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専門家インタビュー

救命救急の超急性期看護から人の生き様に関わる

更新日:2022.12.19

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  1. 研究内容について
  2. 今後の目標について
  3. みんなが選んだ終活のユーザー様へ一言
  4. 取材に協力してくださった先生
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研究内容について

Q1.「クリティカルケア・周手術期看護に関する研究」についての研究内容とその研究成果について教えてください

1995年から専門分野である成人看護学特に集中治療室救命救急の分野における研究を行っています

術後疼痛に対する看護師の関わりと患者の反応、大腸がん術後のストーマケア看護、ICU看護師と患者によるアウトカム、ICU看護師が清潔ケアを実践する際の臨床診断の特徴、ICUに緊急入室した患者家族に対する熟練看護師による家族支援と臨床判断、集中治療室における積極的治療継続の断念を告げられた代理意思決定をする家族への看護支援など、超急性期の現場で行われている看護実践についての研究を行ってきました。

その結果については日本クリティカルケア看護学会をはじめ看護系学会で発表することによって、患者・家族の方々に対する質の高い看護実践の情報提供に寄与し、自らの学部学生及び大学院教育、特に急性重症患者看護専門看護師教育に反映しています。

Q2.その研究を行った経緯を教えてください

1990年頃人工膝関節置換術を受けた方がはじめてベッドサイドに立位になった時術後合併症である深部静脈血栓症から肺塞栓により突然死を経験しました

また同時期に、早期胃がんで部分切除術を受けた方が、ICU入室の術後1日目に嘔吐し誤飲性肺炎となり、わずか2,3日で死の転帰に至りました。

治癒を切望し、手術をすれば確実に残りの命が保証できると信じていた人が、いとも簡単に死を迎えるのだと茫然自失となりました。

術前、その方々とは当然訪れるであろう退院後の楽しみな生活についても語っておりましたので、そのショックは並大抵ではなく、命の尊さを感じた瞬間でした。

その後、急性・重症患者の救命こそが自分の研究テーマであり、看護実践であると認識して研究を行ってまいりました。

Q3.「皮膚と免疫学的メカニズムに関する研究」についての研究内容とその研究成果について教えてください

 耐え難い苦痛としての瘙痒(かゆみ)に興味をもち、看護学的観点から適切な患者支援について、メンタルケア、スキンケア、環境整備などを行うことにより各皮膚疾患の改善に貢献できるのではないかと仮説をたて、アトピー性皮膚炎患者を対象に掻破行動の分析を行いました。

また尋常性痤瘡(にきび)の発症原因が、個人の体質因子か細菌学的因子にあるのか明確にするために、健常者とにきび患者からアクネ菌を採取し、またそれぞれの末梢血単核球細胞を培養しました。

その結果、サイトカイン産生物であるIFN-γ、IL-12p40とIL-8の増加が証明されました
さらに、菌種より個人の体質の方がにきび発症因子であることがわかり、生活習慣改善が発症予防にもなりうることを証明しました。

ただし随分前の研究結果であり、その後新たな免疫的メカニズムについて多くの知見が出ています。

Q4..杉崎様が考える本研究の意義を教えてください

この研究においてアクネ菌から産生されるIFN-γ、IL-12p40とIL-8の証明は化学的な薬物療法に頼らない悪性腫瘍の治療法につなげる示唆を得たと考えています

化学療法について確かに即効性はありますが、副反応である有害事象も生じます。

副作用に対する薬剤の開発及び使用時期・回数についても、かなり研究が進んでいますが、その抗がん治療の副反応が強く体力が消耗し生命の危機状態となり治療を断念する方もいます。

アクネ菌はいわゆる常在菌ですので、治療として活用しても副反応は少ないと考えます。
既にアクネ菌を活用した治療に取りかかっている研究者もおられるのではないかと推測します。

私の専門である看護学の視点においては、皮膚のメカニズムと免疫学的分析から個人の体質が大きく関与し生活改善といった薬物療法だけに頼らない看護の関わりへの示唆を得ました

また、今まで経験的に行ってきた看護を、一つ一つ医学的手法も活用しながらエビデンスに基づく看護提供へと結びつけることが重要であることも明らかになりました。

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今後の目標について

Q1.杉崎様の研究における最終的な目標を教えてください

看護師だからこそできる救命救急の超急性期看護から、日常生活支援・社会復帰、或は終末期、それぞれの人の生き様に関われる研究をすることが目標です。

Q2.今後はどういった研究を進めていく方針なのでしょうか?

生涯の内、がんに罹る確率は3人に1人といわれています。

以前はがん告知をされると、近い将来つまり1年以内に死を迎えるかもしれない時代から、医療の発展により5年、10年単位で生き長らえる疾患となりました。

救命優先の一時期だけの研究から退院後特に成人期においてがんサバイバーとしての就労は大きな課題ですのでそれに関する研究へと幅を広げていく予定です

2020年度より女性がん患者の就労・就労継続の思いに関する研究を始めました。

今年度よりその個別の思いの深層核心を明確化すると共に、その共通した概念構築と看護師による包括的就労支援についての研究を行う方針でいます

また臨床看護師だけでなく、産業保健師、社会保険労務士など病院内に限局しない多職種連携を図れるようなシステム作りができれば良いと思い、産業看護学の専門家の方々との意見交換を行っています。

みんなが選んだ終活のユーザー様へ一言

Q.みんなが選んだ終活のユーザー様(高齢の方、高齢の親を持つ方)に何かメッセージをお願いいたします。


職業柄、ご高齢の親御さんを介護されている方々に接することが多いです。
特に老老介護をされている方々は、親御さんだけでなく、ご自身の将来についてもご心配なことと思います。

それぞれ自分らしい最期の時を迎えるために色々な情報を得て考えを整理し準備することは安心して各自の老後を過ごすことができると思います

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取材に協力してくださった先生

資格・学会・役職

日本看護科学学会 日本看護研究学会
日本クリティカルケア看護学会
日本看護教育学会 日本産業看護学会

略歴

1981年 4月 三重大学医学部付属病院 看護師
1997年 4月 三重県立看護大学 助手
2005年 5月 奈良県立医科大学 講師
2010年 10月 四日市看護医療大学 准教授
2013年 4月 四日市看護医療大学 教授
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