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専門家インタビュー

病気を持つ人もその家族も安心して暮らせる環境づくりをしていきたい

更新日:2023.02.05 公開日:2023.02.05

今治明徳短期大学 講師 上村友希様

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  1. 研究内容について
  2. 今後の目標について
  3. みんなが選んだ終活のユーザー様へ一言
  4. 取材に協力してくださった先生の紹介
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研究内容について

★研究当初は「ピック病」という呼称も一般的でしたが、現在は疾患概念も変わってきております。研究当初の呼称でピック病となっております。

Q1ピック病専門グループホームにおけるスタッフができるケアにはどういったものがあるのでしょうか?

当該グループホームで行われたケアは,前頭側頭型認知症(ピック病)の症状を『外へ出たりするのも生活スタイル』であり『そういう人』という意識を根底にもったスタッフによって展開されたケアである。

また、スタッフらは、入居者の生活ありきという意識とともにグループホームで生活している入居者と一緒に過ごすこと,行動を共にすることが自然で当然という意識、入居者と一緒にそこでの生活の楽しむこと、楽しめるようにすることを考え続けてケアを行った。


その結果として、「お互いの居場所感覚」と感じることができるものとなったのである。


何も特別なことではなく、認知症ケアの基本や原則に基づく関わりの積み重ねが必要である。

 

Q2.その研究を行った経緯を教えてください

 当初、前頭側頭型認知症(ピック病)の人は対応困難とされていましたが、勤務中は大変なことより楽しかったことのほうが多かったように思います。

グループホームの取り組みはテレビ番組や医師の研究で取り上げられていますが、グループホームのスタッフが楽しく勤務し続けた理由は何だったのか知りたいという思いからこの研究に取り組みました。


開設以来、スタッフがケアに対してどのような意識を持ち、ケア方針を確立させてきたのか、またそれに影響を与えた要因は何かを明らかにしたいと考えたからです。


Q3.「若年性認知症患者のケア」についての研究内容とその研究成果について教えてください。

★研究に基づき、グループホームでのケアについての記述になります。

当該グループホームでは、①「その人らしさ」を取り戻すこと,②そのために,薬物による抑制からの解放をすること,③人や物,雰囲気などの本人を取り囲む全ての環境を整えていくことという3つの方針でケアを行ったところ、入居者の周辺症状が落ち着き、表情が良くなるなどの良い結果が見られました。

 
当該グループホームでいう「その人らしさ」とは,認知症であっても,脳や身体の健康な部分を最大限に生かして生きようとする時,その人から自然にあふれ出る人間としての輝きであるとしていました。

スタッフは,前頭側頭型認知症(ピック病)の人を尊厳ある人間として認め、その人の可能性を信頼して関わりを続けていくことで「その人らしさ」に出会う体験をしました。

 
これは、グループホームのスタッフらが入居者と「対等な関係で向き合う」ことで「通じ合えるようになる」ということを実感し「入居者との相互関係のダイナミズム」の結果です。

 
この研究では、分析の結果【お互いの居場所感覚】がスタッフの意識の中心であり、ケアを続ける上での芯となっていたことがわかりました。

 
日々の経験の中で,スタッフ各自が学び、気づき、積み上げてきたものが結果として【お互いの居場所感覚】が感じられるケアが構築されるということです。


また、【お互いの居場所感覚】を感じられるようになることは,スタッフが望ましいケアへの意識が確立していくことでもあるのです。

Q4.上村様が考える本研究の意義を教えてください。

研究成果は,前頭側頭型認知症(ピック病)以外の対応困難とされる認知症患者のケアにも応用可能であり,さらに,介護の質や人材育成に貢献すると考える。

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今後の目標について

Q. 今後はどういった研究を進めていく方針なのでしょうか?

 この研究は,ピック病専門のグループホームという全国にも例をみないところで行われたケアとそこで勤務していたスタッフを対象としている。

そのため,他施設との比較検討ができない。本研究で得られた結果は,1施設のスタッフから得られたものであり、特別な場所で特別なスタッフによって導き出されたものとならないよう信頼性を高めていく必要がある。


今後はグループホームに限らず、ピック病の人と関わったケアワーカーに調査対象を広げ検討していく必要がある。


みんなが選んだ終活のユーザー様へ一言

Q.みんなが選んだ終活のユーザー様(高齢の方、高齢の親を持つ方)に何かメッセージをお願いいたします。

 私も、かつては認知症の祖父と暮らしていました。

 当時は、認知症の情報も認知症に対する理解も今よりも格段に少なく、辛いことも多かったですが、祖父のことがきっかけとなり介護の道に進みました。

 現在、在宅ケアに関わっているご家族の方、ご苦労も多い事かと思います。

 認知症当事者の方が、ご家族の方が、これから認知症になるかもしれない私たちが、安心して暮らしていける環境をつくる一助として、介護福祉士養成に尽力していきたいと思っております。

 

 

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取材に協力してくださった先生の紹介

上村 友希 様

今治明徳短期大学 ライフデザイン学科

介護福祉コース 講師

略歴

介護福祉士・社会福祉士取得後、介護現場(病院・グループホーム等で勤務)
 大学院に進学後、初任者研修などの講師を経て現職


資格・学会・役職

資格:介護福祉士・社会福祉士
 所属学会:日本介護福祉学会・日本社会福祉学会・認知症ケア学会他
 役職:今治明徳短期大学 ライフデザイン学科 講師
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