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正しい遺言書の書き方は?種類ごとの書き方を紹介

更新日:2022.04.23

遺言書

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記事のポイントを先取り!

  • 遺言書は故人の意思を遺族に伝える手段
  • 遺言書は3種類ある
  • 書き方が違うと無効になる
  • 遺言書と終活ノートは別

遺言書は故人の遺志を遺族に伝えるものですが、その書き方についてご存知でしょうか。
有効な遺言書にするには、どういった形式で書けばいいか知っておきましょう。

そこでこの記事では、遺言書の正しい書き方について詳しく説明していきます。

この機会に遺言書の正しい書き方を覚えておきましょう。
遺言書の種類についても触れているので、ぜひ最後までご覧ください。

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  1. 遺言書とは
  2. 遺言書の種類
  3. 遺言書の書き方
  4. 遺言書を書き直すには
  5. 遺言書が無効となる書き方
  6. 終活ノートの書き方
  7. 遺言書の書き方遺品整理まとめ
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遺言書とは

遺言書とは、自分の大切な財産を、最も有効に活用してもらいたいという故人の意思を書き記したものです。
相続人たちが故人の思いを知り、喧嘩することなく相続手続きができるようにするためには、遺言書は欠かせません。

遺言書を書く目的は、主にこういった遺産争いを防ぐことです。

遺言書を書き残しておくことで、誰がどの財産をどの程度相続するか指定できます。
相続の内容を指定できる他、この人には相続させないと指定することも認められています。
遺言書の効力は強く、書かれている内容は、法律で定められている相続割合よりも優先されます。
遺産について指定しておきたいことがあったら、遺言書を書いておきましょう。

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遺言書の種類

遺言書と一言で言っても、三種類の遺言書があります。
種類を知り、自分に合った形式で書きましょう。

自筆証書遺言

自分で書いて作る遺言書が自筆証書遺言です。
自筆証書遺言は15歳以上であれば書くことができます。
紙とペンと印鑑しか必要ないので費用もかからず、自分で書くため手軽に作ることができます。
書き直すこともでき、一番やりやすい形式です。

自筆証書遺言は、家庭裁判所での検認が必要です。
家庭裁判所で検認せずに、自筆証書遺言を開封すると、無効になるわけではありませんが5万円の過料に処されます。
書いても失くしてしまったり、偽造されるおそれもあります。
自筆のため、自分が書いたんだということがすぐわかりますが、ちょっとしたミスで無効になってしまうため、確認しながら書きましょう。

公正証書遺言

公正証書遺言は、遺言者が伝えた内容を、公証人が書面で作る遺言書です。
自分で作る自筆証書遺言とは、作るまでに手間がかかります。
公証人に作ってもらうため、ミスをすることなく有効な遺言を確実にのこせます。

公正証書遺言であれば、家庭裁判所の検認がいりません
家で開封してもいいので、すぐに相続の手続きを始めることができます
改ざんされるおそれもなく、原本を公証役場で保管してもらえます。

また、公正証書遺言は、公証役場にいる公証人に作ってもらいます。
公証人とは、法務大臣から任命を受けた公務員のことですが、裁判官や検察官のOBが多くなっています。
法律のプロが遺言書を作るのを手伝ってくれて、法的に公正なものだと証明してくれるので、遺言書が無効になりにくいです。
しかし、証人が2人必要になります。

秘密証書遺言

遺言の内容を誰にも知られたくない場合には、秘密証書遺言が使えます。
遺言者が自分で作った遺言書を公証役場に持っていき、遺言書があることを公証役場で記録してもらうものです。
積極的に活用されている制度ではなく、全国で1年間に100件程度が記録されています。

秘密証書遺言は、遺言者の直筆に限らず代筆やパソコンで作ることも認められています。
自筆の署名と押印さえあれば、秘密証書遺言として有効になります。
代筆やパソコン作成でもいいので、身体が不自由で文字を書くのが大変でも、遺言を残すことができます。

公証人による確認がないため、遺言書に不備があったり、法的に無効な内容があってもチェックを受けられません
代筆までしてもらったのに、無効になる可能性があります。
また、証人2人が必要で、公正証書遺言と同じ手間がかかるだけでなく、遺言書自体は公証役場ではなく遺言者本人が保管するので、失くしてしまう可能性もあります。

開封の際は家庭裁判所の検認が必要です。
結構手間がかかるので、あまり使われない形式です。

遺言書の書き方

自筆証書遺言の書き方

自筆証書遺言は、項目が欠けていたりして無効になりやすいです。
せっかく書いた遺言を無効にしないためにも、書き方は確認しましょう。

氏名、日付、本文を自筆で書きます。
日付はいつ書いたのかがわかるように、年月日で書きましょう。
これらの代筆や、パソコンでの記述は認められていません。

財産目録のみ、パソコンや通帳コピーでの作成も認められています

縦書きか横書きかは自由で、用紙に制限はありません。 
筆記具もボールペン、万年筆など何を使用しても構いませんが、鉛筆ではなくなるべく、ペンを使いましょう

夫婦共同での遺言は作れません。
どちらか一方の名前で作りましょう。
自分の財産を遺贈寄付したいときには注意が必要です。

法定相続人には、最低限保障されている遺産取得分として、遺留分があります。
この遺留分を侵害すると、遺留分侵害額請求権が発生して、相続人は遺留分を請求することができます。

自分の思っている通りに寄付したい場合は、遺留分を侵害しない財産配分に指定しておくとスムーズにできます。

最後には実印を押しましょう。
書き終わったら封筒に入れて、封印をしておきましょう。

公正証書遺言の書き方

公正証書遺言は、結構手間がかかりますが、確認しながら作ってもらうため、無効になりにくいです

まず、証人2人以上に立ち会ってもらって、遺言者が本人であることを証明する本人確認書類、印鑑登録証明書、実印をもって公証役場に行きます。

そして、遺言者が遺言の内容を公証人に口述します。

聴覚・言語機能に障害のある人は、手話通訳による申述か筆談を後述の代わりにすることができます。

公証人がその口述を筆記して、遺言者及び証人に読み聞かせるか閲覧させ、遺言者と証人が正確に筆記されていることを承認したうえで、各自が署名と押印をします。

公証人が、その証書を法律に定める手続きに従って作られたものである旨を付記し、これに署名押印して完成です。

原本は公証役場で保存してもらい、遺言者の手元には遺言書の写しが残るため、失くしたり偽造される心配もありません。

証人になれる方には規定があります。
未成年者、推定相続人、受遺者及びその配偶者、直系の血族は証人にはなれません。
公証人の配偶者、四親等内の親族、書記及び雇用人も証人になれません。

秘密証書遺言の書き方

秘密証書遺言の書き方は、自筆証書遺言と同じです。
自筆証書遺言の書き方を見ながら書きましょう。
秘密証書遺言であれば、署名と押印を遺言者本人が行えば、代筆やパソコンでの作成でも大丈夫です。

そして、公正証書遺言と同じように、証人と一緒に公証役場で遺言書を確認することで、遺言書があることや遺言が書かれていることを証明できるようになります。

しかし、公正証書遺言のように、原本を公証役場で保管するわけではなく、遺言書は自分で保管しないといけないため、失くしたり、見つけてもらえない可能性があります。

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遺言書を書き直すには

一度書いた遺言書を、書き直したくなることがあります。
遺言の撤回や書き直しは、遺言者本人のみが行うことができます

きちんとしたやり方で訂正しないと、その訂正に効力はなく、直す前の遺言書が有効になります。
訂正方法を知り、無効にならないようにしましょう。
遺言書自体を書き直した場合、日付の新しいほうが有効になります。

自筆証書遺言の訂正方法

遺言書はいつでも書き替えられます。
訂正したり削除する際は、ただ消すのではなく、二重線を引きます

この際、修正液などの修正用文具で消さないでください。
横書きの場合は二重線の上、縦書きの場合は二重線の左に、修正内容を記載します。

そして、訂正した行の近くにある余白に、削除や加えた文字数を書いて署名します。
二重線の近くに、元の文字や数字が見えるように訂正印を押します
複雑な書き替えの際は専門家に相談すると、不備なく訂正することができます。

訂正ではなく加筆する場合は、加筆したい箇所に、挿入記号を書きます
挿入記号を書いた加筆箇所へ、加筆する文字や数字を書き入れます。
加筆した行の近くの余白へ、加えた文字数を書いて署名します。
また、加筆した近くに訂正印を押します。

訂正内容は、〇行目〇字削除〇字加入のように、訂正した内容すべてを書きます

パソコンなどで作った財産目録も、遺言書本文の訂正と同じ方法で行います。
財産目録も訂正方法がルールと違っていれば、訂正が無効になってしまいます。

遺言書保管制度を利用して、遺言書を保管してもらっている場合、原本は法務局で保管されています。
変更するには、保管の申請をした法務局で、申請撤回の手続きをして、一度遺言書を返してもらう必要があります。
返してもらったあとは訂正などを行いましょう。

公正証書遺言の訂正方法

公正証書遺言は役場で保管されているため、勝手に変えることができません
原本は公証役場で保管されているので、遺言者自身で変更することができないので、基本的には新たに遺言書を作成する必要があります。

複数の遺言書がある場合、最新の日付の遺言書が優先されるため、新たに作成した遺言書のほうが優先されます。

形式は問われないので、公正証書遺言があっても、新たに自筆証書遺言を作成しても構いません。

しかし、混乱してしまいかねないので、公正証書遺言で作成していたなら、新しく作成する遺言書も公正証書遺言に統一したほうが良いでしょう。

全部書き直さなくてもいいと公証人が判断した変更であれば、更正証書や補充証書を作成して訂正する方法もあります。

更生証書と補充証書は、公正証書遺言を作成する際と同じ手順で行うため、必要書類などを持っていきます。
公証人に支払う手数料は、元の公正証書遺言作成にかかった費用の半分です。

公正証書遺言を作った所と同じ公証役場で作る場合は、元の公正証書遺言の作成にかかった費用の4分の1程度になります。

誤字脱字が見つかった場合は、公証人に誤記証明書を作成してもらえば、遺言書を新しく作成したり証書を作成する必要はありません
誤記証明書の作成には、費用はかかりません。
公正証書遺言をもらってそのままにするのではなく、もう一度ゆっくり読み直して、誤記がないか確認しましょう。

変えたい場合には、更生証書や補充証書で済むのかどうかも含めて、まずは作成してもらった公証人や弁護士等の専門家に相談しましょう。

遺言書が無効となる書き方

遺言書の書き方は民法で決まっています。
書き方を間違えてしまうと、遺言書の一部、またはすべてが無効になってしまいます。

遺言書を無効にしないためにも、どんな条件で無効になるのかを知っておきましょう。

自筆証書遺言の場合

自筆証書遺言は、日付と氏名を自書し、押印しないと無効になります。
日付は分かりやすく、何年何月何日に書いたものかはっきりするように書きましょう。
日付をスタンプすると無効になるので、必ず自分で書きましょう。
押印で使うハンコはスタンプ印ではなく、実印を使うようにしましょう。

財産と相続人ははっきりと明確にしましょう。
遺言書は第三者が読んで、明確にわからないといけません。
遺言書に基づいて手続きをするような物もあるため、口座番号などをしっかり正確に書くようにしましょう。
相続人の箇所があいまいだと、遺族が混乱してしまってすんなり相続できません。

相続人は、続柄や名前、生年月日、住所を一緒に書いて、どこの誰だかすぐ分かるように書くとトラブルになりません。

相続人の遺留分を侵害する遺言は、相続人が請求すると、その部分が無効になります。
公序良俗に反する遺言も無効になります。
愛人に遺産を残す理由が、不倫関係の維持のためなど、公序良俗に反するような遺言は無効です。

財産の指定をする際は財産目録を作成すると簡単です。
財産目録は、パソコンや代筆によって作成でき、不動産登記簿や通帳コピーなどの既存の資料でも代用できます。
コピーなどを使って間違いなく財産を指定できれば、本文では財産目録の番号などを指定すればいいので、間違いが減ります。

しかし、財産目録以外でパソコンや代筆を使っていると無効になるので、使うのは財産目録だけにして、本文は自分で書きましょう。

また加筆修正の方法を間違えていて、無効になってしまうことがあります。
加筆修正をした際は、やり方を間違っていないか細かく確認しましょう。
加筆修正の間違いによる無効を避けるためには、最初から書き直すのが無難です。

自筆証書遺言で、きちんとルールを守って書かれていても、無効になることがあります。
遺言書としては要件を満たしていても、相続人からの遺言無効確認の訴えで無効になる事もあります。

正常な判断能力がない方に、特定の方が遺産分割で有利になるように誘導して、遺言書を書かせるという事がありました。
遺言を見て、遺言者が自分の意思で書いていないと思ったら、遺言無効確認の訴えを出すことができます。
自分の意志だということを証明するため、遺言書を作成している様子をビデオで撮影しておく方法などもあります。

公正証書遺言の場合

ミスの少ない公正証書遺言でも、無効になることがあります。

意思判断能力が著しく低下している方が遺言者だと無効になります。
公正証書遺言は事前に公証人と、遺言内容の打ち合わせをしています。
司法書士や弁護士などへ、公正証書遺言を作成してほしいと依頼すると、専門家が代行して打ち合わせをしてくれます。

遺言者は、遺言書作成当日に、遺言を口述で公証人へ伝えるだけです。

そのため、依頼したときは大丈夫でも、作成した日に遺言者の判断能力が低下していることもあり得ます。
遺言を執行するとき、作成当時の遺言者の意思判断能力が怪しく、口述であると不審に思われた場合、相続人から遺言無効確認の訴えが出されます。
認められると、公正証書遺言でも当然無効となります。

また、証人が不適切な場合も無効になります。
公正証書遺言を作成する際、自分で証人を2人手配します。
このとき、証人になれない人を証人にしてしまい、遺言執行時にそれが分かったら、遺言は無効になります。
証人に該当するのか確認してから証人を依頼しましょう。

秘密証書遺言の場合

秘密証書遺言も無効になることがあります。

秘密証書遺言は、代筆が可能ですが、本人による自筆の署名が必要となります。
この自筆の署名と押印がないと無効になります。
本文を他人に書いてもらっても、署名は自筆にして、実印を押しましょう。

自筆証書遺言と同じように、訂正部分がルール通りに訂正されていないと無効になります。
きちんと訂正できているか確認しましょう。

秘密証書遺言では遺言書の印と同じ印を、封筒の綴じ目部分に押印しなければなりません。
しかし、これが押印されていないと無効になります。

秘密証書遺言を書いて封をしたら、遺言書と同じ印を必ず押しましょう。
自筆証書遺言でも、遺言書を入れた封筒の綴じ目に印を押しておくと、封を開けて偽造されるのを防止できます。

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終活ノートの書き方

遺言書と終活ノートの違い

遺言書も終活ノートも、どちらも故人の希望を書きます。
しかし、終活ノートには公的な効果はありません
終活ノートに財産分与についていろいろと書いても、その通りに分与はできません。
自分の意思を確実に反映してほしいなら、公的な効果のある遺言書を書きましょう。

終活ノートは、亡くなった後に自分がやってほしいことを書くことができます。
書いておくことで、自分が亡くなったあとに遺族が迷わずに済みます。

緊急連絡先やパスワードを書いていれば、訃報を誰に伝えればいいのかや、スマホのロック解除など、亡くなったあとに遺族が困るようなことの対策ができます。

元気な間は自分の備忘録として使うこともできます。
終活ノートを書くことで、自分の伝記を書いているような感じになるでしょう。

遺言書も終活ノートも、保管している場所は家族に伝えておきましょう。

どちらも見つからないと、自分の意思を伝えることができません。
他人でも分かりやすい場所においておき、自分も置いた場所を忘れないようにしましょう。

終活ノートの書き方

終活ノートは遺言書と違って、書き方に決まりはありません。
市販の終活ノートは、ページごとに項目が分かれていることがあります。
自分の好きな所から好きなように書きましょう。

主に書く内容は

  • 自分の個人情報
  • 友人などの連絡先
  • 契約しているサービス
  • 借金などのマイナス資産
  • 家族へのメッセージ

などです。

月日が経つごとに情報は変わっていくので、定期的に書き足しておきましょう。

遺言書があれば終活ノートは不要?

終活ノートには、遺言書には書けないようなことを書くことができます
家族や友人へのメッセージや、飼っているペットについてのほか、葬儀について書くこともできます。

こうしたことを書いておくと、遺産以外にも自分の思いを伝えることができます
必要に応じて遺言書と終活ノートを使い分けたり、どっちも使ったりして、自分の思いを遺族に伝えましょう。

終活ノートは本屋や100均などさまざまなところで販売しています。

企業や自治体によっては無料で配布しているところもあるので、もらってきて少し書いてみるのもいいかもしれません。

アプリもありますが、アプリだけを使うのはやめておきましょう
アプリは手軽に終活ノートを作ることができて便利ですが、いきなりサービス終了する可能性があります。
アプリだけに書くのではなく、ノートにも書いておきましょう。

遺言書の書き方遺品整理まとめ

ここまで遺言書の書き方や、遺言書の種類などを中心にお伝えしてきました。
この記事のポイントをおさらいすると以下の通りです。

  • 遺言書には3つの種類がある。
  • 書き方を間違えると無効になる
  • 終活ノートと遺言書は別物
  • 公的な効力があるのは遺言書

これらの情報が少しでも皆様のお役に立てば幸いです。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。

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監修者

評価員(はかまだ)

袴田 勝則(はかまだ かつのり)

厚生労働省認定 葬祭ディレクター技能審査制度 一級 葬祭ディレクター

経歴

業界経歴25年以上。当初、大学新卒での業界就職が珍しい中、葬儀の現場で数々のお葬式を担当し、身寄りのない方の弔いから皇族関係、歴代首相などの要人、数千人規模の社葬までを経験。さらに、大手霊園墓地の管理事務所にも従事し、お墓に納骨を行うご遺族を現場でサポートするなど、ご遺族に寄り添う心とお墓に関する知識をあわせ持つ。

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