専門家インタビュー
医療施設での死後の処置の課題 : 葬祭業従事者への調査からについて
更新日:2024.09.16 公開日:2024.09.16
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研究内容について
Q1.「医療施設での死後の処置の課題 : 葬祭業従事者への調査から」の研究を始めたきっかけは何ですか?
日本では8割の人が病院などの施設で亡くなっています。病院では医師からの死亡宣告後、看護師が身体を拭き、整容や死化粧を行います。
家で亡くなることが多かった時代は、地域によって身内が身体を清めていました。私も中学生の頃、在宅死をした叔父の身体を母と一緒に家のお風呂で清めた経験があり、最後にきれいにできたことが強く印象に残っていました。
この研究の前に、看護師がどのようにご遺体のケアを行っているか調査をしましたが、自分たちが行ったケアが問題なかったかなど、退院後のご遺体の状況を知りたい声があったため、調査することにしました。
Q2.研究対象である、医療施設での死後の処置の課題 : 葬祭業従事者への調査からとはどのような内容ですか?
病院から退院した後にご遺体の管理を行う全国の葬祭業者を対象に、ご遺体の状況や家族の処置への参加状況から、病院で行う看護師のご遺体へのケアの課題を明らかにするために、質問紙調査を行いました。
ご遺体の状況、処置時の感染対策、ご家族の参加状況やその様子、医療者との連携、病院で行われるケアに関する意見(冷却、死化粧など)について回答してもらいました。
Q3.本研究の研究成果を教えてください。
ご遺体は時間と共に変化していきますが、看護師が行ったケアによって退院後にどのような影響がみられやすいのか、早期から冷却をしたほうがよいことなど、ご遺体の状況に応じてケアを行う必要性があることがわかりました。
化粧直しなどはご家族も参加しており、葬祭業従事者の中でこれらのケアに参加することがご家族の悲嘆ケアにつながると考えている方が、参加の声かけを行っていました。また、故人のためにできることはしたいと参加を希望する家族も多かったです。
看護師はご遺体の変化について学ぶ機会がないことから、故人の尊厳が守られるためには、看護師と葬祭業者との連携ができることで、より適切な処置ができるようになると思われます。
Q4.佐々木様が考える本研究の意義を教えてください。
この調査によって、これまでわからなかった退院したご遺体の状況から看護師が行うケアではどのようなことに気をつければよいのか、退院後にご遺体の管理を行う葬祭業従事者からみた改善点を明らかにできたことです。
また、退院後も化粧直しなどにご家族も関わる機会があること、死別の悲しみに影響を及ぼす入院中の思いや看護師とご遺体のケアに参加したことへの肯定的な評価など、ご家族の様子を知れたことで、生前からどのようにご家族に関わればいいのか再考できたことが大きな意義だと思います。
Q5.佐々木様の研究における最終的な目標を教えてください。
死は誰もが迎えるものですが、残された時間を自分らしく過ごすことができるように、あらかじめどこで療養したいのか、どんな処置やケアを受けたいのか、受けたくないのかなど自分の希望を伝えておくことが大切だと思います。
そのためには、重大な病気を患う前から、本人、家族と援助者が十分に話し合う文化をつくることが必要です。
どのようにご本人の意思決定を支えていくのか、遺された人が後悔のない看取りを行えるように、現場の看護師が質の高いケアを行えるような教育を構築したいと考えています。
先生の経歴について
Q1.先生の略歴を教えてください。
大学卒業後、がんセンター病院や緩和ケア病棟に勤務
2011年4月 新潟青陵大学看護福祉心理学部看護学科 准教授
2018年4月 新潟青陵大学大学院看護学研究科 教授
Q2.先生の資格・学会・役職を教えてください。
資格:看護師、保健師
人間科学修士(死生学)
学会:日本死の臨床研究会関東甲信越支部役員
日本臨床死生学会
日本エンドオブライフケア学会
先生の所属先
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