法事法要
仏壇の相続に必要なことは?相続税や遺産分割についても説明
更新日:2022.05.10
両親が信心深く先祖を供養してきた証ともいえる仏壇の存在ですが、いざ相続を行うにあたって、どのように扱えばいいかがわからないことも多いでしょう。
そこでこの記事では、仏壇の相続について詳しく解説します。
特に高齢の両親がいたり、両親が終活を検討している方は参考にしてください。
仏壇の相続放棄やお墓の継承についても触れているので、ぜひ最後までご覧ください。
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仏壇はどのように相続する?
まず、仏壇をどのように相続すればいいか、その流れと方法を解説します。
仏壇は、法律上(民法)の相続において「祭祀財産(さいしざいさん)」となりますが、その詳細についてこの機会に覚えておいてください。
仏壇の相続は指名制
相続に含まれる財産には、お墓や仏壇などの「祭祀財産」は含まれません。
祭祀財産とは、先祖や両親などの故人を宗教的に供養するときに用いられる財産の事をさし、特別な扱いがなされます。
例えば、民法上の相続では配偶者の次は子どもの順で定められています。
しかし、祭祀財産についてはこの順番によらず、実際にお墓や仏壇を管理している人に対してその相続を行わせることができる決まりになっています。
よくあるのが、故人の財産は東京に住んでいる長男が引き継いだものの、故郷にあるお墓の権利は、実際にその管理や供養をしている叔父が引き継ぐ、というケースです。
法律上では上記のようなことも可能となっています。
相続は誰がするの?
相続の基本的な考え方は、故人から数えて濃い血縁の順に相続者が定められます。
そのうち、配偶者と子どもは特に優先権が与えられています。
例えば両親と子ども2名の家庭があり、夫が亡くなった際の相続順は、妻が1番目で、子どもが2番目となります。
相続財産全体を100とすると、半分の50%を妻に、残りの50%を子どもたち2人で分けるので、子どもたち1人当たり25%の相続になります。
ただし、相続では法律で有効な遺書などにより、 遺族の意思が残されていれば、法律で定められた配分方法によらずとも、故人の生前の意思にもとづく相続が可能です。
相続は複数人でも可能
ちなみに、相続は1人だけで行わずとも、複数名で行うこともできます。
先ほどの「配偶者・子ども2人」が土地を相続する場合、話し合いの結果、妻に土地のすべてを譲ることも可能ですし、均等に権利を分けて3人で土地を共有することも可能です。
ただし、土地や建物に関しては、後世になり「実際に住んでいない人間が所有」していることで、住んでいる人間が権利を盾に追い出されるトラブルも出ています。
そのため、その時の状況で決めるのではなく、将来的に土地や建物をどうするかを決め、それを踏まえて相続人を決定することをお勧めします。
仏壇やお墓の場合、複数名で所有するというよりは、一緒に使ったり管理をする、という考え方です。
公的機関が仏壇の所有者を証明することはできないので、将来的にトラブルにならないためには、関係者同士で誓約書などをかわしておく必要があります。
仏壇の相続に相続税は必要?
相続につきものなのは相続税です。
相続税は、故人が持っている土地や建物の価値に加えて、実際に所持していた金品などを計算し、その合計額によって一定の税率で相続税が課せられます。
なお、お墓や仏壇などの祭祀財産は、税法で相続税が免除されることになっているので、誰が受け継いでも金銭的な負担はありません。
ただし、その仏壇に骨とう品レベルの価値がある場合、それが財産とみなされてしまうことになれば相続税は免除されません。
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仏壇は遺産分割でどうなる?
それでは、遺産分割にかかる仏壇の取り扱いについて、この章で詳しく解説します。
仏壇は遺産分割の対象外
仏壇は、祭祀財産となるため、民法上の遺産とはみなされません。
そのため、遺産分割の対象外になります。
ここでいう遺産分割とは、相続税の対象となるものすべてを計算して判明した遺産総額を、相続を受ける権利のある者同士が相談し、分割して受け継ぐ事をさします。
相続したら遺産分割を考慮してもらえる?
遺産相続において仏壇やお墓などを所有し、法事等の供養を実際に行う人間が「そこまでのことをするのだから遺産分割で多めにもらいたい」などと主張することがあります。
よくある話では、3人兄弟が相続対象者になっているが、お墓や仏壇、両親名義の実家は実際に同居していた三男が配当を多めに要求するパターンです。
この場合、家を離れて故人の介護等を一切してこなかった長男や次男にも、民法の決まりで言えば遺産分割に参加する権利があるのです。
これからの供養や家の管理は地元に残っている三男が続けていくわけなので、三男が先ほどのような要求をするのも十分理解できます。
しかし残念ながら、三男の言い分も正しく、長男や次男の言い分も正しい、これが現在の法律です。
相続とは、基本的には関係する者同士の話し合いで相続を決めるものとなります。
話し合いで解決しない場合には法律に基づく配分を行うか、あるいはみんなが納得するまで話し合いを続けるかのいずれかになります。
相続放棄しても仏壇は引き取れる?
相続は、金品や不動産だけでなく借金も含めて考えます。
例えば、現金1千万円に目がくらんで相続をしたのはいいものの、後になって1億円の借金が見つかった場合はその借金の支払い義務も相続者に課せられます。
そのため、相続人には「相続放棄」と言って、相続する権利を放棄することができるようになっています。
相続放棄はあくまで金品や不動産に対する権利を放棄するため、祭祀財産を含むものではありません。
つまり相続放棄をしても、お墓や仏壇をそのまま所有しておくことは、法律上なんの問題もありません。
仏壇の相続放棄はできる?
今まで、相続に関するさまざまな事例と法律の解釈をご紹介しました。
では、「仏壇の相続」を拒否することができるのかどうか、掘り下げて考えてみましょう。
仏壇の相続は拒否できない
法律上、相続放棄をしてもそれには祭祀財産は含まれません。
残念ながら被相続人の指定を受けたり、家庭裁判所の選択などで祭祀承継者に選ばれると、それを拒否することはできません。
祭祀承継者には、相続放棄のようにそれを拒否する制度が存在しないのです。
仏壇の処分手順
相続の話し合いがこじれた結果、結局祭祀を承継する身になったものの、仏壇を処分し位牌だけを自宅に持ち帰って行う供養を考える方も多いようです。
では、実際に仏壇を処分する方法について、詳しく解説します。
閉眼供養をする
仏壇には故人や先祖の魂がこもっていると言われており、簡単に自分たちで壊して燃えるごみとして自治体の回収に出す、というのは抵抗があるかもしれません。
一般的に推奨されているのは、「閉眼供養(へいげんくよう)」を行うことです。
閉眼供養とは、僧侶等に依頼して読経などによる供養をしてもらい、仏壇におられる故人やご先祖を供養してから処分をすることです。
また、購入した仏具店などに相談すると「供養祭」を開催している場合がます。
その際には仏具店が主催する合同の供養祭において、仏壇をお焚き上げしてもらい供養する方法も用いられます。
処分を依頼する
では、実際に仏壇の処分を相談できる場所や、処分の方法をご紹介します。
- 仏壇店&仏具店
仏壇店や仏具店では、古い仏壇を引き取るサービスを行っているところもあります。
処分費は有料になりますが、仏壇1つにつき5万円程度で処分してくれます。
- 寺院
仏壇の処分を寺院に相談すると対応してくれる場合もあります。
その際は、処分費だけでなくお布施を渡すことになります。
一般的な相場では、お布施として5万円程度、それから寺院が提携する仏壇店に支払う処分費が加わります。
- 廃品回収業者
廃品回収業者の中には、仏壇を「古い家具」として処分を引き受ける業者もいます。
この時の処分費用は、仏壇の大きさによって異なります。
例えば、大人2人がかりで担げる程度の仏壇であれば2万円程度です。
なお、供養に関しては対応できないので、粗大ごみとして処分するイメージと思ってください。
管理が簡単なミニ仏壇もある
最近では、マンションやアパートなどにも置きやすい「ミニ仏壇」もあります。
これは、食器棚の上など、1段ボックス程度の大きさの小さな仏壇で、仮に処分することになっても分解すれば燃えるごみとして改修してもらえる程度の大きさです。
大きな仏壇を相続しても、置き場がないので困ってしまう…そんな方には、このミニ仏壇をおすすめします。
大きな仏壇を処分して、ご位牌などはミニ仏壇に祀って自宅で供養する、という新しいスタイルを導入することも可能です。
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お墓の継承方法
仏壇ももちろん大事ですが、「お墓」についても、その取扱いや継承については大きな課題となります。
では、実際にお墓の継承について覚えておいて欲しいことをいくつかご紹介します。
継承の手順
継承とは、お墓の権利を引き継ぐ手続きの事をさします。
継承の一般的な手順としては、次のとおりになります。
- 霊園の管理者に問い合わせる
- 所定の書類に添付書類を添えて申請する
- 新しく許可証等が発行される
ただし、お墓によってはさまざまな状況があります。
先祖伝来の土地に建立したお墓もあれば、公営や民営の霊園を購入して建立している場合もあるため、それぞれのケースごとに継承の手続きのポイントを解説します。
先祖伝来の土地の場合
建立されているお墓の土地の所有者がだれになっているかを確認します。
もし、自分ではない別の人間だった場合は、将来的に「土地使用者と土地所有者のトラブル」を避けるため、土地所有者になっておくことをおすすめします。
公営霊園の場合
自治体のルールで、申請により継承を行うことができます。
自治体ごとにルールが異なっていますが、一般的には「先の使用者」と「新しい使用者」が血縁関係にあるかを確認しますので、戸籍謄本等を添付して申請することになります。
民営霊園の場合
民営霊園とは寺院が権利を持っている霊園ですが、その運営を仏具店や石材店などに委託している物をさします。
継承手続きは霊園ごとにルールが異なるので、まず問い合わせてから行動しましょう。
寺院霊園の場合
寺院霊園は、寺院の境内などにあり、直接寺院関係者が運営にあたっている霊園のことです。
継承手続きは霊園ごとにルールが異なるので、まず問い合わせてから行動しましょう。
墓じまいの手順
もし、お墓の管理ができない場合は「墓じまい」という方法もあります。
墓じまいとは、既存のお墓を処分して遺骨は寺院などに預かってもらったり、合祀墓(ごうしぼ)に入れてお墓の管理を終えることをさします。
墓じまいの手順を以下にまとめました。
- 新しい行き先(永代供養、合祀墓)等を契約し、権利を証する書類をもらう
- 既存のお墓がある霊園の管理者に墓じまいを申し出る
- 霊園の管理者に必要書類を提出し、埋蔵証明をもらう
- お墓のある自治体に「改葬許可(=遺骨の移動)」を申請し、許可証をもらう
- 既存のお墓を処分し遺骨を取り出す
- 遺骨を新しい行き先(永代供養、合祀墓)等に移動する
ポイントは、新しい行き先を先に決めることです。
遺骨の移動は自治体の許可が無ければ行えませんが、自治体に申請する際には「遺骨の現在地の証明」と「新しい行き先の証明」が必須です。
そのため、順序としては新しい行き先を契約し、権利を証明する書類をもらうことから始まります。
なお、新しい行き先としては「永代供養」、「合祀墓」とも呼ばれる、他人と一緒に遺骨をまとめて一か所に埋蔵する形式のお墓がおすすめです。
また、近年では遺骨を粉骨し、山や海などにまいて自然に還す、散骨という手段も選ばれているようです。
仏壇の相続まとめ
ここまで仏壇の相続についての情報や、継承の手順を中心にお伝えしてきました。
この記事のポイントをおさらいすると以下の通りです。
- 仏壇は祭祀財産であり、承継者は指名制
- 相続放棄に仏壇は含まず、仏壇の相続は放棄できない
- 仏壇の廃棄を寺院等で行う場合5万円程度のお布施が必要
- お墓の継承では許可証を発行してもらう必要がある
これらの情報が少しでも皆様のお役に立てば幸いです。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。
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監修者
唐沢 淳(からさわ じゅん)
経歴
業界経歴10年以上。大手プロバイダーで終活事業に携わる。葬儀の現場でお葬式を担当し、身寄りのない方の弔いから大人数の葬儀までを経験。お葬式を終えた方々のお困りごとにも数多く寄り添いサポートを行う。終活のこと全般に知見を持ち、ユーザー目線でのサービス構築を目指す。
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