相続
遺産相続の手続きは、死後何日目から始める?期限のある手続きも解説
更新日:2022.04.18
遺産相続とは被相続人の財産を引き継ぐことですが、期限があることをご存知でしょうか。
遺産相続の手続きの内容や期限について知っておきましょう。
そこでこの記事では、遺産相続の手続きについて解説していきます。
この機会に、遺産相続の手続きの期限や期限の開始日を覚えておきましょう。
後半には相続開始日と相続を知った日の違いについても触れているので、ぜひ最後までご覧ください。
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- 遺産相続とは
- 遺産相続手続きの期限は「相続開始日」が基準
- 相続開始日は被相続人の死後何日から?
- 相続開始日が遺産手続きの期限の起算日になる
- 期限内に手続きが終わらない場合のデメリット
- 相続開始日と相続があったことを知った日の違い
- 遺産相続の手続きは死後何日目から始めるかのまとめ
遺産相続とは
遺産相続とは、家族が亡くなった際に配偶者や子供などの故人(被相続人)と血縁関係のある方(相続人)に、財産を引き継ぐことです。
遺産相続で引き継がれる相続財産は、預貯金や株券などのプラスの財産だけではなく、借金や住宅ローンなどのマイナスの財産も含まれます。
他にも、住宅や車、権利なども相続財産です。
遺産相続手続きの期限は「相続開始日」が基準
遺産相続を行う際にはいくつかの手続きが必要になり、この手続きには期限があります。
遺産相続手続きの相続開始日は、被相続人が亡くなった日が基準です。
遺産相続手続きの期限に関しての情報では、相続開始を知った日の翌日を開始日とすることも多いでしょう。
相続開始を知った日というのは、被相続人の死を知った日とほとんど同義であり、数日程度遅れて知った場合などでは被相続人の命日が相続開始日となります。
相続開始日は被相続人の死後何日から?
相続開始日の多くは被相続人が亡くなった日で、具体的には死亡診断書や死体検案書に書かれた死亡日を相続開始日としています。
病院や施設で亡くなり死亡日が明確な場合は、相続開始日も分かりやすいでしょう。
しかし、災害などで死亡日が不明な場合や失踪などの場合には、相続開始日がいつになるのかわからない場合もあります。
ここでは自然死亡、擬制死亡、認定死亡のそれぞれの場合の相続開始日について説明していきます。
自然死亡の場合
自然死亡とは、病気や外傷、老衰による医学的な死亡のことで、自然死亡の場合の相続開始日は、医師が死亡診断書に書いた日時となります。
死亡診断書に書かれた死亡日時は、死亡届を提出した際に戸籍にも記載されるものです。
つまり、自然死亡の場合の相続開始日は、戸籍に記載されている死亡日時ということにもなります。
擬制死亡の場合
擬制死亡とは、失踪宣告を受けて死亡擬制された法的な死亡のことをいい、失踪した被相続人は戸籍から除籍されます。
失踪宣告は以下の場合に発生します。
- 被相続人の生死が7年以上分からない
- 被相続人が、戦争や災害などの危機に関わっており、1年以上生死が不明な場合
このような場合では、該当者の死亡を法律的に認めます。
また、上記のうち前者を普通失踪、後者を特別失踪として相続開始日が異なります。
普通失踪
普通失踪の場合の相続開始日は、行方不明になった日から7年後(失踪期間満了期)です。
つまり、失踪してから7年間は被相続人が生きていたという扱いになります。
たとえば、被相続人が2000年の4月1日に失踪しており現在も見つかっていなかったとします。
この場合、2000年から7年後となる2007年の4月1日が失踪期間の満了期であり、相続開始日となるのです。
特別失踪
特別失踪の場合の相続開始日は、死亡の原因となった危機が去った日になるので、危機が去ったときにはすでに亡くなっているという考え方です。
特別失踪では危機が去った日を相続開始日とするため、公的に安全性を認められた日を調べる必要があるでしょう。
危機が去った日の認識は内容によって異なります。
沈没や墜落などではその当日、戦争では終戦時、天災の場合はそれ以上の災害が起きないと判断された日です。
また、特別失踪は家庭裁判所の判断によって定められます。
失踪宣言後に生きていることが分かった場合でも、特別失踪の認定を取り消すには再度家庭裁判所の審判を受けなくてはならないので注意してください。
認定死の場合
認定死とは、事故や災害などで亡くなった可能性が高いものの遺体が見つからない場合に、取り調べをした官公署が死亡認定をして戸籍上に死亡の記載をすることです。
この、戸籍に書かれた日が相続開始日となり、行方不明の期間に決まりはありません。
擬制死亡と似ていますが、事実上死亡と認定されるにとどまるため、失踪宣言とは異なります。
そのため、被相続人が生きていると分かった場合でも、生きていたことを証明するだけで認定死を取り消すことが可能です。
相続開始日が遺産手続きの期限の起算日になる
遺産相続の手続きには、期限がある相続手続きと、期限のない相続手続きがあり、この際の期限は「相続開始日(被相続人が亡くなった日)」が起算日になります。
ここでは、遺産手続きの期限の有無と期限日について詳しく説明していきます。
期限を過ぎてしまうと後述するデメリットが生じますので、ここでの内容はしっかり覚えておきましょう。
期限のある遺産手続き
期限のある遺産手続きは全部で7つあり、期限の最短は3ヶ月になります。
期限の短いものから説明していきますので、上から順番に手続きを行っていくと良いでしょう。
相続放棄(3ヵ月以内)
遺産相続は、プラスの財産だけではなくマイナスの財産にも発生します。
相続財産がマイナスになる場合など財産を引き継ぎたくない場合には、すべての相続を放棄することが可能で、これを相続放棄といいます。
相続放棄の手続きの期限は相続開始から3ヶ月以内で、その期限内に家庭裁判所に申し立てる必要があります。
限定承認(3ヵ月以内)
限定承認とは、マイナスの財産がどの程度か不明でプラスの財産も残る可能性がある場合に、相続したプラスの財産の範囲内でマイナスの財産も相続することです。
限定承認の期限も相続放棄と同様で、相続開始から3ヶ月以内で、その期限内に家庭裁判所に申し立てる必要があります。
準確定申告(4ヵ月以内)
準確定申告とは、被相続人が亡くなった年の所得税の確定申告を被相続人の代わりに相続人などが行うことです。
準確定申告の期限は相続開始日から4ヶ月以内ですが、被相続人に確定申告がなければ申告は不要です。
まずは、被相続人に確定申告があるのかどうかを調べましょう。
遺留分侵害額請求(1年以内)
遺留分とは、被相続人の配偶者や子供といった直系卑属と、両親や祖父母といった直系尊属が最低限相続できる権利の割合を決めたものです。
この遺留分が侵害された場合に、侵害した方に対して請求できるのが遺留分侵害額請求となります。
遺留分侵害額請求の期限は、相続開始日または遺留分侵害を知ってから1年以内です。
ただし、遺留分侵害を知らなかった場合でも、相続開始日から10年経つと、遺留分侵害額請求はできなくなります。
死亡一時金の受取請求(2年以内)
死亡一時金は、被相続人が特定条件を満たしていた場合に同一生計だった遺族がうけとれるお金です。
特定条件とは、被相続人が死亡日の前日までに36ヶ月以上保険料を納めていたうえで、老齢基礎年金・障害基礎年金を受け取れずに亡くなった場合になります。
死亡一時金の受取請求は、相続開始日(死亡日)から2年です。
死亡保険金の受取請求(3年以内)
死亡保険金は、被相続人が死亡保険の被保険者である場合に、その保険の受取人が受け取れるお金です。
死亡保険金の受取請求の期限は3年間以内ですが、かんぽ生命の場合は5年以内になります。
還付請求(5年10ヵ月以内)
相続税の還付請求とは、相続税の申告時に過払いだった相続税を返金してもらうことをいいます。
この還付請求の期限は、相続税の申告期限から5年間です。
相続税の申告期限は相続開始日から10ヶ月以内のため、還付請求の期限は相続開始日から5年10ヶ月以内ということになります。
特に期限のない遺産手続き
遺産相続手続きの中には特に期限が決められていない手続きもありますが、基本的には相続開始後から早めに手続きを行うことをおすすめします。
期限がなく忘れがちにもなってしまうものなので、以下の手続きについてもしっかり覚えておきましょう。
遺産分割協議
遺産分割協議とは、相続人全員の合意のもと被相続人の遺産の分け方を決める協議です。
遺産分割協議には、法律上の期限はありません。
ただし、相続税の納付など、遺産分割協議を行ってからでないとできない相続手続きも多いため、相続開始後すぐに行うようにしましょう。
預貯金等の解約・名義変更
預貯金等の解約や名義変更に、法律上の期限はありません。
ただし、10年以上使用されていない口座は休眠口座となり、休眠口座を復活させるためには手続きが必要になります。
被相続人が亡くなった後忘れないうちに、預貯金等の解約や名義変更を行うことをおすすめします。
不動産の相続登記
2022年3月現在、不動産の相続登記に法律上の期限はありません。
しかし、2024年からは相続によって土地や建物を相続し、3年以内に相続登記を行わなかった場合には、10万円以内の過料が科される予定となっています。
法律上の期限がない現在でも相続後の登記手続きは複雑になるため、相続税の申告と同時に行うと良いでしょう。
期限内に手続きが終わらない場合のデメリット
ここでは、期限内に手続きが終わらない場合に生じるデメリットを具体的に解説します。
税金の軽減制度などが利用できない
相続開始日の翌日から10か月以内に遺産相続の申告・納税が出来なかった場合は以下の制度の利用に制限がかかります。
- 配偶者の税額軽減
- 小規模宅地等の特例
- 相続税の物納
被相続人の配偶者であった場合、相続税を軽減できる「配偶者の税額軽減」が利用できます。
また、要件を満たしている土地に関しては「小規模宅地等の特例」の利用が可能です。
いずれも相続税の軽減制度ではありますが、期限を過ぎてからの申告は不可能となっています。
しかし「申告期限後3年以内の分割見込書」の提出により、後から利用することもできるのです。
また、相続税に関して一括での支払いが困難な場合には、分割で支払う「延納」が許可されており、延納での支払いも難しい場合には「物納」が許可されています。
上記に書いた申請はいずれも遺産相続の申告期限までに行わなければならず、期限を過ぎてしまった場合には利用できなくなってしまうものです。
延納や物納を希望する場合は特に、申告期限に気を付けましょう。
「延滞税」や「無申告加算税」が課される
相続税を期限までに納税できなかった場合、納付期限の翌日から完納するまでの期間の延滞税を支払わなければならなくなります。
延滞税の利率はその年によって異なり、納付期限の翌日から2か月ごとに変わります。
期限までに申告できなかった場合には「無申告加算税」を支払わなければなりません。
無申告加算税は納付する相続税によって金額が異なり、50万円までは15%、50万円以上は20%加算されます。
新たな相続が発生する可能性がある
相続手続きが完了していないうちに、新たな相続が発生することを「相次相続」といいます。
相次相続が発生すると手続きが複雑になるため、相続手続きは期限内に終わらせましょう。
相続開始日と相続があったことを知った日の違い
基本的には、相続開始日(亡くなった日)と相続があったことを知った日(亡くなったことを知った日)は同日になりますが、これらが異なるケースもあります。
ここでは、どのような場合に相続開始日が異なるのかについて説明していきます。
相続開始日は相続手続きの期限において重要な役割がありますので、覚えておきましょう。
亡くなったことを知らない場合
相続人に、離婚して疎遠になった子供、あるいは甥や姪が含まれている場合などでは、被相続人が亡くなってすぐに被相続人が亡くなった事実を知らされないことがあります。
その場合の相続開始日は、亡くなった日ではなく、相続があったことを知った日です。
たとえば、被相続人が2020年12月1日に亡くなり、同居している息子は被相続人が亡くなったことをその日に知り、疎遠になった娘は2021年10月1日に知ったとします。
この場合、それぞれの相続開始日は、息子が2020年12月1日、娘が2021年10月1日となるのです。
亡くなった日を知らなかったというのはやむを得ない事情ですので、相続人同士で不公平が出ないよう、相続開始日も異なります。
亡くなって一定期間後に相続権を得た場合
被相続人が亡くなった際(相続開始日)には相続権がなかったけれど、一定期間後に相続権を得た場合には、相続人になったことを知った日が相続開始日になります。
たとえば以下のような状況が該当します。
- 相続人の相続放棄によって相続権が移ってきた場合
- 相続開始時には胎児だった子供が生まれた場合
上記のような場合もやむを得ない出来事ですので、相続人同士で不公平が出ないよう、相続権を得たことを知った日が相続開始日になります。
遺産相続の手続きは死後何日目から始めるかのまとめ
ここまで相続手続きについての情報や、相続手続きの期限を中心にお伝えしてきました。
まとめると以下の通りです。
- 遺産相続とは被相続人の財産を引き継ぐこと
- 相続手続きの開始日は多くの場合が被相続人の命日
- 相続手続きには期限があるものとないものがある
- 相続開始日が亡くなった日ではないこともある
これらの情報が少しでも皆様のお役に立てば幸いです。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。
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監修者
鎌田 真紀子(かまた まきこ)
国家資格 キャリアコンサルタント ・CSスペシャリスト(協会認定)
経歴
終活関連の業界経歴12年以上。20年以上の大手生命保険会社のコンタクトセンターのマネジメントにおいて、コンタクトセンターに寄せられるお客様の声に寄り添い、様々なサポートを行う。自身の喪主経験、お墓探しの体験をはじめ、終活のこと全般に知見を持ち、お客様のお困りごとの解決をサポートするなど、活躍の場を広げる。