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相続

兄弟には遺産の一部の「遺留分」が認められていない?その理由とは?

更新日:2022.04.29

遺産

記事のポイントを先取り!

  • 遺留分は最低限の遺産の取得権利
  • 兄弟の相続順位は第三順位
  • 遺言書の無効により取得の可能性
  • 遺留分が認められない人もいる

兄弟には遺産の一部の遺留分が認められていないことをご存じですか。兄弟に遺留分が認められていない理由について知っておきましょう。

そこでこの記事では、兄弟に認められていない遺留分について解説します。

この機会に、兄弟に遺留分が認められていない理由について覚えておきましょう。
後半では、遺留分の対象となる財産について触れているので、ぜひ最後までご覧ください。

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  1. 遺産遺留分とは
  2. 兄弟の遺産遺留分とは
  3. 兄弟に遺産遺留分が認められていない理由
  4. 遺留分が無い兄弟でも遺産がもらえる方法
  5. 兄弟以外の遺産遺留分の割合
  6. 遺産遺留分が認められない人
  7. 遺留分の対象となる財産とは?
  8. 兄弟の遺産遺留分のまとめ 
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遺産遺留分とは

遺留分とは、一定の範囲の法定相続人に認められた、最低限の遺産を取得できる権利のことをいいます。

もし遺留分を侵害された場合には、遺産の相続人に不足分を請求することができます。

例をあげると、故人には妻がいるのにもかかわらず、遺産は全て愛人に渡すという内容の遺言書を作成していたとします。

この場合、妻の遺留分が相続財産の2分の1であれば、妻は愛人に対して、遺留分として相続財産の2分の1を受け取る権利があるため、相続財産の2分の1を請求することができます。

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兄弟の遺産遺留分とは

法定相続人になっても、兄弟に遺留分は認められていません。

遺留分が認められているのは、配偶者、直系卑属である子や孫、親などの直系尊属です。

たとえ、兄弟が法定相続人になっていても、故人の遺言によって相続財産を受け取ることができなかった場合、何の権利の主張もできません。

つまり、兄弟として法定相続人になっても、

「全部の遺産を他人に寄贈する」
「配偶者にすべての遺産を相続させる」
「何人も兄弟がいるにもかかわらず一番上の兄だけ相続させる」

などの遺言が残され遺産がもらえない場合であっても、兄弟には遺留分がないため何も請求できないということになります。

兄弟に遺産遺留分が認められていない理由

兄弟に遺産の遺留分が認められていないのはなぜでしょうか。

大きく三つの理由について説明していきます。

被相続人との関係がもっとも遠いから

兄弟に遺留分が認められていない大きな理由としては、被相続人との関係性が最も遠い関係だからと言われています。

遺産相続は遺産を取得する順位が決まっていて、第一順位が子または孫である直系卑属、第二順位は父母または祖父母にあたる直系尊属、第三順位が兄弟姉妹となっています。

すなわち、兄弟が遺産を取得するのは、被相続人に子や孫、父母または祖父母がいない場合に限られます。
しかも、被相続人に配偶子がいる場合は4分の1しか取得できません。

兄弟には代襲相続が認められているから

兄弟に遺留分が認められていない理由として、兄弟姉妹には代襲相続という制度があるためだと言われています。

代襲相続とは、相続欠格・相続廃除を原因として相続権を失っていた場合、相続人となる予定だった者に代わって、直系卑属である子が相続分を承継する制度です。

兄弟姉妹の子が代襲相続人になる場合は、被相続人から見ると甥や姪にあたる人が相続に参加することになります。

もしも兄弟姉妹に遺留分を認めることになると、甥姪にまで遺留分権が発生してしまい、被相続人がせっかく作成した遺言書の効力が一部否定されてしまいます。

これは遺言者にとって酷なのではないかという理由から、兄弟姉妹に遺留分を認めていなとされています。

経済的に困らないから

特別な事情が無い限り、兄弟の収入や遺産をあてにして生活している人はです。

配偶者や子供、両親は被相続人と暮らしを共にしているケースも多く、亡くなった後、経済的に困る可能性は大いに考えられます。

そのため、兄弟とは生計が別になっていることが多く、もし相続できなかったとしても、生活に支障がでることは考えにくいのではないでしょうか。

ただ、事情により兄弟で一緒に暮らしている場合や生活費の援助がある場合には、兄弟が亡くなることで経済的に困る可能性も考えられます。

このような場合には、確実に兄弟に財産を残すことができるように遺言書を作成しておいたり、生前贈与をしておくなど、相続が発生する前に対策をとっておく必要があります。

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遺留分が無い兄弟でも遺産がもらえる方法

遺留分がない兄弟でも、遺産がもらえる方法があります。
どのような方法があるのか詳しく説明していきます。

遺言に相続の旨の記載がある

被相続人が残した遺言書に相続させる旨の記載があれば、遺産を取得することができます。

法定相続分どおりの遺産分割

兄弟が法定相続人として法定相続分どおりの遺産分割を受けるのは、子または孫である直系卑属、父母または祖父母にあたる直系尊属がいない場合です。

被相続人に配偶者がいた場合には、配偶者の相続分は4分の3、兄弟の相続分は4分の1となります。

兄弟が何人かいた場合は、兄弟の相続分を人数分に分割します。

兄弟のみが相続する場合には、相続分を兄弟の人数で分割します。

遺言の無効を主張する

遺言書は法で定められた形式によって作成しなければいけません。
間違った方法で作成された遺言書は場合によっては無効となります。

遺言書の不備や、偽造や変造など本人が作成したものではない可能性がある場合には、遺言の無効を主張することができます。

遺言書の無効がとなれば、法定相続分の財産を取得することができます。

寄与分を請求する

被相続人の財産の増加や維持に貢献していた場合に、寄与分が認められることがあります。

例えば、被相続人の事業を無償で手伝っていた場合や、被相続人の介護をして出費を防いでいた場合は財産の増加や維持にあたる行為となります。

ただ、寄与分が認められるかどうかについては細かい条件があるため、詳しく調べておいたほうがよいでしょう。

兄弟以外の遺産遺留分の割合

兄弟には遺留分は認められていませんが、兄弟以外で遺留分が認められている場合の一般的な割合についてご説明します。

配偶者のみの場合

相続人が配偶者のみの場合、配偶者の遺留分は遺産の2分の1となります。

子のみの場合

相続人が子供のみの場合、遺留分は遺産の2分の1となります。

もし、相続するこどもが3人の場合、2分の1をさらに3等分するため、一人当たりの遺産の受け取りは6分の1です。

配偶者と子の場合

相続人が配偶者と子だった場合、遺留分の合計は遺産の2分の1となります。

その内の配偶者の遺留分は2分の1なので、遺産全体の4分の1です。

子供の遺留分は配偶者と同じ2分の1です。例えば子供が3人いた場合は、さらに3分割するので、子供一人当たりが、遺産全体の12分の1となります。

配偶者と直系尊属の場合

相続人が配偶者と直系尊属である父母だった場合、遺留分の合計は遺産の2分の1となります。

その内の配偶者の遺留分は3分の2なので、遺産全体の3分の1となります。

直系尊属である父母の遺留分は遺留分の合計の3分の1なので、遺産全体の6分の1です。

直系尊属のみの場合

相続人が直系尊属のみの場合、遺留分の合計は遺産の3分の1となります。

父親と母親が受け取る場合は、遺留分をさらに2分割するので、それぞれ遺産全体の6分の1を受け取ることになります。

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遺産遺留分が認められない人

遺産遺留分が認められている権利者の中でも、下記に該当する人は遺留分が認められません。
それぞれ詳しく説明していきましょう。

相続欠格になった人

相続をするために、殺人や脅迫などを犯してしまった方は、遺産を相続する権利が消失します。

遺産を不正に手に入れるために問題行動をおこしてしまった人が、相続人としての権利を失うことを、相続欠格と言います。

相続欠格となった人は、遺産遺留分が認められません。

相続排除になった人

被相続人の意思で相続人の権利を消滅することを相続排除と言います。

例えば、被相続人を虐待したり、屈辱的を与えた場合に、被相続人の意思で相続権を消滅させることができます。

相続排除になった人は、遺産遺留分が認められません。

相続放棄をした人

相続放棄とは、自ら遺産を相続する権利を放棄することをいいます。

そのため、相続放棄をした人には遺産遺留分が認められていません。

包括受遺者

包括受遺者とは、渡す財産を具体的に特定せずに、遺言書で全財産の20%、などと分数割合で遺贈を受けた人のことをいいます。

包括受遺者には遺産遺留分が認められていません。

遺留分の対象となる財産とは?

遺留分の対象となる財産は、亡くなった時点の財産だけではありません。
遺留分の対象となる財産を詳しく説明します。

相続開始時の財産

相続開始時の財産とは、被相続人が相続開始時に所有していた財産のことです。
遺贈された財産も含みますが、祭祀財産は除きます。

生前に贈与した財産

原則として、相続開始前1年以内に相続人以外に生前贈与したものに限って算入します。

なお、相続開始1年以上に生前贈与したものであっても、贈与当事者双方が遺留分権利者に損害を加えてしまうことを知って贈与したものは、遺留分算定に含まれます。

また、相続人に特別受益となる生前贈与した場合、原則として何年前に贈与されたものであっても、さらに遺留分権利者に損害を加えることを知らない場合であっても、遺留分算定に含まれます。

相続人に特別受益とならない生前贈与をした場合、原則として相続開始一年以内に贈与したものに限っては算入します。

なお、相続開始一年以上前にした贈与であっても、贈与当事者双方が遺留分権利者に損害を加えてしまうことをしって贈与したものは、遺留分算定に含まれます。

他にも、売買などによる有償処分であっても、不相当な対価で行われた有償処分で、当事者双方が遺留分権利者に損害を加えてしまうことを知っていた場合には、贈与とみなされます。

その場合には、財産から対価を差し引いた金額が贈与として、基礎財産に加算されます。

債務の額

遺留分の対象として、借金などの債務(マイナスの遺産)が含まれます。

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兄弟の遺産遺留分のまとめ 

ここまで、兄弟に認められていない遺留分について解説してきました。
この記事のポイントをおさらいすると以下の通りです。

  • 遺留分とは、一定の範囲の法定相続人に認められた最低限の遺産を取得できる権利
  • 兄弟に遺留分が認められていないのは、複数の理由がある
  • 遺留分が認められている権利者でも、相続失格者などは認められない

これらの情報が少しでも皆様のお役に立てば幸いです。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。

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監修者

評価員(たなか)

田中 大敬(たなか ひろたか)

厚生労働省認定 葬祭ディレクター技能審査制度 一級 葬祭ディレクター

経歴

業界経歴15年以上。葬儀の現場で数々のお葬式を担当し、身寄りのない方の弔いから著名人や大規模な葬儀までを経験。お葬式を終えた方々のお困りごとに数多く寄り添いサポートを行う。終活のこと全般に知見を持ち、特に士業や介護施設関係の領域に明るい。

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