相続
遺産を非課税にするには?生前贈与の非課税方法も紹介
更新日:2024.12.04 公開日:2022.05.14

記事のポイントを先取り!
- 相続税は控除額内であれば非課税
- 生前贈与で遺産総額を減らせる
- 祭祀財産は相続財産ではない
遺産を相続した場合、相続金に対して相続税がかかるのが通常です。
遺産を非課税にする方法があることはご存じでしょうか。
そこでこの記事では、遺産相続で非課税にする方法を詳しく説明していきます。
この機会に、遺産を相続する際の非課税にする方法を覚えておきましょう。
相続税が払えない場合についても触れていますので、ぜひ最後までご覧ください。
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相続税が非課税になる遺産
相続税が非課税になる財産とはどのようなものでしょうか。
以下で解説していきます。
基礎控除まで非課税対象
遺産にかかる相続税には、基礎控除と呼ばれる制度があります。
これは、遺産が一定額まで非課税になるというものです。
基礎控除は基本的に、どなたでも利用が可能です。
配偶者相続人の基礎控除
配偶者が相続人の場合には、配偶者控除によって1億6,000万円まで非課税になります。
また、1億6,000万円を超えたとしても、法定相続分を超えなければ非課税です。
法定相続分とは民法で定められた、相続の割合のことです。
配偶者や相続人の順位によって、それぞれ法定相続分が定められています。
配偶者の場合は、それを超えなければ非課税となるため、かなりの割合を非課税で相続が可能です。
血族相続人の基礎控除
法定相続人の数 | 基礎控除額 |
---|---|
1人 | 3600万円 |
2人 | 4200万円 |
3人 | 4800万円 |
血族相続人の場合、基礎控除額は相続人が1人の場合には3,600万円です。
この場合は、遺産総額が3,600万円以下であれば、非課税となります。
相続人が2人以上の場合は、1人につき600万円ずつ基礎控除額の枠が増額となります。
そのため、相続人が2人の場合は4,200万円、3人の場合は4,800万円です。
非課税なら申告は不要
遺産を相続した際に、基礎控除や各種特例を利用して、非課税となった場合は申告の必要はありません。
ただし、基礎控除額を超えた場合など、課税が発生した時には申告を忘れないようにしましょう。
相続税の申告は被相続人が亡くなった日から10ヶ月以内です。
これに間に合わないと、延滞税などがかかり、余計に税金を支払わなくてはなりません。
必ずいつまでに申告すべきか確認しておきましょう。
相続税を非課税にする方法

ここからは遺産を非課税にするための方法を紹介します。
遺産を非課税にするには、事前の対策が必要不可欠です。
以下の方法を使うことで、相続税を抑えることが可能なため、参考にしてください。
遺産を生前贈与する
生前贈与は、遺産をあげる側がまだ亡くなっていない内に財産を渡すことを指します。
生前贈与すれば、相続税の対象となる遺産を減らせて、遺産を控除額内に抑えた状態で非課税にすることも可能です。
ただし生前贈与で相続税はかかりませんが、代わりに贈与税がかかります。
贈与税と相続税のどちらが、課税額がより少ないかを考慮した上でどちらにするかを決定すると良いでしょう。
養子縁組する
養子縁組とは、血縁関係にない人を親子関係とすることを指します。
養子縁組した場合、法定相続人の人数が増加するため、基礎控除額もその分多くなります。
そのため、結果的に相続税を減らすことも可能となるのです。
相続税を非課税にしたい場合には、養子縁組することも視野に入れると良いでしょう。
小規模宅地等の特例を活用する
小規模宅地等の特例を活用すると、一定要件を満たした場合にその宅地の評価額を減額して相続できます。
これは居住用などの宅地に多額の税金がかかって、相続人が居住できなくなることを避けるための特例です。
ただし、この特例の利用には条件があります。
条件は以下の通りです。
- 特例が適用できる宅地の広さは330㎡まで
- 特例が利用できるのは配偶者・親族のみで、親族であっても細かい条件があるため適用できない場合もある
- 配偶者以外の場合、申告期限まで居住する必要がある
この特例を利用したい方は、上記の条件を満たしているか、事前に確認しましょう。
不動産を購入する
被相続人となる方が、事前に不動産を購入しておくことで節税対策になります。
これは不動産の評価額が路線価と呼ばれる指標で決められるためです。
路線価では、実際の評価額の7割程度となるため、現金のまま相続するよりも結果的に相続税が低くなります。
相続する際には、現金ではなく不動産で相続すると、評価額が下がり非課税になる確率が上がるでしょう。
生命保険を活用する
生命保険には非課税枠が存在しています。
生命保険の金額がこの非課税枠に収まる場合、非課税でその分の保険金を相続することが可能です。
そのため、現金や預貯金で相続する場合よりも、結果的に非課税で相続できる金額が多くなります。
公益法人へ寄附する
相続税の申告期限までに、公益法人に寄附することで相続税がかからなくなります。
ただし、公益法人はどこでも良いわけではなく、教育・科学・文化・社会福祉などの公益に貢献している特定の法人に限られます。
また、寄附した場合には当然ながら、その相続分を自分が受け取ることはできないため注意しましょう。
非課税にはなりますが、自分が相続した財産を使えるわけではないため、今までとはまた違ったケースだといえます。
相続した財産を自分で使うつもりがない方は、節税もできるためおすすめです。
生前贈与を非課税にするには
ここからは生前贈与を非課税にする方法についてご紹介します。
非課税にしたい場合は以下の点に注意しましょう。
基礎控除額に注意
相続税と同様に、贈与税にも基礎控除が存在します。
贈与税の基礎控除額は110万円までのため、それを超えないように贈与することで非課税にすることが可能です。
また、基礎控除は年単位での計算となるため、非課税にするためには年に110万円以上贈与しないようにしましょう。
定期贈与に注意
定期贈与とは、10年間にわたって毎年100万円ずつ渡すなどと決めて、それに従って生前贈与することを指します。
税務署に定期贈与であるとみなされた場合、定期贈与の合計額に贈与税が課され、初年度にその合計額分の贈与税を支払うこととなります。
そのため、贈与税を節税したい場合には、定期贈与だと思われないために毎年贈与のタイミングや金額を変えるなどの工夫が必要です。
また、贈与の際にはその都度、贈与契約書を作成しましょう。
死亡3年以内の贈与は対象外
被相続人が死亡する前の3年間に関しては、生前贈与したとしても相続税がかかります。
被相続人が亡くなりそうな時に慌てて生前贈与しても、相続税は発生するため注意しましょう。
贈与のやり方に注意
現金を手渡すなど、贈与の方法によっては税務調査で贈与と認められない場合があります。
そのため、贈与の方法にも気をつけましょう。
生前贈与する時には、必ず銀行振り込みで贈与し、贈与契約書を作成することが重要です。
また、子供や孫の名前で作られた名義口座に振り込むだけでは、生前贈与にはならないため注意しましょう。
生前贈与は子供や孫が使える口座に振り込むことで、認められるようになります。
名義だけ子供や孫の口座に振り込んだとしても、税務署に生前贈与として認められないのです。
贈与する際は証拠を残す
贈与税を申告することは、生前贈与の証拠を残すことにもなります。
例えば111万円など、基礎控除を少しでも越せば贈与税の申告が必要となるため、それを活用して贈与の証拠を残すことが可能です。
また、相続の際に贈与した証拠が必要となる場合があるため、贈与税の申告の際に、贈与契約書のコピーを添付すると良いでしょう。
そうすることで、贈与契約書が相続時に作られたものではないことを証明できます。
税務署に贈与した事実を認めてもらうためにも必ず贈与の証拠を残しましょう。
祭祀財産は非課税対象

次は祭祀財産についてご紹介します。
祭祀財産は非課税の対象となる財産の一種です。
ここからはどういったものが祭祀財産に含まれるのか、祭祀財産はどういった扱いになるのかを解説していきます。
祭祀財産とは
祭祀財産とは、仏壇、お墓、家系図、位牌などの祖先に関する財産のことです。
この祭祀財産は、基本的に1人だけに受け継がれます。
これは祭祀財産を複数の相続人で分けてしまうと、回忌法要などで相続人が祭祀財産を持ち寄る必要が出てくるためです。これは民法でも定められており、基本的に祭祀を主催する人物が祭祀財産を受け継ぐものと考えられています。
祭祀財産を受け継ぐ人物は慣習によって定められるか、被相続人によって指定されます。
また、慣習や被相続人の指定がない場合には家庭裁判所が代わりとなって決めるケースもあるようです。
祭祀財産は相続財産の対象外
祭祀財産は、相続財産とは区別して考えられます。
そのため、相続財産の対象外となり、非課税財産として扱われるのです。
祭祀財産は相続財産ではないため、相続放棄している人物であっても、祭祀財産を受け継ぐことは可能です。
未成年でも相続税は払うの?

未成年者が遺産を相続する場合は、相続税を払う義務はあるのでしょうか。
結論からいうと、未成年であっても相続税は払う義務が存在しています。
しかし、未成年の場合には未成年者控除という制度があります。
未成年者控除の金額は、未成年者の年齢によって左右されます。
未成年者控除は、「(20歳 – 相続時の年齢)× 10万円」という計算式で算出が可能です。
例えば、相続時の年齢が14歳の場合には「60万円」の未成年者控除が発生します。
また、未成年者の相続人が未成年者控除の上限を下回った場合、その残額分は扶養者の相続税の減税にあてられます。
相続税が払えない場合は?
ここからは相続税が支払えない場合についてご紹介します。
家庭の金銭事情によっては、急に発生した相続税を支払えないケースもあるでしょう。
その場合、どういった解決方法があるのかを解説します。
相続税を延納する
相続税には延納制度が存在します。
これは相続税を分割で支払う制度で、最長で20年まで延納することが可能です。
また、延納には以下のような条件があり、これを満たしている場合のみ認められます。
- 相続税の金額が10万円以上であること
- 現金で納付するのが困難な金額であること
- 申告期日までに「延納申請書」と「担保提供関係書類」を提出すること
- 延納額相当の担保を提供すること(納税額が100万円以下、延納期間3年以下の場合は不要)
上記の条件を満たしていれば、延納制度を利用して分割で相続税を支払えるため、必要な方は利用しましょう。
相続税を遺産から支払う
相続税は遺産から支払うことも可能です。
不動産や株などを納めることで相続税を支払う物納制度と、不動産などを売却してお金で支払う方法があります。
物納制度には、現金を用意できない場合に相続税を物で支払えるというメリットがあります。
ただし、物納制度では物納する順位が定められており、自分で何で支払うかを選べない点に注意しましょう。
一方、不動産の売却で支払う場合には、不動産が高額で売れた場合に利益につながるメリットがあります。
ただし、譲渡所得税という税金がかかるため注意しましょう。
一長一短のため、どちらで支払うかはよく考える必要があります。
金融機関から借入する
金融機関で借入すれば、相続した不動産や遺産を売却せずに相続税を支払えます。
しかし、金融機関からの借入には条件があり、誰でも行えるわけではありません。
返済は問題なく行えるかなど、事前に確認し、総合的に判断しましょう。
相続放棄する
相続税の支払いができない場合には相続放棄するという方法もあります。
また、相続財産にはマイナスの財産についても含まれるため、借金なども相続対象となります。
財産に借金が含まれる場合は相続放棄することでその借金も放棄することが可能です。
しかし、そうすると、預貯金や不動産なども相続放棄することとなります。
預貯金や不動産と借金などを天秤にかけた上で、相続放棄するかを慎重に決定しましょう。
遺産の非課税まとめ

ここまで遺産を非課税で相続する方法や、生前贈与を非課税で行う方法を中心にお伝えしてきました。
この記事のポイントをおさらいすると以下の通りです。
- 相続税は基礎控除や配偶者控除などで控除される金額までは非課税となる
- 生前贈与することで遺産総額を減らすことが可能
- 祭祀財産は相続財産ではないため非課税対象
- 未成年でも相続税は支払う必要があるが、未成年者控除がある
- 相続税が支払えない場合は延納・物納・借入・相続放棄などの方法がある
これらの情報が少しでも皆様のお役に立てば幸いです。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。
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監修者

山口 隆司(やまぐち たかし)
一般社団法人 日本石材産業協会認定 二級 お墓ディレクター
経歴
業界経歴20年以上。大手葬儀社で葬儀の現場担当者に接し、お葬式を終えた方々のお困りごとに数多く寄り添いサポートを行う。終活のこと全般に知見を持ち、位牌や仏壇をはじめ、霊園・納骨堂の提案や、お墓に納骨されるご遺族を現場でサポートするなど活躍の場が広い。