お墓
遺骨がない場合、墓じまいはどうする?改葬許可申請についても解説
更新日:2021.10.29 公開日:2021.10.16

記事のポイントを先取り!
- 墓じまいは改葬許可証が必要
- 遺骨がない場合改葬許可証は不要
墓じまいを行うにあたり、いざお墓を開けてみると遺骨がないということもあります。
墓じまいや改葬を行う際に、遺骨がない場合はどのように対応すべきなのでしょうか。
本記事では、お墓に遺骨がないケースについて、以下の点を中心にご紹介します。
- 先祖代々のお墓に遺骨がない理由
- 遺骨がないお墓についての法的な解釈
- お墓に遺骨がない場合の墓じまいの方法
墓じまいを行う際のお墓に遺骨がない場合の対処法について、ご参考いただけますと幸いです。
遺骨が納められていないお墓の法律上の扱いについても触れていますので、ぜひ最後までご覧ください。

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なぜ遺骨がない?

現在では、亡くなった方のほとんどが火葬され、遺骨を骨壷に納めた状態で納骨されるのが一般的です。
しかし、日本で火葬が普及したのは最近のことで、それまでは土葬が主流でした。
土葬では遺体を直接地面に埋めますので、長い時間の中でさまざまな変化が起きても不思議ではありません。
このことからお墓に遺骨がないというケースが発生する主な原因は、この土葬にあると考えられます。
土葬が原因?
お墓に遺骨がない理由の一つには、戦前は土葬が主流だった点があげられます。
土葬では地面に直接穴をほって遺体を埋めますので、土中で遺骨が散逸した結果、遺骨がなくなることも十分にあり得ます。
また、戦前の土葬が主流だった頃まで一部地域で行われていた「両墓制」も関係していると考えられます。
両墓制は、遺体を埋葬する「埋め墓」と、供養を行う「詣り墓」を別々の場所に設置する風習です。
この両墓制が行われていた地域では、先祖代々のお墓に遺骨がないのは当然と言えます。
遺骨が土に帰った?
墓じまいを行う際に、遺骨が土に還っているかどうかで、必要になる手続きや手順も違ってきます。
長期間にわたって使用されているお墓では、遺骨が土に還ってしまうこともあり得ます。
しかし、100年以上前に土葬された遺骨を取り出そうとしたところ、ほとんど変化が見られなかったケースもあるようです。
さらに、直接土に触れない環境で墳墓に納められた場合は、千年以上経過しても土に還らないケースもあります。
実際に、千年以上前の古墳の調査でも、棺の中から遺骨が発見されることもあります。
遺骨がないときは墓じまいはどうする?

墓じまいを行うためには、事前にさまざまな手続きや書類の用意が必要になります。
しかし、遺骨が土に還っているかどうかは、お墓を開いてみなければ分かりません。
こういったケースでは、どのように墓じまいの準備を進めれば良いのでしょうか。
通常の墓じまいでは改葬許可が必要
通常、墓じまいを行うには、お墓の所在地の自治体に改葬許可証を発行してもらう必要があります。
改葬許可証を発行してもらうには、お墓の所在地の自治体役場に改葬許可申請書を提出します。
改葬許可申請書を提出する際に埋葬証明書と受入証明書も必要になります。
埋葬証明書は現在の墓地の管理者に、受入証明書は改葬先の墓地の管理者に、それぞれ申請して発行してもらいます。
基本的に、お墓に納められている遺骨は埋葬証明書にすべて記載されています。
また、改葬許可申請書は、遺骨一体につき一枚必要になります。
そのため、お墓の中の遺骨と埋葬証明書の記載内容が一致していることを確認する必要があります。
遺骨を納めないお墓は法律上の「お墓」ではない
お墓について「墓地・埋葬に関する法律」では、遺体を埋葬する、または焼骨を埋蔵・収蔵する施設とされています。
「墓地・埋葬に関する法律」では、墓地以外の区域での埋葬や焼骨の埋蔵を禁じています。
しかし、遺骨を埋葬しなければ、自宅の庭などの私有地にお墓を設置することは可能です。
遺骨がない場合、改葬許可申請は不要
「墓地・埋葬に関する法律」では、改葬について「埋葬した死体、または埋蔵・収蔵した焼骨を、他のお墓や納骨堂に移すこと」と定めています。
このことから、お墓に遺骨がない場合は、墓じまいを行う際に自治体の改葬許可は不要ということになります。
実際には改葬許可申請をした方が確実
法的には墓じまいを行う際お墓に遺骨がない場合、改葬許可申請は不要とされています。
これは、遺骨が土に還ってしまっているケースにも当てはまります。
しかし、お墓に納められた遺骨が土に還っているか否かは、お墓を開けてみなければ確認できません。
墓じまいを行う場合は、さまざまな行政手続きが必要になります。
そのため一定の時間を要します。
実際に墓じまいを行う際は事前に改葬許可申請を行い、改葬許可を得ておく方が確実です。
結果的にお墓に遺骨がない状態だったとしても、事前に改葬許可を得ておくことは問題ありません。
お墓に遺骨がないと想定されるケースであっても、改葬許可申請を行ったうえで、墓じまいを進めるのが現実的な対応といえます。
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昔は遺骨がないのが当たり前だった?

現在では遺骨をお墓に納め、先祖を手厚く供養することが一般的ですが、こういった習慣は最近のものです。
江戸時代までは土葬が中心で、墓地に直接穴を掘り遺体を埋めるだけのシンプルな埋葬でした。
また、かつての庶民には「家」という概念はなく、当時は自分が見知った親族だけを供養していました。
そのため、先祖の遺骨が見つからないなどの理由で、お墓に遺骨がないという事態が発生したと考えられます。
位牌を供養するのが一般的だった
江戸時代までの日本では、位牌のみを供養するのが一般的で、庶民がお墓を持つようになったのは明治時代以降です。
遺体は基本的に土中に埋めて、塚のような埋め墓を作り、位牌だけを供養の対象にしていました。
さらに位牌を供養している方が亡くなった時点で、その位牌の供養は完了という価値観でした。
遺骨を供養するようになったのは明治時代以降
実際に火葬が一般に普及したのは戦後になってからで、それまでは土葬も多く行われていました。
日本では古来より土葬による弔いが中心で、縄文時代の屈葬から始まり、体を伸ばして埋葬する伸展葬に変化しました。
庶民のあいだでは、この土葬の風習が江戸時代まで続くことになります。
明治時代に入ると、全ての葬儀は僧侶などが行うよう法律で定められ、その後衛生上の問題から火葬が義務化されました。
この頃から庶民の間でも徐々に火葬が普及し、お墓に焼骨を納めて供養する習慣も一般化しました。
遺骨がない時の墓じまいまとめ

ここまで墓じまいに必要な手続きや、遺骨のないお墓の法律的な扱いなどを中心にお伝えしました。
要点を以下にまとめます。
- かつては土葬が主流だったため、遺骨がないお墓も存在する
- 遺骨の納められていないお墓は、法律上お墓として扱われない
- 墓じまいを行う場合は、遺骨が残っている前提で手続きを進めた方が現実的
これらの情報が少しでも皆様のお役に立てば幸いです。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。

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監修者

山口 隆司(やまぐち たかし)
一般社団法人 日本石材産業協会認定 二級 お墓ディレクター
経歴
業界経歴20年以上。大手葬儀社で葬儀の現場担当者に接し、お葬式を終えた方々のお困りごとに数多く寄り添いサポートを行う。終活のこと全般に知見を持ち、位牌や仏壇をはじめ、霊園・納骨堂の提案や、お墓に納骨されるご遺族を現場でサポートするなど活躍の場が広い。
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