保険
遺族年金の受給資格とは?もらえないケースはどんな時?
更新日:2022.04.23 公開日:2022.04.05

記事のポイントを先取り!
- 遺族基礎年金は子と子のある配偶者が受給対象
- 遺族厚生年金は両親や孫も受給対象となる
- 受給するには生計維持などの条件がある
- 救済制度として寡婦年金などがある
家族を失った遺族を救済するための遺族年金ですが、その受給資格についてご存じでしょうか。
ご自分の家庭の遺族年金について、よく知っておくことが大切です。
そこでこの記事では、遺族年金の受給資格について、解説します。
この機会に、遺族基礎年金と遺族厚生年金の受給資格の違いについても覚えておきましょう。
後半には遺族年金以外の救済制度についても触れているので、ぜひ最後までご覧ください。
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- 遺族年金とは
- 遺族基礎年金の支給要件
- 遺族基礎年金の受給資格
- 遺族厚生年金の支給要件
- 遺族厚生年金の受給資格
- 遺族年金の申請方法
- 遺族基礎年金がもらえないケース
- 遺族年金がもらえない人の救済制度
- 遺族年金の受給資格についてのまとめ
遺族年金とは
遺族年金とは日本の年金制度のひとつで、亡くなった加入者の家族つまり遺族に対して支給される年金のことです。
遺族年金には大きく分けて下記の2種類があります。
遺族基礎年金
遺族基礎年金は、国民年金に加入している方に適用される遺族年金です。
国民年金は、日本に住む20歳以上60歳未満のすべての方が加入しなければなりません。
自身で保険料を納めている自営業者や、パート・アルバイトなどで働いている方は、国民年金の第1号被保険者と呼ばれます。
遺族厚生年金
遺族厚生年金は、厚生年金に加入している方に適用される遺族年金です。
主に会社員や公務員といった企業や団体に所属して働く方が加入します。
直接自身で保険料を納めるわけではありませんが、会社員や公務員の方は第2号被保険者として国民年金にも加入しています。
遺族基礎年金の支給要件

遺族基礎年金が支給されるにあたっては、いくつかの要件が設定されています。
基本的には死亡された方が「被保険者等要件」および「保険納付要件」を満たし、受給者にも課された要件が満たされている必要があります。
遺族基礎年金における亡くなった人の要件
遺族基礎年金の支給には、亡くなった人が下記のいずれかの要件を満たしている必要があります。
- 国民年金の加入者である
- 日本国内に籍を持つ60歳〜65歳の方で、過去に国民年金に加入していた
- 老齢年金受給者
- 老齢基礎年金の受給資格期間を満たしている
遺族基礎年金における遺族の要件
遺族基礎年金を受給できる対象となる遺族は、次の要件を満たす配偶者と子供です。
配偶者の場合は、子供がいることと、亡くなった方に生計を維持されていたことが要件です。
子供の場合は18歳の3月末日を迎えるまでが要件とされ、障害1級もしくは2級認定であれば20歳まで延長されます。
保険料の納付に関する要件
老齢基礎年金受給前に被保険者が亡くなっている場合、下記の2点の要件を満たしている必要があります。
- 保険料納付済期間が死亡の前日までに加入期間の3分の2以上である
- 死亡した月の2ヶ月前から数えて1年間の間に、保険料をすべて納付している(2026年3月末日までの死亡で65歳未満の時)
遺族基礎年金の受給資格

遺族基礎年金の受給資格は、下記の要件を満たす配偶者もしくは子供です。
亡くなった人に生計を維持されていた子のいる配偶者
遺族年金の受給資格を持つ遺族は、亡くなった方に生計を維持されていた配偶者です。
同居を前提とし、亡くなる前年の年収が850万円未満であることが生計を維持されていたことになります。
また、子供がいることも前提条件となります。
亡くなった人に生計を維持されていた子
遺族年金の受給資格を持つ遺族は、亡くなった方に生計を維持されていた子供も対象です。
対象となる子供には18歳の末日まで、もしくは障害1級か2級であれば20歳までという要件があります。
生計を維持されている必要があるため、すでに結婚している場合などは対象外です。
遺族厚生年金の支給要件
遺族厚生年金では、亡くなった方と受け取る遺族それぞれに下記の要件が設定されています。
遺族厚生年金の亡くなった人における支給要件
遺族厚生年金の亡くなった方における支給要件は、短期要件と長期要件に分けられます。
短期要件
短期要件は在職中つまり厚生保険加入中であることや、加入中に死亡原因の病気や怪我を受診した最初の日から5年以内の死亡であることです。
また、障害1級か2級の障害厚生年金を受け取れる資格があることも短期要件です。
長期要件
長期要件は平成29年7月までに老齢厚生年金を受給開始できた方や、老齢厚生年金受給資格が25年以上ある方です。
遺族厚生年金における遺族の要件
遺族厚生年金における遺族の要件は、被保険者に生計を維持されていたことです。
遺族基礎年金の対象者が子のいる配偶者と子供であるのに対し、遺族厚生年金の場合は広い範囲の遺族に受給資格があります。
続柄によってそれぞれ要件があるので、以下で詳しく説明していきます。
遺族厚生年金の受給資格

遺族厚生年金の受給資格には、対象者となる方と被保険者との続柄により順位が設けられています。
第一順位
遺族厚生年金の受給資格第一順位は、配偶者もしくは子供です。
配偶者としての妻に年齢制限はありませんが、夫の場合は55歳以上という制限があります。
ただし、子供のいない30歳未満の妻の場合は、5年間のみの受給となります。
子供は遺族基礎年金と同じく18歳の3月末日までの方、障害等級1級または2級の場合は20歳未満の方が対象です。
第一順位の中でも子供を持つ妻が優先されます。
次に子供を持つ55歳以上の夫、続いて子供、子供のいない妻、最後に子供のいない55歳上の夫という順番です。
第二順位
遺族厚生年金受給資格第二順位は、亡くなった方の父母です。
どちらも故人の死亡時に55歳以上であることが条件です。
第三順位
遺族厚生年金受給資格第三順位は、亡くなった方の孫です。
18歳の3月末日を経過していないことが条件ですが、障害1級もしくは2級であれば20歳まで延長されます。
第四順位
遺族厚生年金受給資格第四順位は、亡くなった方の祖父母です。
どちらも故人の死亡時に55歳以上であることが条件です。
遺族年金の申請方法
遺族年金の申請は、下記の手順で行います。
死亡届の提出
家族が死亡診断を受けたら、市区町村に死亡届を出す必要があります。
また遺族年金を申請する際には、年金加入状況により以下の届けが必要になるので確認しておきましょう。
亡くなった人が現役の加入者の場合
亡くなった方が現役の加入者の場合、厚生年金加入者であれば勤め先に「資格喪失届」を提出します。
亡くなった人が年金受給者だった場合
亡くなった方が年金受給者の場合は、年金事務所へ「年金受給権者死亡届」を提出します。
遺族年金を受け取る場合も受け取らない場合も、提出が義務付けられています。
請求先
遺族基礎年金の請求先は、亡くなった方の市区町村役場の年金担当窓口、もしくは近くの年金事務所や年金相談センターです。
遺族厚生年金は、お近くの年金事務所または年金相談センターの窓口が請求先となります。
必要な書類
遺族年金を請求する場合に必要な書類は下記の通りです。
- 年金請求書
- 年金手帳
- 戸籍謄本
- 遺族の住民票
- 故人の住民票の除票
- 請求者の所得証明書
- 在学証明書または学生証(高校生の場合)
- 死亡診断書のコピー
- 受取先の通帳等
遺族基礎年金がもらえないケース

亡くなった方が年金加入者であっても、遺族年金が遺族に支給されないケースがいくつかあります。
保険料の未納・滞納
必要な保険料の未納や滞納がある場合は、遺族に受給資格があってももらえません。
遺族年金には前述した要件が設けられていますが、その要件に満たない場合も同様に遺族年金が支給されません。
生計維持が認められなかった
遺族年金受給資格には、生計維持が要件として設定されています。
そのため生計維持が証明できない場合も、遺族年金受給資格を持たないため受給対象外となります。
遺族年金の受給権を失っている
遺族基礎年金は、子供のいる配偶者を救済するための年金です。
子供が以下の状態となり受給権を失えば、支給されません。
18歳の3月末日を過ぎた
結婚などで配偶者と生計が別になった
死亡した
養子になった
また、配偶者が再婚や死亡した場合も受給資格を失います。
遺族厚生年金の場合は子供の有無については関係ありませんが、配偶者や子供が受給権を失うのは結婚や死亡など、おおむね遺族基礎年金と同様です。
遺族年金がもらえない人の救済制度
予期せぬ事故や思わぬ大病によって家族を失うことは、遺族はもとより本人にとっても無念で不幸な出来事です。
特に家計を支える大黒柱だった夫が亡くなることは、遺族にとって大きなショックといえるでしょう。
また、悲しみの中で葬儀や法要を執り行うなど、精神的ダメージに加え身体的にも辛い生活が続きます。
亡くなった家族が一家の金銭面を支える大黒柱だった場合、追い打ちをかけるように生活費や教育費は遺族に重くのしかかります。
このような直面する問題に対して、遺族年金は金銭面の補助となるでしょう。
しかし遺族年金にはさまざまな要件があるため、受給資格がない場合は金銭問題に窮する可能性もあります。
そこで遺族年金以外の救済制度として、寡婦年金(かふねんきん)や死亡一時金について知っておくことも大切です。
最後に、寡婦年金と死亡一時金について解説します。
寡婦年金
寡婦年金は、被保険者に生計を維持されていた妻にのみ適用される救済制度です。
夫が亡くなる前日までの職を自営業者や学生、無職としていた方で、保険料を10年以上納付していることが条件となります。
また、夫が老齢基礎年金や障害基礎年金を受けていないことも条件です。
上記条件でわかるように寡婦年金は、国民年金加入者の中でも第1号被保険者が対象となる制度のため、厚生年金加入時に納付した期間は対象外となります。
寡婦年金の受給金額の目安は老齢基礎年金の4分の3で、妻が60歳〜65歳の間に支給されます。
死亡一時金
死亡一時金とは、条件を満たす国民年金加入者の死亡時に遺族へ支給される、一時的な給付金です。
国民年金保険料を36ヶ月以上納付していることが条件となります。
納付済みの保険料の月数によって、12万円~32万円と支給額に幅があります。
しかし遺族基礎年金を受け取れる遺族の場合は、受給資格対象外となります。
また、受給するには死亡日から2年間という期限があるので注意が必要です。
寡婦年金との併給はできず、どちらかを選択する形になります。
遺族年金の受給資格についてのまとめ
ここまで遺族年金の情報や、受給資格について解説してきました。
まとめると以下の通りです。
- 遺族年金には遺族基礎年金と遺族厚生年金があり、受給資格が異なる
- 遺族年金の主な受給資格者は配偶者や子供で、条件により両親や孫も対象となる
- 遺族年金を受給するには、生計維持などのさまざまな要件がある
- 遺族年金が受け取れない場合も、寡婦年金や死亡一時金といった救済制度がある
これらの情報が少しでも皆様のお役に立てば幸いです。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。
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監修者

鎌田 真紀子(かまた まきこ)
国家資格 キャリアコンサルタント ・CSスペシャリスト(協会認定)
経歴
終活関連の業界経歴12年以上。20年以上の大手生命保険会社のコンタクトセンターのマネジメントにおいて、コンタクトセンターに寄せられるお客様の声に寄り添い、様々なサポートを行う。自身の喪主経験、お墓探しの体験をはじめ、終活のこと全般に知見を持ち、お客様のお困りごとの解決をサポートするなど、活躍の場を広げる。