専門家インタビュー
高齢者が自分らしく生きるためのサポートを考えたい
更新日:2022.12.14
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研究内容について
Q1.「日本におけるオンコロジータッチセラピーの実践」についての研究内容とその研究成果について教えてください。
「オンコロジータッチセラピー」はがんとともに生きる人へのタッチセラピーです。
日本は高齢化社会を迎え、がん患者やがんサバイバーが増えています。
しかし、がんの治療や副作用に留意したタッチセラピーは日本にはありませんでした。
米国でオンコロジータッチセラピーを学ぶ機会を得て、日本での実施へと繋げることができたため実践報告として研究発表を行いました。
「ともいき京都」といわれるがんの経験をともに語り生きる知恵を育み支え合う場として、がん専門看護師が参加していることやがん患者をサポートする様々な企画が運営されています。
その企画の一つとして、米国の講師からオンコロジータッチセラピーの認定を受けたセラピスト11名が、がん患者やがんサバイバー、またその家族に対してタッチセラピーを実施することができました。
全12回実施し、のべ115名がタッチセラピーを受け、その殆どがリラクゼーション効果を経験していたようです。
今後も、がんの知識、治療や副作用について理解し、安全でかつ安楽なタッチセラピーの普及されることを望んでいます。
Q2.その研究を行った経緯を教えてください。
米国で看護師として活動していた時にオンコロジータッチセラピーと出会いました。
実際に、入院している患者様にタッチセラピーを実施した経験から、やさしくふれることで患者様と繋がることができ心身両面に効果があることを確信することができました。
日本では当時、凝りをほぐす指圧のような強い圧が求められていたこと、がんに特化したセラピーがなかったことから、オンコロジータッチセラピーを日本でも普及したいと考えました。
その後、N P Oタッチケア支援センターに賛同して頂き、日本での活動が始まりました。
私の恩師であるオンコロジータッチセラピー講師の来日、セミナーの開催、オンコロジータッチセラピストの誕生、地域でのボランティア活動と次々と展開したことから、実践報告のレポートをまとめることとなりました。
Q3.「タッチケアの習得が看護学生に与える影響」についての研究内容とその研究成果について教えてください。
看護基礎教育に携わると同時に、がん患者様にオンコロジータッチセラピーを実施するボランティア活動を行ってきました。
学生から、祖母ががんで苦しんでいる姿を見て何かできることはないか、実習で患者様とのコミュニケーションに困っているなど相談をえけることがあり、タッチケアを学ぶことでそれらの疑問を解決することができるように思いました。
そこで、タッチケアを学びたい学生を募集し、N P Oタッチケア支援センターにタッチケアを指導して頂きました。
看護実習を終えた5人の学生に、タッチケアの効果を検証するために学生にインタビューを行いました。
その結果、学生は看護に対する自己肯定感を向上させ、より患者様を理解することに繋がり、触れることの相互作用を実感していました。
Q4.久木元様が考える本研究の意義を教えてください。
タッチケアの効果についてはすでに様々な研究で証明されています。
本研究では、タッチケアを受けた患者様だけでなく、施術した学生にも効果が見られました。
コミュニケーションが不得意な学生がタッチケアを通して患者様との信頼関係を構築している様子、触れることで患者様の良い変化を感じとり自信につながる様子など、施術した者とされた者の間にあるつながりが生まれたように感じました。
加えて、タッチケアは看護技術でもあります。
安楽で安全な技術の提供を計画するためには、繰り返し技術を磨くこと、心身ともに安定していることが求められます。患者様に触れるとこちらの呼吸や緊張が患者様に伝わるため、自分の状態を理解しておくことも大切です。
患者様とつながることの重要性について、タッチケアを通して学生に伝えて行きたいと考えています。
今後の目標について
Q1.久木元様の研究における最終的な目標を教えてください。
現在、多職種の学部生に対する緩和ケアに関連した多職種連携教育について研究を実施しています。
緩和ケアとは、「がんなどの患者と家族が可能な限り質の高い治療・療養生活を送れるように、身体的症状の緩和や精神心理的な問題などへの援助」と厚労省により定義されています。
日本は高齢化社会と同時に多死社会を迎え、緩和ケアの充実が求められています。
将来、チームで緩和ケアを実践できるように、学生の時からチーム医療と緩和ケアの両方の概念を学ぶことができるように、他学科の教員と協力し取り組んでいます。
研究における最終的な目標は設定せず、その時に必要な研究を実施することが研究のモチベーションになっています。
Q2.今後はどういった研究を進めていく方針なのでしょうか?
現在、本学大学院のナースプラクティショナー(NP)コースを担当しています。
大学院での教育を受け、医師が行う診療行為を行うことができる看護師をNPと呼び、米国で生まれました。
NPは、医師の業務負担を減らし、患者ケアの質の改善など期待されています。
看護師でありながら医師の視点も持つことができるので、終活に向けた患者様やその家族に対してもきめ細やかな説明や対応が可能です。
今後は、NPに関する英語文献の紹介や、日本でのNPのエビデンス構築に向けて貢献して行きたいと考えております。
みんなが選んだ終活のユーザー様へ一言
Q.みんなが選んだ終活のユーザー様(高齢の方、高齢の親を持つ方)に何かメッセージをお願いいたします。
すでにご存知かもしれませんが、アドバンスケアプランニング(ACP)/人生会議という言葉を聞いたことがあるでしょうか?
将来の変化に備え医療及びケアについて本人を主体に家族、医療従事者が話し合いを行い、本人による意思決定を支援するプロセスのことです。
終末期において約70%の患者様は意思決定が困難な状態と言われています。
家族と健康や医療において大切にしていることを話し合っておいてはいかがでしょうか?
私の母は最初「死」について話すことにかなり抵抗がありましたが、今では大きな手術を受けたこともあり、この先の人生をどのように送りたいのか話すようになりました。
死を見つめることで、今を生きることができるのだと思います。
取材に協力してくださった先生
森ノ宮医療大学 看護学部 看護学科 教授
久木元 由紀子 さん
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