専門家インタビュー
在宅介護家族のタイプによって主介護者の日常生活への影響はどう異なるのか?について
更新日:2024.10.03 公開日:2024.10.03

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研究内容について
Q1.「在宅介護家族のタイプによって主介護者の日常生活への影響はどう異なるのか?」の研究を始めたきっかけは何ですか?
超高齢社会を迎え、高齢者介護の課題は益々大きくなってきていますが、これまでの家族介護者に関する研究は主介護者を対象としたものばかりで、家族単位で捉えた研究はほとんどありませんでした。
そこで、堀口和子教授(兵庫医科大学看護学部:生活支援看護学)と共同で、家族の在宅介護における状況を測定する尺度「家族介護生活評価チェックリスト(FACL)」を作成し、それに基づいて介護家族の実態を把握し問題点の抽出を試みようと考えたのです。
Q2.研究対象である、「在宅介護家族」とはどのような内容ですか?
訪問看護サービスを利用している高齢者を介護している家族を全国から多段階抽出して、回答を依頼しました。介護されている高齢者は平均81歳で女性が約6割、要介護5が半数、認知症も半数でした。
介護家族では三世代家族と核家族がそれぞれ3割弱で、そのうち夫婦のみのいわゆる老々介護家族が2割強で、介護期間は約6年でした。主たる介護者の3/4は女性で、妻が最も多く、娘・嫁と続いていました。息子が介護を担っているケースも1割弱、介護を手伝ってくれる家族がいるのも3/4でした。
Q3.本研究の研究成果を教えてください。
FACLに基づく6つのタイプの介護家族のうち、介護に協調的な家族のタイプでは、主介護者が介護によって感じる日常生活へのマイナス影響は小さくなり、日常生活へのプラスの影響は大きくなっていました。日常生活へのプラスの影響は介護家族のタイプによって大きな違いがありました。
在宅介護はある程度は身体的な労力を要するので、生活へのマイナス影響は本質的にはなくなりませんが、介護のプラスの影響は「自分や家族の成長感」という認知的・感情的な側面が主なものです。介護家族が介護を肯定的にとらえ、介護を受け入れ、役割を十分に遂行しているという充足感が持てるような家族の状況が望ましいことを示唆していると思います。
Q4.岩田先生が考える本研究の意義を教えてください。
在宅介護の継続には介護される側と介護する側の情緒的なつながりがあることと、家族内で互いを尊重し配慮しあうような関係性、さらに専門職(ケアマネジャー等)への信頼感や近所の人々の心理的な支えなどの心理的要素が重要だと思います。
家族が介護の協力的な場合と協力が乏しい場合で、主たる介護者の介護負担感やネガティブな感情と肯定感・ポジティブ感情の双方が大きく異なっていることを全国調査のデータで実証したことが本研究の意義です。
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今後の目標について
Q5.岩田先生の研究における最終的な目標を教えてください。
私の専門領域の一つはPsychosocial Epidemiologyですので、様々な健康問題について共同研究を進めています。本研究テーマに関しては、現在も上述の堀口先生の科学研究費課題の一つとして、FACLの利用マニュアルやタブレットに掲載してのICTツール化など、ユーザビリティ向上を図るべく研究を続けています。
このツールを在宅ケアに関わる専門職種と介護家族の共通の評価媒体として、介護継続を可能にするような公的サービスの利用等の提言につなげられるように普及していきたいと考えています。
先生の経歴について
Q1.先生の略歴を教えてください。
北海道大学卒業
北海道大学大学院博士課程修了
産業医科大学(助手)
米国フロリダ州立大学(研究講師)
広島国際大学(教授)などを経て現職
Q2.先生の資格・学会・役職を教えてください。
学術博士(北海道大学)
専門社会調査士
WHO認定統合国際診断面接(CIDI)面接訓練員資格
日本ストレス学会(評議員)
日本行動医学会(評議員)
日本看護科学学会 など
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先生の所属先
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