専門家インタビュー
互いに尊厳・尊敬の念を持って暮らせる社会を目指して
更新日:2023.03.05 公開日:2023.03.02
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研究内容について
Q1.接遇やマナーについての研究を始めたきっかけを教えてください。
31年間の実務経験(客室乗務員)の後、マナー領域を含む関連授業を行う中での自らの学び直しがきっかけです。実務からの教員、越境型学習とリカレント教育という実践と学びの日々です。
教育における礼儀作法の意味と実践に関し、修士課程で明治時代から現代までの礼法関連の文献研究を始めました。それが今の研究にもつながっています。
多様な価値観を持つ世界の人々との横のつながり、また日本の文化資源としての歴史や伝統・しきたりという縦の奥行、そうした交差からの接遇・礼節・エチケット・マナー等を、現在までのつながりとして体系的に捉える必要があると思っています。
Q2.接遇やマナーを学ぶことのメリットは何ですか?
接遇やマナーは、古代中国での「禮」や「接遇」の概念から、日本では「礼法」「礼儀作法」「礼節」「接遇」「もてなし」等へと継承・変遷し、あるいは明治以降のカタカナ語である「エチケット」「マナー」「ホスピタリティ」「ソーシャルスキル」「プロトコール」「シビリティ」等と接続・発展しているといえます。
倫理・道徳・哲学領域とも親和性を伴い、実践のための学びは、それぞれの時代背景や人々と共にあり、私たちの日常生活と密接に関係しています。
人としての尊厳を保つこと、心地よい日常生活、よりよい人間関係の構築、職場の生産性向上(PORATH,2016)、マネジメント、幸せ感、数えきれないメリットがあると考えます。
Q3.良い人間関係を築くために重要なソーシャルスキルとはどのようなものでしょうか?
ソーシャルスキルは、ポジティブな対人関係構築スキルとされ、例えば『上司と部下のためのソーシャルスキル』(相川・田中,2015)といった捉え方もあります。またライフスキルやソフトスキルと共にバランスよく発揮される日常的なスキルともいえます。
100の社会的スキルが示されている(菊池・堀毛,1994)中では、日常生活の多くの場面で使われる基本スキルが最も大切だと考えます。
それらは、「聞く」「会話を始める・続ける」「質問する」「自己紹介する」「お礼をいう」「敬意を表わす」「あやまる」「納得させる」などです。
しかし、単に関係を築くスキルだけでなく、より良い関係を目指すのであれば、『学問のすゝめ』(福沢・伊藤(校注),2011)には、人間交際において最も大切なものは「顔色容貌を快くする」、つまり「笑顔と上機嫌」と記されています。
Q4.高齢者の方に接する際に、周囲の人々が気を付けることは何だと思いますか?
長きにわたる人生経験をお持ちの高齢者の方に接する際には、感性を伴う形(立ち居振舞いや敬語などの言葉遣い)と、Dignity(尊厳)という心の在り方が必要だと思います。
こうした考え方は、Protocol(国際儀礼)の究極の指針として、尊厳・尊敬・共感が挙げられていること(阿曽村,2018)にも共通し、国や年齢に関係なく、人として、お互い今目の前にいる人に対して心がけることと捉えることができます。
例えば、日常生活で高齢者の方に席を譲る時に、どのような言葉がけをされますか。
とっさの状況に応じ、さりげないユーモアやチャーミングさを伴った言動こそ、国や年齢を超えた目の前の方への尊厳につながるように思います。
今後の目標について
Q1.堀田様の研究における最終的な目標を教えてください。
『人生はマナーでできている』(高橋,2016)という書名にある人生・寿命は延びる一方です。「人生100年時代の社会人基礎力」「100年時代の人生・行動戦略」等の言葉も、何を通して人生を見るのかを示唆しています。
ユーモアを持ち、かつ人への尊厳を表す対面での接遇マナーこそ、アフターコロナ、VUCA時代の価値観の一つかもしれません。
時代によるマナーの変遷も面白く、マナーを通して人生と時代を見ることを、これからも様々な文献を通し、~ならではの礼節として紐解いていければと思います。
Q2.今後はどういった研究を進めていく方針なのでしょうか?
日本には、生活文化として伝わっている禮・礼法・礼儀作法・作法・礼節・接遇、もてなし等、「日本ならでは」の心を形で表わすという行動様式があります。
現在では遍く日常にというよりは、それらは稽古事などの流派を通し体系化されています。今後はそうした概念が、観光や経済・経営分野とも接続し、新ラグジュアリ-の要素(安西・中野,2022)としても見直されるかもしれません。
国際交流の観点からは、研究内容のQ2で示した外来語の表現と日本語との関係性を定義する必要もあります。
本学でも、観光における接遇・もてなし・ホスピタリティの効用、ニューノーマル時代の新たな接客要素等、人と人とが幸せに関わることにつながる研究を続けていきたいと思っています。
ユーザー様への一言
過去の文献を通してつくづく思うことは、その内容が残り、今につながっていることです。
現在の日常のマナー、日々の食事、地域に根付く祭や伝統文化等、多くの文化資源が日本の魅力として継承され発信もされています。
先人の方々、そして今、高齢にもかかわらずつないでくださっている方々のおかげです。
高齢の方々、高齢の親を持つ方々、また今目の前にいる方にも、お互い同じように尊厳・尊敬・共感の気持ちで日常を暮らしていければ、心地よい関係につながり、最終的にはそれぞれの安心の境地にたどり着けるのではないかと思います。
今回取材に協力してくださった先生の紹介
せとうち観光専門職短期大学 観光振興学科
堀田 明美准教授
先生の所属先
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