専門家インタビュー
「現代青年が葬式に見出す肯定的意味に関する研究」の研究成果について
更新日:2024.07.22 公開日:2024.07.19
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研究内容について
Q1.「現代青年が葬式に見出す肯定的意味に関する研究」の研究を始めたきっかけは何ですか?
人間には避けられない苦として愛別離苦があります。
実際、大切な人と死別した場合、多くの人がお葬式を行いますが、お葬式の意味を深く捉えている人はどのくらいいるでしょうか。
日本人は、制度宗教とは異なる見えない宗教を信じる傾向にあります。
つまり、お葬式の意義を意識せず、受け継がれた決まり事として行っていると考えられます。
それゆえ、お葬式という死の儀式が、故人との別れという悲嘆だけではなく、別の機能を有するということを臨床心理学の視点から示唆したいと思ったからです。
Q2.研究対象である、肯定的意味とは何ですか?orどのような内容ですか?
故人との別れは、遺された人々に混乱をもたらすことがあります。
お葬式は、こういった喪失体験に伴う心の問題を解決に向かわせるために、故人との絆を結びなおし、継続する役割のひとつとしての肯定的意味があると思います。
つまり、お葬式は、死者との関係や距離の捉え直し作業ともいえるのです。
また、故人の身近にいた人々にとってお葬式に参列することが、死自体を洞察し故人との関係性を再構築するということになると思います。
Q3.「現代青年が葬式に見出す肯定的意味に関する研究」の研究成果を教えてください。
研究成果については、以下の5つが挙げられます。
1つ目は、現代青年が死を境に周囲の役割が変化するためのきっかけになったこと。
2つ目は、死を終結としてだけではなく、新しい人生の始まりとして洞察する機会になること。
3つ目は、死別によって不安定になっている気持ちに向き合ったこと。
4つ目は、お葬式を慣習と捉える一方で、人生の最後にしっかりと段階を踏みたいと思ったこと。
5つ目は、故人を尊重し、故人への感謝の気持ちを表現できたことです。
Q4.奥野様が考える本研究の意義を教えてください。
現代青年がお葬式は必要だと感じていながら、お葬式にいかなる意味付けをしているかは明らかになっていなかったのですが、本研究を通して、現代青年がお葬式に多様な意味を見出していることが示唆されたと思います。
現代青年にとって故人との別れが、死を洞察することにつながり、故人との関係性を再構築しながら感情を整理していくといった意味が見出されたと思います。
宗教に対して消極的な現代青年の宗教性をお葬式が映し出す機能もあるということがわかりました。
お葬式という「儀式」には、臨床心理学的な機能があり、これまでのルールを変更させることが可能になると考えられます。
Q5.奥野様の研究における最終的な目標を教えてください。
これまでの日本では、死を公に語ることがタブー視されてきたところがあります。
しかし、死は誰にでも訪れるものであり、死に対して向き合い、死について語ることが、自分の生を真剣に考えることにつながると思います。
学校教育の場でも、死をどんなふうに捉えていくかという「デスエデュケーション(死についての教育)」を促進していくこと、さらに、終末期の方々への臨床心理学的支援のあり方について提案できるよう研究を進めていきたいです。
先生の経歴について
Q1.先生の略歴を教えてください。(5つまで)
2009年 東北大学大学院教育学研究科博士後期課程修了
2010年 安田女子大学心理学部准教授
2013年 岩手大学人文社会科学部准教授
2019年 同大学教授
Q2.先生の資格・学会・役職を教えてください。(5つまで)
資格:博士(教育学)、臨床心理士、公認心理師、薬剤師
学会:日本家族心理学会理事
現代行動科学会理事
日本心理臨床学会
日本心理学会
日本ブリーフセラピー協会盛岡支部長
宗教心理学会
先生の所属先
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