相続
弔慰金を会社が渡す際のマナーは?死亡退職金との違いも調査
更新日:2022.11.18 公開日:2022.01.24
社員などに不幸があった場合、会社から弔慰金が支給されることがあります。
弔慰金を会社が渡す際には、どのようなマナーがあるのでしょうか。
そこでこの記事では、弔慰金について詳しく説明していきます。
この機会に、弔慰金と死亡退職金との違いについて知っておきましょう。
弔慰金を経費にするための方法についても触れているので、ぜひ最後までご覧ください。
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弔慰金とは
弔慰金とは、社員または社員の家族が死亡した時に会社から支給されるものです。
社員本人の死亡時はその家族に、社員の家族の死亡時は社員本人へ弔慰金を支給します。
約90パーセントの会社で弔慰金が支給されているようですが、どこの会社も弔慰金を支給するわけではありません。
理由は、法律で義務として定められている制度ではないからです。
弔慰金を会社はいつ渡す?気を付けるマナー
会社が弔慰金を渡す時には、どのような注意すべきマナーがあるのでしょうか。
葬儀後にお渡しする
弔慰金は、葬儀とは別の日程でお渡しする方がいいでしょう。
なぜなら、葬儀の際は遺族も深い悲しみに沈んでいるのと同時に葬儀への対応に追われているからです。
葬儀が無事に終了して、落ち着いたタイミングでお渡しする方が遺族にとって良いでしょう。
葬儀中に渡す場合のマナー
社員が葬儀に参列して弔慰金をお渡しする場合は、香典のマナーと同様になります。
例えば、新札を避け使用済みの紙幣を使いましょう。
新札しかない場合は折り目をつけます。
また、弔慰金はふくさに包んでお持ちするようにしましょう。
弔慰金の金額目安
弔慰金の制度に法律の規定はなく、会社によって規定されているため、金額に決まりはありません。
しかし、相続税法上の弔慰金相当額の範囲を超えた場合は課税されるので、弔慰金相当額を超えないように設定されることが多いです。
勤務時間中に亡くなった場合は、死亡当時の普通給与×36カ月分が非課税となります。
勤務時間中とは、出張中や通勤中などに亡くなった場合も含みます。
勤務時間外に亡くなった場合は、死亡当時の普通給与×6カ月分が非課税となります。
したがって、勤務時間中に亡くなった場合の方が支給される弔慰金は高額となるケースが多いです。
また、比較的大規模の会社が多いですが、団体保険に加入しているのか否かによっても違ってきます。
団体保険に加入している場合、死亡保険金が弔慰金に充当されるのでその分高額になります。
さらに、勤続年数によっても弔慰金の額が変わってくることがあります。
一定の金額ではなく、勤続年数に応じた金額が設定されている会社もあるようです。
通常、勤続年数が長いほど会社への功績も高いとされ、弔慰金も高額になります。
死亡退職金と弔慰金との違い
死亡退職金とはどのようなものなのでしょうか。
死亡退職金とは
会社から支給されるものに、弔慰金の他に死亡退職金があります。
この2つは似ていますが、支給する場合明確に区別する必要があります。
死亡退職金は、退職金として支払うものであり、残された遺族への補償という意味合いもあります。
税金面の違い
弔慰金の課税対象となる金額はすでに述べたとおりですが、死亡退職金の税金はどうなっているでしょうか。
死亡退職金の非課税枠は、「500万円×法定相続人の数」となっています。
会社が弔慰金を死亡退職金としてまとめて払うと、500万×法定相続人の数だけが非課税となり、弔慰金分の減税分が計算されないことがあります。
結果として弔慰金の減税分がなくなり課税対象になります。
弔慰金を経費とする慶弔見舞金規定とは
慶弔見舞金とはどのようなものなのでしょうか。
就業規則に定めておくと有効
弔慰金は就業規則に定めておくと有効です。
弔慰金は本来、就業規則に必ずしも定めておくべきものとはされていません。
しかし、公平性や金額の妥当性の根拠となり、支給の際の予期せぬトラブルを回避できます。
弔慰金は支給要件を詳しく就業規則に規定した場合は、賃金としてみなされることがあります。
その場合は、会社としては定められた金額を支給しなければなりません。
ただし弔慰金が賃金とみなされた場合でも、社会保険料の対象とされることはありません。
遺族に弔慰金を経費として計上できる
弔慰金を従業員の遺族に支払う場合は、福利厚生費として扱われ経費となります。
経費とするには、まず、弔慰金の支給金額が「社会通念上相当と認められる金額」であることが必要です。
社会通念上相当と認められる金額とは、相続税の非課税枠の範囲内の金額です。
また、就業規則に「慶弔見舞金規定」について定めておくと後々嫌疑を持たれることはありません。
弔慰金を取引先に支払う場合は、接待交際費になります。
資本金が1億円未満の中小法人でない限りは、経費としての計上が不可能となる場合があるようです。
例外として、専属下請先など実質的に自社の従業員と同等である場合は、福利厚生費とされます。
さらに、取引先が災害に遭った場合は、支払われる弔慰金は交際費ではなく災害見舞金として扱われます。
この場合は損金に計上できる可能性があるでしょう。
弔慰金を団体保険の保険金を弔慰金に充当する場合は、保険金はいったん「雑収入」となります。
雑収入は会社の益金となりますので注意が必要です。
保険積立金がある場合は取り崩して、保険金より多いか少ないかによって差額が雑収入となったり、雑損失となったりします。
保険金は遺族に支給されるのが原則ですが、社員の死亡による企業損害に対する補償として企業側に支払われる可能性もあります。
いずれにしても、会社として弔慰金のルールを明確にしておくのが賢明でしょう。
弔慰金と会社まとめ
ここまで弔慰金の支給のタイミングについての情報や、注意点などを中心にお伝えしてきました。
この記事のポイントをおさらいすると以下のとおりです。
- 弔慰金は社員本人や家族が亡くなった際に会社から支給される見舞金
- 弔慰金は葬儀が終わって落ち着いてから渡されることが多い
- 弔慰金と死亡退職金は明確に区分する
- 弔慰金を経費とする場合ルールを決めておく
これらの情報が少しでも皆様のお役に立てば幸いです。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。
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監修者
袴田 勝則(はかまだ かつのり)
厚生労働省認定 葬祭ディレクター技能審査制度 一級 葬祭ディレクター
経歴
業界経歴25年以上。当初、大学新卒での業界就職が珍しい中、葬儀の現場で数々のお葬式を担当し、身寄りのない方の弔いから皇族関係、歴代首相などの要人、数千人規模の社葬までを経験。さらに、大手霊園墓地の管理事務所にも従事し、お墓に納骨を行うご遺族を現場でサポートするなど、ご遺族に寄り添う心とお墓に関する知識をあわせ持つ。