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死亡後の手続き

死亡届を提出すると口座凍結される?凍結のタイミングや手続きを解説

更新日:2022.04.30

死亡届

記事のポイントを先取り!

  • 死亡届を出しただけでは口座凍結されない
  • 口座凍結されても預金引き出しはできる
  • 口座凍結しない方が良いケースもある

死亡届の提出による遺産への影響はどの程度ご存知でしょうか。
故人の預貯金などの口座は、どのタイミングで凍結されるかも気になる方はいると思います。

そこでこの記事では、死亡届を提出することで口座凍結されるのかについて解説していきます。

この機会に、故人の口座凍結のタイミングや手続きについて覚えておきましょう。
後半には口座凍結しない方がいいケースについても触れているので、ぜひ最後までご覧ください。

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  1. 死亡届を提出しても口座凍結されない
  2. 口座凍結しても引き出しは可能?
  3. 凍結した口座から預金を引き出す方法
  4. なぜ口座を凍結するのか?
  5. 口座凍結は義務ではない
  6. 口座凍結しない方が良いケース
  7. 口座凍結後の相続手続き
  8. 死亡届を提出すると口座凍結されるまとめ
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死亡届を提出しても口座凍結されない

銀行口座を利用している方が死亡することで、その方が生前に利用していた口座は凍結されます。
ただし、口座凍結が実施されるのは金融機関が契約者の死を知ったときです。

個人情報保護法などの効力により、人が死亡した場合であっても遺族の意思が関与しないまま金融機関に故人の死が伝えられることはありません。
そのため、基本的には口座凍結のための手続きを遺族が行わなければ、故人の口座が凍結されることはないのです。

ただし、遺族の意図しないところで口座が凍結されるケースはあります。

故人の死因が事故や事件であった場合など、故人の名前や住所が報道機関を通して金融機関に伝わった場合は、金融機関の判断で故人の口座が凍結されます。

これらは相続トラブルや第三者の関与などによるトラブルを避けるための処置であり、故人の口座を守るために行われます。
上記は特例であることから、基本的に自動で口座凍結されることはないので、故人の死後は必要に応じて凍結手続きをしてください。

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口座凍結しても引き出しは可能?

故人の死が金融機関に伝わり口座凍結されてしまった場合、基本的に預貯金を引き出すことはできません。
ただし、2019年7月1日に民法が改正され、相続人に限り凍結した口座から預貯金を引き出すことが認められるようになりました。

しかし、遺産分割前の引き出しについては、無用なトラブルを避けるためにも他相続人への確認や引き出し記録などを残しておくことをおすすめします。

凍結した口座から預金を引き出す方法

凍結している口座からでも相続人に限り引き出すことはできますが、その際にはいくつか注意する点もあります。

注意点について以下で説明します。
実際に引き出す際の参考にしてください。

引き出せる金額

口座凍結後、まだ遺産分割も終わっていない段階で引き出す場合は、引き出す相続人の数や預貯金額によって引き出し限度額が決まります。

口座凍結している状態で引き出す場合は、以下の計算で算出した金額まで引き出すことが可能です。

相続開始時の残高÷3×法定相続分

法定相続分については、故人と相続人の関係、相続人の人数によって異なりますので、以下を参考にしてください。

  • 子供または孫…相続財産の2分の1を子供または孫の人数で分割
  • 両親または祖父母…相続財産の3分の1を両親または祖父母の人数で分割
  • 兄弟姉妹または甥姪…相続財産の4分の1を兄弟姉妹または甥姪の人数で分割
  • 配偶者…相続財産の内、上記に配分されていない部分

例えば、引き出す予定の口座の残高が600万円として、法定相続人が配偶者と故人の兄妹の場合におけるそれぞれの相続人が引き出せる金額は以下の通りです。

兄妹…600万円÷3×(1/4÷2)=25万円

配偶者…600万円÷3×1/2=100万円

また、上記の計算の金額がいくらであっても、同じ銀行から引き出せる金額は最大で150万円までとされています。
限度額以上の引き出しを希望する場合は、名義変更などの手続きによって口座凍結状態を解消する必要があるので注意してください。

必要書類

口座凍結されている状態で預貯金を引き出す場合、相続人から銀行側に対して仮払い請求と呼ばれる手続きをしなければなりません。
仮払い請求には、以下のような書類が必要です。

  • 故人の除籍謄本、戸籍謄本か出生から死亡までの全部事項証明書
  • 相続人全員の戸籍謄本または出生から死亡までの全部事項証明書
  • 預貯金を引き出す相続人の印鑑証明書
  • 預貯金を引き出す相続人の本人確認書類

上記はあくまで基本的な部分であり、手続きする銀行によって必要書類が異なる場合もあるので、事前に問い合わせておくことをおすすめします。
必要書類を揃えたうえで、仮払い請求書の項目を記述して提出することで、1〜3週間程度での引き出しが可能です。

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なぜ口座を凍結するのか?

そもそも、なぜ口座凍結する必要があるのか疑問に思う方もいるでしょう。
金融機関は本人との契約であり他人が引き出すことを良しとしない意味もありますが、もっとも大切なことは相続トラブルの防止です。

故人の口座は持ち主がいなくなったことにより、口座から簡単にお金を引き出せます。
この場合、生活をともにしていた遺族などであれば、自由に引き出せるでしょう。

しかし、故人の預貯金というのは相続に関わるものであり、仮に遺族であっても相続を無視した使用は禁じられています。
故人の預貯金を自由に使用することで相続人同士のトラブルや、相続の手続きに関するトラブルなどが生じるのです。

予想外のトラブルを避けるためにも、故人の死を知った際には早急に口座凍結するようにしましょう。

口座凍結は義務ではない

口座凍結することで相続トラブルを防げますが、口座凍結に関しての義務はありません。
相続人同士で問題を感じていないのであれば、無理に口座凍結の手続きをしなくても良いでしょう。

ただし、口座凍結しなかったことによるトラブルなどが生じた場合でも、そのトラブルに対する補完が行われることもなく、その後の手続きが面倒になる場合もあります。
意図的に口座凍結しないと判断する際は、相続人の間でしっかりと話しあうようにしてください。

また、銀行側が故人の死を知った際には相続人の意思に関係なく口座凍結されます
この場合の口座凍結を避けることはできないため、故人の口座からの引き出しが必要な場合は速やかに相続手続きを進めましょう。

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口座凍結しない方が良いケース

口座凍結はトラブルを避ける利点もありますが、預貯金や故人の遺産などの状況によっては口座凍結しない方が良いケースもあります。

主なケースについて解説しますので、ぜひ参考にしてください。

相続放棄する場合

遺産相続では、預貯金や不動産などのプラスの財産に限らず、借金やローンなどのマイナスの財産も相続しなければなりません。
相続放棄はすべての財産を諦めるため、プラスの財産もマイナスの財産も相続できませんが、遺産総額がマイナスの場合は相続放棄を検討する方もいるでしょう。

しかし、相続放棄は意思を示す期限があることに加えて、遺産に手を付けていた場合には相続放棄が認められないケースもあるのです。
多くの場合は預貯金を引き出したり遺品を売却したりした場合ですが、口座の凍結や解約が原因で相続放棄が認められない場合もあります。

そのため、相続放棄を検討している相続人がいる場合は、相続放棄が認められるまで口座凍結しない方が良いでしょう。

預金残高が少額の場合

預貯金額について把握できているのであれば、その金額によっては口座凍結しない方がいいケースもあります。
口座凍結するだけであれば手続きも難しくありませんが、その後に解約や名義変更などの手続きをする場合は多少の手間を必要とするでしょう。

そうした手続きの手間や手続きに必要とする費用を考えた際、預貯金額がそれらに見合わないと判断した場合は、口座凍結しないことをおすすめします。

また現在では、10年以上取り引きをしていない預貯金を表す休眠預金を民間公益活動で利用する、休眠預金等活用法と呼ばれる制度があります。
これにより最後の取り引きから10年間取り引きがなかった預貯金に関して、社会のために利用されます。

解約などの手続きも面倒という方は、その口座に関しては放置することも検討すると良いでしょう。

口座凍結後の相続手続き

遺産分割を終え、故人の預貯金の相続手続きをする際、凍結された口座を凍結解除しなければなりません。
この口座凍結解除では、遺言書のある場合とない場合で必要書類や手続きが異なるため、以下で解説する内容を参考にしてください。

遺言書がある場合

遺言書がある場合は、遺言書が本物であり検認も終えてることを証明する必要があります。
また、自分が相続人であることや相続内容についても証明する必要があるなど、多くの証明書類が必要です。

遺言書がある場合に必要な書類は以下の通りです。

  • 故人の死亡が確認できる戸籍謄本
  • 遺言書
  • 相続人の印鑑証明書
  • 相続人の実印
  • 手続きする口座の通帳
  • キャッシュカード

上記はあくまで一部であり、状況によっては検認済証明書や印鑑届、遺言執行者の選任審判書謄本なども必要になります。
銀行によって必要書類が多少異なることもあるので、必要であれば事前に確認するようにしてください。

遺言書がない場合

遺言書がない場合は、遺産分割協議をするかどうかで必要書類などが多少異なります。
遺産分割協議とは、遺産の相続配分などを相続人全員で協議して決めるもので、遺産分割協議書を作るのが一般的です。
協議書がある時は、手続きの際に持参するようにしてください。
必要な書類は以下の通りです。

  • 故人の除籍謄本、出生から死亡まで書かれた戸籍謄本
  • 相続人全員の戸籍謄本
  • 相続人全員の印鑑証明書
  • 相続人の実印
  • 手続きする口座の通帳
  • キャッシュカード
  • (遺産分割協議をした場合)遺産分割協議

上記以外にも全部事項証明書や印鑑届などが必要となる場合もあります。
また、銀行によって必要書類が多少異なることもあるため、事前に確認しておくことをおすすめします。

https://www.eranda.jp/column/26724
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死亡届を提出すると口座凍結されるまとめ

ここまで死亡後の口座凍結についての情報や、手続きについて解説してきました。
まとめると以下の通りです。

  • 故人の死が銀行に伝わることで口座凍結される
  • 口座凍結後も条件内でのみ引き出し可能
  • 口座凍結により相続トラブルを防止できる
  • 相続放棄などを検討する場合は口座凍結しない方が良い

これらの情報が少しでも皆様のお役に立てば幸いです。

最後までご覧いただき、ありがとうございました。

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監修者

評価員(たなか)

田中 大敬(たなか ひろたか)

厚生労働省認定 葬祭ディレクター技能審査制度 一級 葬祭ディレクター

経歴

業界経歴15年以上。葬儀の現場で数々のお葬式を担当し、身寄りのない方の弔いから著名人や大規模な葬儀までを経験。お葬式を終えた方々のお困りごとに数多く寄り添いサポートを行う。終活のこと全般に知見を持ち、特に士業や介護施設関係の領域に明るい。

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