相続
遺産相続人は誰のこと?相続の順番や遺産分割の割合を紹介
更新日:2024.07.25 公開日:2022.04.17

記事のポイントを先取り!
- 相続人は遺産を相続する権利のある人
- 血縁者が相続人になる
- 元配偶者や内縁の妻は相続人になれない
- 相続人でなくても遺産を受け取る方法がある
遺産相続手続きでは、聞きなじみのない専門用語をよく耳にします。
相続人という言葉もそのうちの一つでしょう。
そこでこの記事では、遺産相続人について詳しく説明していきます。
相続人とは何かや、どのような人が相続人になれるかなど、相続人についての理解を深めましょう。
遺産分割の割合や遺留分の相続配分など、遺産相続についても触れているので、ぜひ最後までご覧ください。
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- 相続人とは
- 遺産相続人は誰がなれる?
- 遺産分割の割合
- 遺留分の相続配分
- 養子も相続人になれるの?
- 相続人が子供の場合は?
- 相続人になれない近しい人
- 相続人以外が遺産を受け取るには
- 配偶者が遺産を独り占めした場合
- 遺産の相続人まとめ
相続人とは
相続人とは遺産を相続する人のことを指します。
つまり、誰かが亡くなった時にその人の遺産を受け継ぐ人のことです。
遺産を相続する際の範囲や順番、相続財産の割合などは民法で定められています。
また、相続人になれる親族も民法で定められています。
この民法によって決められた相続人のことを法定相続人といいます。
遺産の配分を話し合う遺産分割協議も、民法のルールを基にして進められることがほとんどです。
ただ、遺言書が残されている場合は、原則的に遺言書に書かれている通りの配分で遺産を分配します。
なお、遺産を残した相続される側の人を被相続人といいます。
これらの相続人や被相続人といった呼びかたは、法律上や税務上の手続きにおいて使用される言葉になります。
遺産相続人は誰がなれる?

遺産相続の際に誰が相続人になれるかは、民法886条~895条で定められています。
原則的にここで定められている人以外に相続権が与えられることはありません。
相続人には相続を受けられる場合の優先順位が決められているため、その順番に従って相続を受けることになります。
ここでは、誰が相続できるかや、具体的な順位について解説していきます。
相続人は血縁者がなる
相続人になれる人は基本的に血縁者となります。
被相続人の配偶者や子供、両親、兄弟姉妹がこれにあたります。
また、配偶者を配偶者相続人、子供や両親など被相続人と血縁関係があった親族を血族相続人といいます。
相続人の順位
遺産を相続できるのは、配偶者と順位が高い相続人です。
被相続人の法律上の配偶者は必ず法定相続人になれるうえ、相続において大きな権利を有しています。
ただし、配偶者は「法律上の」とあるように婚姻届けを提出している法律婚でなければなりません。
内縁関係や事実婚などは一定の保護があるのみで法定相続人にはなれません。
そのため、死亡時に別居や離婚についての争いをしていたとしても、法律上の婚姻関係が継続していれば、配偶者は法定相続人として認められます。
法律上の配偶者は必ず法定相続人にはなりますが、原則的に高順位の血族相続人と一緒に相続することになります。
配偶者以外の相続順位は、次の通りです。
第1順位
第1順位の相続人は被相続人の直系卑属、つまり子や孫になります。
胎児や認知済みの非嫡出子、養子縁組をした養子も直系卑属に含まれます。
第1順位の相続人は最も優先される相続人なので、第1順位の相続人が一人でも存在する場合は、第2順位以下の相続人に相続権は与えられません。
子供が複数人いる場合は、第1順位の権利を子供の頭数で等分することになります。
この際、血縁の有無や年齢などで割合が変わることはなく、等しく同じ分だけ権利を得られます。
第2順位
第2順位の相続人は被相続人の直系尊属、つまり父母や祖父母になります。
第1順位の相続人がいない場合にはじめて、第2順位の相続人に相続権が回ってきます。
例えば、被相続人に子や孫がおらず、父母がいる場合などになります。
もし、第2順位の相続人である父母と祖父母がどちらもいる場合は、被相続人との親等が近い両親のみが相続人となり、祖父母に相続権は与えられません。
両親も祖父母もおらず、曾祖父母が健在の場合は、曾祖父母が相続人となります。
直系尊属には血縁のある父母だけでなく、養父母も含まれます。
第3順位
第3順位の相続人は、被相続人の兄弟姉妹になります。
兄弟姉妹が相続権を得る場合は、第1順位と第2順位の相続人がどちらも存在しない場合に限られます。
もし、兄弟姉妹が先に亡くなっていて甥姪がいる場合は、甥姪が相続人となります。
被相続人の配偶者の兄弟姉妹などの義理の兄弟姉妹には、原則として相続権は与えられません。
孫は相続の対象外?
第1順位の相続人である子供がすでに亡くなっていて孫がいる場合は、孫が代わりに相続人となります。
このことを代襲相続といい、孫のことを代襲相続人といいます。
直系卑属への代襲相続は、孫がいなかったらひ孫へ、ひ孫がいなかったら玄孫へと直系卑属が続く限り連続して相続されていきます。
もし被相続人の子供である相続人に代襲相続人となる子供が複数人いる場合は、相続人の取り分からさらに代襲相続人の頭数で按分します。
また、相続人が養子の場合は、養子縁組をした時点で相続人に子供がいたかどうかで代襲相続できるか判断します。
養子縁組前に養子の子として生まれた子供は代襲相続人になることはできず、養子縁組後に養子の子として生まれた子供は代襲相続人になれます。
遺産分割の割合

遺産分割の割合も民法で定められています。
法定相続人の範囲と相続人の順位により定められており、これを法定相続分といいます。
誰が何人相続人になったかで法定相続分の割合は変わります。
また、被相続人が遺言書を残していた場合は、原則的に遺言書の内容通りに相続しなければならないので注意しましょう。
配偶者だけの場合
相続人が配偶者だけの場合は、配偶者がすべての遺産を相続します。
これは配偶者に限ったことではなく、相続人が子供だけ、父母だけ、兄弟姉妹でも同じです。
ただ、子供が複数人いるなど、同順位の相続人が複数いる場合は頭数で等分します。
第1順位の場合
配偶者と第1順位の相続人がいる場合は、それぞれが2分の1ずつ相続します。
第1順位の相続人が複数いる場合は、2分の1を第1順位の相続人の頭数で等分します。
第2順位の場合
配偶者と第2順位の相続人がいる場合は、配偶者が3分の2、第2順位の相続人が3分の1相続します。
第2順位の相続人が複数人いる場合は、3分の1を第2順位の相続人の頭数で等分します。
第3順位の場合
配偶者と第3順位の相続人がいる場合は、配偶者が4分の3、第3順位の相続人が4分の1相続します。
第3順位の相続人が複数人いる場合は、4分の1を第3順位の相続人の頭数で等分します。
遺留分の相続配分
被相続人が遺言を残していた場合は、基本的にその内容に従って遺産を配分しなければなりません。
しかし、そうすると本来もらえるはずの法定相続分よりも、極端に少ない額しかもらえない場合などが存在します。
そのような場合の救済措置的な制度が、遺留分です。
遺留分とは
遺留分とは、法定相続人に最低限保証された遺産の取得分のことです。
法定相続人は本来一定の割合で遺産を相続する権利を持っています。
しかし、遺言で長男だけにすべての遺産を相続したり、愛人に遺産を残したりなど、本来の取り分より少なくなることがあります。
このような場合に遺留分を請求することで、一定の財産を取得できるようになります。
相続配分
遺留分の配分は、配偶者や子供のみの場合は遺産全体の2分の1です。
配偶者と子供がいる場合は、配偶者と子供がともに4分の1ずつになります。
直系尊属のみの場合は、遺産全体の3分の1になります。
配偶者と直系尊属の場合は、配偶者が3分の2、直系尊属が3分の1です。
子供や直系尊属が複数人いる場合は、それぞれの相続分をさらに頭数で等分します。
配分する際の注意点
遺留分の配分で注意しなければならない点が、第3順位の相続人に遺留分は認められていない点です。
兄弟姉妹は法定相続人ではありますが、遺留分を請求することはできないことを覚えておきましょう。
養子も相続人になれるの?
前述した通り、養子も相続人になれます。
また、養子になったからといって、養子と実親の関係が変わるわけではありません。
そのため、養子は実親と養親のどちらからも遺産を相続できます。
ただしこれは、普通養子縁組の場合です。
養子縁組の方式には、実親との関係を維持したまま行う普通養子縁組と、実親との親子関係を終わらせて行う特別養子縁組の二つが存在します。
特別養子縁組の場合は実親との親子関係が消滅しているので、養親からの相続のみが有効となります。
相続人が子供の場合は?

相続人が子供の場合でも、遺産の相続権は存在します。
ただ、子供が相続権を行使するには条件があります。
未成年の場合
未成年者が相続人になるには代理人を立てる必要があります。
未成年者は基本的に、相続や遺産分割などの法律行為を単独で行うことを認められていないからです。
一般的に、未成年の代理人は法定代理人である親が務めます。
しかし、遺産相続の場合は、親と未成年者のどちらも相続人になるため、親と未成年者の利益がぶつかってしまう利益相反関係になります。
このような場合は、家庭裁判所に申し立てて特別代理人を選任しなければなりません。
選任された特別代理人が未成年者の代わりに遺産分割協議に参加することになります。
ただ、未成年者でも婚姻していれば成年者と同等に扱われる成年擬制という制度があります。
未成年者が婚姻している場合は、代理人を立てることなく本人が遺産分割協議に参加可能です。
胎児の場合
相続開始時に被相続人の子や孫、兄弟姉妹にあたる胎児がいれば、その胎児も相続人になります。
胎児は民法上はすでに生まれているものとみなされるからです。
ただし、この相続権は胎児が無事生まれた場合のみ有効で、死産や流産などで生まれなかった場合は、初めから相続人でなかったことになります。
相続人になれない近しい人
被相続人と関係が近くても、相続人になれない人がいます。
ここでは、どのような人が相続人になれないかを説明していきます。
元配偶者
離婚した元配偶者は相続人になることはできません。
被相続人の配偶者は法定相続人になれると民法で定められていますが、離婚すると配偶者でなくなるため、相続権を失ってしまいます。
内縁の妻
内縁の妻や夫には相続権は与えられません。
近年は、自治体によっては事実婚でも法律婚と同等の権利を受けられるところも増えてきているようです。
しかし、相続に関しては民法で相続できる人の条件が定められています。
そのため、内縁の妻や夫は法定相続人にはなれず、また相続財産を受け取る権利も法律上認められていません。
養子縁組をしていない連れ子
連れ子は被相続人との血縁関係がないため、遺産の相続をすることはできません。
どれだけ長く家族として一緒に生活してきたとしても、実際の血の繋がりがなければ相続権は与えられません。
もし、連れ子に遺産相続したい場合は、連れ子と養子縁組しましょう。
養子縁組をすれば法律上実の親子となるので、連れ子にも相続権が発生します。
行方不明の人
行方不明者がいる場合は、遺産分割ができません。
相続人全員の同意のもと作成する遺産分割協議書が作成できないため、遺産分割が滞ってしまうからです。
こういった場合は失踪宣告制度か、不在者の財産管理人制度を利用することで、遺産分割協議を進められます。
相続人以外が遺産を受け取るには

ここまで、相続人でなければ遺産を相続することはできないと説明してきましたが、相続人でなくても遺産を受け取る方法は存在します。
ここでは、相続人でない人が遺産を受け取る方法を説明していきます。
遺言書に記載をする
遺言書に相続させる旨が指名して記載されている場合は、相続人でなくても遺産を相続できます。
遺言書の内容は、民法で定められた法定相続人の順位よりも優先されるためです。
ただ、遺言書が既定の方式に則っていなかった場合は、遺言書として認められないので、指名されていても遺産は受け取れません。
また、遺言書の内容が遺留分を侵害している場合は、法定相続人の求めに応じて遺留分を支払わなければなりません。
生前贈与をする
生前贈与とは、個人から別の個人へ財産を無償で贈与するというものです。
生前贈与は誰に何を贈与するのも自由なので、相続人ではない人にも贈与ができます。
年間110万円までは贈与税もかからないため、少額の財産を贈与したい場合は遺言書で相続するよりも簡単に済ませられます。
また、節税にもなると一定の人気があるようです。
配偶者が遺産を独り占めした場合
遺言書の内容で指示されていない限り、相続人の一人が遺産を独り占めすることはできません。
もし配偶者が遺産の独り占めをしてしまった場合、遺産分割協議や遺産分割調停の申し立てを検討しましょう。
ここでは、遺産分割協議や遺産分割調停について説明していきます。
遺産分割協議をする
一般的に遺産を分配する際は、相続人全員が参加する遺産分割協議を行います。
しかし、相続人の一人が遺産を独占してしまったなどで公平に遺産分割できない場合は、家庭裁判所に遺産分割調停を申し立てることが可能です。
家庭裁判所の力を借りて解決を図ります。
なお、遺産分割協議で全員の同意があれば、一人が遺産のすべてを独占することも可能です。
遺産分割に納得しない場合も申し立てできる
遺産分割協議でもめてしまい、相続トラブルに発展してしまった場合でも、家庭裁判所に遺産分割調停の申し立てができます。
遺産分割協議は、一度こじれてしまうと自分たちの手で解決することは難しくなります。
家庭裁判所に間に入ってもらい、公平な判断を下してもらうのが一番良い方法だといえます。
遺産の相続人まとめ
ここまで、相続人についてや、遺産分割についての情報を中心にお伝えしてきました。
この記事のポイントをおさらいすると以下の通りです。
- 相続人とは遺産を受け継ぐ権利のある人のことを指す
- 相続人には血縁者がなるもので、関係の近さにより順位が決まっている
- 民法により遺産の相続割合は決まっている
- 元配偶者や内縁の妻、養子縁組していない子供などは相続人になれない
- 相続人でなくても遺産を受け取る方法がある
これらの情報が少しでも皆様のお役に立てば幸いです。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。
参考:相続レスキュー | 相続に関するお悩みは弁護士へご相談
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監修者

袴田 勝則(はかまだ かつのり)
厚生労働省認定 葬祭ディレクター技能審査制度 一級 葬祭ディレクター
経歴
業界経歴25年以上。当初、大学新卒での業界就職が珍しい中、葬儀の現場で数々のお葬式を担当し、身寄りのない方の弔いから皇族関係、歴代首相などの要人、数千人規模の社葬までを経験。さらに、大手霊園墓地の管理事務所にも従事し、お墓に納骨を行うご遺族を現場でサポートするなど、ご遺族に寄り添う心とお墓に関する知識をあわせ持つ。