようです。
古くからの風習を重んじる方も多いので、慎重に進めましょう。
受け取る側の方が強く希望されているなら、お渡ししても問題ありません。
遺品を渡す時は綺麗にしてから
遺品を渡す時は、ある程度綺麗に手入れをしてからにしましょう。
衣類であれば、クリーニングに出してからにします。
アクセサリーや雑貨などのコレクションは、磨いたりほこりを取り除いておきましょう。
時計などは、きちんと動くか確認してからにします。
気持ちよく受け取ってもらうための最低限の準備です。
梱包はしない
形見分けの品は、化粧箱に入れたり綺麗に包装したりしないのがマナーです。
包まずに裸のまま贈っても問題ありません。
裸のままでは気が引けると感じる場合は、半紙のような白い紙に包んで贈りましょう。
なお、水引(みずひき)も要りません。
すでに何かの箱に入っている品については、その箱のまま贈っても大丈夫です。
受け取る側の意思を尊重する
形見分けは、受け取る側の気持ちを尊重して行いましょう。
受け取りを断られても、失礼だと思わないようにすることが大切です。
形見分けは、無理矢理不要品を押しつける行為ではないからです。
形見分けをする時の注意
形見分けは、遺産相続と関連してトラブルに発展してしまうケースがあります。
ここでは、形見分けをする時に注意したい3つの事項について紹介していきます。
遺産分割は済ませておく
形見分けは遺産相続(遺産分割)が済んだ後、すなわち資産価値のある品が残っていない状態で行うのが良いでしょう。
高額な品や資産価値があるものは、まず法定相続人全員でどのように分け合うか決定しなければならないからです。
法律上では遺産分割が最優先され、形見分けは重要視されていません。
高額な品物の場合贈与税がかかる
形見分けで高額な品が贈られた場合、贈与税の対象となることがあります。
贈与税は、受け取った側が払わなければならない税金です。
高額となりやすい形見分けの品には、骨董品や絵画などが挙げられます。
贈与税は1年間にもらった財産が年間110万円までならかかりません(非課税)が、骨董品や絵画の中にはそれ以上の値がつくものも多くあります。
形見分けの品とする前に、専門の鑑定士に見てもらうようにしましょう。
故人の遺志を尊重する
形見分けは、まずは故人の遺志を尊重するのが基本です。
生前に故人の遺志を聞いたならばメモなどに書き留めておき、希望通りに進めるようにします。
エンディングノートが用意されていた場合は、その通りにしましょう。
ただし、エンディングノートは家族や相続人へのただの「願い事」にすぎません。
遺言書のような法的効力はないことは覚えておいてください。
また、いくら故人の遺志であったとしても、受け取り側が拒否する場合はやめておきましょう。
形見分けに適した品
前述でも触れましたが、形見分けの品は、高額なものではなく資産価値がないものを選ぶようにするとトラブルになりません。
金額的な価値は低くても、形見として側に置いておきたいと思うものが適しているといえます。
形見分けに適した品を以下にまとめたので、参考にしてみてください。
日用品
腕時計、バッグ、帽子、ハンカチなど故人が日常的に使用していたものです。
アクセサリーの場合は、換金性が低いもののほうが良いでしょう。
衣類
着物や帯は、昔から形見分けの定番でした。
故人が着ていた素材の良いジャケットなどを仕立て直して着るのも良いかもしれません。
コレクション類
故人が趣味で集めたコレクション類(フィギュア、本、食器など)は、同じ趣味を持つ友人に贈ると大変喜ばれるでしょう。
コレクションの中には価値の高いものもあるので、専門家に鑑定してもらうと安心です。
職業で使っていた道具
故人が仕事で使っていた道具の形見分けもよく行われます。
料理人だった方の包丁、美容師だった方のハサミなどが挙げられます。
家族ではなく、仕事をともにしてきた同僚などに形見分けされることもあります。
形見分けは受け取るのがマナー
ここまでは主に、遺族側が形見分けを行うケースについて説明してきました。
それでは、故人の遺族から形見分けを受け取ってもらいたいとの申し出があった時は、どうしたら良いのでしょうか?
この場合は、基本的に快く受け取るのがマナーとされています。
しかし、やむを得ない理由でどうしても受け取れない場合は、丁寧にお断りしましょう。
「形見分けのお話は有り難いのですが、見ると故人を思い出して辛いためお断りいたします。」
このような文言であれば、相手が不快に思うことはないはずです。
受け取った形見は、大切に使うことで故人への供養になります。
他の方に譲ったり、業者に買い取ってもらったりなどはしないようにしましょう。
なお、形見分けを受け取っても、品物などでお返ししたりする必要はありません。
どうしても何か御礼をしたい方は、仏壇にお供えするお花や果物、線香などを選ぶと良いでしょう。
スポンサーリンク形見分けは現金でもできる?
本来形見分けとは故人の愛用品で行われるものですが、故人の望みであれば現金でも可能です。
現代では、贈る側・受け取る側ともに品物の形見分け自体を好まない方も増えてきました。
そのため、現金での形見分けも行われるようになってきたのです。
ここでは、形見分けを現金でする場合の注意事項についてご紹介します。
包装方法
形見分けとして現金を贈る場合、裸のまま現金を渡すのではなく、白い無地の封筒に入れて渡します。
一筆添える
形見分けを現金で贈るのが対面での場合、簡単で良いので受け取ってもらいたい気持ちを口頭で伝えましょう。
また、形見分けを贈りたい方と都合により会えない場合など、郵送するケースもあります。
郵送の場合は一筆添えると受け取る側にとっても分かりやすいため、快く引き取ってもらえるでしょう。
110万円以上だと贈与税が発生
1年間にもらった財産が年間110万円を超えると、贈与税を支払う必要が出てきます。
一般的に行われている形見分けではそれほど高額な金額にならないため、贈与税を支払うケースはまれです。
贈与税は、1回の金額が110万円を超えなければ課税されないということではありません。
一人の方が1年間にもらった財産の合計額が110万円を超えると課税されるのです。
受け取る側が他からも贈与を受けていたり、高額な物品なども併せてもらっていたりすると税金を支払わなくてはなりません。
この点に関しては十分に注意しながら形見分けしましょう。
形見分けをする人がいない時は?
形見分けをする人がいない場合は、寄付や寄贈をする方法もあります。
最近では、故人の愛用品だったものを福祉施設や慈善団体に寄付する方も多いようです。
例えば各自治体の福祉課では、遺品の寄付を受け付けているところがあります。
または、適した寄付先を紹介してくれることもあるでしょう。
具体的な品物として、書籍や漫画、絵画や書道の道具、楽器、子供の衣類、カメラ、自転車、家電製品などが挙げられます。
また古書や専門書などがある場合は、学術機関などに寄付すると大いに役立ててもらえるので、故人にとっても嬉しい方法といえます。
スポンサーリンク形見分けについてのまとめ

ここまで形見分けはいつどのようにするべきか、実施するのに適した時期やマナーなどを中心に書いてきました。
この記事のポイントをおさらいすると以下の通りです。
- 形見分けとは、故人の愛用品を家族や親しい人に分けること
- 形見分けをするタイミングは一般的に忌明け後で、仏教の場合は四十九日後
- 「目上の方には形見分けしない」「綺麗にしてから渡す」などのマナーを守る
- 形見分けは遺産分割後にすることでトラブルが防げる
これらの情報が少しでも皆様のお役に立てば幸いです。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。
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監修者

袴田 勝則(はかまだ かつのり)
厚生労働省認定 葬祭ディレクター技能審査制度 一級 葬祭ディレクター
経歴
業界経歴25年以上。当初、大学新卒での業界就職が珍しい中、葬儀の現場で数々のお葬式を担当し、身寄りのない方の弔いから皇族関係、歴代首相などの要人、数千人規模の社葬までを経験。さらに、大手霊園墓地の管理事務所にも従事し、お墓に納骨を行うご遺族を現場でサポートするなど、ご遺族に寄り添う心とお墓に関する知識をあわせ持つ。