相続
遺族と相続人の違いは?定義や順位、割合について解説
更新日:2024.10.27 公開日:2022.04.29

記事のポイントを先取り!
- 遺族と相続人は異なる場合がある
- 第3順位で相続人を決める
- 相続人や代襲者がいない場合の対応もある
遺族と相続人の違いについてご存じでしょうか。
それらは同じ立場であると思われがちですが、少し違いがあります。
そこでこの記事では、遺族と相続人の違いについて解説します。
この機会に、相続できる割合についても知っておきましょう。
後半では、相続人やその代襲者がいない場合についても触れているので、ぜひ最後までご覧ください。
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遺族と相続人の違い
遺族と相続人の違いについてそれぞれの定義を説明します。
遺族とは
遺族とは、厳密な定義が決まっている訳ではありませんが、故人と同じ家で暮らしていた家族のことを指すことが多いです。
しかし、混乱を避けるために、各行政機関や年金関連法での手続きにおいてはその具体的な遺族の範囲が定められており、各機関によって対象が異なります。
たとえば年金関連法において、厚生年金保険法第59条では、配偶者、子、両親、孫、祖父母とされていますが、国民年金法第37条の2では、妻と子とされています。
相続人とは
相続人とは、一般的に故人の財産に属した一切の権利義務、いわゆる遺産を受け取る遺族のことです。
相続人と一言で言っても、遺産を実際に相続する人を意味する場合もあれば、遺産を相続する権利のある人を意味する場合もあり、解釈が難しいと感じる方もいるかもしれません。
そこで、遺産を相続する権利のある人のことを法定相続人として、民法で定めています。
相続人の順位や割合はどうなる?

民法では、相続が発生した場合にどのような関係性の人がどのような順位で相続人になるのか、その範囲と割合について規定しています。
相続人の範囲を法定相続人と言い、その相続割合を法定相続分と言います。
この民法で定められた相続の順位や、それぞれの相続人がどのような割合で相続するのかについて説明します。
相続人の順位
相続人の順位についてですが、まず、配偶者は常に相続人と定められています。
法定相続人には、相続できる優先順位順で、第1順位に子、孫、曾孫、第2順位に両親、両親がいない場合は祖父母、第3順位に兄弟姉妹、甥姪が定められています。
この場合、第1順位にあたる人が存在すればその人物に相続人が確定し、第2順位以降の人は法定相続人とはなりません。
兄弟姉妹の相続順位は長子から順に権利が付与されます。
甥や姪は代襲者、代襲相続人と呼ばれます。
相続の割合
相続の割合についてですが、相続人が配偶者だけの場合はすべての遺産を相続します。
しかし、子供がいる場合は、配偶者と子供で2分の1ずつ分けます。
また、子供が複数いる場合は、2分の1を子供の人数で均等に割ります。
具体的には、配偶者と子供が3人いる場合には、配偶者が2分の1、子供は2分の1を均等に3人で分けるので各6分の1ずつの相続分ということになります。
配偶者と両親が相続人となる場合は、配偶者が3分の2、両親は3分の1となります。
両親とも存命の場合には二人の相続割合は均等です。
配偶者と兄弟姉妹が相続人となる場合は、配偶者が4分の3、兄弟姉妹が4分の1です。
兄弟姉妹が複数人いる場合にはそれぞれ均等に割ります。
相続人と遺族は遺産分割協議に参加する?
誰かが亡くなると、その故人(被相続人)の財産についてどのように分割するか、法定相続人全員で話し合う「遺産分割協議」を開催する必要があります。
この遺産分割協議は、相続人全員の合意によって成立することがポイントです。
すでに紹介してきたとおり、遺族と相続人は異なります。
相続人は遺産分割協議に参加する必要がありますが、遺族は遺産分割協議に参加する人としない人がいる、ということは知っておきましょう。
参考:遺産分割協議とは|目的や条件・注意点を行政書士が解説!|横浜市の相続なら長岡行政書士事務所
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相続人やその代襲者もいない場合は?

故人の財産に属した一切の権利義務は、基本的に遺族や第1順位〜第3順位まであるうちの相続人に相続されることとなっています。
この第3順位までの中で第1から順に相続人となる人を決めますが、誰も存在しない場合もあります。
このように、相続人として定められている第3順位の相続人もその代襲者もすべて存在しない場合の相続人は、法人となります。
これは、相続財産管理人が相続財産の管理や生産をするということです。
その後、特別縁故者からの請求もない場合には国庫に帰属することが民法951条、959条と法律で定められています。
相続財産管理人(相続財産清算人)とは
相続財産管理人とは、遺産を管理する業務を行う人のことです。
相続人として定められている第3順位の相続人もその代襲者も全て存在しない場合に相続人は法人となります。
これは、相続人がおらず放置したままだと、遺産の管理をする人がおらず、借金等の支払いも行われず、誰かが国庫に帰属させる手続きを行わない限り、その財産が国のものになることもなく困るからです。
そのため、誰かが相続財産を適切に管理し、必要な支払いや国庫に帰属させる仕事をする必要があります。
その仕事をするのが相続財産管理人であり、家庭裁判所が利害関係人または検察官の請求により選任します。
なお、令和5年の民法改正により、「相続財産清算人」が新設されました。
特別縁故者とは
特別縁故者とは、故人と特別親しい関係にあった人のことです。
民法では、故人と生計を同じくしていた者、故人の療養看護に努めた者、その他故人と特別の縁故にあった者と定めています。
特別縁故者が財産分与を受けるには、相続人がいないことと、被相続人が残した借金などの負債をすべて清算することが大前提です。
その上で、家庭裁判所にて特別縁故者であるということを認定してもらう必要があります。
財産分与を受けたい場合は、相続財産管理人の選任を申立てを行い、そこで相続人の不存在が確定後、特別縁故者による財産分与の審判を申立てする必要があります。
遺族と相続人の違いまとめ
ここまで遺族と相続人の違いについて解説してきました。
まとめると以下の通りです。
- 遺族と相続人は必ずしも同一ではない
- 相続人の順位は民法で第3順位まで定められている
- 相続の割合は相続人が配偶者のみの場合とそれ以外の場合で金額が異なる
- 相続人や代襲者がいない場合に対応する機関も存在する
これらの情報が少しでも皆様のお役に立てば幸いです。
最後までご覧いただきありがとうございました。
スポンサーリンク長岡 真也
(行政書士|神奈川県行政書士会所属)

横浜市港南区の長岡行政書士事務所代表。
遺言書作成・相続手続き・成年後見制度に精通した行政書士として、個人のお客様の悩みを解決して日常を守るため『印鑑1本で手続きが済むサポート』を提供している。
「遺言書作成コラム」「相続手続きコラム」も運営しており、遺言・相続にまつわる知識・制度を積極的に発信中。
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