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相続

遺産分割協議書は必ず必要か?判断基準を解説

更新日:2022.04.18

遺産

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記事のポイントを先取り!

  • ・遺産分割協議書とは遺産分割協議で決定した内容を記載した書類
  • ・相続人が多い場合には遺産分割協議書を作成
  • ・法定相続人が一人だけのケースは、遺産分割協議書は不要

故人に遺産があった場合、遺産分割をすることが一般的ですが、遺産分割協議書についてはご存じでしょうか。トラブルを未然に防ぐためにも正しい知識を身に着けることは大切です。

そこでこの記事では、遺産分割協議書の必要性について解説します。

この機会に、遺産分割協議書が必要なケースや正しい流れを覚えておきましょう。
後半では、遺産分割協議書を専門家に依頼する場合についても触れているので、ぜひ最後までご覧ください。

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  1. 遺産分割協議書とは
  2. 遺産分割協議書が必要な場合
  3. 遺産分割協議書が不要な場合
  4. 遺産分割協議書が必要になる手続き
  5. 遺産分割協議書を作成するまでの流れ
  6. 遺産分割協議書の書き方
  7. 遺産分割協議書を作成する際の注意点
  8. 遺産分割協議書を専門家に依頼する場合
  9. 遺産分割協議書の作成費用は誰が負担するの?
  10. 遺産分割協議書は必要か
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遺産分割協議書とは

遺産分割協議書とは、法定相続人全員が話し合いをする遺産分割協議で決定した内容を記載したものです。

この遺産分割協議書は、預貯金や株式、自動車の名義変更や不動産の相続登記などの手続きを行う際に必要になります。
あとあと相続人や遺族間でトラブルにならないようにするためにも遺産分割協議書は大切なものになります。

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遺産分割協議書が必要な場合

次に、遺産分割協議書が必要なケースについて紹介していきます。

どのようなときに必要なのか知っておけば、スムーズに手続きを進めることが可能になるので、以下を参考にしてください。

遺言書が無いまたは内容に不備がある場合

正しく記載された遺言書には法的効力があるので、遺言書の通りに遺産分割を進めることができます。
しかし、遺言書がない場合や遺言書に不備があり効力がない場合には遺産分割協議が必要になります。

無効になる具体的なケースとしては、認知症や病気の進行により正常な判断ができない状態であった場合遺言書の書き方を間違えていた場合などが挙げられます。

相続人が複数いる場合

相続人が複数人いる場合は、相続トラブルに発展する懸念が考えられます。

遺産分割協議書があることで、話し合いの内容を記録することができ、証明となりますので、相続人が多い場合には遺産分割協議書を作成することをおすすめします。

法定相続分と異なる割合で分割する場合

遺言書がない場合には、法定相続に従って遺産相続をしていくことが多いのですが、何らかの理由により法定相続と異なる割合で分割するケースもあります。
このようなケースでは、他の相続人にも納得していただくことが必要になります。

遺産分割協議にて法定相続人全員が納得したことを証明するためにも、遺産分割協議書を作成していくことが大切になります。

遺産分割協議書が不要な場合

次に、遺産分割協議書が不要なケースについて紹介していきます。

下記の場合、遺産分割協議書は不要になりますので、参考にしてください。

相続人が1人だけの場合

法定相続人が1人だけのケースにおいて、故人の遺産は全てこの1人に相続されるので、遺産分割協議書は不要になります。
このようなケースでは、他の法定相続人がいないのでトラブルになるリスクもないため、必要としません。

遺言書がある

故人が残した遺言書があり、この遺言書の通りに遺産分割をする場合には、遺産分割協議書は不要になります。

なお、遺言書は勝手に開封してはいけなく、自筆証書遺言や秘密証書遺言の場合には家庭裁判所の検認が必要になるので覚えておきましょう。

遺産分割調停・審判を利用する場合

遺産分割協議書で法定相続人が納得せず結論がでなかった場合には、家庭裁判所に調停や審判を依頼していくことになります。
このようなケースでは、遺産分割協議書は必要ありません。

この理由として、調停では調停調書が作成され、審判では審判書が作成されるため、これが遺産分割協議書の代わりになるためです。

法定相続分での相続

不動産において、法定相続分で持分の登記を行うケースでは、遺産分割協議書は不要になります。

法定相続分の一例について以下にまとめます。

  • 相続人が故人の配偶者や子どものケース

配偶者:2分の1
子ども:2分の1×子どもの人数

  • 相続人が故人の親であるケース

配偶者:3分の2
親:3分の1×親の人数

  • 相続人が故人の兄弟・姉妹であるケース

配偶者:4分の3
親:4分の1×兄弟姉妹の人数

  • 相続人が子供・直系尊属・兄弟姉妹で複数人いるケース

それぞれの相続分は同じ割合になります。

※父母のうちどちらか一方のみを等しくする兄弟姉妹の相続分は、父母の双方とも等しくする兄弟姉妹の相続分の2分の1になります。

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遺産分割協議書が必要になる手続き

ここからは遺産分割協議書が必要になる手続きについて紹介していきます。

それぞれの手続きごとに詳しく説明していきますので、以下を参考にしてください。

預金の名義変更・払い戻し

預金の名義変更や払い戻しの際には、金融機関に遺産分割協議書を提出する必要があります。

この他にも必ず必要になるものを以下に紹介します。

  • 相続人全員の印鑑登録証明書  ※相続放棄した人を除きます

未成年者の場合には法定代理人の印鑑登録証明書が必要になります。
住んでいる地域の市区町村役場で手に入れることができます。

  • 相続に関する依頼書  ※この名称は各金融機関によって異なります

こちらは金融機関にて用紙をもらい、記載していきます。

  • 通帳・証書・キャッシュカード類

ケースによってはこの他にも必要になるものがあるので、詳しくは金融機関に確認することをおすすめします。

株式の名義変更

株式の名義変更の際には遺産分割協議書を証券会社に提出する必要がありますが、この他に必要なものは以下の通りです。

  • 相続人全員の印鑑登録証明書  ※相続放棄した人を除きます

未成年者の場合には法定代理人の印鑑登録証明書が必要になります。
住んでいる地域の市区町村役場で手に入れることができます。

  • 金融機関所定の書類  ※株式名義書換請求書や株主票など

金融機関で用紙をもらって記載していくことになります。
法定相続人の中に相続放棄をした人がいる場合などには、この他にも必要になる書類がありますので注意してください。

不動産の名義変更

不動産の名義変更手続きでは法務局に遺産分割協議書を提出する必要があります。

遺産分割協議書以外にも必要になるものを以下にまとめます。

  • 相続人全員の印鑑登録証明書  ※相続放棄した人を除きます

未成年者の場合には法定代理人の印鑑登録証明書が必要になります。
住んでいる地域の市区町村役場で手に入れることができます。

  • 不動産を取得する相続人の住民票

住んでいる地域の市区町村役場で手に入れることができます。

  • 最新年度の固定資産税評価証明書または固定資産税納税通知書

固定資産税評価証明書は、不動産がある市町村役場で入手でき、特別区のケースでは都税事務所にて入手できます。
固定資産税納税通知書は、故人に郵送されています。

法定相続情報一覧図のコピーがない場合や相続放棄をした人がいるケースではこの他にも必要になるものがあります。
状況によって必要書類は異なるので、詳しくは法務局に確認することをおすすめします。

自動車の名義変更

自動車の名義変更は正式には移転登録といいます。
移転登録の際には、運輸支局に遺産分割協議書を提出する必要があります。

実際にはディーラーや行政書士等などの専門家に依頼するケースが多いようです。
依頼した場合にはナンバープレートの変更や車庫証明の取得の有無によって代行手数料が必要になりますので、覚えておきましょう。

相続税の申告相続税の申告をするとき

相続税の申告相続税を申告する際には、税務署に遺産分割協議書を提出する必要があります。

この他に必要な書類は以下の通りです。

  • 相続人全員の印鑑登録証明書  ※相続放棄した人を除きます

未成年者の場合には法定代理人の印鑑登録証明書が必要になります。
住んでいる地域の市区町村役場で手に入れることができます。

  • 相続時精算課税適用者の戸籍の附票 ※相続時精算課税適用者がいる際に必要です

本籍地の市区町村役場にて手に入れることができます。

この他にもケースバイケースで必要な書類が異なるので、詳しくは税務署に相談することをおすすめします。

遺産分割協議書を作成するまでの流れ

次に遺産分割協議書を作成するまでの流れについて紹介していきます。

流れを知ることで、スムーズに手続きを進めていけるので、以下を参考にしてください。

相続人を確定させる

まずは相続人がだれであるのかを確定させていきます。
相続人を確認するためには、故人の戸籍謄本を取り寄せる必要があります。

認知した子どもも相続人とされるので、遺産分割協議の際には参加することになります。

遺言書がないか調査

正しく記載された遺言書は法的効力があるのでほとんどの場合、故人が望んだ通りに遺産分割をすることができます。
遺言書の有無は遺産分割に多く影響を与えるため、遺言書があるのかどうかしっかりと確認することは非常に大切なことになります。

不動産などの相続財産を調査

次に、故人が残した相続可能な財産はどの程度あるのか調べていきます。

遺産の中には不動産や預貯金、有価証券などのプラスの財産だけでなく、借金や未払い金、買掛金などのマイナスの財産も含まれます。
そのため、相続するかどうかは全体のバランスを見て検討するケースが多いです。

遺産分割協議をする

遺言書がない場合には、相続人全員で遺産分割の分配割合についての話し合いをしていく必要があります。
遺産相続は法定相続人全員が納得しなければ次に進めることができないので、ここで納得いくまで話し合うことが大切になります。

遺産分割協議書を作成

遺産分割協議にて遺産の分配割合について決定したら、相続人全員が納得したことを証明するために遺産分割協議書を作成します。

遺産分割協議書の書き方や注意点は以下の章で説明していくのでそちらをご覧ください。

相続財産の名義変更・登記手続きをする

相続割合が決まったら、相続する財産の名義変更や登記手続きをしていきます。
手続きごとに必要な書類が異なるので、事前に確認してから行うようにしましょう。

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遺産分割協議書の書き方

次に遺産分割協議書の書き方について紹介していきます。

書き方のポイントを押さえればスムーズに遺産分割協議書の作成が進みます。

書式に決まりはない

遺産分割協議書には書式に明確な決まりはありません。手書きでもパソコンでも縦書きでも横書きでも問題ありません。
書式の決まりはないものの、必要な記載事項は決まっています。

以下の項目は必ず記載するようにしましょう。

  • 故人の氏名と死亡日
  • 相続人が遺産分割内容に合意していること
  • 相続財産の具体的な内容
  • 相続人全員の氏名や住所、実印の押印

相続人が未成年の場合には法定代理人の実印の押印と印鑑証明書が必要です。

項目ごとの作成方法

次に項目ごとの作成方法について紹介していきます。

以下を参考にして正確に記載するようにしましょう。

不動産

不動産については事項証明書や登記簿謄本を参考にして、所在や地番、家屋番号などを正確に記載しましょう。
所在地が間違えていた場合には、再度一から遺産分割協議書を作成し直さなければいけなくなるので注意してください。

預貯金

預貯金については、残高証明書を取得して以下を正しく記載することをおすすめします。

  • 金融機関
  • 支店名
  • 口座の種類
  • 口座番号

      

有価証券

有価証券については、定期的に自宅に送られてくる取引明細や残高証明書をもとに正確に情報を記載してください。

遺産分割協議書を作成する際の注意点

次に、遺産分割協議書を作成する際の注意点について紹介していきます。

以下の注意点を考慮して正しい遺産分割協議書を作成しましょう。

相続税の申告期限までに作成する

相続税は10カ月以内に申告することが定められています。
申告期限を過ぎてしまうと、最大で2〜3割の無申告加算税が課せられることもあるので注意が必要です。

相続人全員が分割協議に参加し同意した内容であること

遺産相続では、相続人全員が分割協議に参加して同意していなければいけません。
1人でも欠けていた場合には無効となってしまうので注意が必要です。

相続人全員の自署と実印の押印が必要

遺産分割協議書では相続人全員の自署と実印の押印が必要であり、これによって全員が納得して出した遺産分配の割合であることが証明されます。

不動産は登記簿の通りに記載する

不動産は登記簿の通りに記載することが必須であり、所在地が少しでも異なる場合には遺産分割協議書が無効になります。

枚数や通数が増える場合は「契印」・「割印」が必要

遺産分割協議書の枚数が多い場合には、用紙と用紙の間に相続人全員の契印と割印が必要になるので覚えておきましょう。

実印を押印して全員が1通ずつ所持

遺産分割協議書は、後のトラブルを防ぐためにも相続人全員分を作成し、各自が1通ずつ所持することをおすすめします。
登記申請の際は、遺産分割協議書は1通で足りるのですが、何かあったときのための対処を考えておくことが大切です。

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遺産分割協議書を専門家に依頼する場合

遺産分割協議書の作成にあたっては、さまざまなルールがあるので税理士や弁護士などの専門家からアドバイスを受けることをおすすめします。

次に遺産分割協議書を専門家に依頼するケースの対応について紹介していきます。

弁護士

弁護士に遺産分割協議の代理を依頼していた場合には、遺産分割協議書の作成もそのまま弁護士に依頼することがほとんどです。
弁護士に遺産分割協議書代理を依頼する際の費用には、遺産分割協議書作成の費用も含まれていることが大半になりますのでご安心ください。

行政書士

遺産分割協議が終了して相続手続きを行政書士に依頼した場合には、遺産分割協議書の作成も行政書士に依頼するケースが多いです。
遺産の中に不動産がない場合には、他の専門家に依頼するより費用が安く済む傾向にあるので行政書士に相続手続きを依頼することをおすすめします。

相続手続きは依頼せずに遺産分割協議書のみ作成する場合にも依頼できるので、まずは相談してみるといいです。

司法書士

行政書士は不動産の相続手続きをすることができませんが、司法書士であれば可能です。
そのため、遺産分割協議書の作成を行政書士に依頼して不動産を含む相続手続きを司法書士に依頼するケースがあります。

遺産分割協議書の作成費用は誰が負担するの?

最後に、遺産分割協議書の作成費用は誰が負担するのかについて解説していきます。

作成費用を誰が負担しなければいけないといった明確な決まりはありません。
そのため、相続人同士でよく話し合って自由に決めていただいて問題ありません。

もし、相続人同士の話し合いで決まらないケースでは、相続割合のバランスを見て公平に負担できるように考慮することをおすすめします。

弁護士に依頼した場合には、依頼した本人が支払う形になります。
遺産分割協議書の作成費用については、相続税を計算する際には控除には入らないため、覚えておきましょう。

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遺産分割協議書は必要か

ここまで遺産分割協議書の必要性について解説してきました。

まとめると以下の通りです。

  • 遺言書がない場合や遺言書の効力がない場合には遺産分割協議が必要
  • 法定相続分と異なる割合で分割する場合は遺産分割協議書を作成すべき
  • 遺産分割協議書では相続人全員の自署と実印の押印が必要

これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。

最後までご覧いただき、ありがとうございました。

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監修者

評価員(かまた)

鎌田 真紀子(かまた まきこ)

国家資格 キャリアコンサルタント ・CSスペシャリスト(協会認定)

経歴

終活関連の業界経歴12年以上。20年以上の大手生命保険会社のコンタクトセンターのマネジメントにおいて、コンタクトセンターに寄せられるお客様の声に寄り添い、様々なサポートを行う。自身の喪主経験、お墓探しの体験をはじめ、終活のこと全般に知見を持ち、お客様のお困りごとの解決をサポートするなど、活躍の場を広げる。

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