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相続

遺言書を検認しないとどうなるの?検認しないリスクについて紹介

更新日:2022.04.23

遺産

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記事のポイントを先取り!

  • ・検認では遺書の内容を確認する
  • ・検認しないと手続きが行えない
  • ・検認しなくて良い遺言書もある
  • ・遺言書は全員の同意で無視できる

遺言書には「検認」と呼ばれる、遺言書の内容を確認する手続きがあることをご存知でしょうか。

検認しない場合、どのようなことが起きるのか知っておくと良いでしょう。

この記事では、遺言書を検認しないとどうなるのか詳しく説明していきます。

この機会に遺言書の検認について理解を深めておきましょう。

遺言書を無視できるかどうかについても触れているので、ぜひ最後までご覧ください。

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  1. 遺言書の検認とは
  2. 遺言書を検認しない場合
  3. 意図的に検認しないとどうなる?
  4. 検認しない遺言書もある
  5. 遺言書は無視できる?
  6. 検認のやり方
  7. 遺言書の検認しないまとめ
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遺言書の検認とは

検認とは、遺言書を家庭裁判所に提出し、相続人が集まってその内容を確認する手続きのことです。

これは、遺言書の発見者や保管者が内容を書き換えたり捨ててしまったりするのを避けるために行われます。

また、検認はあくまでその時の遺言書の状態を保存するための手続きです。

遺言書の効力や遺言書の様式が正しいかどうかまでは確認されないため、注意しましょう。

家庭裁判所での検認が終了すると、「検認済証明書」と呼ばれる書類を受け取れます。

この書類は、遺言書が検認を受けたものであることを証明するためのものです。

検認の手続きが必要なのは、遺言書の内、法務局に預けていない自筆証書遺言秘密証書遺言です。

自筆証書遺言とは、故人が自筆で書いた遺言書のことで、作成は簡単ですが偽造・改竄のリスクがあります。

秘密証書遺言は公証役場で作成し、公証人と証人によって遺言書の存在が証明されます。

そのため偽造・改竄はされませんが、中身のチェックは行われず、遺言者が自分で持っておく必要があります。

これら2種類の遺言書が見つかった場合には、必ず検認の手続きをしましょう。

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遺言書を検認しない場合

前述した遺言書を検認しないと、どのようなことが起こるのでしょうか。

以下で具体的に解説していきます。

各種手続きができない

相続の手続きをする際には、検証済証明書の提出が求められます。

そのため、遺言書を検認しないと手続きが行えないのが実情です。

故人の預金・証券などの金融に関する名義変更手続きには検認済証明書が発行されている遺言書が求められます。

また、不動産登記で相続によって所有権を移転する場合も、同様に証明書が必要となります。

罰則が科せられる

検認前に開封したり、検認しないで遺言の内容を実行したりしても、効力が無くなることはありません。

しかし民法上の規定により、検認前に上記のことをすると行政上の義務に違反したとして、罰則が科せられる可能性があります。

罰則は、5万円以下の過料となっていますが、刑事罰ではなく行政罰であるため前科が付くことはありません。

法律で決められてはいますが、実際に過料が科せられるケースは多くないようです。

これには検認の手続きが広く周知されておらず、誤って遺言書を開けてしまう人が多いことが関係しています。

しかし、だからといって検認前に開けても問題ないというわけではありません。

検認が必要な遺言書は、必ず検認が終わってから開けましょう。

意図的に検認しないとどうなる?

ここからは意図的に検認しないと、どのようなことが起こるのかを解説していきましょう。

検認しないと、思いがけず深刻な状況に陥る可能性もあります。

検認の重要性を確認するためにも、意図的な検認で起こり得ることを知っておきましょう。

いつまでも各種手続きができない

検認の実行期限に決まりはありません。

しかし検認しないままにしておくと、相続に関する手続きが行えません

相続の手続きがいつまでも行えないと、相続税の申告ができず税金の納付が行えないことになります。

相続税の手続きは、故人が亡くなった日から10ヶ月以内に行わなければなりません。

この期間に、間に合わなかった場合は、無申告加算税と呼ばれる税金がプラスで課されます。

また、限定承認・相続放棄する場合には死後3ヶ月以内に手続きをする必要があり、それ以降の手続きはできなくなります。

手続きができないと、税金の負担や相続の機会の喪失にも繋がるのです。

一般的に相続の手続き完了までには1ヶ月程度かかると考えられます。

相続を素早く行うために、検認も早めに行いましょう。

場合によっては相続権を失う

いつまでも検認しないと、相続権を失う場合があります。

相続権を失うのは、遺言書を保管しているにもかかわらず、それを他の相続人に対して隠していた場合です。

遺言書に遺産を相続できると書かれている人物でも、遺言書を隠した場合、その権利を失います。

これは民法の中で規定されているもので、隠すことを法律上、「隠匿」といいます。

この隠匿以外にも、民法では偽造・書き変え・破棄した場合も同様に、相続権を失うと書かれています。

しかし、遺言書を隠したからといってすぐに相続権が失われるわけではありません。

一般的に、自分に不利な内容が書かれている遺言書を隠した場合に隠匿と見なされ、相続権を失います。

ただし、自分に有利な内容だからといって検認しなくて良いわけではありません。

長期にわたり検認しないでいると、相続権を失う可能性があるため早めに検認しましょう。

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検認しない遺言書もある

遺言書の中には、検認しない種類のものもあります。

具体的にどういった種類がこれに該当するのでしょうか。

以下で詳しく解説していきます。

公正証書遺言

公正証書遺言は公証人が立ち会って作成した後、公証役場で保管される遺言書のことです。

公証人が立ち会っているため、遺言の有効性が約束されており、一番確実性の高い種類の遺言だといえます。

故人の遺した遺言がこの公正証書遺言であった場合は検認しないため、検認の手続きを省略できます。

自筆証書遺言保管制度

一般的に検認が必要となる自筆証書遺言であっても、自筆証書遺言保管制度を利用すれば、検認の手続きを省略できます。

この制度は、故人が自筆で書いた遺言書を法務局で保管するというものです。

この制度を利用した場合、遺言書は法務局に保管されることとなり、遺族でもその後遺言書の原本を取り出すことはできません。

この制度を利用した場合、遺言書の原本の代わりとして、法務局発行の「遺言書情報証明書」を使って遺言の執行をします。

遺言書は無視できる?

ここからは、遺言書が見つかった場合、その内容を無視することは可能かどうかについて解説していきます。

遺言書を無視するには特定の条件を満たす必要があるため、この機会に確認しておきましょう。

相続人全員の合意で無視が可能

遺言書は相続人全員が合意した場合に限り、遺言の内容と異なる形で遺産の分割が可能になります。

ただし、相続人以外の第三者に対して遺産を贈与する内容であった場合、その第三者(受遺者)の同意が必要です。

また、遺言執行者が相続人以外であった場合、その執行者の同意も必要となるため注意しましょう。

遺言の無視が可能なのは、遺言通りに遺産を分けた後で、再度相続人の間で遺産を分配し直す手間を省くためです。

全員の合意があった場合、遺産の分割の仕方を変えても問題ないでしょう。

無視できないケースもある

上述したように、相続の分割を変えるのは、相続人と受遺者全員の合意があった場合のみです。

一人でも合意しなかった場合は、遺言書を無視することはできません。

また、遺言内で遺産分割を禁止している場合も、無視して分割の仕方を変えることは不可能となります。

内容の異議申し立ても可能

もし遺言の内容が無効だと考えられる場合、内容に関して異議申し立てをすることが可能です。

ただし、話し合いで無効にするためには、上述した無視する場合と同様に、相続人と受遺者全員の同意を得る必要があります。

しかし、相続人の間で話し合っても解決しない場合、遺言無効の調停を起こす必要があります。

調停では調停人が間を取り持って、相続人や受遺者間の話し合いが行われます。

この調停でも問題が解決しなかった場合には、「遺言無効確認訴訟」と呼ばれる訴訟を起こします。

訴訟では裁判官によって、その遺言書が無効であるかどうかの最終決定が下されます。

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検認のやり方

ここからは、検認を実際に行う際の方法について解説していきます。

検認の手順を知っておくと、実際に行う場合に役立つでしょう。

検認の申し立て

まずは遺言の保管者か発見者が、検認の申し立てをします。

検認が行われるのは故人が住んでいた最後の住所地の家庭裁判所です。

裁判所が申し立て先であるため、裁判所宛に必要書類を送付しましょう。

検認の申し立てには、以下の書類が必要です。

  • 申立書
  • 当事者目録
  • 遺言者の出生時から死亡時までの戸籍謄本全て
  • 相続人全員の戸籍謄本

上記以外にも状況に応じて書類が追加で必要となることがあります。

申し立てが終わると、裁判所から検認する日付の通知が行われます。

検認当日

検認当日になったら、申立人は遺言書と申立書に押したのと同じ印鑑を持参し、家庭裁判所へ出向きます。

相続人は検認に参加する権利がありますが、必ず参加しなければいけないわけではありません。

相続人が全員揃わなくても検認当日には予定通り検認が行われます。

検認では相続人立ち会いの元、裁判官によって遺言書が開封され、検認が行われます。

検認済み遺言書の受け取り

検認を追えたら検認済証明書の申請をします。

検認済証明書を発行するには、150円の手数料が必要となるため注意しましょう。

証明書の申請が完了したら、検認済証明書が貼り付けられた状態で、遺言書が返還されます。

この検認済遺言書があることで、遺言の執行や相続の様々な手続きが可能となります。

遺言書の検認しないまとめ

ここまで遺言書を検認しない場合などを中心にお伝えしてきました。

この記事のポイントをおさらいすると以下の通りです。

  • 遺言書の検認とは、家庭裁判所に遺言書を提出して内容を確認する手続きのこと
  • 遺言書を検認しないと相続手続きができなかったり罰則を受けたりする
  • 公正証書遺言と自筆証書遺言保管制度を利用した場合には検認しない
  • 遺言書は相続人・受遺者・遺言者全員の同意があれば無視できる

これらの情報が少しでも皆様のお役に立てば幸いです。

最後までご覧いただき、ありがとうございました。

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監修者

評価員(やまぐち)

山口 隆司(やまぐち たかし)

一般社団法人 日本石材産業協会認定 二級 お墓ディレクター

経歴

業界経歴20年以上。大手葬儀社で葬儀の現場担当者に接し、お葬式を終えた方々のお困りごとに数多く寄り添いサポートを行う。終活のこと全般に知見を持ち、位牌や仏壇をはじめ、霊園・納骨堂の提案や、お墓に納骨されるご遺族を現場でサポートするなど活躍の場が広い。

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