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相続

遺産の相続税はいくらから?各種控除と計算方法・納税期間を紹介

更新日:2022.04.18

遺産

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記事のポイントを先取り!

  • ・遺産の相続税は、最低3,600万円の基礎控除がある
  • ・基礎控除以外にも控除の特例がある
  • ・法定相続人の数により相続税が変わる
  • ・相続税がかからない財産もある

遺産を相続したときの相続税についてご存知ですか?
相続税には、各種の控除があることを知っておきましょう。

この記事では、遺産の相続税について詳しく説明していきます。

いざというときのために、遺産の相続税とはどのようなものなのか理解しておきましょう。
相続税の計算や節税対策にも触れていますので、ぜひ最後までご覧ください。

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  1. 相続税とは
  2. 遺産の相続税はいくらから?
  3. 相続税を計算する際に必要な情報
  4. 相続税の計算方法
  5. 遺産の相続税はいつまでに支払う?
  6. 相続税がかかる財産の種類
  7. 遺産の相続税の注意点
  8. 相続税の節税対策18選
  9. 遺産の相続税のまとめ
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相続税とは

相続税とは、故人の遺産を相続し、それが一定額より多かった場合に払わなければならない税金のことです。
ですが、絶対に払わなくてはならないというわけではありません。
どの程度の遺産を相続したのか、その額によっては相続税がかからないこともあります。

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遺産の相続税はいくらから?

相続税には基礎控除があり、基礎控除額よりも多い額の遺産を相続した場合にだけ、相続税が発生します。
基礎控除額は、条件により変動することはありますが、最低額は3,600万円だと考えておいてください。
ですので、3,600万円以下の遺産を相続したとき税金はかかりません。

相続税がかかるのは、3,600万円以上の遺産を受け取ったときだけです。
しかし実際は、3,600万円以上の遺産を相続したときも、相続税がかからない場合があります。

相続税の基礎控除額とは

相続税の基礎控除額を求めるための計算式は、次の通りです。

3,000万円+(600万円×法定相続人の数)

法定相続人が1人ならば、3,000万円+600万円=3,600万円で、これが基礎控除の最低額となります。

法定相続人が2人いれば、3,000万円+(600万円×2)=4,200万円

法定相続人が3人いれば、3,000万円+(600万円×3)=4,800万円

このように法定相続人が増えれば、600万円ずつ基礎控除額が上がることになります。

基礎控除額の範囲内の場合

もし、3,600万円以上の遺産を相続した場合でも、法定相続人が2人、3人と多くなればなるほど、基礎控除額も増えます。
基礎控除額の計算式で出された額が、相続した遺産よりも多ければ、3,600万円以上の遺産を相続しても税金はかからないのです。

基礎控除額を超えた場合

例えば、法定相続人が5人で、相続した遺産が1億円の場合、先ほどの計算式に当てはめると基礎控除額は6,000万円、残りは4,000万円です。

このように3,600万円以上の遺産がある場合、税金はかかるのでしょうか?

実はこの場合も絶対に相続税がかかるというわけではありません。
以下に並べたような特例や控除を利用することで、相続税がかからない場合もあるのです。

贈与税額控除

故人が亡くなるまでに贈与した財産について払った贈与税は、相続税額から控除されます。

配偶者に対する相続税額の軽減

配偶者が相続した遺産の額が、1億6,000万円以下もしくは法定相続分までなら、相続税はかかりません。

未成年者控除

20歳未満の法定相続人がいる場合「20歳から遺産を相続した年齢を引いた数×10万円」が、控除されます。

障害者控除

法定相続人の中に85歳未満の障害者がいる場合「85歳から遺産を相続した年齢を引いた数×10万円(特別障害者は20万円)」が控除されます。

相次相続控除

相続してから10年以内に、2回目の相続があったとします。
もし、1回目の相続で税金を納付していれば、2回目の相続税額から一定の金額が控除されます。

外国の財産に対する相続税額の控除

外国にある財産を相続し、その外国で相続税もしくは贈与税に相当する税金を払っている場合は、相続税額から一定の控除が受けられます。
相続税の二重払いを防止するための控除です。

贈与税額控除

相続時精算課税贈与税を納付している場合は、その税額分が相続税額から控除されます。
もし相続税額から控除してもまだ控除しきれないような贈与税額なら、その税金分は還付という形で戻ってきます。

小規模宅地等の特例

被相続人が住んでいたり、使っていたりした住居や事業用などの宅地は、一定の条件を満たせば、評価額が最大80%減額されます。

これらの特例や控除制度が利用できる方は、多くいらっしゃいますので、一度確認されることをおすすめします。

注:配偶者に対する相続税額と小規模宅地等の特例は、相続税がかからなくても申告しなければなりません。

相続税を計算する際に必要な情報

相続税を計算するために必要なのは、正味の遺産総額と法定相続人の正確な数です。
正味の遺産とは、被相続人が死亡した時点で持っていた財産として価値のあるものの、ほぼすべてが対象となります。
そして遺産には、プラスの財産以外にマイナスの財産(借金など)も含まれます。

正味の遺産総額

遺産として相続税の対象とされる財産は、次のようなものです。

本来の相続財産

  • 現金や預貯金
  • 土地や建物などの不動産
  • 株式などの有価証券
  • 国債などの債権
  • 宝石や貴金属類
  • 売掛金や棚卸資産などの個人事業資産
  • 特許権や著作権などの権利
  • ゴルフ会員権
  • 骨董品
  • 家財などの一般動産

生前の贈与財産

  • 相続開始の3年前までに被相続人から贈与された財産
  • 相続時精算課税の適用を受けた財産

みなし相続財産

みなし相続財産とは、被相続人が所有していた財産以外であるが、相続財産の対象となるもののことです。

  • 非課税枠枠を超えた分の生命保険金
  • 非課税枠を超えた分の死亡退職金
  • 損害保険金
  • 慰労金

法定相続人の数


法定相続人とは、民法で定められた相続人のことです。
実際に財産を相続する相続人と法定相続人が必ずしも同じとは限りません。

親族の中で、必ず法定相続人になるのは、婚姻届けを出した配偶者です。
内縁関係の場合は法定相続人に含まれません。

法定相続人は、民法で順位が決められています。

第1順位:配偶者・子供(子供が死亡している場合は孫)

第2順位:父母(父母が死亡している場合は祖父母)

第3順位:兄弟姉妹(死亡している場合は甥・姪)

もし被相続人に養子がいる場合は、上限付きで法定相続人に含まれます。

被相続人に実子がいる・・・養子は1人までが法定相続人

被相続人に実子がいない・・・養子は2人までが法定相続人

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相続税の計算方法

実際に相続税を計算してみましょう。

被相続人が夫、法定相続人が妻と子供2人、夫が残した財産が1億円とすると、

基礎控除額 3,000万+(600万円×3人)=4,800万円

課税遺産総額  1億円-4,800万円=5,200万円

となります。

①:課税遺産総額を法定相続人分で分ける

妻  5,200万円×1/2=2,600万円

子  5,200万円×1/4=1,300万円 2人それぞれの分

②:①に相続税率をかけて控除額を引く

妻  2,600万円×15%-50万円(控除額)=340万円

子  1,300万円×15%-50万円     =145万円

③:②で求めた全員の相続税額を合算する

340万円+145万円×2=630万円

④:遺産の取得割合に応じて分ける

妻  630万円×1/2=315万円

子  630万円×1/4=157.5万円

妻と子それぞれの相続税額がこのように計算できます。
配偶者は、1億6,000万円以下か法定相続分内なら相続税がかからないという控除特例があります。
ですので、この場合配偶者には相続税がかかりません。

実際に相続税を計算するときは、このように簡単に算出できるとは限りません。
法定相続人の順位や数によっては、複雑になってきます。
ですが、基本の算式がわかっていれば、概算だけでも計算でき、気持ちにも余裕が持てます。

遺産の相続税はいつまでに支払う?

相続税は、相続をしたことを知った日(被相続人が亡くなった日)の翌日から10か月以内に申告・納税しなければなりません。
申告・納税先は、被相続人の住所地の所轄税務署です。
相続人の住所地ではありませんので注意してください。

【延納制度】

10万円以上の相続税で、納期限までに一括で税金を納付することが難しい場合は、申請すれば利子税はかかるものの、年賦払いでの納税に変更できます。

【物納制度】

延納制度を利用しても、金銭で納税することが難しい時は、申請すると相続した財産で納税できる場合もあります。

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相続税がかかる財産の種類

相続税は、被相続人のすべての資産が対象となるわけではなく、相続税がかかる財産と、相続税がかからない財産があります。

相続税がかかる財産

不動産

  • 宅地
  • 山林
  • 畑や農地
  • 借地権
  • 駐車場
  • 借家権
  • 倉庫など

金融財産

  • 現金
  • 預貯金
  • 投資信託、株式、国債などの有価証券など

その他

  • 家具
  • 自動車
  • 宝石や貴金属類
  • 入院保険金
  • 売掛金
  • ゴルフ会員権
  • 著作権
  • 商標権
  • 特許権など

相続税がかからない財産

相続税がかからない財産には以下のようなものがあります。

墓地・仏壇など

投資対象となるような高価なものや骨董品としての価値があるものは相続税の対象になります。

死亡保険金

500万円×法定相続人の数までの金額は非課税です。
相続放棄をした人や相続しない人でも法定相続人ならその人数も含めます。

例:2000万円の死亡保険金で法定相続人が3人
2,000万円-500万円×3人=500万円
課税対象は、500万円のみ。

死亡退職金

死亡保険金と同様に500万円×法定相続人の数までの金額は非課税となります。

寄附した財産

国や地方公共団体、特定の公益法人や認定NPO法人などへの寄付があり、一定の条件を満たした場合、寄付した財産については相続税の対象外です。

遺産の相続税の注意点

ここまで、様々な解説をお読みになって、少し混乱してきたかもしれません。
一息つく意味でも、ここで相続税において気を付けるべき点をまとめておきます。

遺産相続はいくらまで税金がかからない?

遺産総額から控除できる額は、
3,000万円+(600万円×法定相続人の数)
法定相続人が1人なら、3,600万円まで
法定相続人が2人なら、4,200万円まで
法定相続人が3人なら、4,800万円まで
以降も法定相続人1人に対し、600万円ずつ足した金額までなら税金はかかりません。

遺産相続の贈与税はいくらから?

贈与税がかかるのは、原則として110万円からです。
毎年1月1日から12月31日までに贈与された金額が110万円を超えると贈与税がかかってきます。

遺産相続人とは誰まで?

相続人の範囲は、被相続人から見て、父母・祖父母から子・孫・ひ孫という直系の親族と兄弟姉妹と甥・姪です。
配偶者は、もちろん常に相続人となっています。

相続する順位は、
配偶者→子→孫→父母→祖父母→兄弟姉妹→甥・姪、と考えておけばよいでしょう。

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相続税の節税対策18選

最後に相続税の節税対策を紹介します。
正しい節税対策をすることで、相続税の金額を大幅に減らすことも可能ですので、早めの対策を心がけてください。

生前贈与をし、相続財産を減らす

生きているうちに財産を個人に贈与することを生前贈与と言います。
生前贈与することで、相続時の財産を減らせます。
1年間で110万円までの贈与は、非課税ですので、110万円以内の贈与なら、相続税の節税対策としては最適です。
ただし、贈与する場合は、現金ではなく、銀行振り込みや贈与契約書などを作成しましょう。
生前贈与をしたという証拠がないと、税務署から生前贈与が認められないことがあります。

110万円までは非課税だからと、毎年同じような金額を贈与すると、定期贈与とみなされて、贈与税の対象になります。

また、亡くなる3年以内の生前贈与は相続税の対象になりますので、注意してください。

生命保険金等の非課税枠を使う

生命保険金には、「500万円×法定相続人の数」の金額が相続税非課税となります。
これを利用して、節税することが可能です。

現金・預貯金が1億円ある場合、1,000万円の生命保険に入ったとすると、現金・預貯金は9,000万円になります。

法定相続人が2人なら、生命保険金は1,000万円が非課税となり、相続税の対象にはなりません。
これで相続税の対象が、1億円から9,000万円になります。

子供・孫に生命保険をかける

生命保険は、初期の場合は解約払戻金(生命保険を途中解約した場合に支払われる金額)が低く設定され、後になるほど高くなるものがあります。

相続税の対象となるのは、解約払戻金の金額です。

そこで、子どもや孫の生命保険をかけて、支払いをし、解約払戻金が少ないうちに相続させると節税対策になります。

生命保険金を一時所得で受け取る

生命保険金には非課税枠がありますが、それを超える金額の生命保険金がある場合は、超えた分を一時所得として受け取ることで、相続税の節税になる可能性があります。

養子を迎えて法定相続人を増やす

養子縁組すると、法定相続人の数が増え、それに従い相続税の基礎控除額・生命保険金の非課税枠なども増えます。

節税対策としては単純な方法ですが、養子を迎えるということは、人の人生が変わる可能性も含んでいますので、慎重に考えてください。

小規模宅地等の特例を活用

親が所有する土地に、親と子供が住んでいた場合、親が亡くなり子供が土地を相続して住み続ければ、小規模宅地等の特例が利用できます。
相続税の土地評価額が、最大80%も減額できる制度ですので、もし親と同居しているなら、利用を考えてみてください。
故人が亡くなる前に一緒に住んでいた土地を、親族が相続して住み続ける場合もこの特例が適用されます。

家なき子特例の活用

故人が亡くなる前に住んでいた土地を相続して、小規模宅地等の特例を受けられるのは、同居していた親族だけとは限りません。
同居していなかった親族が相続した場合も、一定の条件を満たせば、特例が適用されます。

地積規模の大きな宅地の評価を活用

地籍規模の大きな宅地の評価とは、面積が広大な土地の評価額を減額できる制度のことです。
この制度を利用するには、一定の条件が必要ですが、利用できれば大きな節税となります。

更地があれば賃貸アパートの建築

もし更地として所有している土地があるなら、賃貸アパートを建築すれば節税になります。
ただし、空室が多いとその分お金が入ってきません。
借り手が見つかりやすい環境かどうかを見極めてから行動してください。

タワーマンション節税

タワーマンションは、購入価格と相続税評価額の差が大きくなりやすいので、節税対策としてタワーマンションを購入する方法があります。

生前に墓地・仏具を購入する

墓地や仏具、墓石は相続税がかかりませんので、生前に購入することで節税できます。
ただし、あまり高価な仏具などは、相続税の対象になりますので、気を付けてください。

相続税申告の費用を前払いする

相続税申告の際、税理士にお願いすると、もちろん費用が掛かります。
その費用を生前に前払いすることで、相続税の節税が可能です。
1億円の現金があった場合、仮に申告費用として税理士へ1,000万円を支払うとします。
そのうち500万円を前払いしておけば、現金は9,500万円に減り、相続税も減額できることになるのです。

会社への貸付金債権の整理

故人が中小企業の経営者などの場合、会社にお金を貸していることがあります。
もし、故人がお金を返してもらわないまま亡くなっていたら、その貸付金に対する相続税も払わなければなりません。
会社からすぐにお金を返してもらえればよいですが、回収不能となった場合は、相続税の負担が大きくなります。
会社への貸付金は、できるだけ生前に整理しておきましょう。

教育資金贈与信託の活用

教育資金贈与信託とは、子や孫の教育資金を信託銀行に管理してもらうことで、1,500万円まで贈与税が非課税になる制度です。
これには年齢制限があり、子や孫が30歳未満でないと適用されないことになっています。

また、子や孫が30歳になるまでに、信託銀行に預けていたお金を使いきれなかった場合は、残額に贈与税がかかりますので注意が必要です。

相続時精算課税制度の活用

60歳以上の父母・祖父母から20歳以上の子・孫に財産を贈与する場合、相続時精算課税制度を利用すると、最大2,500万円までが非課税となります。
ただし、相続するときには、その分にも相続税がかかるため、相続税の節税にはなりません。

ですが、贈与する財産がこれから値上がりする不動産の場合なら、節税になる可能性があります。
例えば評価額が2,500万円の時に子や孫に贈与したとしましょう。
相続するときには、その不動産の評価額が4,000万円になっていても、贈与したときの2,500万円にしか相続税がかかりません。
結果的に1,500万円分の相続税が節税できたことになります。

収益不動産の贈与

駐車場や賃貸マンションなどを所有していると、家賃などの収入があります。
それらはすべて相続税の対象になります。
生きているうちに、子や孫に贈与すれば、家賃収入は子や孫が受け取るので、相続財産が増えるのを抑えられます。

不要な不動産の処分

使っていない別荘や、山などの不動産があれば、処分してしまうことで相続税の節税になります。

死亡退職金等の非課税枠を使う

死亡退職金にも生命保険金と同じように非課税枠があります。
500万円×法定相続人の数が非課税額です。
これを利用することで相続税の節税になる可能性があります。

遺産の相続税のまとめ

ここまで、遺産の相続税について、遺産総額や相続税の計算方法、相続税の控除などについてお伝えしてきました。
この記事にポイントをおさらいすると以下の通りです。

  • 遺産の相続税は、最低3,600万円の基礎控除がある
  • 基礎控除以外にも控除の特例がある
  • 法定相続人の数により相続税が変わる
  • 相続税がかからない財産もある
  • 相続税の節税対策として生前贈与などがある

これらの情報が少しでも皆様のお役に立てば幸いです。

最後までご覧いただき、ありがとうございました。

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監修者

評価員(かまた)

鎌田 真紀子(かまた まきこ)

国家資格 キャリアコンサルタント ・CSスペシャリスト(協会認定)

経歴

終活関連の業界経歴12年以上。20年以上の大手生命保険会社のコンタクトセンターのマネジメントにおいて、コンタクトセンターに寄せられるお客様の声に寄り添い、様々なサポートを行う。自身の喪主経験、お墓探しの体験をはじめ、終活のこと全般に知見を持ち、お客様のお困りごとの解決をサポートするなど、活躍の場を広げる。

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