相続
よくある遺産争いの内容は?予防方法や解決法についても紹介
更新日:2025.04.21 公開日:2022.05.04

記事のポイントを先取り!
- ・遺産争いは相続財産5000万円以下が多数
- ・原因は遺言の内容や家族の口出し
- ・争いを防ぐには生前の準備が大切
よくある遺産争いはどのような内容なのかご存じですか。
遺産争いの内容やその予防方法について知っておきましょう。
そこでこの記事では、遺産争いの内容について詳しく説明していきます。
この機会によくある遺産争いの内容や、その予防方法・解決法を覚えておきましょう。
争いを回避するために弁護士に相談する場合についても触れていますので、ぜひ最後までご覧ください。
都道府県一覧から葬儀社を探す
こちらでご希望のエリアから葬儀社を検索できます。

こちらでご希望のエリアから葬儀社を検索できます。
なぜ遺産争いになるのか?
遺産争いが起こる大きな原因として、金銭的な問題があります。
遺産争いになる割合についても詳しく説明していきます。
金銭的な問題なため
遺産争いになるきっかけとしては、やはり金銭的な問題があげられます。
被相続人が亡くなっているため、遺産について確認できなかったり、遺産の分割が難しいなどの理由でトラブルに発展してしまうようです。
遺産争いになる割合
相続トラブルや遺産争いと聞くと、お金持ちの家庭に起こるようなイメージがありますが、実際には相続財産総額5000万円以下で多発しているようです。
2015年の最高裁判所の調査結果では、
- 遺産分割調停事件の32%→相続財産1000万円以下
- 遺産分割調停事件の43%→相続財産5000万円以下から1000万円未満
合計すると、相続財産が5000万円以下の案件が全体の約75%を占めています。
遺産争いとなる原因
遺産争いとなる原因はどのようなものがあるのでしょうか。
問題となる内容をご説明します。
遺言書に対する問題
遺言書がない、または紛失し、誰が何を相続するのか相続人同士で話し合って決めることになり、ちょっとしたすれ違いからトラブルに発展してしまうことがあります。
また、遺言書があったとしても、書かれている内容があまりにも公平さに欠ける場合にはトラブルに発展することがあります。
介護に関する問題
被相続人の財産の維持や増加に貢献した場合に、他の相続人よりも相続財産を多く分けてもらえる、寄与分という制度があります。
例えば被相続人の介護をしていた方は寄与分として、他の相続人よりも多くの財産を引き継ぎたいと考えます。しかし、介護をしていない相続人は親の介護は当たり前と考えるのはおかしいなど、双方の認識のズレによりトラブルになることがあります。
遺産分割に関する問題
現預金は平等に分けられますが、不動産や有価証券などは平等に分割することが難しくなります。
特に相続財産の大半が不動産だった場合は、分け方についてトラブルとなる可能性が高くなります。
例えば、実家に思い入れがあるため売りたくないという相続人と、不動産を売却してきっちり分割したいという相続人との間で意見が分かれ、分割協議しても合意に至らず、遺産争いに発展することも珍しいことではありません。
また、不動産を平等に分割することになったとしても、不動産の価値を、相続税の評価額で決めるのか、実勢価格で決めるのかで意見が食い違ってしまうこともあります。
生前贈与に関する問題
特定の相続人が故人から生前贈与を受けていた場合、生前贈与を受けていない相続人は、相続発生時点で、生前に贈与を受けている分を加味して財産相続をしたいと考えます。
一方で生前贈与を受けた相続人は、生前贈与にはそれなりの理由があり、相続とは関係ないと主張した場合、双方の意見が異なり遺産争いに発展することが考えられます。
各家族に関する問題
もともと仲の良い兄弟であっても、それぞれが家庭をもち、相続人の妻や夫などが口を出すことでトラブルに発展してしまうことは、遺産争いによくある原因の一つです。
相続人同士は相続の内容にある程度納得しているにもかかわらず、相続人の家族から、もらえる権利があるものはきちんと主張するべきだと意見が出ることで、話し合いがこじれ、争いに発展してしまうようなケースです。
内縁関係の問題
内縁関係というのは、生活を共にしているなど事実上では婚姻関係にあるものの、婚姻届けをだしていないため、法律上では配偶者として認められていない関係のことをいいます。
内縁の配偶者は、被相続人の資産形成に貢献していたとしても相続権はありません。
内縁の配偶者が亡くなってしまうと、故人の財産は法定相続人のものになってしまい、その後の生活に困ってしまうことから、トラブルになるケースもあります。
遺産を管理人に関する問題
被相続人の口座を管理していた、または一緒に住んでいた相続人がいた場合、被相続人の預金口座の履歴の中に使途不明金があると、他の相続人は預金を勝手に使っていたのではないか?などと疑念を持たれ、トラブルに発展する可能性があります。
借金に関する問題
引き継がれる財産には、不動産や現預金などのプラスの財産だけでなく、借金などのマイナスの財産も含まれます。
相続財産に借金が見つかると相続人達は大変戸惑います。
しかし、借金があるなら相続放棄すればいいと考える方もいますが、相続放棄すると、他の人に借金を相続する権利が移ってしまうので、トラブルに発展することがあるため注意が必要です。
遺産争いを防ぐには

遺産争いを防ぐためにはどのような対策方法があるのかご紹介します。
財産目録を作成する
遺産争いの多くは、どのような遺産があるのかが不透明なために発生します。
遺産の内容が明確でないと、遺産を隠しているかもしれない、隠された預貯金や現金があるのでは?などと、相続人の間で疑心暗鬼となりトラブルに発展することがあるのです。
そのようなトラブルを未然に防ぐためにも、生前にどのような遺産を持っているのか整理して、財産目録を作成しましょう。財産目録は遺言書に添付しても問題ありません。
遺言書を準備する
遺言書には法的な効力があります。
遺言書を準備しておくことは、遺産争いの防止策として非常に有効です。
遺言書を作成しておくと、法律が決めた相続方法が優先となるので、相続人たちが遺産相続の方法を話し合って決める必要がなくなります。
そのため、遺産分割の内容に納得できずに、遺産争いを繰り広げる必要はなくなります。
また、法定相続どおりに相続してほしいと考えている場合であっても、その旨を明示した遺言書を残しておくと、残された相続人の無駄な遺産争いを防止することにもつながります。
生前に相続準備する
自分の死後に大切な遺族同士が、遺産をめぐり争うことになるのは非常に辛い事です。
生前に、生前贈与や分割などを進め、スムーズな相続に備えて準備を進めておくことで、争いを未然に防げます。
家族・民事信託を利用する
争いを防ぐ方法として、家族信託も有効です。
これは、信頼できる家族に財産を託して管理・処分をしてもらうことをいい、死後だけでなく、生前の財産管理も委託できます。
例を挙げると、賃貸物件を所有している場合、自分の死後に賃料は妻が受け取るとして管理を孫に委託する。そして妻が死亡したら、孫が不動産を受け取るように設定しておけば、自分の死後に、妻から孫の順に不動産を相続できます。
他に子供などの相続人がいた場合でも、家族信託を利用することによって、自由に財産を処分できますし、遺産争いを防ぐこともできます。
遺産争いとなった場合の解決方法
遺産争いになってしまった場合の解決方法について詳しく説明していきます。
遺産分割調停
相続財産の分け方について相続人間で意見が整わない場合、家庭裁判所の遺産分割調停を利用します。
裁判所を介して相続人同士が話し合うことで、遺産の分け方を話し合います。
これでも解決できない場合には、遺産分割審判という手続きになり、裁判官が遺産相続の方法を決定します。
遺言無効確認調停
相続人の誰かが遺言書の無効を主張している場合には、遺言書が本物かどうかを明らかにしなければいけません。
その場合、家庭裁判所で遺言書無効確認調停をします。
話し合いで解決ができず、調停が不成立となったら、遺言無効確認訴訟という裁判を起こし、遺言書の有効または無効を裁判官に決めてもらいます。
もし、遺言書が無効となった場合には、遺言書がないという前提で、あらためて相続人が話し合って遺産相続の方法を決定します。
遺留分侵害額請求
遺留分の請求について、相手と話し合いをして、合意ができた場合には合意書を作成して約束通りに支払いを受けます。
話し合っても合意できなかった場合には、内容証明郵便を使って遺留分侵害額請求書を送ります。
もし、遺留分侵害額請求の時効が迫っている場合でも、内容証明郵便で請求書を送ると日付が記載されているため、確実に時効を止められます。
話し合いの前に内容証明郵便で通知しておいたほうが良いでしょう。
内容証明郵便で請求しても無視された場合や、話し合っても合意できなかった場合には、家庭裁判所で遺留分侵害額請求調停を申し立て、調停委員会に仲介してもらい相手と話し合いができます。
話し合いで合意ができたら調停が成立し、支払いをしてもらいます。
調停で話し合っても合意に至らなかった場合には、地方裁判所で遺留分侵害額請求訴訟を起こします。
訴訟により遺留分の主張と証明ができれば、裁判所が相手に遺留分侵害額の支払い命令を出してくれます。もし、相手が支払いを拒否した場合には差し押さえも可能です。
遺留分減殺請求
遺留分減殺請求とは、贈与または遺贈を受けた者に対して遺留分を侵害された者が、遺留分侵害の限度で贈与または遺贈された物件の返還を請求することをいいます。
もし遺留分減殺による物件返還請求について当事者間で話し合いがつかない場合、もしくは話し合いができない場合には、遺留分権利者は家庭裁判所の調停手続を利用できます。
その際には、調停の申立てとは別に内容証明郵便により、相手に意思表示する必要があります。
相続開始および減殺すべき贈与または遺贈があったことを知った時から1年、または相続開始から10年を経過したときには、この意思表示が出来なくなるので注意しましょう。
争いを回避するなら弁護士に相談

争いを回避するには、弁護士に相談するという方法がありますが、その際のメリットとデメリットについて知っておきましょう。
弁護士に依頼するメリット
弁護士に依頼するメリットについて詳しく説明していきましょう。
協議がスムーズにまとまる
仲の良くない親族間でお金に関する話し合いをすることは、非常に大きなストレスとなりますし、まともに話し合いが出来ないということもあります。弁護士に依頼することにより、依頼者に代わって弁護士が親族間の交渉をするので、直接話すことなく、遺産分割を終えられます。
親族でない第三者である弁護士が話し合いに加わることで、話し合いが進み、協議がスムーズにまとまることもよくあります。
有利な条件で交渉してくれる
遺産分割を弁護士に依頼した場合、法律的に依頼者が有利となる主張を漏れなく述べるため、依頼者にとって有利な条件での交渉が可能です。
将来的なトラブルの回避
例えば、遺産分割の話し合いがまとまったとしても、その内容を書面で残しておかなければ、後から言った言わないなどで、争いが蒸し返されるおそれもあります。
通常では、遺産分割の話し合いがまとまった際には、遺産分割協議書という書面を作成して、内容を相続人同士で確認します。
しかし、遺産分割協議書を自分で作成し、内容に不備があった場合には、作った遺産分割協議書が意味のないものになってしまうこともあります。遺産分割を弁護士に依頼した場合は、不備のない遺産分割協議書を作成するので、遺産分割後に、相続人の間で再びトラブルになるような事態を未然に防げます。
弁護士に依頼するデメリット
弁護士に依頼することのデメリットとしては、費用が掛かってしまうことが挙げられます。
しかし、トラブルを未然に防ぐには、目には見えない金銭的な利益とも言えるため、費用面を考えながら検討してもよいでしょう。
遺産の争いまとめ
ここまでよくある遺産争いの内容や予防方法や解決策などを中心にお伝えしてきました。
この記事のポイントをおさらいすると以下の通りです。
- 遺産争いは相続財産総額5000万円以下で多発している
- 遺産争いの原因には、遺言書の内容や相続人の家族の口出しなどがある
- 遺産争いを防ぐには、財産目録の作成、遺言書の準備、生前の相続準備、家族信託などがある
- 弁護士の介入により、スムーズに協議がまとまる
これらの情報が少しでも皆様のお役に立てば幸いです。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。
遺産争いについては、以下のサイトも参考にしてください。
参考:相続に強い弁護士の無料相談と遺産相続無料相談センター口コミ|弁護士無料電話相談所
都道府県一覧から葬儀社を探す
こちらでご希望のエリアから葬儀社を検索できます。

こちらでご希望のエリアから葬儀社を検索できます。
監修者

鎌田 真紀子(かまた まきこ)
国家資格 キャリアコンサルタント ・CSスペシャリスト(協会認定)
経歴
終活関連の業界経歴12年以上。20年以上の大手生命保険会社のコンタクトセンターのマネジメントにおいて、コンタクトセンターに寄せられるお客様の声に寄り添い、様々なサポートを行う。自身の喪主経験、お墓探しの体験をはじめ、終活のこと全般に知見を持ち、お客様のお困りごとの解決をサポートするなど、活躍の場を広げる。