相続
弔慰金は相続税の課税対象になる?所得税・贈与税についても紹介
更新日:2022.11.18 公開日:2022.01.24
働いていたご家族が亡くなった場合、弔慰金(ちょういきん)が会社から支払われることがあります。
弔慰金には、贈与税や所得税がかかるのでしょうか。
そこでこの記事では、弔慰金について詳しく説明していきます。
弔慰金と退職金の違いやその非課税枠についてこの機会に学んでおきましょう。
弔慰金を経費にする方法についても触れていますので、是非最後までご覧ください。
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弔慰金とは
弔慰金は、会社に所属している人が亡くなった場合に、会社からその遺族へ支払うお金のことです。
福利厚生の一環として送られる事が多く、故人の功労、勤続年数、所属する会社の規模によりその金額は異なり、遺族への生活の補償の意味もあります。
香典は霊前に花やお香を供える代わりのお金です。
その金額は、故人との関係により数千円〜10万円程度が相場とされています。
死亡退職金は、亡くなった日まで働いて勇退したとみなして支払われる退職金です。
その金額は、会社の退職金規定に基づいて支払われ、勤続年数・亡くなったときの給料等により金額が異なります。
スポンサーリンク弔慰金での相続税は原則非課税
弔慰金の相続税は、課税対象になるのでしょうか。
一定額を超えると課税対象になる
弔慰金は、亡くなられた方自身ではなく遺族に支払われるため、相続には該当しません。
したがって、原則として相続税の対象にはなりません。
ただし、弔慰金が高額となる場合、一定の限度額(非課税枠)を超えると実質上退職手当金とみなされ相続税の対象になります。
課税となる場合の計算方法
弔慰金の相続税の非課税枠の計算には、2種類あります。
死亡理由が業務上の場合と、業務上以外の場合です。
業務上とは、業務中、出張中、通勤途中の事故や職業性疾病を言います。
業務上での死亡の場合は、普通給与の3年分、業務上以外での死亡の場合は、普通給与の半年分が上限として計算されます。
普通給与とは、給料・扶養手当・勤務地手当等の合計金額を言います。
申告書の書き方
非課税額を超えた弔慰金は退職手当金となり、「相続税申告書第10表」により申告が必要となります。
記載方法については、国税庁HPに相続税の申告の仕方があるので参照できます。
HPが閲覧できない方は、電話でも国税庁に問い合わせできます。
弔慰金は所得税・贈与税でも対象外
弔慰金は、国や会社から亡くなられた方の追悼とともに遺族の生活を補償する意味合いもあります。
国税庁は、社会通念上相当と認められれば、所得税や贈与税にあたらないとの見解を示しています。
社会通念上相当と認められる範囲については、課税となる場合の計算方法に示した金額と解釈されています。
スポンサーリンク弔慰金を2社以上から受け取った場合
2社以上から弔慰金を受け取った場合は、1社ごとに計算します。
A社で業務上の理由で亡くなった場合、普通給与の3年分が非課税金額です。
B社は、業務以外の理由で亡くなられた事になり、普通給与の半年分が非課税金額です。
それぞれの普通給与の年収が500万円の場合、A社は500万円×3年=1500万円、B社は500万円×0.5年=250万円が非課税金額になります。
弔慰金は経費になる?
弔慰金は経費になるのでしょうか。
弔慰金を支払う側の会社にスポットを当ててみましょう。
個人事業主や、経営者の方の参考になればと思います。
弔慰金を払う相手や、経費として計上する注意点について解説します。
また、保険金を活用して弔慰金を払う場合が多いケースがあるので、この注意点についても説明します。
従業員の遺族に支払う場合
従業員が亡くなった場合は、従業員の遺族に支払います。
この場合、福利厚生費として計上します。
経費計上の根拠として、相続税の非課税枠を参考に「慶弔金規定」を定めておき、後々の疑義を無くしておくと良いでしょう。
取引先に支払う場合
お得意様や協力会社等の取引先に弔慰金を支払う場合は、通常交際費として計上します。
ただし、資本金が1億円未満の中小法人や個人事業主でないと交際費として計上できません。
下請先などで従業員と同じとみなせる場合は、福利厚生費として計上できます。
取引先が災害に遭い亡くなられた場合は、災害見舞金として計上し、損金にできることがあります。
いずれの場合でも、経費にするには領収書が必要ですが、葬儀等では領収書が発行されないことが多いので注意が必要です。
この場合、出金伝票を活用したり、葬儀でもらえる「会葬礼状」を残しておくと良いでしょう。
保険金で弔慰金を支払う場合
弔慰金はある程度高額となるため、団体保険に加入し、弔慰金にあてることが多いでしょう。
保険金で弔慰金を支払う場合の注意点について説明します。
従業員死亡により、会社側に利益をもたらす可能性もあります。
それを避けるためにも、規定を定めておく必要があります。
被保険者(役員や従業員)が亡くなった場合、保険会社から会社に対して保険が支払われるため、会社の利益金となります。
保険会社から支払われた保険金を遺族に弔慰金や死亡退職金に支払い、損金として計上します。
遺族への税金の配慮から、弔慰金と死亡退職金を明確に分けて、それぞれの非課税枠を十分に活用することが重要です。
会社も利益金と損金を明確に区分し、適切な会計処理を心がけましょう。
弔慰金の相続税のまとめ
ここまで弔慰金についての情報や、これにかかる税金を中心にお伝えしてきました。
この記事のポイントをおさらいすると以下のとおりです。
- 弔慰金とは会社から遺族に支払われる補償を兼ねた見舞金を言う
- 弔慰金の相続税は原則非課税である
- 弔慰金は高額となると課税される場合もある
- 弔慰金を経費にするには注意が必要である
これらの情報が少しでも皆様のお役に立てば幸いです。
最後までご覧いただきありがとうございました。
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監修者
田中 大敬(たなか ひろたか)
厚生労働省認定 葬祭ディレクター技能審査制度 一級 葬祭ディレクター
経歴
業界経歴15年以上。葬儀の現場で数々のお葬式を担当し、身寄りのない方の弔いから著名人や大規模な葬儀までを経験。お葬式を終えた方々のお困りごとに数多く寄り添いサポートを行う。終活のこと全般に知見を持ち、特に士業や介護施設関係の領域に明るい。
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