死亡後の手続き
独身・一人暮らしの死亡手続きはどうすれば良い?終活内容も紹介
更新日:2024.09.27 公開日:2022.06.11

記事のポイントを先取り!
- 身寄りがない場合には自治体が遺体を引き取って火葬や埋葬を行う
- 相続人がいないケースでは故人の遺産は最終的に国に納められる
- 成年後見制度は生前に判断能力が不十分になったときのための制度
身内の方が亡くなるとやるべきことが多く慌ただしくなりますが、独身の場合の死亡手続きについてはご存知でしょうか。
配偶者がいれば大抵は配偶者が手続きを行いますが、独身の場合にはどうなのでしょうか。
そこでこの記事では、独身の死亡手続きの流れについて詳しく説明していきます。
この機会に死後事務委任契約についても知っておきましょう。
死亡前にしておきたい独身の終活内容についても触れているのでぜひ最後までご覧ください。
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- 死亡手続きに必要なこと
- 故人が独身の場合はどうなる?
- 身寄りがいない場合の手続きは?
- 死亡手続きを委任する死後事務委任契約
- 後見制度と死後事務委任契約の違い
- 死亡前にしておきたい独身・一人暮らしの終活内容
- 独身の死亡手続きまとめ
死亡手続きに必要なこと
まずは一般的な死亡した際に必要となる手続きについて紹介していきます。
以下で各手続きごとに説明していきますので参考にしてください。
区役所への手続き
死亡届は故人が死亡後7日以内に市町村役場に提出する必要があります。
このときに一緒に火葬許可証も取得するとスムーズです。
故人が世帯主であり、故人の死亡後もその住宅に住み続ける遺族が2名以上いる場合には、世帯主変更手続きが必要になります。
住民票の世帯主変更届は死亡後14日以内に手続きを行う必要があります。
なお、元々故人と2人暮らしであったケースでは、残された遺族が自動的に世帯主に変更されるので、届出は不要となります。
国民健康保険や介護保険の資格喪失届は、死亡後14日以内に提出しましょう。
葬儀にかかった費用がわかる領収書を提出すると、5万円、7万円などの費用が喪主に支払われます。
比較的新しい証明書であるマイナンバーカードについては、各自治体により取り扱いが異なり、中には返却する必要がないケースもあります。
詳しくは各自治体に直接確認することをおすすめします。
年金に関する手続き
故人が年金受給者であったケースでは、死亡届を提出して受理されていれば年金支給が自動的に停止されます。
国民年金では14日以内、厚生年金では10日以内が期限になります。
遺族年金には国民年金や厚生年金がありますが、それぞれ5年以内に申請することで年金を受給することができます。
故人が年金受給前に亡くなられたケースで、生計を共にしていた遺族は死亡一時金が受け取れます。
2年以内に申請する必要がありますので、覚えておきましょう。
また、夫を亡くした60〜64才の妻には、5年以内に申請すれば寡婦年金が受給できるケースがあります。
公共料金に関する手続き
亡くなった方の名義で水道光熱費などの公共料金について契約していた場合には、早めに名義変更を行いましょう。
それぞれ契約している電力会社やガス会社に連絡し、水道料金については市区町村に連絡をすれば手続きができます。
固定電話の契約者が亡くなった場合には、そのままにしておくと基本料金がかかり続けてしまいます。
固定電話を引き続き使用するケースでも、契約者名義の変更や番号引き継ぎ、支払い方法の変更などを行う必要があります。
つまり、固定電話の契約者が亡くなった場合には、そのまま利用を継続する場合は新契約者への名義変更手続きを行い、利用しない場合には解約手続きを行う必要があります。
携帯電話においても同様の手続きが必要であり、携帯ショップにて手続きが行えます。
参考:電気・ガス・インターネット契約の名義変更は、いつ・どんな時にする?|セレクトラ
金融関係の手続き
銀行口座の預貯金などは、銀行に口座名義人が死亡したことを知らせた時点から凍結されます。
遺産分割が終了し、相続人が決まったら口座凍結後に必要書類を用意して手続きすることで名義変更や払い戻しの手続きが行えます。
国債や投資信託も同様に手続きを行うことで換金したり、引き継ぐことができます。
なお、外貨を日本円へ換金するときには、手続き時の為替レートが適用されることになります。
必要な書類については、各銀行によってことなりますので、事前に金融機関に確認しておくことをおすすめします。
保険に関する手続き
生命保険については、契約している保険会社に問い合わせ、故人の死亡診断書や除籍謄本、相続人の戸籍謄本、印鑑証明書などを提出することで手続きできます。
医療保険や入院保険などに故人が加入していたケースでは、病院で診断書を発行してもらうことで保険金が受け取れます。
また、保険会社で指定されている書式の診断書に記載して保険金を請求するといったケースも多いです。
死亡保険金は故人が生前に受取人を指定するので、遺産分割の対象にはなりません。
生命保険金に関しては、みなし相続財産となりますので、いったん遺産総額に計上して、
その後に控除するという形になります。
名義変更に関する手続き
相続した財産の中に不動産や自動車があったケースでは、名義変更の手続きが必要になります。
名義変更は陸運支局に申請することで行うことができますが、ディーラーや車屋に相談することで代行してもらえることもあります。
不動産については、法務局で相続による名義変更登記を行う必要があります。
マンションの場合には、管理組合へ所有者変更や今後の管理費・修繕積立金等の支払い口座の変更手続きを行います。
賃貸不動産の場合に、不動産を大家として貸している際には、借家人に対して所有者変更の連絡や賃貸契約の変更などを行います。
故人が独身の場合はどうなる?

一般的な手続きの内容が理解できたところで、次は故人が独身であったケースについて詳しく説明していきます。
親族が代わりに手続きをする
故人が独身で身寄りがなかったケースでは、戸籍をたどって親族を探し、連絡がついた親族に代わりに手続きや対応をしてもらうことになります。
具体的にはご遺体の引き取りや火葬の手続きになります。
相続遺産はどうなる?
故人が独身だったケースでは、父母がいれば父母が相続人となります。
両親がすでに他界していた場合には、兄弟姉妹が相続人になります。
相続放棄をする場合には期限があるので、できるだけ早めに手続きを行うことをおすすめします。
プラスの財産が多ければ良いのですが、ここで注意が必要なこととしては、マイナスの財産が多かったケースです。
負債は手続きをしなければどんどん膨らんでいってしまいます。
例えば、家賃や退去費用、クレジットカードの借金などが挙げられます。
すぐに手続きすれば少額で済んだとしても、放置しているうちに利息が多額になってしまうケースも少なくありません。
そのため、相続の手続きは早急に行うことが大切になります。
身寄りがいない場合の手続きは?
中には故人が独身で身寄りがいないケースもあるかと思います。
以下で身寄りがいないケースでの対応について紹介していきます。
行政や自治体が葬儀を行う
身寄りが全くないケースでは、亡くなられた地域の自治体が遺体を引き取って法律に従って火葬や埋葬を行います。
法律ではご遺体の火葬や埋葬をすることが定められておりますが、宗教者による葬儀は義務ではありません。
そのため、行政や地方自治体が行うケースでは、宗教儀礼はせずに簡単な火葬や埋葬のみになることがほとんどになります。
自治体によっては、最低限の読経などがあるケースもあります。
葬儀の費用については、故人の財産の中から支払われることが一般的です。
故人の遺産はどうなる?
身寄りが全くおらず、相続人がいないケースでは、故人の遺産は最終的に国に納められることになります。
ただしすぐに国に納められるというとではなく、1年程度の時間をかけて手続きが進められていきます。
まずは遺言で遺産をゆずるように指定された債権者や受遺者に遺産が分けられ、次に特別縁故者に遺産が与えられてそれでも余った遺産は国に納められることになります。
死亡手続きを委任する死後事務委任契約
次に死亡後の手続きを委任することができる死後事務委任契約について紹介していきます。
以下で詳しく説明していきますので参考にしてください。
死後事務委任契約とは
死後事務委任契約とは、身寄りがいないなどの何らかの理由で、亡くなってから行う手続きを誰にも依頼できない場合に活用できるものになります。
死後事務委任契約を結ぶことでさまざまな事務手続きを第三者に任せることができます。
以下に死後事務委任契約で委任できることをまとめます。
- 葬儀や納骨、永代供養などの法事関係の手続き
- 死亡届、年金受給停止、埋葬料や葬祭料の申請などの役所での手続き
- 相続財産管理人の選任、遺品の整理・処分などの財産関係の手続き
- 電気代やガス代などの公共料金の解約などのライフライン手続き
- 医療費や入院費の精算手続き
- 家賃や管理費の精算、老人ホームなどの退去手続き
近年では核家族化や少子化にて身寄りがおらず、孤独死する方も年々増え、社会問題になっています。
このような制度を利用することで死後、親族に負担をかける心配が不要になります。
誰に依頼すれば良い?
死後事務委任契約は誰に依頼をすればいいのか疑問に思った方も多いかと思います。
親族や信頼できる友人や知人が全くいないケースでは、専門業者や弁護士などの専門家に依頼することをおすすめします。
依頼費用はどれくらい?
専門業者や専門家に依頼した場合には、費用がかかります。
必要な費用について以下にまとめます。
- 法律専門家に依頼した場合の契約書作成費用
- 公正証書作成手数料及び謄本作成手数料
- 履行する死後事務に応じた報酬
- 葬儀などの死後事務を行うための預託金
死後事務委任に対する報酬には、法的な定めはありません。
そのため、いくつかの業者で見積もりをとってもらって比較し、自分に合ったところに依頼するといいです。
死後事務委任契約の注意点
死後事務委任契約の注意点として、認知症などによって意思能力がないとみなされると契約できません。
当事者双方が意思能力を持っていることが認められることが必要になります。
また、故人の銀行口座の解約や不動産の処分は死後事務に該当しないため、委任契約に盛り込んでも履行できないので覚えておきましょう。
相続人がいる場合は、財産の処分や費用の支払でトラブルになる可能性がありますので、あらかじめ相続人に相談しておくことをおすすめします。
後見制度と死後事務委任契約の違い
成年後見制度とは、判断能力が衰えたときに、本人をサポートするために「成年後見人」と呼ばれる保護者のような人をつけて、本人の財産管理や療養を支える制度のことです。
この後見制度には、法定後見制度と任意後見制度があります。
法定後見制度は本人の判断能力が衰えてしまった後に申立てをするので、誰が成年後見人になり、サポートするのか選ぶことができません。
一方で任意後見制度は、あらかじめ成年後見人となる人を選んでおいて、自分の判断能力がなくなった際に成年後見人になってもらうことができます。
後見制度と死後事務委任契約はどちらも終活にて利用することができますが、利用するシチュエーションに違いがあります。
成年後見制度は、生前に判断能力が不十分になったときのための制度ですが、死後事務委任契約は自分が亡くなった後の手続きを依頼するものになります。
死亡前にしておきたい独身・一人暮らしの終活内容

最後に死亡前にしておきたい独身・一人暮らしの終活内容について紹介していきます。
終活をしておくことで死後、なかなか連絡を取らないご家族にも意思を伝えることができます。
生前からできることをいくつか説明していきますので、ぜひ参考にしてください。
遺言書の作成
遺言書は独身であれば必要ないと考える方も多いかと思いますが、兄弟姉妹や親族への相続の意思があるのであれば、作成しておいた方が良いです。
生前に自身の財産のありかを全て記載して誰にどの財産を渡すのか遺言に記しておくことをおすすめします。
さらに葬儀やお墓、供養の形態などの希望も記載しておくと親族の負担が減ります。
注意点として遺言書は不備があると、法的な効力がなくなってしまうので弁護士や司法書士、行政書士などの専門家に相談して作成すると安心です。
終活ノートの作成
終活ノートとは別名「エンディングノート」とも呼ばれ、遺言書のように法的な効力はありませんが、自由に自分の意思や希望を記載することができます。
エンディングノートには、決まった形式や書き方などは全くありませんので、遺産相続や個人情報だけでなく、ペットのことまで自由に記載できます。
また、死後のことだけでなく、急に倒れたときの延命治療の希望なども記載できます。
事故や病気などで意思表示が難しくなった際にも、エンディングノートがあれば意思を伝えることができますので、さまざまな活用方法があります。
葬儀についての相談
独身で親族と疎遠で交流がほとんどないようなケースでは、自分が亡くなったときに親族に迷惑をかけたくないと考える人も多いです。
そのため、生前に葬儀社や霊園を決めておき、葬儀やお墓の準備などを行う方が増えています。
あらかじめ葬儀社や霊園に生前予約をして支払いや細かな手続きを済ませておけば、亡くなったあともスムーズに葬儀や供養が行われます。
近年はお墓の管理の必要がない永代供養の人気が上がっています。
断捨離をする
断捨離ということばを耳にしたことのある方も多いかと思いますが、少しずつ生前から断捨離を進めていくことも大切なことです。
物が多すぎると遺品整理に時間や手間がかかり、親族への負担が大きくなってしまいます。
そのため、所有物を把握するところから始め、不要なものは処分したり、売ったり、人に譲ったりすることをおすすめします。
年齢を重ねるとだんだん物が増え、心身の衰えから捨てることも億劫になる方が多いです。
身体が元気に動くうちから断捨離を始めて整理しておきましょう。
金銭管理をする
自分が死んだあとに相続トラブルが起こらないようにするためにも、生前のうちから金銭管理をきちんとしておくことをおすすめします。
所有している財産をできるだけシンプルにまとめて、わかりやすいようにリストアップするといいです。
例えば、クレジットカードや通帳、印鑑の場所を記載したり、光熱費や通信費、保険の引き落としなどもわかりやすくまとめましょう。
独身の死亡手続きまとめ

ここまで独身の場合の死亡手続きなどを中心にお伝えしてきました。
この記事のポイントをおさらいすると以下の通りです。
- 独身で両親がすでに他界していた場合には兄弟姉妹が相続人になる
- 死後事務委任契約は意思能力がないとみなされると契約できないので注意
- 独身の方は生前から少しずつ断捨離を進めていくことが大切である
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。
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