相続
遺族年金を受け取ったら確定申告は必要?所得控除や節税方法も解説
更新日:2022.04.23 公開日:2022.04.12

記事のポイントを先取り!
- ・収入源が遺族年金のみの場合、確定申告は不要
- ・遺族年金は非課税であり所得ではない
- ・節税の方法の1つとして扶養家族に入る方法がある
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- 遺族年金の確定申告について
- 遺族年金とは
- 遺族年金を受け取ったら確定申告は必要?
- 遺族年金の受給者は所得控除を受けられる?
- 遺族年金でも節税はできる
- 遺族年金の受給者が注意すること
- 遺族一時金とは
- 遺族年金の確定申告のまとめ
遺族年金の確定申告について
大切な人を失った際に遺族年金を受け取ることができるケースがありますが、その確定申告についてはご存じでしょうか。
遺族年金を受け取った際の対応方法を知ることは大切なことです。
そこでこの記事では、遺族年金の確定申告について解説します。
この機会に、正しい所得控除や節税方法について覚えておきましょう。
後半では、遺族一時金についても触れているので、ぜひ最後までご覧ください。
遺族年金とは
遺族年金とは、国民年金や厚生年金に過去に加入していた被保険者が亡くなった際に遺族に支給される年金のことです。
支給される遺族は、被保険者と生計を一緒にしていた配偶者やその子どもが対象になります。
働き頭であった世帯主を失った遺族にとっては、生活面での不安が非常に大きいかと思います。
そのようなときに頼れるのがこの遺族年金であり、遺族にとっての心の支えになります。
遺族年金を受け取ったら確定申告は必要?

もし、遺族年金を受け取ったら確定申告は必要になるのでしょうか。
必要なケースについて詳しく説明していきますので、以下をご覧ください。
確定申告は原則不要
収入源が遺族年金のみである場合、確定申告は原則不要になります。
遺族年金には、遺族基礎年金と遺族厚生年金がありますが、両方とも非課税になります。
これは金額に関わらず、非課税になりますので、所得税や復興特別所得税、住民税、相続税などすべての税金がかからないことになります。
遺族厚生年金の中には、中高齢寡婦加算などの加算制度がありますが、この加算金も非課税になります。
また、寡婦年金や死亡一時金も非課税なので、確定申告は不要です。
別の事情で確定申告をする場合でも、遺族年金については申告しなくても問題ありません。
確定申告が必要な場合
ここからは確定申告が必要な場合について紹介していきます。
ケース別に説明していきますので、参考にしてください。
給与以外の所得が年間48万円以上ある
給与以外の所得が年間48万円以上収入があるケースでは、確定申告が必要となります。
たとえば、事業所得として収入があったり、不動産所得として家賃収入がある場合です。
故人の事業を引き継ぐことになった際や不動産を相続したケースで不動産所得が発生する場合なども含まれるので注意が必要です。
また、保険金を受け取る際の一時所得や保険会社の年金を受け取った際に発生した雑所得も含まれます。
このように遺族年金を受け取ることになった年は今までになかった所得が発生することもあるので、確定申告を忘れずに行いましょう。
給与所得があり年末調整をしていない
給与所得とは会社員やパート、アルバイトなどで給料として得ているお金のことを言います。
このような給与所得は勤務先の会社側で年末調整をしてもらえるので、基本的には確定申告を行う必要はありません。
ただし、年末までに退職をして再就職はしなかった場合などは年末調整を行わなかったこととなりますので、確定申告が必要になります。
また、勤務先が2カ所以上あり、同時に給与所得を受け取っていたようなケースでも、1年間分の税金を計算しなければいけないので、確定申告が必要です。
遺族年金と国民年金の両方を受給している
遺族年金と国民年金の両方を受給していたようなケースでも確定申告が必要な場合があります。
遺族厚生年金は非課税となるため、所得税は課税対象とはなりませんが、国民年金は所得税が課税されます。
そのため、国民年金として受給した金額については、確定申告が必要になります。
遺族年金と企業年金の両方を受給している
遺族年金と企業年金の両方を受給しているケースでは、遺族年金は所得税の対象にはなりませんが、企業年金には所得税の納付が必要になります。
そのため、企業年金を受給していたケースでは、確定申告を行って所得税を納付する必要があります。
遺族年金の受給者は所得控除を受けられる?
そもそも控除とは、所得税を安く抑えるために受けるものになります。
遺族年金は非課税であり所得ではないので、所得控除を受けられません。
ただし、先述通り、遺族年金をもらっているケースで確定申告が必要な場合には控除を申請することができます。
遺族年金でも節税はできる
遺族年金でも節税ができるケースはありますので、以下で説明していきます。
具体的な節税方法について紹介していきますので、参考にしてください。
扶養家族に入る
節税のひとつとして扶養家族に入る方法が挙げられます。
遺族年金を受給していても、他の家族の扶養に入ることは可能です。
税制上と社会保険上に分けて、以下で詳しく説明していきますので、参考にしてください。
税制上
扶養に入る税制上のメリットとしては、税金が安くなる点です。
以下に遺族厚生年金の場合にどの程度控除されるのかまとめます。
・70歳未満の人が親族の扶養に入るケース
→所得税が48万円、住民税が38万円控除されます。
・70歳以上の人が子供や孫の扶養に入るケース
→同居している場合:所得税が58万円、住民税が45万円控除されます。
→同居していない場合:所得税が48万円、住民税が38万円控除されます。
扶養に入るには、生計を共にしている必要があり、年間の所得額が38万円以下または給与収入が103万円以下である必要があります。
扶養控除の適用を受ける際には申告が必要になりますので、申告忘れがないように注意しましょう。
社会保険上
扶養に入る社会保険上のメリットとしては、扶養されている人が国民健康保険料を納付しなくてもよくなる点です。
国民健康保険料は原則として75歳になるまで納める必要があるので、75歳未満の方であればメリットが大きいです。
扶養する人が社会保険組合ではなく、国民健康保険の加入者であるケースでは、扶養の有無に関わらず、健康保険料は同額になるので扶養に入ってもメリットがありません。
遺族年金受給者で社会保険上の扶養に入ることができるケースを以下にまとめます。
・60歳~75歳のケース
→年収が180万円以下で、同居している被保険者本人の年収の2分の1未満の場合
・同居しているケース
→被保険者本人の年収の2分の1未満の場合
・同居していないケース
→年収180万円以下で、被保険者からの仕送り額より年収が少ない場合
「マル優」・「マル特」の利用
遺族基礎年金をもらっている配偶者や寡婦年金をもらっているケースでは、マル優制度を利用した節税ができるのでぜひ活用しましょう。
マル優とは、障害者等の少額預金の利子所得等の非課税制度のことを指します。
マル優制度とは、遺族基礎年金が支給されている妻や寡婦年金をもらっているケースで、一定の条件を満たしている人が利用できる制度のことです。
このマル優制度では、預貯金の元本350万円までの利子が非課税の対象になります。
マル優の対象は預貯金以外にも、合同運用信託や公社債、公社債投信なども含まれます。
マル特とは、障害者等の少額公債の利子の非課税制度のことで、特別マル優と呼ばれることもあります。
マル特制度とは、マル優制度と同様に遺族基礎年金をもらっている配偶者や寡婦年金を受給している人などで、条件を満たした人が利用できる制度のことです。
マル特制度での非課税の対象は、地方債や国債の額面350万円までの利子です。
この他にも、国債や公募地方債も対象に含まれます。
マル優とマル特の両方を合わせて利用すれば、合計で700万円までの利息を非課税することが可能になるので、大きな節税になります。
遺族年金の受給者が注意すること

次に遺族年金の受給者が注意することについて紹介していきます。
遺族年金の未支給年金が90万円以上の場合は、遺族が受け取った未支給年金が一時所得となります。
また、遺族年金はそもそも子どもがいない配偶者は、支給されないので覚えておきましょう。
子どもがいたとしても年齢制限があります。
18歳未満であることが条件であり、18歳未満であったとしても子どもが結婚しているケースでは、受給対象とされないケースもあります。
遺族一時金とは
最後に遺族一時金について説明していきます。
遺族一時金の意味合いや受けられる時期について紹介していきますので、以下をご覧ください。
遺族一時金とは
遺族一時金とは、加算適用加入員期間3年以上の人が亡くなったときなどの万が一の場合に遺族の方へ支給されるお金のことです。
たとえば、労災保険に加入していた方が業務上または通勤途中の事故や災害などの怪我や病気が原因で死亡した場合には、遺族に遺族一時金が支払われるケースがあります。
遺族一時金を受けられる時期
遺族一時金を受給できる時期を以下にまとめます。
・加算適用加入員期間3年以上で在職中に死亡したとき
・加算年金受給待期中に死亡したとき
・加算年金を受け始めてから15年以内に死亡したとき
これらの条件に当てはまる方は遺族一時金が受給できます。
遺族年金の確定申告のまとめ

ここまで、遺族年金の確定申告について解説してきました。
まとめると以下の通りです。
・遺族年金とは故人の代わりに遺族に支給される年金
・給与以外の所得が年間48万円以上収入があるケースは確定申告が必要
・遺族基礎年金をもらっているケースなどではマル優制度を利用した節税ができる
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。
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監修者

山口 隆司(やまぐち たかし)
一般社団法人 日本石材産業協会認定 二級 お墓ディレクター
経歴
業界経歴20年以上。大手葬儀社で葬儀の現場担当者に接し、お葬式を終えた方々のお困りごとに数多く寄り添いサポートを行う。終活のこと全般に知見を持ち、位牌や仏壇をはじめ、霊園・納骨堂の提案や、お墓に納骨されるご遺族を現場でサポートするなど活躍の場が広い。