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専門家インタビュー

鍋被り葬考:その系譜と葬法上の意味合いについて

更新日:2024.07.19 公開日:2024.07.15

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  1. 研究内容について
  2. 今後の目標について
  3. 先生の経歴について
  4. 先生の所属先
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研究内容について

Q1. 研究対象である鍋被り葬考とは何ですか?

  鍋被り葬とは、死者の頭に鉄鍋や擂鉢などを被せる埋葬法で、中世から19世紀頃まで東日本を中心に広く行われていました。

鍋被り葬墓は、村境など通常の墓地とは隔離された場所から単独で見つかるケースが多く、鍋被り葬は、ハンセン病などの伝染病や不慮の事故死など、当時社会から忌避された死因でなくなった人が対象となった可能性が高いと考えられます。

ほとんどは土葬墓ですが、今も一般的に使われている火葬骨を納めた白磁の円筒形の骨壺の上に鉄鍋を被せた事例も見られることから、場所によっては火葬が一般に普及した20世紀以降も鍋被り葬の伝統が根強く残っていたと考えられます。

Q2.「鍋被り葬考:その系譜と葬法上の意味合い」の研究成果を教えてください。

鍋被り葬は、15・16世紀頃に津軽海峡を挟んだ北日本の和人社会にみられる死者の頭に擂鉢を被せる 特異な葬制と、同時期に存在した伏せた鉄鍋を土中に埋める「まじない」が組み合わさることにより成立した可能性が高いと考えられます。

また、成立の在り方からみて、その目的は忌むべき死者の霊を封印 することにあると考えられます。
おそらくは、祓い清める力が期待された鉄鍋を用いることで、通常 と異なる「異常な死」が人々に災いを及ぼすのを防ごうとしたものと思われます。

Q3 .関根様が考える本研究の意義を教えてください。

文献史料や民俗学的知見との総合化が求められ、また実際にそれが可能でもある近世考古学の分野において、本研究ではあえて考古学的事実の積み重ねを重視し、鍋被り葬の問題に取り組みました。

それは聞き取り調査に安易に依拠し、「鍋被り葬=ハンセン病による死者」としてきた従来の鍋被り葬研究への批判を出発点としています。

考古学的事実を丹念に検討することで、これまで取り上げられる機会の少なかった葬制上の系譜や目的から鍋被り葬の本質が垣間見えたと考えます。

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今後の目標について

Q1.関根様の研究における最終的な目標を教えてください。

日本国は大和民族・アイヌ民族・琉球民族から構成され、ヤマト(日本)文化以外にも北のアイヌ文化、南の琉球文化があります。

こうした文化の多様性は、わが国の貴重な財産です。

文化の指標は沢山ありますが、葬墓制はそれぞれの文化の根幹をなし、民族のアイデンティティに直結しています。

墓を営むのは人間だけであり、墓は極めて人間的な所産といえます。過去に日本列島で暮らした人々がどのようなお墓を営んできたのかを明らかにすることを通して、日本の歴史や文化について考えていきたいと思います。

先生の経歴について

Q1先生の略歴を教えてください。(5つまで)

・東北大学大学院文化研究科博士前期課程修了(1991年)

・東北大学埋蔵文化調査研究センター助手(1992~2001年)

・弘前大学人文学部助教授(2001~2010年)、同人文社会科学部教授(2010年~現在)

・第31回濱田青陵賞、第6回日本考古学協会賞(大賞)、第3回北海道考古学会賞を受賞

・主な著書『墓石が語る江戸時代』(吉川弘文館2018年)や、石に刻まれた江戸時代』(同2020年)

Q2.先生の資格・学会・役職を教えてください。(5つまで)

・博士(文学)東北大学

・日本考古学協会、東北史学会評議員、日本災害・防災考古学会会長

・弘前市文化財審議会委員長

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先生の所属先

弘前大学

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