専門家インタビュー
保護者の言葉とその奥にある気持ちを知るために寄り添う
更新日:2023.01.04
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研究内容について
Q1.「医療ケア児の保護者支援のあり方について」についての研究内容とその研究成果について教えてください。
5歳児の医療的ケア児の保育に主任保育士として携わった経験から、医療的ケア児を中心とした、子どもの姿を基に保護者との関わりについて事例をまとめました。
- 保護者が導尿時に医療的ケアを行っているときは、安心してケアが進められるように安全・安心の保障をする。
- 医療的ケア児の今の姿や心の動きを理解し、保護者と共に成長を喜び合えるような信頼関係を築く。
医療的ケア児の成長の姿を保護者と伝え合い、毎日の保育や行事の参加の仕方などを工夫し、保護者の言葉とその奥にある気持ちを知ろうと寄り添うことの大切さが示されました。
※注1 2021年6月に「医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律(医療的ケア児支援法)」が公布される以前の事例研究になります。※注2 「医療的ケア児」とは、厚生労働省ホームページ参照https://www.mhlw.go.jp/content/000981371.pdf)
Q2.その研究を行った経緯を教えてください。
2018年、医療的ケア児が在園するT園に主任保育士として異動したことがきっかけです。
医療的ケアは、主に母親が仕事の昼休みの時間(13時頃)に保育園に来て行っていました。
保育士は、医療的ケアはできないが、傍で寄り添うことは出来るという考えが起点となり事例を取り、まとめました。
Q3.「幼少時からの精神的回復力の育み方 日本の子育ての歴史から探る」についての研究内容とその研究成果について教えてください。
修士論文の研究テーマと文献、保育者としての現場経験から、日本人が大切にしてきた子育て方法や躾が、精神的回復力を育むことに繋がっていると考えられました。
- 社会や時代が変化しても、子供の生活リズムに合わせた生活を行うこと。
- 子どもたちが心身共に規則正しい生活が過ごせるような環境を整え、就学前に基本的生活習慣を身につけること。
- 周りの大人が子どもと応答的に関わること
が重要ではないかと考えられました。
Q4.小田様が考える本研究の意義を教えてください。
2017(平成29)年3月に、保育所保育指針などが改正され、社会的情動スキルを育む保育・教育の重要性が取り上げられました。
学習指導要領(注1)は、「何を学ぶか」「どのように学ぶか」「何ができるようになるか」を重視して子どもたちの生きる力を育むことを重視しています。
社会の状況は大きく変化しましたが、子どもの発達過程は変わることは殆どありません。
過去の歴史、文献などから、実体験を大切にした教育、多面的に学ぶことに意義があると思います。
注1:学習指導要領「生きる力」文部科学省 https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/new-cs/
今後の目標について
Q.小田様の研究における最終的な目標を教えてください。
わたしは、医療的ケアの必要な同級生と一緒に小学校から中学卒業まで育ちました(卒業後も交流は続き、彼女は48年の生涯を全うしました)。
そして、保育現場での経験から、全ての子どもが子どもの中で育ち合うことは、保護者支援でもあり、医療的ケア児のみならず全ての子どもたちにとって有意義であると考えています。
医療的ケア児の保護者(他、疾病があるお子さんや入院中のお子さんを持つ保護者など)は、毎日の看護が子どもの命と直結するために日々緊張した生活を送っています。
ぐっすり眠る、自分のための時間を使うことすら躊躇する方が多くいらっしゃると思います。
子どもの成長を保育士と一緒に喜ぶことや、家庭生活、保護者自身のキャリアを活かし社会に貢献することが出来るようになるために役立つ研究をしていきたいと思っています。
みんなが選んだ終活のユーザー様へ一言
Q.みんなが選んだ終活のユーザー様(高齢の方、高齢の親を持つ方)に何かメッセージをお願いいたします。
わたし自身の研究は、医療的ケア児の研究も含め、育った環境が大きく影響しています。
自由奔放で鉄砲玉と呼ばれた父は、お世辞にも家庭的な人ではありませんでした。
しかし自宅には、父の大学時代の後輩や仕事で出会った人、その友人など多くの方が遊びに来ていました。
また、遠くの親戚や幼馴染の両親、近所の方々に随分お世話になって育ちました。
色々な方に可愛がって頂き、時には社会のルールを教えていただきながら、知らない世界の話をワクワクしながら聞いて育つことが出来ました。
既に父も自宅に遊びに来てくれていた方の多くも鬼籍に入っていますが、季節が巡るごとに、また、ある食べ物をみるとその頃を懐かしく思い出します。
自分から身近な人々に感謝や心の栄養になるような種をまいて過ごしませんか?
年齢を重ねてきたからこそ、出来ることもあると思います。
わたしも、そうありたいと思っています。
取材に協力してくださった先生
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