死亡後の手続き
死亡退職金の受取人は誰?複数人いる場合の受け取る順位も紹介
更新日:2024.01.24
死亡退職金は遺族にとって心強いものになりますが、受取人の対象についてはご存じでしょうか。
死亡退職金の受取人について知ることで、後々のトラブルを防ぐことにもつながります。
そこでこの記事では、死亡退職金の受取人の対象や受け取る順位について解説します。
この機会に、受取人が複数人いる場合の対応についても知っておきましょう。
後半では、未成年でも死亡退職金は受け取れるのかどうかについても触れているので、最後までぜひご覧ください。
https://www.eranda.jp/sogi/family-funeral/procedure
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- 死亡退職金とは
- 死亡退職金の受取人
- 未成年でも死亡退職金は受け取れる?
- 死亡退職金は遺産分割の対象
- 相続放棄したら死亡退職金は貰えない?
- 受取人は遺言書で指定できる?
- 死亡退職金を受け取るには
- 死亡退職金の受取人まとめ
死亡退職金とは
死亡退職金とは、従業員が何らかの理由で在職中に死亡した場合に、本来受け取るはずだった退職金を死亡後に受け取ることができるしくみのことです。
具体的に言いますと、死亡退職金は死亡後3年以内に支給が確定した退職金になります。
死亡退職金はすべての人がもらえるわけではなく、退職金給付制度を取り入れている企業で働いてた方のみがもらうことができます。
企業によっては死亡退職金とは別に「死亡弔慰金」として一定の金額を支給するといった制度もあります。
また、退職金給付制度を取り入れている企業でも支給方法には違いがあり、主に「退職一時金」と「企業年金」に分かれています。
退職一時金とは、退職する際に一括して退職金を支給する方法です。
一方で退職一時金とは、退職した後に分割して支給されるものになります。
故人の働いていた企業に死亡退職金の制度があるかどうかは、就業規則や社内規定を確認するか、人事部や総務部などの担当部署に問い合わせることをおすすめします。
死亡退職金の受取人
次に死亡退職金の受取人について紹介していきます。
受取人の優先順位についても触れているので以下を参考にしてください。
法定相続人が受取人の対象者
原則として死亡退職金を受け取れるのは、配偶者や子どもなどの法定相続人になります。
法定相続人とは、配偶者・子ども・親・兄弟姉妹などの民法で定められている相続人のことを指します。
受取人の順位
受取人には優先順位が決められております。
配偶者は常に相続人になることができますが、他の相続人に関しては以下の通りになります。
- 第1順位:子ども
- 第2順位:親
- 第3順位:兄弟姉妹
会社の規定によって指定される場合もある
基本的な受取人は法定相続人になりますが、会社によっては退職給与規定が定められ、受取人の明確な指定があるケースも存在します。
退職給与規定により死亡退職金の受取人が指定されている場合には、優先順位に関係なく会社の規定に従うことになるので覚えておきましょう。
例えば、「遺言による受取人の指定が可能」と退職給与規定が定められている場合には、遺言にて指定された方が死亡退職金を受け取ることになります。
このように各会社によって規定はさまざまであるので、退職給与規定をあらかじめ確認しておくことをおすすめします。
未成年でも死亡退職金は受け取れる?
未成年者が相続人であった場合には、死亡退職金の受け取りはできるのか疑問を持った方もいるかと思います。
民法上で未成年者は、制限行為能力者であると考えられております。
つまり、法定代理人の同意を得ずに行った法律行為については、取消すことができるとされています。
ただし、単に権利を得るのみで義務を免れることができる法律行為については、法定代理人の同意は必要ないとされています。
死亡退職金の受け取りは単に利益を受け取るだけで、負担を負うようなものではありません。
そのため、親権者や後見人がいない未成年の方であっても、死亡退職金を問題なく受け取ることができます。
死亡退職金は遺産分割の対象
次に死亡退職金は遺産分割の対象になるのかどうかについて紹介していきます。
以下で詳しく説明していきますので参考にしてください。
死亡退職金は「みなし相続」になる
死亡退職金は故人が亡くなったことによって得られた財産だとみなされるため、相続税がかかります。
これを「みなし相続財産」と呼び、死亡退職金や生命保険などが該当します。
なお、相続財産は以下の2つに分けられます。
- 故人が死亡した時点で所有している本来の相続財産
- 相続税を計算する際に該当するみなし相続財産
本来の相続財産は遺産分割の対象となりますが、みなし相続財産は受取人の固有財産として区別されます。
ただし、税法上ではみなし相続財産も相続財産に含まれるので、相続税がかかることになります。
すべての退職金に相続税がかかるわけではなく課税の対象になるのは、死亡後3年以内に支給が確定した死亡退職金のみになります。
なお、死亡後3年以降に受け取った退職金に関しては、相続税ではなく所得税がかかります。
納税を忘れてしまうと、罰金が課されるケースもありますので、注意するようにしましょう。
指定がある場合は個人の取得となる
会社で定められている退職給与規定の中に、死亡退職金の受取人が明確に決められている場合、死亡退職金は遺族の生活保障を目的としているとされます。
そのため、こういった規定がある場合、死亡退職金は受取人固有の権利とされます。
夫が亡くなられ、妻と子どもが相続人であった場合を例に説明していきます。
会社の規定にて死亡退職金の受取人が配偶者と指定されていれば、すべて妻が受け取ることができます。
中には内縁関係であっても受取人になれるケースもあるので、詳しくは会社の規定を確認することをおすすめします。
死亡退職金が受取人の固有財産とみなされた場合には、遺産分割協議書を行う必要はありません。
なお、受取人として指定されていた方が相続放棄をしていたとしても、死亡退職金を受け取れます。
死亡保険も同じ扱い
死亡保険は契約時に受取人を指定するので、受取人の固有財産として考えられます。
そのため、一般的には死亡保険は相続財産には含まれません。
相続財産に含まれないので、たとえ受取人が相続人であったとしても、遺産分割の対象とはなりません。
ただし、死亡保険金に関しては「みなし相続財産」とされ、相続税の課税対象になるケースもあります。
保険会社の契約内容によっては、所得税や贈与税の課税対象となるケースもあるので、事前に契約内容を確認しておくことをおすすめします。
相続放棄したら死亡退職金は貰えない?
会社に死亡退職規定がないケースや受取人が指定されていない死亡退職金は、遺産分割の対象になります。
こういったケースでは、不動産や預貯金などの他の相続財産と同様に、遺産分割協議書を行って相続する人を決めていきます。
相続人の中で相続放棄をされた方については、死亡退職金を受け取ることはできなくなるので注意が必要です。
一方で、会社で定められている退職給与規定の中に、死亡退職金の受取人が明確に決められているケースでは、死亡退職金は遺族の生活の保障を目的としているとされます。
そのため、こういった規定があるケースでは、死亡退職金は受取人固有の権利とされます。
受取人として指定されていた方が相続放棄をしていたとしても、死亡退職金を受け取ることができます。
また、死亡退職金が受取人の固有財産とみなされた場合には、遺産分割協議書を行う必要はありません。
受取人は遺言書で指定できる?
死亡退職金の受取人を指定したい場合には、遺言書などを活用できるのか疑問に思った方もいるかと思います。
結論から言いますと、死亡退職金の受取人を指定できるのかは会社の規定によります。
会社で退職金の受け取りについて詳しい規定があれば、死亡退職金は受取人の固有財産とされるので、受取人を遺言書などで指定することはできません。
ただし、会社の規定で受取人を指定できるのであれば、遺言書などを使用して受取人を指定することができます。
遺言書で受取人を指定したい場合には、まずは指定できるのかどうか会社の規定を確認するところから始めましょう。
死亡退職金を受け取るには
最後に、死亡退職金を受け取る際のポイントや注意点について紹介していきます。
受け取りの申請方法などについて以下で説明していきます。
死亡退職届と一緒に提出する
死亡退職金を請求する際には、まずは会社に連絡をして死亡退職届をもらいましょう。
死亡退職届に必要事項を記載し、受理されたら死亡退職金を受け取れます。
保険所とやりとりなどが必要であれば、勤務先が代行して行ってくれますのでご安心ください。
この手続きには期限があるので、あらかじめ期限を確認して時間に余裕を持って手続きを進めていくことをおすすめします。
死亡退職届の支払いはいつになる?
死亡退職金の受け取りについては、基本的に会社の就業規定に沿って支払われることになります。
これは労働基準法23条にて定められており、会社側は定められた支払期日までに支払えば良いとされています。
こういった規定がないケースでは、相続人や受給権者から請求があった日から7日以内に支払うことが定められております。
支払い申請をする際の注意点
死亡退職金の受け取りには期限があり、請求してから3年以上経過すると、退職金と同様の扱いになるので注意が必要です。
退職金には所得税がかかるので、死亡退職金の受け取りの期限が過ぎてしまった場合には、所得税がかかってしまいます。
また、会社の規定によって死亡退職金がもらえないケースもあるため、事前に会社の規定を確認することをおすすめします。
死亡退職金の受取人まとめ
ここまで死亡退職金の受取人の対象者などについて解説してきました。
まとめると以下の通りです。
- 未成年者であっても死亡退職金を問題なく受け取れる
- 退職金は請求があった日から7日以内に支払うことが定められている
- 死亡退職金を請求してから3年以上経過すると退職金と同様の扱い
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。
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監修者
山口 隆司(やまぐち たかし)
一般社団法人 日本石材産業協会認定 二級 お墓ディレクター
経歴
業界経歴20年以上。大手葬儀社で葬儀の現場担当者に接し、お葬式を終えた方々のお困りごとに数多く寄り添いサポートを行う。終活のこと全般に知見を持ち、位牌や仏壇をはじめ、霊園・納骨堂の提案や、お墓に納骨されるご遺族を現場でサポートするなど活躍の場が広い。
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