専門家インタビュー
高齢者とその家族・親族をめぐる対立と専門職の 「かかわり」ー専門職に対するアンケート調査結果ーについて
更新日:2024.08.23 公開日:2024.08.23
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研究内容について
Q1.「高齢者とその家族・親族をめぐる対立と専門職の 「かかわり」: 専門職に対するアンケート調査結果」の研究を始めたきっかけは何ですか?
一般の方から、自分が知らない間に高齢親に勝手に後見人がつけられたので、なんとかしてほしいと相談を受けたことがきっかけです。
そんなことがあるのかと家庭裁判所の裁判官、後見人を経験した弁護士、社会福祉士へインタビューを試み、家族・親族が高齢親をめぐって、介護の負担、財産の承継などで争っているなかで、後見制度を悪用している事例が見られました。
もう少し詳しく実態を知りたいと思い、この調査を行いました。
Q2.本研究の研究成果を教えてください。
この調査では、後見人となった専門職(社会福祉士、弁護士、司法書士など)の方に、高齢親と家族・親族との関係を捉えていただきました。
高齢親と家族・親族の対立があったのは回答した62名中53名。
対立の内容は、家族・親族による使い込みの回収・調査、横領が多く、次いで遺産分割、次に病院・介護事業所選びでした。
対立の要因は特定できず、本人・家族の特性、財産の有無、親密さ・疎遠さ、制度・法律の熟知・無知がそれぞれ拮抗していました。
専門職の方々が果たした役割として、社会福祉士だけが他職種への連携・つなぎを挙げ、そのほかの職種は説明、対話・調整などが多く、職種による違ったアプローチが見られました。
Q3.三輪様が考える本研究の意義を教えてください。
この調査で、高齢親と家族・親族との板挟みになっている専門職の方々の存在と、業務遂行にあたって何が困難であるのかを明らかにできたこと、そしてそれをどうやって乗り越えていくか、法律・制度・サービス等の要望をうかがえたことが大きな意義だと思います。
この調査は2015年に実施されたもので、まもなく10年が経とうとしていますが、現在、厚生労働省の成年後見制度利用促進専門家会議では、成年後見制度そのものの見直しとより効果的な権利擁護支援、意思決定支援へ向け、話し合いが続けられています。
これから専門職の役割も大きく変わっていくのではないかと思っています。
Q4.三輪様の研究における最終的な目標を教えてください。
私の研究の最終的な目標は、不要な研究となることです。
これまでご紹介した研究は、私の研究のほんの一部で、もう少し大きく捉えると、歳をとるにつれて認知能力が低下していく高齢者が、その人らしく生き、最期を迎えるためには、どのような法制度を構築すればよいか、というものです。
そうした高齢者が、望むような医療や介護を手に入れられ、家族や親族間による争いに巻き込まれなければ、不要な研究となります。
つまり、不要な研究になれば、私の研究は成就したということになるのだろうと思います。
先生の経歴について
Q1先生の略歴を教えてください。(5つまで)
2020年4月〜 南山大学総合政策学部教授
Q2.先生の資格・学会・役職を教えてください。(5つまで)
学位:博士(国際経済法学)
学会:日本社会保障法学会、ジェンダー法学会
先生の所属先
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