相続
遺産相続で確定申告が必要なケースとは?手続きの方法も解説
更新日:2024.12.04 公開日:2022.05.04
亡くなった人が所有していた財産を遺産と言いますが、遺産を相続したときにはどんな手続きが必要なのでしょうか。遺産は確定申告が必要なのか、どのように手続きをしたらいいのか、知っておきましょう。
そこでこの記事では、遺産に関する確定申告について詳しく説明します。
この機会に、遺産相続には確定申告が必要なのか、準確定申告についてなど覚えておきましょう。
確定申告の方法についても触れているので、ぜひ最後までご覧ください。
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- 遺産相続とは
- 確定申告とは
- 遺産相続をしただけでは確定申告の必要はない
- 遺産相続で確定申告が必要になるケース
- 故人の代わりに行う準確定申告とは
- 準確定申告が必要なケースと不要なケース
- 準確定申告に必要な書類
- 準確定申告の注意点
- 準確定申告しなかった場合
- 確定申告の方法
- 遺産相続の確定申告を税理士に依頼した場合の料金
- 遺産相続の確定申告まとめ
遺産相続とは
被相続人(亡くなった人)が残した財産を、相続人が引き継ぐことを遺産相続と言い、引き継ぐ財産のことを相続財産と呼びます。
相続財産には預貯金、土地、不動産のほかにも、借金や住宅ローンなど負の財産も含まれることを覚えておきましょう。相続する場合はプラスの財産だけを相続することはできず、マイナスの財産も相続財産となります。
確定申告とは
確定申告とは、1年間の所得にかかる所得税および復興特別所得税の額を計算して、税務署に確定申告書を提出することを言います。
確定申告をするのは、一般的には個人事業主などです。会社員や公務員などの給与所得者は、会社が年末調整していますので基本的には申告しません。
遺産相続をしただけでは確定申告の必要はない
遺産相続をした人は、確定申告して相続税を支払うのかと不安になりますが、基本的には確定申告の必要はありません。
遺産相続をした場合は相続税がかかりますが、相続税だけでそのほかの税は必要ありません。
相続税の申告をして納税する必要があるだけで、確定申告はしなくていいのです。
相続税も相続人全員にかかるわけではなく、遺産の金額が基礎控除額を超えた場合のみ相続税がかかります。
また、遺産から収入を得た場合は所得税を支払わなければいけないので、確定申告が必要です。
例えば、相続した遺産の売却で収益が出た、相続した不動産を賃貸に出し収入を得たなどの場合は、確定申告して所得税を納税します。
遺産相続で確定申告が必要になるケース
遺産相続しただけでは確定申告の必要がないと説明しましたが、確定申告が必要となるケースもあります。
ここでは、どんな場合に確定申告が必要なのかを詳しく紹介します。
相続した遺産を売却した場合
土地や建物、有価証券を相続し、それを売却した場合は、収益が発生したことになるので確定申告する必要があります。財産を取得するのに要した費用と売却額に差額が生じ、売却益を得た場合に、相続人は譲渡所得として申告しなければなりません。
収入が生じる遺産を相続した場合
賃貸アパート、賃貸マンション、駐車場などの収入を生む遺産を相続した場合も、確定申告が必要です。不動産を相続後も引き続き貸主として収入を得ている場合に、その収入を得るために要した費用を差し引いた所得を、不動産所得として申告します。
この場合、相続人は相続開始日からその年の12月31日までが、対象の日にちとなります。
1月1日から相続開始日までは、被相続人の課税対象となります。
相続した遺産を寄附した場合
相続した遺産を、何らかの形で寄付した場合にも確定申告は必要ですが、これは義務ではありません。
ただ、寄付した場合に確定申告すると節税になりますので、やっておくと良いでしょう。
相続税申告では、遺産を条件に当てはまる状況で寄付した場合、寄付金控除があり節税が可能です。
相続した遺産を換価分割した場合
換価分割とは、相続した遺産を全て現金化して、相続人が分け合うことを言います。
換価分割をした場合は、収入として考えられるので確定申告する必要があります。
相続が発生した日が収入の起点となりますので、相続発生日から12月31日までの収入として申告します。
未支給年金・死亡保険金を受け取った場合
未支給年金を相続人が受け取った場合は、一時所得として取り扱われますので、相続税はかからず確定申告が必要です。
また、死亡保険金を受け取った場合に確定申告が必要なのは、保険料を負担していたのが受取人の場合です。負担してきた本人が保険料の保険金を受け取ったことになるので、保険金額から払い込んだ保険料を差し引いた残額が所得となり、申告が必要です
故人の代わりに行う準確定申告とは
亡くなられた方が、その年に一定の収入があった場合、財産を相続した方は、亡くなられた方の確定申告を代わりに行う必要があります。
これを準確定申告と言いますが、必要な場合と必要でない場合がありますので、注意が必要です。
準確定申告は誰が行うの?
準確定申告するのは、相続人です。相続人が複数いる場合は、連名で提出するのが原則です。
個別に提出することも可能ですが、その時は他の相続人に申告した内容を通知する決まりがあります。
準確定申告の期限は?
準確定申告には期限があり、故人が亡くなった日の翌日から4か月以内に、故人の住所を管轄する税務署に提出します。
また、1月1日から3月15日に亡くなり、故人が前年の確定申告を済ませていない場合もあるでしょう。
この場合は、亡くなった日の翌日から4か月以内に前年の確定申告も行います。
準確定申告が必要なケースと不要なケース
準確定申告は誰でもしなければいけないというわけではなく、必要なケースと不要なケース、不要でもしたほうがいいケースがあります。
各ケースをまとめましたので、当てはまるかどうかを確認して判断しましょう。
準確定申告が必要なケース
準確定申告が必要なケースは以下の通りです。
- 個人事業(自営)をしていた人
- 2カ所以上から給与を受けていた人
- 給与収入が2000万円を超えていた場合
- 給与の年末調整していなかった場合
- 給与所得や退職所得以外の所得が合計で20万円以上あった場合
- 貸付金の利子収入や家賃などの不動産収入を受け取っていた場合
- 公的年金などの収入が400万円を超える場合
- 生命保険などの一時金、満期金を受け取っていた場合
準確定申告が不要なケース
準確定申告が不要なケースは以下の通りです。
- 会社員、パート、アルバイトなど給与取得者で年末調整している場合
- 公的年金の受給額が400万円以下で他の取得が20万円以下の場合
- 相続を放棄した場合
準確定申告が不要でもした方がいいケース
準確定申告が不要でも、した方がいいケースは以下の通りです。
- 年末調整していなくて、源泉徴収税額を納め過ぎている場合
- 高額の医療費を生前に支払っていた場合
- 配偶者控除、扶養控除、寄付金控除などの各種控除を受ける場合
準確定申告に必要な書類
準確定申告するために、必要書類を揃えなければいけません。
どんな書類が必要なのか紹介します。
必ず必要なもの
- 確定申告書(国税庁のホームページよりダウンロード可能)
- 年金や給与の源泉徴収票
条件次第で必要なもの
- 確定申告書の付表
相続人が2人以上いる場合に添付する必要があります。
- 準確定申告の確認書
相続人が2人以上いて、e-taxで提出する場合に必要となります。
相続人は代表相続人に、委託する旨を記入した確認書です。
準確定申告の注意点
準確定申告する際には、様々な注意点があります。
準確定申告は、亡くなってから4か月以内に行わなければいけませんので、早めに注意点を確認しておくとスムーズです。
以下では、準確定申告の注意点についてまとめました。
各種控除について
準確定申告するために、各種控除について確認しておきましょう。
医療費控除
対象となる医療費は、故人がその年の1月1日から亡くなった日までに支払った医療費です。
亡くなってから支払った医療費は、確定申告の医療費控除の対象とならないので注意しましょう。
例えば、亡くなられた月の入院費は、死亡後に支払われた医療費なので対象となりません。
社会保険料・生命保険料・地震保険料控除等
保険も確定申告では控除の対象となりますが、準確定申告の場合は、亡くなった日までに故人が支払った保険料が対象です。
配偶者控除・扶養控除等
配偶者控除に関しては、亡くなった時の現況が要件を満たしているかどうかで判定されます。
配偶者がその年の1月1日から亡くなった日までの合計所得額が、48万円以下の場合です。
準確定申告書には付表の添付が必要
相続人が2人以上いる場合、付表を添付しなければいけません。
付表には、各相続人等の名前、住所、故人との続柄、マイナンバーを記入して添付します。
相続人が1人の場合は、付表を省略できます。
申請書の提出期限に注意
準確定申告の提出期限は、亡くなったことを知った日の翌日から、4ヵ月以内です。
通常の確定申告は、3月15日までに前年分を申告するという期限がありますが、準確定申告の場合は、申告期限が変わるので注意してください。
通常の確定申告期限都は変わりますので、申告し忘れがないようにしましょう。
消費税にも準確定申告がある
故人が事業主、不動産経営していた場合、消費税の準確定申告が必要です。
消費税の準確定申告の手続きは、まず「個人事業者の死亡届出書」を提出して、それから消費税の準確定申告を実施してください。
準確定申告しなかった場合
準確定申告しなかった場合、相続人にはペナルティが課されます。
無申告加算税がかかり、税額や自主申告したかどうか、どのくらい延滞したかによって、加算される税額が変わります。もうひとつは延滞税がかかります。
延滞税は、準確定申告が離縁した場合の延滞利息で、2か月以内の延滞の場合は年2.5%、2ヵ月以上の場合は年8.8%です。
確定申告の方法
確定申告の方法について解説します。
準確定申告が必要な方は、以下のいずれかの方法で期限内に申告しましょう。
税務署の窓口で行う
準確定申告の書類は、故人が住んでいた地域の税務署の相談窓口に行き、職員に相談しながら作成できます。
確定申告が初めての方や、よくわからない方におすすめです。
インターネットから申告する
国税庁のホームページで確定申告書の作成、申告が可能です。
確定申告の知識があって、自分で行いたいという方は、インターネット上で完結するのでおすすめです。
税務士に依頼する
準確定申告を作成する時間がない方、間違っていないか不安な方は、税理士に依頼する方法がおすすめです。
手数料がかかりますが、間違いがなく、自分で調べる時間もかかりません。
安心してお任せできるのがメリットです。
遺産相続の確定申告を税理士に依頼した場合の料金
準確定申告は、慣れていない方や不安な方も多いので、税理士に依頼すると安心です。
相続人が税理士に準確定申告を依頼した場合は、どのくらいの手数料を支払わなければいけないのでしょう。税理士報酬には規定があるわけではないので、依頼する税理士によって金額は変わります。
準確定申告は相続税の申告も込みでお願いする場合も多いようです。
相続税の申告を依頼した場合、遺産総額の0.5〜1.0%が一般的な相場です。
また、相続人が複数の場合は、一人当たりいくらと言って加算されていきますし、相続する土地が特殊、株式の種類によっても、加算されていきます。
準確定申告は、故人の生前の状況によって金額が変わります。
給与所得とその他の雑所得しかない場合は、1〜2万円の手数料、不動産取得や個人事業をしていた場合は、もっと高額になります。故人が事業主で、相続人はその事業にノータッチだった場合、何もわからない状態なので手間がかかり手数料も通常よりかかります。
また、被相続人が前年分の確定申告をしていなかった場合、準確定申告は2回分必要で、この場合も価格は加算されます。
準確定申告は、自分の確定申告とは違いますので、本人でなければわからない書類や資料が多く、とても時間がかかります。特に故人が会社を経営していたり、不動産収入があったりする場合は、手続きも複雑になりますので、相続人だけで行うのは難しいでしょう。
必要な書類が見つからないと、税務署で過去の確定申告書を閲覧するなどの手間もかかることもあります。
税理士にお願いすることで、手数料がかかったとしても時間の短縮と安心を得ることが可能です。
遺産相続の確定申告まとめ
ここまで遺産の確定申告についての情報や、準確定申告についてを中心にお伝えしてきました。
この記事のポイントをおさらいすると以下の通りです。
遺産相続しただけでは確定申告の必要がない
遺産を売却、収入がでる遺産を相続したなど、確定申告が必要な場合もある
相続人が故人の代わりに確定申告することを準確定申告という
準確定申告は期限や提出書類など注意点がある
準確定申告は税理士に依頼すると安心
これらの情報が少しでも皆様のお役に立てば幸いです。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。
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監修者
鎌田 真紀子(かまた まきこ)
国家資格 キャリアコンサルタント ・CSスペシャリスト(協会認定)
経歴
終活関連の業界経歴12年以上。20年以上の大手生命保険会社のコンタクトセンターのマネジメントにおいて、コンタクトセンターに寄せられるお客様の声に寄り添い、様々なサポートを行う。自身の喪主経験、お墓探しの体験をはじめ、終活のこと全般に知見を持ち、お客様のお困りごとの解決をサポートするなど、活躍の場を広げる。