閉じる

死亡後の手続き

死亡退職者にはどんな手続きが必要?会社と遺族の立場別で説明

更新日:2022.05.17

死亡退職

記事のポイントを先取り!

  • 死亡に伴う退職が死亡退職
  • 死亡退職時に失うものの手続きが必要
  • 遺族は保険料などの請求手続きが必要

経営する会社で、死亡退職者などがでた場合の手続きについてご存知でしょうか。
自分の家族が死亡により退職する場合の手続きを知っておくことも大切です。

そこでこの記事では、死亡退職者が出た際の手続きについて解説します。

この機会に、会社と遺族の各々の立場における手続きについて覚えておきましょう。
後半には死亡退職時の年末調整についても触れているので、ぜひ最後までご覧ください。

都道府県一覧から葬儀社を探す

こちらでご希望のエリアから葬儀社を検索できます。

mapImg
searchIconエリアから探す

こちらでご希望のエリアから葬儀社を検索できます。

  1. 死亡退職とは
  2. 死亡退職した際の会社が行う手続き
  3. 必要書類の提出期限と提出先
  4. 死亡退職者が労災対象の場合の手続き
  5. 死亡退職者への支払いに関する手続き
  6. 死亡退職者の遺族が行う手続き
  7. 死亡退職した場合、年末調整はどうする?
  8. 死亡退職の手続きのまとめ
スポンサーリンク

死亡退職とは

死亡退職とは、会社勤めの方などが雇用されている段階で死亡してしまった場合に、退職として扱われることをいいます。

それぞれの退職理由はさまざまですが、不可抗力による退職というものもあり、死亡退職はその不可抗力による退職の内のひとつです。
不慮の死亡は誰にも避けられないものですので、自分の身には絶対起きないということはありません。

万が一に備えて、自分が死亡してしまった場合や自分の会社の従業員が死亡してしまった場合などに行うべき手続きは知っておくことも大切です。
死亡退職はいつでも身近で起こり得ることだと覚えておきましょう。

スポンサーリンク

死亡退職した際の会社が行う手続き

従業員が万が一にも死亡して退職することとなった際、会社側が行うべき手続きにはどのようなものがあるのか、知らない方も少なくないでしょう。
あまり身近で起こることでもありませんが、必ず起きないこととも言い切れないので、死亡退職者が出た際になにをすべきかしっかりと覚えておいてください。

雇用保険被保険者資格喪失届の提出

従業員を雇用している以上、基本的に雇用保険に加入することとなります。
そのため、退職した翌日には雇用保険被保険者資格を喪失します。

喪失したことを証明するために、退職者の雇用保険被保険者資格喪失届をハローワーク窓口まで提出しなければなりません。
提出時は別途添付書類を添え、郵送または窓口から直接提出可能です。

死亡時の退職日は死亡日と同日となるため、死亡日が2月1日であれば2月2日が喪失日となります。

また、雇用保険被保険者資格喪失届は喪失日から10日以内に提出する必要があります。
万が一期限を過ぎてしまった場合、さまざまな罰則を受ける可能性がありますので、十分に注意してください。

健康保険・厚生年金保険被保険者資格喪失届の提出

会社勤めであれば、基本的に社会保険に加入します。
社会保険には、健康保険や厚生年金などの保険がありますが、退職日翌日にはこれらも喪失します

保険の喪失証明のため、年金事務所まで健康保険および厚生年金保険被保険者資格喪失届を提出しなければなりません。
提出時は別途添付書類を添え、郵送または年金事務所窓口に提出してください。

死亡における退職日は死亡日となるため、2月1日に死亡した方は2月2日が保険の喪失日です。

健康保険および厚生年金保険被保険者資格喪失届は、喪失日より5日以内の提出義務があります。
期限を過ぎてしまえば罰則を受ける可能性があるため、十分に注意してください。

特別徴収に係る給与所得者異動届の提出

会社勤めの方は、市民税などの支払いを雇用主が代わりに支払い給与から天引きする、特別徴収の対象者となります。
そのため、退職時には特別徴収を行う者が変更または消失することを証明するため、特別徴収に係る給与所得者異動届を市税事務所に提出しなければなりません。

提出期限は異動があった日となる退職日を基準として、翌月の10日までとなっています。
遅れてしまうと滞納となり、納税者である退職者、この場合ではその遺族などに負担を負わせることなるので、十分注意してください。

健康保険 被保険者埋葬料支給申請書の提出

健康保険被保険者埋葬料支給の制度は、健康保険の被保険者が死亡した際に、その埋葬を行った遺族に埋葬料として5万円まで支給されるものです。
葬儀などに必要な費用を負担する制度ではあるものの、埋葬料の受け取りには申請書類の提出が必要となっています。

埋葬料支給申請書および別途添付書類を併せて、故人が勤めていた会社の協会けんぽまで提出してください。
申請可能期限は、死亡日または葬儀を行った翌日から2年までとなっていますので、期限を過ぎないよう注意しておきましょう。

必要書類の提出期限と提出先

それぞれの提出書類において、提出期限や必要な書類や提出先について知っておくことは大切です。
以下で紹介しますので、ぜひ覚えておきましょう。

雇用保険被保険者資格喪失届の提出期限

従業員が雇用保険を喪失した際には、雇用保険被保険者資格喪失届を提出しなければなりません。
この際、以下の添付書類を添えて喪失日(退職日の翌日)から10日以内に提出してください。

出勤簿
退職辞令発令書類
労働者名簿
賃金台帳
離職理由が証明できる書類

死亡退職の際の離職理由は死亡となるため、死亡の理由などがわかる書類が必要です。

提出先

雇用保険被保険者資格喪失届は、郵送または窓口よりハローワークまで提出してください。

健康保険・厚生年金保険被保険者資格喪失届の提出期限

従業員が社会保険を喪失した際は、健康保険および厚生年金保険被保険者資格喪失届を提出しなければなりません。
この際、従業員の保険証または健康保険被保険者証回収不能・滅失届を添付のうえ、喪失日(退職日の翌日)から5日以内に提出してください。

死亡退職の際は本人不在であることから保険証の回収が困難なケースも多いため、回収困難な場合は健康保険被保険者証回収不能・滅失届を用意しましょう。

提出先

健康保険および厚生年金保険被保険者資格喪失届は、郵送または窓口より年金事務所まで提出してください。

特別徴収に係る給与所得者異動届の提出期限

住民税などの支払いが会社側に一任されている場合、退職などに伴い特別徴収に係る給与所得者異動届を提出しなければなりません。
この際、異動日(退職日)の翌月10日までに提出してください。

郵送での手続きの際は、コピーでも問題ないので2部用意して2部とも送付しましょう。

提出先

特別徴収に係る給与所得者異動届は、郵送または窓口より市税事務所まで提出してください。

健康保険 被保険者埋葬料支給申請書の提出期限

健康保険の被保険者が業務に関係ない場所で死亡した際、その埋葬に要した費用の一部(上限5万円)を支払う義務があります。
この際、会社側から提出する書類はないものの、遺族から要求される事業主の証明書類への署名をするようにしてください。

この際に証明せずとも、別途書類により申請は通るため、遺族の負担を減らすためにも署名するようにしましょう。

提出先

提出書類はないため、提出先などはありません
遺族が行うべき手続きは別項にて紹介しますので、そちらを参考にしてください。

スポンサーリンク

死亡退職者が労災対象の場合の手続き

死亡退職者の死亡要因が業務に関与していた場合、その退職者は労災対象となります。
労災の対象となる死亡退職者に対してどのような対応をするべきか紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

死亡の届出

業務に関与する部分で死亡退職者の死亡が認められた場合、早急に労働者死傷病届を労働基準監督署に提出する必要があります。
この際、死亡時期が通勤時などであれば上記書類の提出は不要ですが、労災対象とはなりますので注意しましょう。

遺族への各種保険給付に関する協力

死亡退職者が労災の対象であった場合、通勤時や業務中などの状況にかかわらず遺族が請求書類を申請します。
この際には事業主の証明も必要となるため、遺族から署名などを求められた際は協力するようにしてください。

協力義務はありませんが、断ったとしても別途書類による申請は可能なので、遺族の負担を減らすためにも積極的に協力しましょう。

死亡退職者への支払いに関する手続き

死亡退職者に対して、会社側はさまざまな支払い義務が生じます。
この際の支払い方法や必要な支払いなど、その他手続きについても簡単に解説します。

給与の支払い

生前給与も含め、死亡退職者の死後にもすでに働いた部分における給与は支払わなくてはなりません
この際、通常通り故人の口座に振り込むことは避けるようにしましょう。

基本的に日本では、故人の死亡が銀行側で確認された時点で口座凍結を行います。
仮に通常通りの口座に振り込んだとしても、給与は振り込まれないまま終わるケースが多いでしょう。

故人ともっとも近しかった遺族(相続人)と相談または確認し、その遺族に対して振込あるいは現金での直接譲渡による支払いをおすすめします。
この際にトラブルを避けるためにも、事前に話し合っておくようにしましょう。

源泉徴収票の交付

遺族は故人に代わって確定申告する義務があります。
これを準確定申告といいますが、準確定申告のほかにも遺産分割や相続税など、故人の給与が関わってくる手続きはさまざまです。

故人の給与の支払いとともに源泉徴収票の作成を急ぎ、可能な限り早い段階で遺族に源泉徴収票を交付してください。
故人の死により遺族はさまざまな負担を抱えていますので、少しでも負担を減らすべく協力するようにしましょう。

弔慰金・退職金などの支払い

弔慰金や退職金は、死亡退職者に対して会社側が支払うお金です。
いずれも会社の規約に則って支払い義務の有無が確定し、すべての会社が支払わなければならないものではありません。

死亡退職金は退職金の代わりとして、遺族の負担軽減のために支払いますが、通常の退職金と同等に考えて良いでしょう。
退職金については、福利厚生が整っている会社であれば多くのケースで規約があると思いますので、規定通りに支払ってください。

弔慰金については故人への哀悼の意も含めたお金であることから、明確に定められていないケースがほとんどです。
そのため、状況に応じて金額を変えても問題はありません。

とはいえ、従業員ごとに金額を変えてしまうのは遺族にとっても従業員にとっても気持ちのいいものではないでしょう。
可能であれば、事前に規約を確定しておき、その規約に則って支払うことをおすすめします。

また、いずれの場合も支払いは相続人に対して支払いましょう。
事前に口座を聞いておいて振り込むか、直接現金を渡してください。

スポンサーリンク

死亡退職者の遺族が行う手続き

家族が死亡退職してしまった場合、故人の被保険状況にもよりますが、保険料の請求手続きなどを行う必要があります。
家族の死亡により精神的に不安定な状態にあるものの、生前に準備していた保険でもありますので、故人のためにも自分のためにも請求申請を忘れないようにしましょう。

埋葬料の請求

家族が死亡退職してしまった場合、社会保険に入っているケースでは埋葬料の請求が可能です。
埋葬料は葬儀などに要した金額の一部(上限5万円)を会社側が負担してくれる制度になります。

この際、申請者と故人の関係によって埋葬料または埋葬費のいずれかの請求となるので注意しましょう。
被保険者により生計を維持されていた場合は埋葬料、維持されていなかった場合は埋葬費の請求が可能です。
埋葬料は5万円の定額、埋葬費は葬儀に要した費用から上限5万円まで支払われます。

必要書類

埋葬料または埋葬費の請求には、故人との関係により必要書類が異なります。

健康保険被保険者埋葬料支給申請書

※記入欄に事業主の証明があるため、事業主から署名等を受け取ってください。

※上記の証明が無い場合、被保険者の死亡または埋葬を証明できる書類が必要です。

・埋葬料請求の場合

生計を維持されていた事実を証明できる書類

※同居していれば住民票等、そうでない場合は仕送りが証明できる領収書等

・埋葬費請求の場合

埋葬(葬儀)に要した費用の領収書または明細書

この際、すでに会社側が健康保険被保険者資格喪失届を提出している必要があります。
事前に確認または催促しておくようにしましょう。

提出先

上記提出書類をすべて同封のうえ、郵送または窓口より健康保険組合または社会保険事務所に提出してください。

提出期限

埋葬料は死亡日翌日より2年、埋葬費は葬儀完了日翌日より2年が提出期限となります。

遺族年金の請求

遺族年金とは、生前の年金支払要件を満たしている故人の遺族の中でも、故人に生計を維持されていた遺族に支払われる年金です。
遺族基礎年金や遺族厚生年金、寡婦年金との関係など、遺族年金にはさまざまな要件や金額変動があるため、詳細は社会保険事務所などに問い合わせてください

必要書類

遺族年金の請求において、状況により必要書類は変わります。

異なる必要書類の中でも、多くのケースで必要となる書類については以下の通りです。

故人の年金手帳
死亡の証明が可能な書類
故人との関係または故人の家族関係を証明できる書類

死亡の証明は死亡診断書など、関係証明には戸籍謄本などが良いでしょう。

提出先

遺族年金の請求について、基本的には年金事務所まで提出してください。
必要書類などの確認も併せて、事前に一度相談すると良いでしょう。

提出期限

死亡日の翌日より5年が提出期限となります。

労災が適用される場合

業務上のトラブルなどにより従業員の死亡が確認された場合、その故人の遺族に相当の給付金が支払われます。
業務の範囲として、実際に業務を行っていた際と会社に通うまでの通勤時などで受け取れる給付金が異なります。

遺族年金も含め、労災に関する遺族への給付はさまざまですので、具体的なものについては別途調べるか詳しい方に相談してみましょう。
今回は、主な例となる葬祭料と遺族補償給付について、必要な書類や提出先などを解説します。

必要書類

埋葬料は業務外で従業員が死亡した場合に支払われるお金と解説しましたが、業務上での死亡の際には葬祭料が代わりに支払われます。
支払われる金額などは故人の給付状況などによって異なりますが、どのような故人であっても手続きに違いはありません。

埋葬料の請求申請には、労働者災害補償保険葬祭料請求書および故人の死亡を証明できる書類(死亡診断書など)を添付して提出してください。

遺族補償年金は、業務上の過失などにより従業員が死亡した際に遺族に支払われる年金であり、遺族年金との関係で金額が増減します。
別途、遺族基礎年金や遺族厚生年金が支払われることとなっている場合は、遺族補償年金から定められた割合で減額されます。

遺族補償年金の請求申請では、遺族補償年金支給請求書に加えて、故人との関係を示す戸籍謄本と死亡証明となる書類を添付して提出してください。

提出先

いずれの書類を提出する際も、故人が勤めていた会社の所轄となる労働基準監督署に提出することとなります。

提出期限

埋葬料は死亡日の翌日を基準に2年遺族補償年金は死亡日の翌日を基準に5年が提出期限です。

死亡退職した場合、年末調整はどうする?

死亡退職者がでた場合、給与などと同時に疑問に思うのは年末調整ではないでしょうか。
年末付近で死亡したならまだしも、年の途中で死亡退職があった場合は、通常通りの年末調整ではとても遅くなってしまいます。

そもそも、年の途中で退職したものに対して年末調整する義務はありませんので、死亡退職者であっても不要だと考える方も少なくないでしょう。
死亡退職者の年末調整について簡単に解説しますので、ぜひ参考にしてください。

年末調整は必要

死亡退職者に対しての年末調整は、原則行わなければなりません。
これは、日本における死亡後の遺族が行う手続きに影響します。

日本において死亡者がでた場合、その遺族によって故人が行わなければならなかった税金の手続きなどを行う義務が発生します。
この際に、所得税などの調整に必要な確定申告や相続財産となる給与を把握したうえでの遺産分割や相続税の納税などの手続きが必要です。

そのため、上記手続きにおいて故人の所得などを正確に知るため、源泉徴収票の交付が必要となります。
会社側は、遺族に対して源泉徴収票を交付する義務があるため、源泉徴収票の交付に必要となる年末調整を行わなければなりません。

年末調整を行うタイミング

上述した通り、遺族が行う手続きの中には確定申告があります。
故人の代わりに遺族が行う準確定申告では源泉徴収票が必須となるうえ、故人の死亡日より4ヶ月以内の提出期限があります。

会社としても従業員の死亡は業務に影響があるものの、遅くとも期限の1ヶ月前となる3ヶ月以内には源泉徴収票の交付を終えましょう。

ただし、遺族の負担を考えるのであれば早急に行う必要があります。
そのため、やむを得ない事由でもない限りは、死亡退職が確定した直後から手をつけ、遅くとも1ヶ月以内には年末調整を終えるようにしてください。

遺族は他にもさまざまな手続きを行う必要がありますので、少しでも早く手続きに取りかかれるよう、協力を惜しまないようにしましょう。

スポンサーリンク

死亡退職の手続きのまとめ

ここまで死亡退職の際の手続きについてや、立場別に行うべき手続きについて解説してきました。
まとめると以下の通りです。

死亡退職に伴う資格喪失手続きを行う
提出期限は短いものが多いので注意する
遺族の手続きに対して会社側も積極的に協力する
死亡退職であっても年末調整は必要

これらの情報が少しでも皆様のお役に立てば幸いです。

最後までご覧いただき、ありがとうございました。

スポンサーリンク

都道府県一覧から葬儀社を探す

こちらでご希望のエリアから葬儀社を検索できます。

mapImg
searchIconエリアから探す

こちらでご希望のエリアから葬儀社を検索できます。

監修者

評価員(からさわ)

唐沢 淳(からさわ じゅん)

経歴

業界経歴10年以上。大手プロバイダーで終活事業に携わる。葬儀の現場でお葬式を担当し、身寄りのない方の弔いから大人数の葬儀までを経験。お葬式を終えた方々のお困りごとにも数多く寄り添いサポートを行う。終活のこと全般に知見を持ち、ユーザー目線でのサービス構築を目指す。

死亡後の手続きの関連記事

コラム一覧へ