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専門家インタビュー

高齢者の転倒を防ぐため、個々に合った継続できる運動を提案し、追求し続けるために

更新日:2022.12.28

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  1. 研究内容について
  2. 今後の目標について
  3. みんなが選んだ終活のユーザー様へ一言
  4. 取材に協力してくださった先生
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研究内容について

Q1.「高齢者の転倒リスク」についての研究内容とその研究成果について教えてください

「転倒リスクが高い」は「転倒する可能性が高い」ことを指します。
一般的に、高齢期は体力や運動能力が低下しやすく、特に下肢の筋力が低下すると躓きやすくなり、それは転倒につながります。

一方、転倒は偶発的に生じるイベントであるため、体力や運動能力が優れていても、頻繁に外出する場合は転倒と遭遇する機会が多くなります。

転倒回避のため自宅に引きこもる場合、転倒と遭遇する機会は少なくなりますが、十分な身体活動量が確保できないため、結果的に虚弱になり転倒リスクが高まることが危惧されます。

つまり、総合的に考えると、外出頻度を確保しながら、転倒回避能力を向上させることが重要となります。

ヒトは、運が良ければ転倒しません(躓く程度)。
しかし、運悪く転倒したとしても、運が良ければ転倒による骨折は回避できるかもしれません。

この偶然を必然に近づけるためには、姿勢保持能力が重要と考え、瞬時に姿勢を保持できる者とそれが困難な者を見極めるテストを考案しました。
その結果、従来の方法よりも転倒しやすい高齢者を発見できるようになりました。


Q2.その研究を行った経緯を教えてください。

私は大学生のとき、体育やスポーツを学ぶ学科に所属しており、先輩の誘いを受けて運動指導のアルバイトに関わりました。

そこで、先日まで元気だった方が転倒を境に徐々に虚弱になる姿を見てきました。

その際、運動を指導することだけが指導者の役割ではなく、想定できるリスクを早期に発見し、そのリスクを最小限にするための支援が重要と考え、大学院進学、さらには研究者の道を志しました。

私自身、日々の生活で躓くことは多かったものの、転倒したことはありません。
その理由として「体力や運動能力が優れる」や「転倒回避能力が高い」が考えられましたが、理由が後者の場合、何によって評価が可能なのかを追求したいと思ったことが経緯となります。


Q3.「高齢者の体力の評価方法や運動処方の開発」についての研究内容とその研究成果について教えてください。

日々の生活において「なんとなく」という判断は多くの方が行なっていると考えます。

しかし、「鍛えられた気がする」や「20回くらいできるだろう」といった感覚で運動指導することは望ましいとは言えません(もちろん、経験に基づく勘は時として重要です)。

よって、体力や運動能力、日常生活の成就度といった「見えないもの」を数値化(可視化、見える化)し、それ・それらを現状の把握や目標設定に利用することは重要となります。

現在、「新たな観点によるバランス能力の数値化」を研究しており、転倒リスクの高い高齢者をより詳細にスクリーニングするための方法の確立を目指しています。

数値による評価が可能になれば、その値の変化に伴う日常生活の変化を検証し、現場での有効性を検証していきたいと考えています。

Q4.杉浦様が考える本研究の意義を教えてください。

メインの研究は、転倒リスクの高い高齢者のスクリーニング方法を考えることですが、健康運動指導士やレクリエーション・コーディネーターの資格を活かし、楽しく健康の維持増進を達成できる指導法も検討しています。

健康の維持・増進を達成する上で重要なこととして、私は「その活動(運動)にストレスを感じているか否か」を挙げています。

過去、様々な運動方法や食事方法が紹介され、多くの方々はそれらを実践してきましたが、現在も継続して実践されている方は多くはないと考えます。

おそらく「飽きた」や「続けることにストレスを感じるようになった」といった背景があったのではないでしょうか。
個々に合った運動、そして継続できる運動を提案し、それをシンカ(進化、深化、芯化)し続けることにチャレンジしています。


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今後の目標について



Q1.杉浦様の研究における最終的な目標を教えてください。

スポーツや健康に関する指導者や学生だけでなく、小学校や中学校、高等学校、高等専門学校、専門学校、短期大学、大学といった全ての学校・大学に所属する方々に健康の維持・増進のための一工夫を学んでもらい、それらを長期間実践してもらうことが目標です。

そして、それらの情報を他者に正しく伝えていただくことも目標としています。
そのためにも、多くの方々と会話し、どのようなことをお考えになっているのか、どのような経験をされてきたのか、情報を収集していきたいと考えています。

 

Q2.今後はどういった研究を進めていく方針なのでしょうか?

2010年における死因のトップ5は「1. 悪性新生物、2. 心疾患、3. 脳血管疾患、4. 肺炎、5. 老衰」でしたが、2020年のデータによると、「1. 悪性新生物、2. 心疾患、3. 老衰、4. 脳血管疾患、5. 肺炎」となり、「老衰」が上位に入るようになりました。

私は、これを成果が高まったと考えています。
一方、現在の高齢者と未来の高齢者とでは若い頃の生活は異なると考えます。

例えば、2020年に80歳であった方は1950年に10歳であり、当時の日本は高度経済成長期の直前でした。
つまり、今の10歳児と比べると食生活や運動習慣は大きく異なると考えます。

よって、今の若者は現在の高齢者のように加齢できない可能性があります。
人生100年時代と言われています。おそらく医療や保健サービスの影響で平均寿命は徐々に延伸されますが、前述の影響を受けて平均寿命は低下する可能性も考えられます。

過去の良い部分を活かし、そして現在あるいは想定される未来の良い部分を抽出し、全ての方々がより良い暮らしを実現できるよう対策を講じていきたいと考えます。

みんなが選んだ終活のユーザー様へ一言



Q.みんなが選んだ終活のユーザー様(高齢の方、高齢の親を持つ方)に何かメッセージをお願いいたします。

年々、生活しやすい環境が整備されています。
しかし、生活が便利になりすぎることは、健康の維持増進に必要な身体へのストレス(負荷)の減少、身体活動量の減少に影響します。

これは良いことではありません。もちろん外出すれば転倒のリスクは高まります。
よって、安全を確保した状態での活動を継続することが望まれます。

我々研究者や指導者は、皆様に様々な対策を提案することが可能ですが、一人ひとりに合った活動は個々の生活スタイルや体力を把握しなければ提案できません。

是非、有識者や運動指導者との関わりを深めてください。
そして、前述の各職業の方々におかれましても様々な情報を取り入れ、誤った情報を提供しないようにお願いいたします。

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取材に協力してくださった先生

資格・学会・役職

博士(学術)
日本体育・スポーツ・健康学会
日本体育測定評価学会
日本教育医学会
福井工業大学 硬式野球部 部長

略歴

2013年3月 金沢大学大学院 自然科学研究科 修了
2014年4月 福井工業大学 工学部 産業ビジネス学科   講師
2015年4月 福井工業大学 スポーツ健康科学部 スポーツ健康科学科 講師
2017年4月 福井工業大学 スポーツ健康科学部 スポーツ健康科学科 准教授
2021年4月 福井工業大学 スポーツ健康科学部 スポーツ健康科学科 教授(現在)
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