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終活カウンセラー

遺体衛生保全士は何する仕事?給料や働き方なども紹介

更新日:2023.11.21

死に化粧を施している様子

記事のポイントを先取り!

  • 別名エンバーマーとも呼ばれる
  • 遺体の防腐処置や修復を行う
  • 遺体衛生保全士は資格が必要

遺体の状態を保持するため、遺体衛生保全士という方がいます。

彼らは数日で腐敗してしまう遺体をどのように保持しているのでしょうか。

そこで、この記事では遺体衛生保全士について解説していきます。

この機会に遺体衛生保全士の仕事や資格について理解しましょう。

納棺師と湯灌(ゆかん)師についても触れているので、ぜひ最後までご覧ください。

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  1. 遺体衛生保全士とは
  2. 遺体衛生保全士の仕事内容
  3. 遺体衛生保全士の給料
  4. 遺体衛生保全士に向いている人
  5. 遺体衛生保全士になるためには
  6. 納棺師と湯灌師との違い
  7. 遺体衛生保全士まとめ
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遺体衛生保全士とは

遺体衛生保全士とは、別名「エンバーマー」とも呼ばれています。

エンバーミングとは、遺体を消毒や保存処理、また死化粧や必要に応じて修復などをすることで長期保存を可能にする技法のことです。

エンバーミングを行うことにより、10日間~2週間程度、故人の遺体を腐敗させることなく保存することが可能になります。

時間的な猶予ができるため、故人とのお別れの時間を大切に過ごしたり、故人の遺志や遺族の想いを反映した葬儀の準備が時間に余裕を持って行えるようになります。

また、事故や病気、災害などでの激しい損傷の修復や病気などでやつれてしまった姿から、より健康だった生前の故人の姿に近づけることが可能になります。

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遺体衛生保全士の仕事内容

ここでは、遺体衛生保全士の仕事内容について紹介していきます。

病院で看護師が行っているエンゼルケアとの違いについても紹介していきますので、参考にしてください。

遺体の防腐処理

遺体の防腐処理では、遺体の一部分を切開して動脈から防腐剤を注入し、同時に静脈から血液を抜く処置をします。

また腹部に小さな穴をあけ、胸腔や腹腔に残った血液や体液、あるいは腐敗しやすい残存物を鋼管で吸引し、同時にその部分にも防腐剤を注入していきます。

注意点として、遺体は亡くなられた直後から体内の腐敗が進むため、できる限り早く薬剤で腐敗防止処理を行う必要があります

処置を施すことにより、臭いもほとんど感じられなくなり、元気だった故人の姿に修復可能です。

着付け・化粧

全身を再度清拭や洗浄して、死装束や希望の衣服などを着せます

その後、化粧を施して表情を整え直します。

エンバーミングの処置を施すことによって、生前の安らかなお顔を取り戻し、遺族の方にとっても心に残るいい思い出となります。

エンゼルケアと何が違う?

エンバーミングもエンゼルケアも遺体をきれいに保つための処置になりますが、両者は何が異なるのでしょうか。

簡潔に言うと、エンゼルケアは表面のみの一時的な応急処置となるため、遺体の中の防腐や殺菌処理は行いません

一方でエンバーミングでは、遺体内の殺菌や消毒、防腐処置や遺体の修復を行っていきます

エンゼルケアでは、遺体が傷まないようにドライアイスを用いますが、ドライアイスはあくまで一時的に遺体が腐敗しないようにするためのものです。

場合によっては、遺体にドライアイスの痕が付いて変色してしまったりするケースもあります。

しかし、エンバーミングを施す場合は、一般的にドライアイスを使用することがありません

この理由としては、エンバーミングは血液を抜いて防腐剤や安定剤などを入れるため、ドライアイスが無くても腐敗しないように処理が可能になるのです。

このようにエンゼルケアは、あくまでも葬儀が終了するまでの遺体への応急処置的なものです。

しかし、エンバーミングは、遺体の保存目的だけではなく、顔の表情など生前に近い状態に施すといった目的も含まれていることが特徴になります。

エンゼルケアを行うのは病院の看護師などですが、エンバーミングを行うのは「遺体衛生保全士」や「エンバーマー」と呼ばれる有資格者のみになります。

遺体衛生保全士の給料

電卓と疑問符

ここからは、遺体衛生保全士の給料について紹介していきます。

働き方と給料

日本で、遺体衛生保全士という職種もあまり知られていません。

求人情報も少なく、本格的に人材が必要になるのはこれからだと言われております。

遺体衛生保全士の勤務時間は一般的に9時~18時で、給料は月に30万円程度にエンバーミングの報奨金が上乗せされます

休日は月間8日~9日程度であることが多いです。

遺体衛生保全士に必要な資格

エンバーミングの仕事をするためには、資格が必要になります。

国家資格は存在しませんが、知識は必要であり、※IFSA(一般社団法人 日本遺体衛生保全協会)が発行する遺体衛生保全士の資格を取得しなければいけません

※IFSA=international Funeral Science Assosiation

この資格を得るためには、IFSA指定の養成施設で知識と技術を2年間学び、資格試験に合格する必要があります

遺体衛生保全士の資格取得者は不十分であり、2017年2月には国内で約160人が年間約3万7千件の施術をこなしていましたが、人手不足の状態です。

IFSAは将来的に約500人に増やし、年間10万件以上の施術を目指したいと語っています。

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遺体衛生保全士に向いている人

次に遺体衛生保全士に向いている人の特徴を紹介していきます。

まずは、化粧や防腐に関する知識と技術が求められます
遺体が外傷を受けているケースもあるため、元の状態にエンバーミングできるように解剖学的な知識も必要になります。

遺族にとって大切な故人の遺体をお預かりし、遺体の処理を行うというデリケートな仕事でもあるため、悲しみでいっぱいの遺族の方と接する機会もあります。
そのため、人の悲しみを共感したり、理解しながらも感情に流されずに的確な作業ができる冷静さを持つ人に向いていると言ってもいいでしょう。

遺体衛生保全士には、遺族に対する心遣いのある声掛けや丁寧な所作が必要とされます。

遺体衛生保全士になるためには

現在、エンバーマーになるための専門学校は、国内では1校だけとなっており、遺体衛生保全士の受験資格を取得できる学校は、IFSA認定のエンバーマー養成校のみです。

専門学校で2年間スキルや知識を学び、資格試験に合格できれば、晴れて遺体衛生保全士になれるわけです。

もう1つの方法としては、エンバーミングの本場であるアメリカ北部やカナダの葬儀学校に留学する方法です。

かなりの経済的負担がかかるため、あまりお勧めではありませんが、経済的に余裕があって英語も堪能であれば、チャレンジしてみてもよいでしょう。

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納棺師と湯灌師との違い

最後に納棺師と湯灌師の違いについて紹介していきます。

どちらの職種も人が亡くなられた際に故人と関わる大切なお仕事ですが、どのような違いがあるのでしょうか。

納棺師とは

納棺師は、文字通り亡くなられた人をお棺に納める仕事をする人のことです。

ただ納棺するだけではなく、遺族や葬儀に参列される方々が故人と安心してお別れできるようにサポートする仕事になります。

場合によっては、葬儀の進行などを任されることもあり、遺体や葬儀と密接に関わる仕事の1つです。

納棺師は別名、「湯灌師(ゆかんし)」と呼ばれることもあります。

納棺師の仕事内容

納棺師の仕事内容としては、主に納棺前に故人の旅立ちの準備する仕事になります。

具体的に言うと、故人のご遺体をきれいにするための湯灌を行ったり、末期の水の儀式を行ったり、化粧や着付けをして身だしなみを整え、納棺するまでの作業になります。

遺族に対して納棺までの流れを説明したり、遺族が湯灌や死化粧に参加できるように調整したりすることもあります。

遺族が故人との最後のお別れを大切に過ごせるようにサポートすることが重要な仕事内容になります。

大きな悲しみに包まれた場であるため、強い精神力や遺族への心情の配慮が求められます

基本的に1人ではなく2~3人で作業を行いますが、自分より大きなご遺体を動かすケースもある上に、1日に何件も依頼が入る日もあるため、体力も必要になります。

納棺師の給料

納棺師の多くは葬儀会社で働いており、平均的な月給は25万円程度が一般的ですが、地域によってバラつきが大きいようです。

ただし人が亡くなるのは突発的なので、急な勤務や残業が発生することがあり、その場合は残業手当などが付きます。

ちなみに納棺師の初任給は、15万円前後です。

正社員での納棺師の年収は300~400万円程度であり、アルバイトの場合では、日給は1万円~1万5千円程度です。

納棺師は学歴や特別な資格などが不要なため、地域によっては家族で納棺を済ませる場合もあります。

そのため、納棺師の仕事は年収が伸びにくいと言えます。

一方で大手の葬儀会社であれば、平均年収は500~600万円程度になります。

管理職になれば年収1000万円を超えることも珍しくありませんが、納棺師としての現場の業務からは離れる可能性が高いそうです。

納棺師になるためには

納棺師は特殊な仕事ではありますが、資格が必要な仕事ではありません

学歴も必要ないので、誰でも湯灌師として働くことは可能となります。

実際に未経験から湯灌師になった人も多く、社会人経験やブランクなどを問わない正社員の求人も多くあります。

特別な資格は必要ないものの、湯灌や納棺に必要な技術や知識を学ぶ必要はあります

技術は葬儀関連の専門学校で学べますが、業者が徹底的な研修を行うケースも多いため、知識や技術が全くない人でも葬儀社に入社して経験を積むことは可能です。

遺体衛生保全士まとめ

キーボードの上に載っている「ま」「と」「め」と書かれた積み木

ここまで、遺体衛生保安士の仕事内容や給料についての情報を中心にお伝えしました。

この記事のポイントをおさらいすると以下の通りです。

  • エンバーミングは遺体の保存処理や修復などをして長期保存可能にする技法のこと
  • 遺体衛生保全士の給料は月に30万円程度で、エンバーミングの報奨金が上乗せされる
  • 悲しみに共感しながらも、落ち着いて作業できる人が遺体衛生保全士に向いている
  • 専門学校で2年間知識や技術を学び、試験に合格することで遺体衛生保全士になれる

これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てれば幸いです。

最後までご覧いただき、ありがとうございました。

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監修者

評価員(たなか)

田中 大敬(たなか ひろたか)

厚生労働省認定 葬祭ディレクター技能審査制度 一級 葬祭ディレクター

経歴

業界経歴15年以上。葬儀の現場で数々のお葬式を担当し、身寄りのない方の弔いから著名人や大規模な葬儀までを経験。お葬式を終えた方々のお困りごとに数多く寄り添いサポートを行う。終活のこと全般に知見を持ち、特に士業や介護施設関係の領域に明るい。

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