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専門家インタビュー

テキストマイニングを用いた日本の論文の事前指示に関する質問項目内容の可視化について

更新日:2024.08.13 公開日:2024.08.13

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  1. 研究内容について
  2. 先生の経歴について
  3. 先生の所属先
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研究内容について

Q1.「テキストマイニングを用いた日本の論文の事前指示に関する質問項目内容の可視化」の研究を始めたきっかけは何ですか?

研究を始めたきっかけは、Advance Care Planningの普及が低いと感じたことにあります。

平成19年に「終末期医療の決定プロセスに関するガイドライン」ができ、平成27年に「人生の最終段階の決定プロセスに関するガイドライン」に名称が変更されますが、死についてタブー視されている地域はまだ多く存在し、多くの人々が死を避けたいと考え、最期の治療や死に場所、遺産の処理などについて悩む家族が多いことを自分の周りで目にしてきました。

なかには、本人に余命を告知せずに亡くなられた方もおられました。

その方の人生が、その人にとり有意義なものであったのか?自問自答を繰り返す病院勤務時代があります。

最後をどのように迎えたいかを医療従事者がどう関わるとよいかを解決する問題に対して、質問しやすい項目やとっかかりとなる言語的表現を発見できるのではないかと考えました。

2020年頃、高精度な自然言語処理能力が世界中で注目を集めテキストマイニングが再び活用され始めます。

内容分析に関する書籍も増えてきたこともあり、この技術を活用して何を問うべきか、正しい質問項目を探求したいという思いが強まりました。

また、医療や福祉関係者がどのような視点で患者や利用者に関わるべきか、教育的な視点を得ることも研究目的の一つでした。

そこで、事前指示に必要な要素を科学論文から抽出し、可視化することで、どのような質問項目があるのかを明らかにし、様々な角度からその傾向を把握できるのではないかと考えました。

このような背景から、テキストマイニングを用いて日本の論文における事前指示に関する質問項目内容を可視化する研究を始めました。

これにより、家族や医療従事者がより良いコミュニケーションを取るための具体的な質問項目や言語表現を見つけ出し、死についての話し合いを促進する一助となることを目指したかったという思いがあります。

Q2.研究対象である、テキストマイニングとは何ですか?

テキストマイニングは、計量的分析手法の一つとして広く認識されています。

具体的には、膨大なテキストデータを解析し、有益な情報を抽出する技術です。

これは、一般的には自然言語処理(NLP)や統計解析、機械学習などの技術を用いて行われます。

テキストマイニングは、文章データを定量的に扱うための分析手法であり、自由記述のアンケートやクチコミ分析などに広く最近では広く利用されています。

本研究では、科学論文の本文内に記載されている事前指示に関する質問項目をテキストデータとして可能な限り抽出しKH Coderというテキストマイニングソフトを用いて解析しています。

具体的には、まず対象となる論文を収集し、テキストの前処理を行います。

次に、形態素解析を通じてテキストを単語単位に分割し、頻度分析や相関分析を行います。

これにより、どの質問項目が頻繁に出現するか、またそれらの項目間の関係性を明らかにします。

最終的に、解析結果を可視化し、論文内の事前指示関連質問項目の傾向やパターンを視覚的に示します。

テキストマイニングは、膨大なテキストデータから有益な情報を抽出し、客観的かつ効率的に解析するための強力なツールです。

この技術を活用することで、事前指示に関する重要な質問項目を明らかにし、医療や福祉の現場でのコミュニケーション改善に役立つ具体的な知見を得ることを目指しています。

テキストマイニングの技術は、データから新たな洞察を得るための不可欠な手段であり、今後もその応用範囲は広がっていくと考えられます。

Q3.「テキストマイニングを用いた日本の論文の事前指示に関する質問項目内容の可視化」の研究成果を教えてください。

研究の成果としては、とくに事前指示に関する主要な質問項目が特定できました。

1つ目は、「事前指示の意思表明を、いつ、誰に委ね、どのような事前指示の認識のもと何を意思表示するか」、2つ目は「延命治療の意向やそれをどこで受け、どのような医療行為を望むか」という2つの特徴が明らかになっています。

「事前指示の意思表明」の質問項目には、判断を誰に任せるか、死生観や死への準備行動、終末期介護の希望、リビングウィルへの認知・関心、延命治療の相談時期などが、医療や介護の現場で確認されています。

個人の尊厳ある死のサポートには、代理意思決定や終活に関する内容の確認も必要で、ケア提供者側の準備態勢を整えていくことも必要になります。

また、「延命治療」に関する質問では、具体的な医療行為の選択が確認されます。

本人の死後、本人が望む最期が迎えられたのか確認することはできませんが、延命治療や終末期医療の具体的な意思表示がされることで本人や家族らが希望する最期につながる可能性があります。

それぞれに重要な結果が得られたと思います。

Q4.辻様が考える本研究の意義を教えてください。

事前指示に関する質問項目の傾向を明らかにするだけでなく、医療や福祉の現場での事前指示に関するコミュニケーションの改善に役立つ具体的な知見を提供できたと考えています。

テキストマイニングを用いて、日本の科学論文から事前指示に関連する質問項目を抽出し、その内容を可視化することで、医療従事者が患者やその家族とより効果的にコミュニケーションを取るための基盤を築くことができます。

これにより、患者の意思を尊重した医療提供が可能となり、家族の負担軽減にも寄与することが期待されます。

Q5.辻様の研究における最終的な目標を教えてください。

最近では、医療や福祉の現場で入院や入居時に、「事前要望書」等の意思表示に関する用紙が渡され、意思確認を行われている現場が多いと思いますが、人生会議は、時間の経過や環境により本人の意思は変わるということを理解し、はじめに記入した意思表示でよしとせずに確認することが大事になりますし、家族も含めた意思確認が必要になると思います。

本人や家族が自分の意思を簡単に共有できるツールの開発や、医療介護従事者が適切な質問を投げかけるための教育プログラムの開発が必要だと考えています。 

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先生の経歴について

Q1先生の略歴を教えてください。(5つまで)

2024年 周南公立大学人間健康科学部看護学科 講師
2017年 長崎大学医学部保健学科看護実践科学分野 助教
2016年 宮崎大学医学部看護学科成人・老年看護学講座 助教 

Q2.先生の資格・学会・役職を教えてください。(5つまで)

資格:博士(看護学)慶應義塾大学大学院健康マネジメント研究科後期博士課程修了、看護師、アロマセラピスト(ICAA、AEAJ)

学会:日本緩和医療学会会員、日本老年看護学会会員、日本看護科学学会会員、日本看護研究学会会員、医療の質・安全学会会員、認知症の人と家族の会会員

先生の所属先

周南公立大学

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