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専門家インタビュー

山形県における児童養護施設等の退所者支援に関する考察について

更新日:2024.09.02 公開日:2024.09.01

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  1. 研究内容について
  2. 先生の経歴について
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研究内容について

Q1.「山形県における児童養護施設等の退所者支援に関する考察」の研究を始めたきっかけは何ですか?

私は23年間、東京にある「青少年福祉センター」に勤務しておりました。

この職場は児童養護施設や自立援助ホーム(※1)を運営しており、児童指導員として施設の子どもたちの支援を行っておりました。

2010年より東北文教大学短期大学部に勤務し、保育者養成に携わっており、大学のある山形県の児童養護施設等の退所者支援の状況を把握したいと調査を始めました。

※1 自立援助ホームとは、なんらかの理由により家庭で生活できない原則として15歳から20歳(状況によっては20歳以降でも可)までの青少年に暮らしの場を提供する施設です。

Q2.研究対象である、児童養護施設とは何ですか?

児童憲章 (昭和26年5月5日)には「すべての児童は、家庭で、正しい愛情と知識と技術をもって育てられ家庭に恵まれない児童には、これにかわる環境が与えられる。」とあります。

この家庭にかわる環境というのが社会的養護と呼ばれるもので、子どもは本来家庭で養育されるべきなのですが、保護者がいなかったり虐待や貧困など保護者の適切な養育を受けられなかったりする子どもたちに対して社会全体で養育すると共に、その子どもの家庭も支援していく仕組みのことです。

具体的には、乳児院や児童養護施設などの施設と、里親やファミリーホームなどがあり、児童養護施設はその1つです。

社会的養護の対象者は全国に4万2千人ほどおり、児童養護施設で暮らす子どもたちは約2万3千人おります。

Q3.本研究の研究成果を教えてください。

調査を通して多くの施設の職員や里親さんたちと知り合うことができました。

それぞれの方たちに、自分が関わっている社会的養護の子どもに対する熱い思いがあり、退所した子どものことを気にかけておりました。

失敗しても頼るべき親の支援が得られず生活が立ち行かない子どもたちを何とかしたいということで、私が23年間福祉の現場にいたということを知り、社会的養護に携わっている方々からお声がかかり、そうした方たちと共に山形県内では初めてとなる自立援助ホーム(男女6名定員)を8年前に立ち上げることとなりました。

ここには現在男女6名の子ども達が生活し、自立を目指しております。

Q4.佐久間様が考える本研究の意義を教えてください。

社会的養護の現状を知りたいというのが研究の動機で、多くの人に知ってもらいたいというのがその意義です。

養護を必要とする子どもたちの課題として、

「目には見えない障害(他者からの誤解、偏見、差別)」
「生活のスキル(社会性)が身についていない」
「社会に出ても保証人(仕事・アパート)がいない」
「人間関係でつまずく」
「社会で孤立している」
「低い自己肯定感」(「実践に活かす社会的養護Ⅰ」ミネルヴァ書房、草間吉夫氏より)などがあります。

このような現実を多くの人に知ってもらえたらと思います。

Q5.佐久間様の研究における最終的な目標を教えてください。

施設に勤め始めの頃に施設で生活する16歳の子どもから、「こういうところ(社会的養護の施設や里親など)は本当はない社会がいいんだよね、だけど僕みたいな子がいるからこういうところはないと困るんだよね」と言われたことがあり、その言葉がずっと心に残っております。

みずから児童養護施設で生活をした経験をもつ市川太郎氏によれば、児童養護施設で生活した子どもには4つの苦痛があると言います。

①施設入所前の家庭崩壊などによる苦痛
②施設入所時の家族分離不安による苦痛
③施設生活上の苦痛(いじめ・暴力・体罰)など
④施設退所後の誤解や偏見、差別(施設に対するネガティブなイメージ、施設出身であることを理由に差別的な発言や行動など)
があると言われております。

社会的養護の下にある子どもたちの思いは理解されないことが多くあります。

研究の最終的な目標は、社会的養護の子ども達が自己肯定感を育める環境作りにあると思います。

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先生の経歴について

Q1.先生の略歴を教えてください。(5つまで)

東洋大学大学院博士後期課程 単位取得後退学
1987年より青少年福祉センターにて23年間勤務
2010年より現在まで東北文教大学短期大学部子ども学科に所属
2016年より現在まで特定非営利活動法人山形の社会的養護を考える会(自立援助ホーム)代表理事

Q2.先生の資格・学会・役職を教えてください。(5つまで)

資格
社会福祉士、精神保健福祉士、保育士、キャンプディレクター2級

学会
日本社会福祉学会
日本子ども養育研究会
山形県精神保健福祉士協会
日本保育学会

役職
東北文教大学短期大学部子ども学科教授

先生の所属先

東北文教大学

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