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相続

騙されて遺産分割協議書に押印してしまった!取消方法について紹介

更新日:2024.02.03

遺産

記事のポイントを先取り!

  • 遺産分割協議書は取り消せる
  • 遺産が第三者に渡ると取り消せない
  • 取消し期限は5年間
  • 取消しに応じない場合は、裁判で決着

遺産分割協議書で騙されたことに気づいた場合、どのように対処すべきなのでしょうか。

また、遺産分割協議書を取り消すことは可能なのか、気になる方も多いと思います。

そこでこの記事では、遺産分割協議書で騙されたときの対処法について解説します。

この機会に、遺産分割協議書の取消し方を知っておきましょう。

後半では、遺産分割協議書で騙されないための対策法について触れているので、ぜひ最後までご覧ください。

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  1. 遺産分割協議書とは
  2. 騙されて遺産分割協議書に押印したら、取り消せる?
  3. 遺産分割協議書の取消し方
  4. 遺言書が偽造されていた場合は?
  5. 遺産分割協議で騙されないためには
  6. 遺産分割協議書で騙されたまとめ
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遺産分割協議書とは

遺産分割協議書とは、遺産分割協議で合意された内容をまとめた書類のことを指します。

そもそも遺産分割協議とは、相続人同士で遺産分割の方法や相続の割合を話し合う協議のことです。

また、遺産分割協議では、相続人全員の参加が必須になります。

以下に遺産分割協議の大まかな流れを載せておきますので、ご参照ください。

遺産分割協議の流れ

以下で、遺産分割協議がどう進むのか説明します。

遺言書の有無

はじめに遺言書の有無について調査します。

もちろん遺言書があれば、遺産分割の方法などは遺言書に従います。

ちなみに、遺言書は自宅や役場・法務省などで保管されています。

相続人の把握

相続人は、故人の戸籍謄本で確認できます。

相続人に漏れがあった場合、トラブルに繋がる原因になります。

遺産分割協議の前には、しっかりと把握しておきましょう。

相続財産の把握

相続財産は、すべての財産を指します。

協議前には、財産の把握も怠ってはいけません。

また、財産というと、プラスの財産に目が行きがちですが、借金などマイナスの財産も存在する、ということを理解しておきましょう。

遺産分割協議の開始

上記内容の確認がとれたら、遺産分割協議を開始します。

この協議の適切な時期についてですが、四十九日を過ぎたあたりで始める方が多いようです。

遺産分割協議の終了・協議書の作成

全員の同意を得たら、遺産分割協議は終了です。

このときに、合意内容をまとめた書類(=遺産分割協議書)を作成します。

補足として、遺言書や法定に基づいて遺産相続するのであれば、遺産分割協議書は必要ありません。

遺言書がない場合や遺言書に記されていない財産があった場合に必要になる書類であると認識しておきましょう。

また、同書類を作成する際は、相続人全員が実印を押印し、同じ書類を一通ずつ所持しておくのが一般的です。

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騙されて遺産分割協議書に押印したら、取り消せる?

遺産分割協議書を作成したあと、騙された・脅迫された・勘違いをしたなどの理由で協議内容を取消したい場合があるかと思います。

実際に、遺産分割協議書の内容を取り消すことは可能なのでしょうか。

詐欺または強迫の場合、取り消せる

結論からいいますと、遺産分割協議書の内容は取り消せます

民法96条1項では、「詐欺又は強迫による意思表示は、取り消すことができる」と記載があり、法的にも問題ありません。

ですが、一度作成した重要書類は簡単に取消しできるとは限りません。

基本的には、取消しができないということも頭に入れておきましょう。

主な取消し可能な状況

取消し可能な状況は以下のような場合です。

  • 相続可能な財産を隠し持っていた場合
  • 故人から多額の生前贈与をもらっていた場合
  • 無理やり協議書に押印させられた場合

他にも、さまざまな状況で取り消せるケースがあります。

自分の状況が取り消せるのか分からないときは、弁護士や周りの信頼できる人に相談してみましょう。

取消しできない場合

ここで注意しておきたいのが、相続遺産が第三者に渡ってしまった場合です。

たとえば、あなたはAさんに遺産分割協議書で騙された、と仮定します。

もちろん、騙された身なので、法定通りに取り消すことが可能です。

しかし、Aさんが第三者であるXさん(遺産について何も知らない人)に遺産を渡してしまっていた場合は、取消しができません。

あなたがいくら意思表示をしても、Xさんが知らなかったことについて過失を問えないため、その遺産はXさんのものになります。

取消し期限

遺産分割協議書の取消し期限は、騙された・誤解であったことを知った日から5年間です。

5年を過ぎると時効になるため、注意してください。

また、遺産分割がされて20年経過した場合も、同様に時効となります。

遺産分割協議書の取消し方

騙されて遺産分割協議書に押印してしまった場合の、遺産分割協議の取り消し方をご説明します。

他の相続人に内容証明郵便を送る

まずは、相続人全員に対して、取り消す旨を内容証明郵便で送ります。

この書類では、取消したい意思表示と法の下で取り消す権利を行使することを伝えます。

相続人全員が遺産分割協議の取り消しに同意すれば取り消しができます。

内容証明郵便とは

内容証明郵便とは一般書留郵便物の一種で、差出し人の住所や氏名、宛名の住所や氏名、配達に日付及び文書に書かれた内容を 日本郵便が証明することができます。

内容証明郵便は、「いつ誰が誰に何を伝えたのか」を証明してくれるため、裁判上の証拠にもなり得、紛争の事前防止が期待されます。

また、受取人は受取の押印を必ず求められるため、「受け取っていない」という証言はできなくなります。

そういった意味で内容証明郵便は受取人に心理的な威圧感を与え、問題を解決してくれる役割も果たします。

遺産分割協議の無効確認訴訟

遺産分割の取り消しややり直しに応じてくれないケースもあります。

そのときは、最終手段として「遺産分割協議の無効確認訴訟」を提起することが可能です。

要するに、相続人同士で裁判して決着を付けるということです。

裁判では、

  • 遺産分割協議書を無効、または意思表示を取り消すことのできる証拠
  • 取消しの意思表示を行ったこと

これらを強く主張・提示する必要があります。

遺産分割協議書の取消し方は難しいケースもあるため、一度弁護士に相談するのが無難です。

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遺言書が偽造されていた場合は?

遺言書が自筆証書遺言であった場合、遺言者の筆跡と明らかに違うなどで遺言書の偽造が疑われるケースがあります。

もし、偽造されている疑いがあるとき、どのように対応すればいいのでしょうか。

遺言書偽造による刑罰

遺言書偽造は立派な違反行為です。

もし、遺言書を偽造してしまった場合は、相続人として遺産を受け取れなくなります。(民法891条5号)

また、刑法159条1項の有印私文書偽造罪により、刑罰を課せられます。

遺言書を見分けるには?

もし、遺言書偽造の疑いがある場合、まずは自分で見分けることになります。

以下で、見分け方を詳しく解説します。

筆跡鑑定

基本的に、遺言書偽造は筆跡鑑定によって、立証します。

遺言者が生前に遺した書き物などと見比べて、筆跡が一致するかどうか吟味しましょう。

筆跡鑑定のコツとしては、同じ文字を見比べてみるのがおすすめです。

また、1文字の書き始め・書き終わりの状態をみてみるのも良い方法でしょう。

状況分析

また、遺言者の診断書や周りの人々から判断する場合もあります。

遺言者の当時の状況を詳しく知ることで、遺言者は遺言書を書けるような精神状態にあったのかなどを把握できます。

ちなみに、遺言者が重度の認知症であった場合は、遺言書が無効になるケースもあります。

https://www.eranda.jp/column/grave

遺産分割協議で騙されないためには

もし今後、相続人になる可能性がある場合、遺産分割協議書で騙されないためにも、しっかりと対策を練っておきましょう。

ここでは、遺産分割協議書で騙されないための対策法をいくつか紹介します。

第三者を交えて協議する

遺産分割協議書で騙されないようにするためには、遺産分割協議で第三者を交えて協議するのが一番おすすめです。

第三者といっても誰でも言い訳ではなく、後見人や弁護士など公平に物事を判断できる人を交えてください。

また、公平に判断できる第三者が一人いるだけで、スムーズに協議を進行できます。

他の相続人と良好な関係を作る

他の相続人と良好な関係を保つことも大切です。

相続人同士だからといって、全員が深い関係の人たちというわけではありません。

中には、初対面の人もいるでしょう。

相続人の中で孤立してしまったり、敵を作らないためにも他の相続人と積極的に会話をし、相談できるような環境を作っておきましょう。

法的知識を持っておく

遺産に関しての法的知識をある程度蓄えておくことも、騙されない対策に繋がります。

協議に参加する前には、遺留分や期限、遺産分割協議調停などの知識を予習しておくだけでも十分です。

遺産に関しての知識がない状態で、協議に参加するのだけは避けましょう。

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遺産分割協議書で騙されたまとめ

ここまで、遺産分割協議書で騙されたときの対処法について解説しました。

まとめると以下の通りです。

  • 遺産分割協議書は取り消せる
  • 遺産分割協議書を取り消すときは、取り消す旨を相続人全員に伝える
  • 遺言書偽造は、筆跡鑑定や状況分析で判断
  • 遺産分割協議で第三者を交えて協議すると、騙されにくくなる

これらの情報が少しでも皆様のお役に立てば幸いです。

最後までご覧いただき、ありがとうございました。

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監修者

評価員(はかまだ)

袴田 勝則(はかまだ かつのり)

厚生労働省認定 葬祭ディレクター技能審査制度 一級 葬祭ディレクター

経歴

業界経歴25年以上。当初、大学新卒での業界就職が珍しい中、葬儀の現場で数々のお葬式を担当し、身寄りのない方の弔いから皇族関係、歴代首相などの要人、数千人規模の社葬までを経験。さらに、大手霊園墓地の管理事務所にも従事し、お墓に納骨を行うご遺族を現場でサポートするなど、ご遺族に寄り添う心とお墓に関する知識をあわせ持つ。

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