相続
祭祀財産とは?相続財産との違いを解説
更新日:2022.05.01 公開日:2022.05.24

記事のポイントを先取り!
- 祭祀財産とは祖先を祀るときに使うもの
- 祭祀財産には3つの種類がある
- 相続税の節税ができる
- 遺体・遺骨は場合によって扱いが違う
祭祀財産は相続できる財産ですが、相続財産との違いについてご存知でしょうか。
祭祀財産はどういうものなのかを知っておきましょう。
そこでこの記事では、祭祀財産と相続財産との違いについて詳しく説明していきます。
この機会に祭祀財産で節税する方法を覚えておきましょう。
遺体・遺骨は再死罪残に含まれるのかについても触れているので、ぜひ最後までご覧ください。
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祭祀財産とは
祭祀財産とは、祖先を祀るために使う財産のことです。
相続財産とは別のものと区別されています。
祭祀財産は、遺産を相続することになった時に特定の人に引き継がれます。
相続財産には、相続人全てが財産をもらえるように分割ができますが、祭祀財産は相続財産と違って、基本的に1人にしか引き継がれません。
祭祀財産の種類
民法では、系譜、祭具、墳墓が祭祀財産になります。
それぞれ何が該当するのかについて説明します。
系譜
系譜とは、先祖からつづく血縁関係が書かれた図、絵、記録のことです。
家系図、家系譜がこれにあたります。
祭具
祭具は、祭祀や礼拝時に使う道具のことです。
神棚や仏壇、家の庭にある祠、盆提灯は祭具にあたります。
神棚や仏壇があっても、仏間自体は建物の一部に当たるので、祭具にはなりません。
墳墓
墳墓は、故人の遺体や遺骨を葬っている土地や物のことです。
墓地、霊屋、墓石などが墳墓にあたります。
土地の場合は、利用権が含まれることもあります。
墓地は、「墳墓と社会通念上一体のものと捉えられる程度に切っても切れない関係にある範囲の墳墓の敷地である墓地」と広さがある程度決められています。
そのため、墓地として使うには広すぎるような土地は墳墓として認められません。
祭祀財産と相続遺産の違い

祭祀財産と相続財産には、さまざまな違いがあります。
祭祀財産は祭祀承継者が承継する
祭祀財産は、祭祀承継者が承継することになります。
祭祀承継者とは?
祭祀財産を承継し、お墓や遺骨を管理する人の事を、祭祀承継者といいます。
祭祀財産は分割して承継することはできません。
祭祀財産を分割すると、儀式や法事の際に、相続人が祭祀財産を持ってこないといけなくなります。
相続人が複数だと、祭祀財産を持つ相続人がそろわないと、祭祀財産を使った儀式や法事が難しくなります。
そうならないためにも、民法では祭祀承継者を1人としています。
祭祀承継者の決め方
祭祀承継者の決め方は、そこの地域や家の慣習に従って行います。
被相続人が指定していれば、指定された人が祭祀承継者となります。
被相続人からの指定はかならずしも遺言である必要はなく、口頭で指定することもできます。
被相続人が指定せずに亡くなり、慣習もわからず、利害関係のある人が争っている場合には、家庭裁判所によって祭祀承継者が決められます。
家族からの同意書があれば、相続関係者でなくても祭祀承継者になれる点は、相続財産との大きな違いです。
祭祀財産は相続税がかからない
祭祀財産は相続財産ではないため、相続税がかかりません。
相続財産の場合は、金額によって相続税がかかりますが、祭祀財産では金額が大きくても税金はかかりません。
祭祀財産は相続放棄できない
相続財産であれば、相続したくない場合は相続放棄できます。
しかし祭祀財産は、相続放棄できません。
相続放棄して相続財産をもらわなくても、祭祀財産は承継できます。
祭祀財産と節税対策
税制が改正されてから、相続税の課税対象となって、相続税を払うことになる人が多くなりました。
祭祀財産に相続税がかからない事を利用して、節税できます。
仏具などの祭祀財産を生前購入して、祭祀財産として承継します。
特にお墓は、生前購入しておくと、祭祀財産として承継できます。
お墓の墓石や墓碑だけではなく、墓地の使用料や管理費も祭祀財産に含まれるため、祭祀財産としての承継に向いています。
かかる税金も消費税だけなので、お墓を買うときは祭祀財産を承継するようにするとよいでしょう。
祭祀財産で節税する時の注意

祭祀財産で節税するときは、注意しなければならないことがあります。
これらの注意点に気をつけないと、祭祀財産とみなされず、節税目的で買ったのに結局相続税を払うことになってしまいます。
ローンは生前に完済する
ローンを生前に完済しておかないと、祭祀財産として承継できません。
墓石などを生前に買うために、ローンを組む人もいるでしょう。
ローンが未払いになっていると、未払いの分には相続税がかかり、相続税を払うことになってしまいます。
ローンを組む場合はなるべく早めに組むか、一括払いで買うようにしましょう。
高額すぎる祭祀財産の購入
祭祀目的としてではなく、換金目的の仏具などを購入した場合は、祭祀財産ではなく相続財産となり、相続税がかかります。
祭祀目的で買ったとしても、承継後にすぐ換金できるような物は、換金目的での購入だと税務署が判断する可能性があります。
高価な仏壇などを買って、祭祀財産として大幅に節税しようと思っても、被相続人の経済状況に不釣り合いな金額だと、非課税財産にならないことがあります。
相続財産の金額によって相続税の額は変わりますが、高すぎる祭祀財産を買って、相続税の対象になってしまっては本末転倒です。
場合によっては、高額すぎる祭祀財産を買ってしまったが故に、相続税が高くなってしまうこともあるでしょう。
祭祀財産として承継するためにも、あまりにも高額な祭祀財産を買うのはやめておきましょう。
遺体・遺骨は祭祀財産に含まれる?

遺体・遺骨を祀っている土地や施設は祭祀財産に含まれますが、遺体・遺骨自体は祭祀財産に含まれるのでしょうか?
遺体・遺骨の扱いは、墳墓に納骨する前と後で変わってきます。
墳墓に収められた遺体・遺骨
墳墓に収められた遺体・遺骨は、墳墓と一つになっているものと考えられ、祭祀財産に含まれます。
そのため、祭祀承継者が承継することになります。
祭祀継承者であれば、埋葬された遺骨を引き取って埋葬しなおすこともできます。
墳墓に収められる前の遺体・遺骨
墳墓に収められる前の遺体・遺骨が、祭祀財産となるのかや、誰が承継するのかについてはさまざまな説があります。
相続人のものだとする説、喪主になる人のものだとする説、祭祀承継者のものだとする説などがあります。
墳墓に収められる前の遺骨が誰のものになるのかが裁判で争われたことがあります。
その時の判決は、遺骨の所有権は祭祀承継者のものだということになりましたが、あくまでもこの時の事実関係に基づいての判断だという事になっています。
一般的には、墳墓に収められる前の遺体・遺骨がどういった扱いになるのかは、明確に決まっているわけではありません。
祭祀財産についてのまとめ

ここまで祭祀財産とはなにかや、相続財産との違いなどを中心にお伝えしてきました。
この記事のポイントをおさらいすると以下の通りです。
- 祭祀財産と相続財産は分けて考えられる
- 祭祀財産は祭祀承継者が承継する
- 祭祀財産で相続税を節税できる
- 遺体・遺骨は状態によって扱い方が変わってくる
これらの情報が少しでも皆様のお役に立てば幸いです。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。
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監修者

田中 大敬(たなか ひろたか)
厚生労働省認定 葬祭ディレクター技能審査制度 一級 葬祭ディレクター
経歴
業界経歴15年以上。葬儀の現場で数々のお葬式を担当し、身寄りのない方の弔いから著名人や大規模な葬儀までを経験。お葬式を終えた方々のお困りごとに数多く寄り添いサポートを行う。終活のこと全般に知見を持ち、特に士業や介護施設関係の領域に明るい。