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なぜ遺言書に検認が必要なのか?検認の流れについても紹介

更新日:2022.04.23 公開日:2022.04.08

遺言書

記事のポイントを先取り!

  • 検認の目的は相続人同士のトラブルを防止するために遺言書を保存すること
  • 検認を受けずに遺言書を開封すると5万円以下の過料となる
  • 自筆証書遺言保管制度は遺言書を法務局に預けることができる制度のこと

遺言書については耳にしたことのある方が多いと思いますが、遺言書の検認の必要性についてはご存じでしょうか。
相続でトラブルにならないためにも、遺言書の検認について詳しく知ることは大切です。

そこでこの記事では、なぜ遺言書に検認が必要なのかについて詳しく説明していきます。

この機会に遺言書の検認についての知識を身に付けておきましょう。
遺言書が複数見つかった場合の対応や遺言状の内容を無効にする方法についても触れているので、ぜひ最後までご覧ください。

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  1. 遺言書の検認とは
  2. 検認の流れ
  3. もし遺言書を開封してしまったら
  4. 公正証書遺言なら検認は不要
  5. 封筒が無くても検認は必要?
  6. 遺言書が複数見つかったら?
  7. 遺言状の内容は無効にできる
  8. 遺言書の検認まとめ
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遺言書の検認とは

まずは、そもそも遺言書の検認とは何かについて解説します。
検認の目的や必要性について詳しく説明していきますので、ぜひ参考にしてみてください。

検認の目的

遺言書の検認とは、遺言書を発見した人や保管していた人が家庭裁判所に遺言書を提出して、相続人立会のもと開封して遺言書の内容を確認し、保存する手続きのことです。

遺言書の検認は、不動産の名義変更や金融機関における預貯金の払い戻し、預金名義口座の変更、株式の名義変更などのタイミングで必要となります。
検認済みでないとこれらの手続きはできないので、覚えておきましょう。

検認をしないとどうなる?

検認については、まずは遺言書の種類が検認の必要なものなのか考えていきましょう。
遺言書には大きく分けて自筆証書遺言秘密証書遺言公正証書遺言の3種類があります。

このうち、公正証書遺言は、公証人役場で原本が保管されているため、偽造や変造の恐れがないとされ、検認手続きを行うことは不要です。

ただし、自筆証書遺言や秘密証書遺言などの検認が必要なものであるのにも関わらず、検認を受けずに遺言書を開封すると、5万円以下の過料といった罰もあるため、注意が必要です。

遺言書が見つかった場合には、できるだけ早めに家庭裁判所で検認の申し立てをすることをおすすめします。

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検認の流れ

次に検認の流れについて紹介していきます。
検認の流れを知ることでスムーズに手続きができるかと思いますので、ぜひ参考にしてください。

家庭裁判所へ申し立て

申し立て先となる家庭裁判所は、遺言者の最後の住所地を管轄する家庭裁判所となります。

遺言書の検認申立書や当事者目録などの書類を用意して、申し立てに行きます。
このときに、800円分の収入印紙を貼ることを忘れないようにしましょう。

申し立て時は直接家庭裁判所に書類を持参するか、時間に余裕がなければなかったり、スケジュールが合わない場合には郵送でも構いません。

郵送のケースでは、到着したことがわかる書留配達記録郵便で送るほうが安心できるので、おすすめです。

必要な書類について以下にまとめます。

  • 検認申立書
  • 当事者目録
  • 遺言者の出生時から死亡時までの戸籍謄本
  • 相続人全員の戸籍謄本など
  • 相続人によって必要となる戸籍謄本
  • 封印がない場合には遺言書のコピー

検認期日

申し立て後、数週間〜1ヶ月程度で家庭裁判所から申立人に検認期日の電話連絡がくることが一般的です。

その後、相続人全員に「検認期日通知書」と「出欠回答書」が郵便で送られてきますので、あらかじめ相続人にはお伝えしておくことをおすすめします。

申し立て人は必ず検認手続きの際に出席する必要がありますが、申し立て人以外の相続人の出欠は本人たちの意思に任せる形となるので、全員がそろわなくても問題ありません。

スケジュールの都合などで出席できない際に、不利益になるのではないかと心配される方もいるかと思いますが、後日家庭裁判所で検認調書を申請すれば、遺言内容を確認できます。
そのため、出席しないことがでデメリットとなることはないのでご安心ください。

申し立て人は検認日当日に遺言書と検認申立書に押印された印鑑を持参してください。
出席した相続人と裁判所職員の立会のもと、遺言書を開封し日付や筆跡、署名、本文を確認していくこととなります。

検認済み遺言書の受け取り

検認が終了したら、なるべく早めに検認済証明の申請を行う必要があります。
この申請により、遺言書原本に検認済証明書を貼り付けた後、申し立て人に原本が返還される流れとなります。

以上で検認手続きは完了となります。
手続きの際には手数料として、遺言書1通につき150円かかります。

完了までの期間

手続きの完了には約1ヶ月かかりますので、それまでの間は遺産の手続きはできません。

相続手続きは放置するとトラブルが発生することもあるので、速やかに相続手続きを行うことが大切です。

検認済証明書が付いた遺言書が手元に戻った段階で、不動産や預貯金などの相続手続きを行うことが可能になります。

もし遺言書を開封してしまったら

ここからは万が一知らずに遺言書を開封してしまったときの対応について紹介していきます。

開封したとしても遺言書自体は無効にはなりませんが、遺言書の取り扱いは法律で定められていますので注意が必要です。

遺言書は、「家庭裁判所において相続人の立会いの下で開封しなければならない」と定められています。
そのため、遺言書を勝手に開封することはこの法律に違反したことになってしまいます。

家庭裁判所で検認を受ける前に遺言書を開封してしまったケースでは、5万円以下の過料に処せられることになります。

ただし、きちんと過料を支払い、開封した遺言書を家庭裁判所に提出すれば検認を受けることができますのでご安心ください。

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公正証書遺言なら検認は不要

次に検認が不要な公正証書遺言について詳しく紹介していきます。
公正証書遺言がどういったものなのか、意味合いやこの他に検認不要なケースについても説明していきますので、ぜひご覧ください。

公正証書遺言とは

公正証書遺言とは、第三者である公証人が立ち合いのもと、作成した遺言書のことです。
公証人は高い法律の知識や経験があるため、複雑な内容であってもきちんと整理された内容にまとまり、遺言が無効になる心配も不要になります。

公正証書遺言の特徴としては、家庭裁判所における検認手続きの必要がないことです。
病気などで体力が弱っていたり、筋力が低下して自分で遺言書を作成することが困難な場合にも、公証人に依頼すれば口頭で伝えることで正式に遺言として残すことが可能になります。

高齢の方にとって手書きで遺言書を残すことは負担のかかることになりますので、近年では公正証書遺言を利用する方が増えています。

その代わりに公正証書遺言では、証人2名の立会いが必要となります。

また、公正証書遺言では、遺言書の原本が必ず公証人が在籍する役所である公証役場に保管されます。
そのため、遺言書が破棄されたり、隠匿や改ざんをされたりする心配がないので安心できます。

公正証書遺言では、政令で定められた手数料が必要となりますが、相談は全て無料です。
気になった方は相談してみることをおすすめします。

自筆証書遺言保管制度も検認不要

自筆証書遺言保管制度は、2020年7月10日に始まったばかりの新しい制度で、遺言書を法務局に預けることができるというものです。

この制度を利用すれば検認も不要になりますので、ご遺族の方にとっても負担が少なくなります。

自筆証書遺言書の法務局での保管手数料は3,900円で、預けてから死後50年まで追加料金はかかりません。

これはリーズナブルな価格で安心できる制度であるため、コストパフォーマンスが非常に良いと言えます。

法務局で保管制度を利用する場合には、遺言者が入院中で法務局に行けないケースなどであっても、原則として代理人に申請してもらうことはできないとされています。

遺言者自ら法務局に行けない場合は、公証人に出張してもらい作成する公正証書遺言か、従来の自筆証書遺言を自分で保管しておく方法を選ぶことをおすすめします。

封筒が無くても検認は必要?

封筒に入れていない場合であっても、家庭裁判所で検認を受ける必要があります。
遺言書は封筒に入れて封をしておくことで勝手に読まれたり、改ざんされたりすることを防げます
そのため、遺言書は封筒に入れて保管しておくことが一般的です。

これは決まりではなく、自筆証書遺言の要件を満たしていれば、遺言書として法的にも有効になります。
ただし、封筒に入れていない場合であっても、家庭裁判所で検認を受ける必要はあります。

遺言書の検認は、遺言の方式に関する一切の事実を調査して遺言書の状態を確定しその現状を明確にするために行われるものになります。
そのため封筒に入っているかどうかは関係なく、検認は必ず必要になるのです。

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遺言書が複数見つかったら?

次に、遺言書が複数発見されたケースについて紹介していきます。
複数あった場合、どの遺言書が有効になるのか分からないケースもあるので疑問に思うかと思いますので、以下で詳しく説明していきます。

まずは、法律上の有効要件を満たしたものかどうかを判断するところから始まります。

そのためには遺言書の検認が必要になります。
遺言があったとしても、書き方に法的な問題があった場合、無効になってしまいます。
そのため、公正証書遺言以外の全ての遺言書は検認が必要になります。

最後に内容を見比べて、複数の遺言書の内容に矛盾がなければどの遺言書も有効になります。

複数の遺言書で内容に矛盾があったケースでは、新しい日付の遺言書が有効になります。
これは内容によって、判断が難しいケースもあるので、詳しくは専門家に相談して実際に検認することをおすすめします。

遺言状の内容は無効にできる

最後に遺言書の内容は無効にできるのか紹介していきます。
無効にする方法や内容をケース別に紹介していきますので、参考にしてください。

検認の際に異議を唱えた場合

遺言書の内容を無効だと考えられた場合には、検認の際に意義を唱えることができます
例えば、遺言者が認知症を患っているときに書かれたものであったり、遺言者の筆跡ではなかったりした場合などに発言することが可能になります。

しかし、検認手続きはあくまでも遺言の存在の周知や外形的な確認と証拠保全の目的で行われるものであり、有効・無効の判断が目的ではありません。

そのため、仮に異議を唱えたとしても、検認の段階で有効性裁判所が有効や無効についての判断はされませんすることはできません。

遺言書を無効にしたい場合には、別途裁判である「遺言無効確認の訴え」を起こすことになります。

相続人全員が納得して遺産分割する場合

裁判以外にも遺言書を無効にする方法はあります。
遺言を無効にしたいケースでは、まずは相続人同士で話し合いをして全員の同意を得ることです。

遺言書の内容にて財産を分与される受遺者の方や遺言執行者が指定されている場合には、その方も含めての話し合いが必要となります。
この話し合いにて全員の同意が得られれば、遺言内容とは異なる分け方で相続財産を分割することができます。

このようなケースでは、特別な手続きも不要になります。
相続税の申告が必要なケースでも、遺産分割協議で決定した内容で遺産分割協議書を作成すれば問題ありません。

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遺言書の検認まとめ

ここまで遺言書の検認の目的や意味合い、流れなどを中心にお伝えしてきました。
この記事のポイントをおさらいすると以下の通りです。

  • 検認の目的は相続人同士のトラブルを防止するために遺言書を保存すること
  • 検認が必要にも関わらず検認を受けずに遺言書を開封すると5万円以下の過料となる
  • 自筆証書遺言保管制度は遺言書を法務局に預けることができる制度のこと

これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。

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監修者

評価員(たなか)

田中 大敬(たなか ひろたか)

厚生労働省認定 葬祭ディレクター技能審査制度 一級 葬祭ディレクター

経歴

業界経歴15年以上。葬儀の現場で数々のお葬式を担当し、身寄りのない方の弔いから著名人や大規模な葬儀までを経験。お葬式を終えた方々のお困りごとに数多く寄り添いサポートを行う。終活のこと全般に知見を持ち、特に士業や介護施設関係の領域に明るい。

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