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相続

遺産相続とは?手続きの流れ・相続人の範囲など基礎知識を解説

更新日:2022.04.11

遺産

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記事のポイントを先取り!

  • ・相続対象となる全ての財産を把握する
  • ・遺産相続手続きは早めに取り掛かる
  • ・相続税や確定申告の有無を確認する

遺産相続とは、被相続人の財産を引き継ぐ手続きのことですが、その流れについてご存知でしょうか。
相続人の範囲やその配分はどうなっているのか知っておきましょう。

そこでこの記事では、遺産相続の基礎知識について詳しく説明していきます。

この機会に、遺産相続の手続きの流れを覚えておきましょう。
相続税についても触れているので、ぜひ最後までご覧ください。

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  1. 遺産相続とは
  2. どのようなものが遺産相続の対象となる?
  3. 相続財産の対象にならないものは?
  4. 相続人の範囲と順位について
  5. 遺産分割の割合(法定相続分)
  6. 遺言のもつ効力と役割
  7. 遺産相続の手続きの流れ
  8. 相続税について
  9. 建物・宅地の評価額の計算方法
  10. 遺産相続で確定申告が必要になるケース
  11. 遺産相続のまとめ
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遺産相続とは

遺産相続とは、被相続人が遺した権利や義務などの財産を相続人に引き継ぐ手続きのことです。

亡くなった人を「被相続人」、財産を引き継ぐ人を「相続人」と呼びます。
原則として、相続人には、被相続人の配偶者や子供など、家族関係にある人がなることが定められています。また、遺産には被相続人が有していた全ての財産が含まれるため、預貯金や株式、不動産といったプラスの財産だけではなく、債権などのマイナスの財産も相続財産となるため注意が必要です。

この他にも、遺産の配分や相続に関する手続きなど事前に知っておくべきことが多くあります。

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どのようなものが遺産相続の対象となる?

ここでは、遺産相続の対象となるものをプラスの相続財産とマイナスの相続財産に分けて説明します。

プラスの相続財産

プラスの相続財産には、現金や証券、動産、不動産やその他関連する権利などがあります。

現金や証券の具体的な内容には、現金、預貯金、株券、貸付金、売掛金、小切手などが挙げられます。
動産の具体的な内容には、自動車、家財、船舶、骨董品、宝石、貴金属、美術品などが挙げられます。
不動産やその他関連する権利の具体的な内容には、宅地、農地、建物、店舗、居宅、宅地権、借家権などが挙げられます。

この他、細かな部分では電話加入権もプラスの財産に含まれます。

マイナスの相続財産

マイナスの相続財産には、負債がありますが、その具体的な内容には、借金、ローン、買掛金、未払の住民税や所得税などの税金、未払いの家賃、未払いの地代、未払いの医療費、葬式費用などが挙げられます。

マイナスの相続財産を引き継がないためには、相続発生から3ヵ月以内に「相続放棄」の手続きが必要になるので注意しましょう。

相続財産の対象にならないものは?

一方、相続財産の対象にならないものにはどのようなものがあるのでしょうか。
代表的なものに、墓地や仏壇などの祭祀財産、香典や葬儀費用、故人以外が受取人となっている生命保険金などが挙げられます。

この他にも、弔慰金や埋葬料も相続財産の対象にはなりません。
資格、技能、年金受給権などの被相続人の一身に専属していたものは相続財産の対象外ということです。

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相続人の範囲と順位について

相続人の範囲とその順位については、民法によって定められています。

法定相続人は被相続人の配偶者及び一定の親族とされており、配偶者は常に相続人となります。
そして、第1順位に死亡した人の子、第2順位に死亡した人の父母や祖父母、第3順位に死亡した人の兄弟姉妹となっています。
それぞれ、優先順位に該当する人がいない場合にその順位を繰り下げて対象となります。
また、代襲相続となるケースもあります。

大衆相続とは、相続人となるべき人が相続開始より前に死亡している場合や相続欠格、相続廃除により相続権を失っている場合にその人の直系卑属が代わりに遺産相続することです。
直系卑属は、子供や孫など被相続人よりも後の世代で直接の親族関係がある人を指します。

相続人でも相続できないケースがある

法定相続人に該当していても、遺産相続ができないケースがあります。
被相続人を殺害または虐待した場合は「相続欠格」「相続廃除」により遺産相続ができません。

脅迫によって遺言書を自分に有利な内容に作成または修正をさせようとした場合にも、法定相続人としての権利を剥奪され、遺産相続ができなくなります。

遺産分割の割合(法定相続分)

遺産を相続する割合は相続人のケースによって定められています。
まず、配偶者は必ず法定相続人になり相続分を持ち、その割合は財産の全てです。

次に、配偶者と第1順位の法定相続人がいる場合には、配偶者は財産の二分の一、残りの二分の一を第1順位に該当する人で均等に分配します。
配偶者と第2順位の法定相続人がいる場合には、配偶者は財産の三分の二、残りの三分の一を第2順位に該当する人で均等に分配します。
配偶者と第3順位の法定相続人がいる場合には、配偶者は財産の四分の三、残りの四分の一を第3順位に該当する人で均等に分配します。

また、配偶者がいない場合には法定相続順位が高い人の人数で均等に分配します。
代襲相続人がいる場合には、本来の相続人と同等の権利を持つためそれに従って分配します。

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遺言のもつ効力と役割

遺言書は遺言と同じ意味で捉えられることが多いですが、厳密には別物です。

遺言書とは、財産とその承継者を記載した法的な効力をもつ書類のことです。

その役割や法的効力、その他必要な知識について説明します。

遺言のもつ効力

遺言書には5つの効力があります。
具体的には、「受遺者を指定できる」「相続権の剥奪が可能」「遺言執行者を指定できる」「保険金の受取人の変更が可能」「隠し子の認知が可能」の5つです。

まず、「受遺者を指定できる」とは、遺言書では財産を譲る人を指定することが可能なため、法定相続人以外の人も財産承継ができるということです。
次に、「相続権の剥奪が可能」とは、遺言者への虐待や侮辱などの財産の承継者として相応しくない行為があれば、法定相続人であっても受遺者に指定せず、その相続権の剥奪ができるということです。
三つ目の「遺言執行者を指定できる」とは、確実に遺言内容を実行させるために遺言書によって遺言執行者も指定できるということです。

この場合には、知識や他の相続人との利害関係も考慮する必要があるため、弁護士や司法書士などの専門家を検討することが望ましいでしょう。
そして、「保険金の受取人の変更が可能」とは、生命保険を契約する際に指定した保険金の受取人を遺言書により変更できるということです。
最後に、「隠し子の認知が可能」とは、法律上の婚姻関係にない男女間の子である非嫡出子を遺言書により認知させることが可能で、第1順位の法定相続人になるということです。

遺言の種類

法律で定められた遺言の方式には公正証書遺言、自筆証書遺言、秘密証書遺言の3種類があり、それぞれ作成方法や性質が異なります。

公正証書遺言とは、遺言者が公証役場の公証人に遺言内容を伝えることで、公証人によって遺言書が作成されるため確実な効力を得ることが可能な遺言書のことです。
この際、証人が2人必要ですが、司法書士や弁護士などの法律職であり、遺言者の直系親族や配偶者、推定相続人などは証人になれないため注意が必要です。
遺言書に記載した財産に関しては、内容にミスがなく公証役場で原本保管してくれるため、遺言内容を確実に実行させたい場合におすすめです。

自筆証書遺言とは、自筆し作成する遺言書のことで、費用がかからず手軽に作成できるというメリットがあります。しかし、氏名、日付、本文全文は消えないもので自筆する、内容変更および加除の方法、押印などの要件を満たさない場合には無効となる場合もあるので注意が必要です。

秘密証書遺言とは、自筆証書遺言と公正証書遺言のどちらの性質も持っている遺言書のことです。
自筆で作成したものを封緘して公証役場に持参し、公証人と証人2人へ提出します。
遺言内容は秘密であるため、内容の確認は行われません。

公証人により遺言者の存在や、遺言書が本人によって作成されたものである証明はされますが、保管は自分で行わなくてはなりません。そのため家族が遺言書の存在に気付かない可能性もあり、遺言内容が法的に無効となってしまうこともあるため注意が必要になります。

遺留分について

遺留分とは、一定範囲の法定相続人に認められている最低限の遺産取得割合のことです。

遺書などにより、自分の遺留分が侵害されていた場合に遺留分侵害額請求することで、相続分を確保することが可能です。この手続きには期限があり、相続開始を知った時から1年以内、または相続開始から10年以内に行わない場合には無効になります。

遺留分の割合

遺留分の割合は相続人によって異なります。

相続人が配偶者のみ、子のみの場合には、遺留分は二分の一でそのままの割合で相続されます。
親のみの場合、遺留分は三分の一で直系尊属に同じ割合で相続されます。

配偶者と子の場合には、遺留分は二分の一でそれぞれに四分の一ずつ相続されます。
配偶者と直系尊属の場合には、遺留分は二分の一で、配偶者に六分の二、直系尊属に六分の一ずつ相続されます。
配偶者と兄弟姉妹の場合には、遺留分は二分の一で、配偶者にそのままの割合で相続され、兄弟姉妹はありません。兄弟姉妹のみの場合、遺留分はないので相続もありません。

遺留分は放棄できる

遺留分は、それを請求する権利を主張するだけでなく、自分の意思で放棄することも可能です。

家庭裁判所の許可を得ることにより、相続開始前に遺留分を放棄することもできます。
放棄することで、他の相続人に対して遺留分請求ができなくなるため、その後、遺留分に関するトラブルに巻き込まれることはありません。

遺産相続の手続きの流れ

遺産相続の手続きには期日が設けられています。相続が開始されたら各手続きを期日内に行わなければなりません。
手続きできる場所や期日、ポイントについて説明します。

まず、死亡から7日以内に病院で死亡診断書の受け取りと、病院または市区町村役場へ死亡届を提出します。死亡診断書はコピーをとっておき、死亡届は死亡地または本籍地の市区町村役場へ提出しましょう。

死亡から10日以内に社会保険所で年金受給停止の手続きをします。
国民年金の場合は死亡から14日以内にこの手続きをします。
手続きの際に故人の年金証書、死亡診断書または火葬許可証、戸籍謄本、個人と年金請求者の住民票の写しが必要です。

葬儀もこの期間中に執り行う場合が多いようです。

死亡から14日以内に市区町村役場で健康保険、介護保険の資格喪失届の提出と世帯主変更届を提出します。この他、保険会社や各金融機関窓口で生命保険や損害保険、金融機関の手続きと、各種窓口にて公共料金や各種サービスの変更と解約も14日以内に行います。
健康保険、介護保険の資格喪失届の提出の際に健康保険証や介護保険証を合わせて持っていく必要があることと、故人の扶養に入っていた人は国民健康保険の手続きをする必要があります。

死亡から3ヶ月以内に家庭裁判所で遺言書の確認、検認と、相続放棄、限定承認の他、相続人全員で遺産分割を協議します。遺産分割協議は自宅で行うこともできます。
この他、市区町村役場で相続人と遺産や債務などの相続財産の調査も行います。

死亡から4ヶ月以内に税務署で所得税の準確定申告と税金を納付します。
死亡から10ヶ月以内に税務署で相続税申告と納付手続きをします。
死亡から1年以内に家庭裁判所や地方裁判所で遺留分減殺請求の手続きをします。
死亡から2年以内に市区町村役場で葬祭費や埋葬料の申請手続きをします。
死亡から3年10ヶ月以内に税務署で相続税軽減の手続きをします。
死亡から5年10ヶ月以内に税務署で相続税の還付請求の手続きをします。

これらはあくまで目安であるため、必ずしもこの期間内に全て対応しなければならない訳ではありませんが、遅くなりすぎるとトラブルになる場合もあるので早めの対応を心がけましょう。

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相続税について

相続税とは、相続が発生した場合に相続する財産の状況によって、相続人が支払う必要のある税金のことです。
相続税に関することついて細かく説明します。

相続税の基礎控除

相続税は、遺産の総額が全て課税対象になる訳ではありません。
相続税には基礎控除額が設定されていて、法定相続人の数によって正味の遺産額から基礎控除額を差し引きます。その際、基礎控除以下の金額であれば課税対象にはなりません。

基礎控除は、3,000万円+600万円×法定相続人の数で求められます。

相続税の計算方法

相続税の計算方法は、遺産総額から基礎控除額(3,600万円〜)を差し引いた金額に、民法で定められている所定の税率をかけることで求めます。

相続税の税率

相続税の税率と控除額を法定相続分に応じた取得金額別に表にまとめると次の通りです。

取得金額税率控除額
1,000万円以下10%0円
3,000万円以下15%50万円
5,000万円以下20%200万円
1億円以下30%700万円
2億円以下40%1,700万円
3億円以下45%2,700万円
6億円以下50%4,200万円
6億円超55%7,200万円

相続税の負担が軽減される条件

相続税にはその負担を軽減させる条件があります。
どのような条件があるのか以下で箇条書きで紹介します。

・法定相続人1人につき500万円までの死亡保険金の非課税枠
・条件を満たすことで限度面積内の土地の相続税が最大80%軽減される小規模宅地の特例
・還暦贈与や教育資金の贈与の非課税枠や贈与税の配偶者控除などがある生前贈与

相続税の申告・納付期限

相続税の申告や納付には期限があります。
被相続人が死亡してから10ヶ月以内に、被相続人の住所地を管轄している税務署にて申告する必要があります。

税務署で発行された納付書を持参し、税務署や金融機関の窓口またはコンビニで納付します。
ただし、コンビニでの納付上限額は30万円ですので気を付けてください。

建物・宅地の評価額の計算方法

建物は固定資産税評価額によって評価し、宅地は路線価方式、又は倍率方式を基に評価します。
宅地の路面価方式による評価額は、路線に面する標準的な宅地の1㎡当たりの価額を基に計算できます。
建物は固定資産税評価額によって評価されますが、この固定資産税額は課税標準額と同じです。

固定資産税評価額は、固定資産税の税額を決める際の基準となる評価額のことで、この評価額は3年に一度見直されています。

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遺産相続で確定申告が必要になるケース

遺産相続において原則的に確定申告は必要ありませんが、所得税の申告が必要となるケースがあります。被相続人から相続した財産が一定額以上であった場合には相続税を支払う義務があります。

相続税と所得税は課税の趣旨が異なります。

財産を無償でもらうことを課税対象とした相続税は、相続や遺贈により財産を受け継いだ場合にかかる税金のことです。一方で、収入を得ることを課税対象とした所得税は、給与や年金などの収入がある場合にその所得に対してかかる税金のことです。
そのため、遺産相続をしたことで直ちに所得税がかかるという訳ではありません。

ここからは、確定申告や所得税の納付が必要となるケース4つについてそれぞれ説明します。

相続した土地や建物、株式を売却した場合

相続によって取得した土地や建物、株式を相続後に売却して利益が出た場合には、その利益に対して所得税がかかるため確定申告が必要になります。
申告期日は売却日の翌年3月15日までとなっています。

収入が生じる遺産を相続した場合

収入が生じる遺産とは、賃貸マンションやアパート、駐車場などの相続後にも賃貸収入が発生する遺産のことです。この相続発生日以降の賃貸収入は、相続人の収入として所得税を確定申告する必要があります。

遺言により相続人が決まっている場合にはその人が、遺言が無い場合には遺産分割協議終了までは全ての相続人の共有財産となるため、家賃収入を法定相続分で分割した上で各自確定申告するのが基本です。相続発生日が年の途中である場合には、その日までの賃貸収入は被相続人の収入となるため、税務署にて被相続人の所得として申告し、納税します。

申告期日は相続人が相続の開始を知った日の翌日から4ヶ月以内となっています。

相続した遺産を寄附した場合

相続した遺産を寄附した場合、確定申告は義務ではありません。
しかし、寄附先から交付を受けた受領証を添付して申告すると所得税の寄附金控除の適用を受けられます。

遺産の寄付をした場合は、節税になるため申告することが望ましいでしょう。

相続した遺産を換価分割した場合

換価分割とは、遺産を全て現金化し、相続人同士で分け合うことです。
遺産を売却した際に得た現金は、収入として売却益部分に所得税がかかるため確定申告が必要になります。

遺産相続のまとめ

ここまで遺産相続に関する手続きやその流れについてを中心に書いてきました。

この記事のポイントをおさらいすると以下の通りです。

  • 遺産相続の対象には、プラスとマイナスの相続財産が含まれている
  • 遺言書には5つの効力がある
  • 遺産相続に関して行う手続きにはそれぞれ期日が設けられている
  • 遺産相続でも確定申告が必要になるケースがある

これらの情報が少しでも皆様のお役に立てば幸いです。

最後までご覧いただき、ありがとうございました。

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監修者

評価員(かまた)

鎌田 真紀子(かまた まきこ)

国家資格 キャリアコンサルタント ・CSスペシャリスト(協会認定)

経歴

終活関連の業界経歴12年以上。20年以上の大手生命保険会社のコンタクトセンターのマネジメントにおいて、コンタクトセンターに寄せられるお客様の声に寄り添い、様々なサポートを行う。自身の喪主経験、お墓探しの体験をはじめ、終活のこと全般に知見を持ち、お客様のお困りごとの解決をサポートするなど、活躍の場を広げる。

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