相続
他の相続人から不平等な内容の遺産分割方法を提示されたら?
更新日:2025.12.16 公開日:2025.12.11
相続が発生したとき、遺言書がない場合には相続人全員で遺産分割協議を行い、遺産の分割方法を決定します。
しかし、例えば兄弟から不平等で恣意的な内容の遺産分割を提示されたり、他の相続人から一方的に遺産分割協議書が送られてきたり、署名・捺印を迫られるケースがあります。
このような場合、すぐに署名・捺印してしまうと、遺産分割の内容に合意したことになってしまい、後から無効にすることが原則できなくなります。
では、このような場面ではどのように対処したらよいのでしょうか。
こちらでは、このような相続トラブルが起こった場合の対処法をご案内いたします。
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1.遺産分割協議の実施

遺産分割協議を行い、相続人全員で話し合って分割方法を決めるのが原則です。
遺産分割の方法として、民法で定められた各相続人の相続分(法定相続分)というものがあります。
この法定相続分はあくまで目安であって、強制力があるわけではありませんが、円満に遺産分割を行うために、まずは法定相続分で分割することを主張すべきといえるでしょう。
遺産分割協議は相続人全員の合意が必要となるため、万が一1人の相続人から不平等な遺産分割を提案されても、合意しない限り相続方法は決定されません。
安易に合意をせず、遺産分割の内容をきちんと確認をするようにしましょう。
2.特別受益・寄与分の主張

自分の相続分が不平等であると感じる場合、遺産分割内容の公平性を確保するため、以下の2つを主張できるケースがあります。
- 特別受益の主張
- 寄与分の主張
特別受益とは、特定の相続人が被相続人から生前贈与や遺贈などを受けた際に得た利益のことです。
生前贈与・遺贈は相続分の前渡しと判断され、特別受益分を遺産に持ち戻して遺産分割を行います。
遺産分割協議を行う際に、特別受益を主張することによって、特別受益を受けていた相続人の相続分が減額される場合があります。
寄与分とは、「被相続人の家業を無給で手伝っていた」「会社を辞め、長年療養・介護を担っていた」など、特定の相続人が被相続人の財産の維持・増加に関わる特別な寄与(貢献)のことです。
遺産分割協議を行う際に、寄与分があることを主張することで、被相続人に貢献をしていた相続人の相続分を増額できる場合があります。
ただし、寄与が認められるための条件は厳しく、「通常期待される程度を超える行為」があったかどうかが重要となります。
例えば、「被相続人と同居しており、毎日食事を作っていた」といった内容であれば、「通常同居している家族であれば当然のことだ」と判断され、特別な寄与であるとは認められにくいです。
また、寄与は対価を受けていないことや、一定期間継続していたことも認められる条件になります。
3.家庭裁判所に対する遺産分割調停の申立て

上記の主張をもとに話し合いを行い、それでも相続人間で遺産分割について対立してしまい、話し合いがまとまらない場合は、家庭裁判所に対して遺産分割調停の申立てを行います。
遺産分割調停とは、相続人での話し合いがまとまらない場合に、家庭裁判所を介して合意を目指す手続きのことです。
裁判官と調停委員が仲介し、中立的な立場で調整を行います。
また、調停を申し立てる場合に弁護士にご依頼いただくことで、手続きを代わりに行い、代理人として出席して的確な主張をしてくれるなど相続人をサポートすることができます。
以上のように、相続手続きは、財産が関わる以上、相続人間で意見が対立し、遺産分割協議が難航することが少なくありません。
相続人全員が納得できる形で話し合いを進めることが理想ですが、「話し合いが平行線となってしまった」、「対立してしまい相続人と連絡が取れなくなった」など、当事者だけでは解決が困難になるケースも多く見受けられます。
このような場合には、早い段階で弁護士にご相談いただくことで、状況の整理や適切な手続きの選択、連絡調整など、紛争の防止・解決に向けた具体的なサポートが可能です。
お一人で抱え込まず、お気軽にご相談ください。
【監修】
弁護士法人Authense法律事務所
弁護士 堅田 勇気(神奈川県弁護士会所属)

一橋大学法学部法律学科卒業。相続分野マネージャー、横浜オフィス支店長を務める。相続を中心に、離婚、不動産法務など、幅広く取り扱う。
相続人が30人以上の複雑な案件など、相続に関わる様々な紛争案件の解決実績を持つ。
Authense法律事務所は、「すべての依頼者に最良のサービスを」をミッションに掲げ、遺産相続や離婚相談、交通事故をはじめとする個人法務の他、上場企業からスタートアップ企業までを支える企業法務や、建物明渡訴訟などの不動産法務、誹謗中傷対応や刑事事件まで、幅広いリーガルニーズにお応えする総合法律事務所です。
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