遺品整理
遺品整理と特殊清掃の業務内容・流れ・必要なケース・費用を説明
更新日:2022.04.23
親族が亡くなった際には、遺品整理や特殊清掃をしなければならない場合があります。
遺品整理と特殊清掃のどちらの業者に依頼すればいいか、その違いを明確に分かっておく必要があるでしょう。
そこでこの記事では、遺品整理と特殊清掃の業務内容や流れについて紹介していきます。
この機会に遺品整理と特殊清掃の違いや、必要となるケースについて知っておきましょう。
記事の後半では孤独死の遺品整理についても触れているので、ぜひ最後までご覧ください。
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遺品整理と特殊清掃の違い
まずは遺品整理と特殊清掃の違いについて紹介します。
この二つがどういった意味を持つのかを理解すれば、その違いも明確になるでしょう。
以下で、それぞれの言葉の意味を説明していきます。
遺品整理とは
遺品整理とは、故人の持ち物(遺品)を整理することを指します。
遺品の中には遺産相続に必要なものや思い出の品なども含まれており、必要なもの・不要なものに仕分けることが必要です。
必要な物の中には思い出の品や、形見分けしたり遺産に関する手続きをしたりする際に必要なものが含まれます。
また、不要なものに関しては処分したり売却したりすることで、適切な形で整理します。
近年では遺族が高齢化していたり、遠方に住んでいたりといった理由により、遺品整理を業者に依頼するケースも増えています。
特殊清掃とは
特殊清掃は、遺体が発見された部屋を清掃することを指します。
遺体の発見まで時間が経過した場合は、通常の清掃では特に汚れが取り切れなくなってしまいます。
そのため、特殊清掃専用の器具・洗剤を使って清掃します。
特に孤独死のケースでは、遺体の腐敗などによって匂いも部屋に付いてしまいます。
特殊清掃は汚れやゴミだけでなく、そうした匂いも全て無くし、事故の前の綺麗な状態に戻すものです。
近年では、一人暮らしの高齢者が増えており、孤独死の数も増加傾向にあります。
孤独死による汚れや死臭の清掃は、故人の遺族にとって身体的・精神的負担の大きなものです。
孤独死の清掃は、処分方法にも適切な専門知識が必要となるため、業者に依頼するのが一般的となっています。
遺品整理と特殊清掃の業務内容
ここからは遺品整理と特殊清掃の作業内容を紹介していきます。
それぞれ、業者に依頼した場合にどういった作業をしてもらえるのか、この機会に知っておきましょう。
遺品整理の作業内容
遺品整理を業者にお願いすると、故人の遺品の整理・処分・搬出を親族の代わりに行ってくれます。
業者は故人の家にある遺品を、必要なもの・不要なものへの仕分けもしてくれるので親族の負担が軽減されるでしょう。
また、業者によっては不要なものを捨てるだけでなく遺品の買取まで行ってくれる場合もあります。
買取を依頼する場合は、業者が遺品の査定をし、親族がその査定額に納得できたら売買が成立するという流れです。
特殊清掃の業務内容
特殊清掃の業務内容について解説していきます。
特殊清掃は専用の器材や薬剤を使用するため、自分で行うのは不可能です。
以下では、業者に依頼する場合どういった業務を親族の代わりに行ってくれるのかをご紹介します。
消毒作業
作業する前に、まずは部屋を消毒します。
作業員や近隣に住んでいる方の感染症予防のために、特殊清掃用の器材と薬剤を使用して消毒・除菌する工程です。
菌は目に見えるものではないため、隅々まで消毒・除菌が行われます。
不用品処分
特殊清掃は、冷蔵庫・テレビ・家具などの大型の不用品・粗大ゴミを運び出すのも業務の中の一つです。
部屋に残しておきたいもの、遺族が必要とするものはマスキングテープなどで保護して、清掃時に汚れないようにします。
特殊清掃
部屋に血液・体液が付着した家具やベッドなどは全て汚染されたものと見なし、撤去します。
撤去が完了したら、部屋の床や壁に残っている血液・体液などを専用の薬剤・器材で綺麗に清掃していきます。
場合によっては、床下や壁紙の下にまで血液・体液が入り込んでいることがあります。
その場合には、床や壁紙を剥がしての清掃作業が必要です。
事故前と変わらない綺麗な状態になるまで、清掃していきます。
害虫駆除
孤独死で死後日数が経過している場合には、ハエ・ウジ・ゴキブリなどの害虫が発生します。
害虫は清掃作業に支障をきたすだけでなく、近隣住民へも被害が及ぶ可能性があるため注意すべき存在です。
そのため専用の殺虫剤などを使用して、害虫の卵なども含めて繁殖しないように根絶することを目的に徹底的に駆除します。
消臭
故人の死後、時間が経ってしまった場合には部屋に死臭が残ってしまいます。
死臭は、部屋を綺麗にしたとしても消えることはありません。
そのため通常の清掃では取り除くことが不可能なため、専用の強力な消臭剤を使って、消臭する必要があります。
消臭しても取れない場合などは、複数の方法で消臭を試し、完全に消えるまでこれを繰り返します。
完全に消臭できていないと、後日また匂いが復活してしまう可能性があるためです。
死臭は匂いが強いだけでなく、しぶとく残り続けるものでもあるため、消臭作業は入念に行う必要があります。
特殊清掃が必要なケース
自殺・殺人・事故死などの現場となった部屋を綺麗にしたい時には、特殊清掃が必要です。
故人を病院でなく自宅で看取ったケースでも、特殊清掃が必要となる場合があります。
また、上記のケースに該当しなくても、故人が高齢で家の中の清掃ができていなかった場合にも特殊清掃することがあります。
自分では清掃が難しいと思われる場合には、特殊清掃業者に相談してみましょう。
スポンサーリンク遺品整理と特殊清掃の流れ
ここから遺品整理と特殊清掃の流れをケース別に紹介していきます。
それぞれ、どういった流れで行われるのかを知っておきましょう。
賃貸物件
まずは賃貸物件で特殊清掃と遺品整理する場合の流れについて解説していきます。
賃貸物件の場合には、大きく「遺族が遺品整理する場合」と「全て業者に任せる場合」の2つに分けられます。
遺族が遺品整理する場合
遺族が遺品整理する場合には、まず簡単な特殊清掃が行われます。
これは遺族が入室して遺品整理できる程度まで、室内を綺麗にすることが目的です。
遺品整理が終わったら、業者によって再度特殊清掃が行われます。
最初に行った特殊清掃と違い、遺品整理後の清掃では、現状回復するため徹底的に清掃します。
必要なものと不用品の仕分けが終わったら、不用品の廃棄に関しては専門知識のある業者が行います。
これは孤独死などにより、不用品が血液・体液などに汚染されていたり死臭が付いていたりすることがあるためです。
また、残す遺品に関しても、同様に特殊清掃業者による消臭作業が行われます。
全て業者に任せる場合
特殊清掃と遺品整理を両方業者に依頼する場合には、事前に残して欲しい遺品を業者に伝えておきます。
業者は遺族に依頼された内容に従って、必要な遺品と廃棄する遺品に仕分けつつ、特殊清掃をすることとなります。
所有物件
ここからは遺族や故人が所有する物件の遺品整理・特殊清掃の流れについて解説していきます。
所有物件の場合には、「居住する場合」「売却する場合」「建物を解体する場合」の3つのケースに分けられます。
以下で、それぞれどういった流れになるかを紹介していきましょう。
居住する場合
遺族が故人の亡くなった家に居住する場合には、まず業者により簡易的に清掃します。
清掃が終わったら、遺族による遺品整理が行われ、その後、業者によって徹底的な特殊清掃が行われるという流れです。
賃貸物件とは違い、所有物件の場合には開け渡し期限はありません。
しかし、放っておくと血液・体液が床下や壁紙の下に浸透する可能性があります。
所有物件の場合でも、できるだけ早く清掃する方が良いでしょう。
売却する場合
所有物件を売却する場合には、簡易の特殊清掃をし、遺品整理するまでが遺族の行うべき工程となります。
その後の徹底的な特殊清掃に関しては、不動産会社や購入者が行うのが一般的です。
売却する場合には、特殊清掃で費用がかかる分、売却額が低くなります。
建物を解体する場合
建物を解体する場合であっても、遺族が遺品整理に入るために簡易的な特殊清掃が必要です。
簡易の特殊清掃をして遺品整理が済んだら、解体業者に依頼して建物の解体をしてもらいます。
また、解体業者に不用品を処分してもらうことも可能ですが、その場合、不用品処分に別途料金がかかる場合があります。
孤独死の遺品整理する際の注意点
ここからは孤独死の遺品整理する際、どういった点に注意すべきかを紹介していきます。
故人が孤独死した場合には、通常の遺品整理とは違った部分に気をつけなければなりません。
以下の注意点を、遺品整理の際の参考にしていただければと思います。
特殊清掃前に部屋へ入らない
遺族だけで特殊清掃前に部屋に入るのは避けましょう。
故人が孤独死した部屋に入ってしまうと、酷い腐敗臭によって気持ち悪くなってしまう可能性があります。
床や壁に体液や血液が残っているケースもあり、現場を見たことでトラウマが残ってしまうこともあるでしょう。
そのため、必ず特殊清掃が終わってから部屋に入るようにします。
必ず手袋やマスクを準備する
孤独死した部屋に入る場合には、必ず手袋・マスクを用意しましょう。
遺品整理する際など、部屋の中のものには腐敗した血液・体液や雑菌が付着しています。
そのため、手にそうしたものが付着しないよう、必ず手袋を着用しましょう。
また、雑菌などを吸い込む可能性があるため、マスクの着用も忘れずに行います。
窓を開ける・お風呂を流したりしない
特殊清掃する前の孤独死の部屋には、強い腐敗臭が充満しています。
その状態で窓を開けてしまうと近隣に多大な迷惑をかけてしまう可能性があるため、絶対に開けてはいけません。
腐敗臭は、洗濯物に一度付いてしまうと取れないため、苦情が来たり、最悪の場合には損害賠償に発展したりする可能性があります。
また、お風呂で孤独死した場合には、そのお風呂の水を流さないようにしましょう。
お風呂の中には故人の皮膚や骨、髪の毛などが残っているためです。
こうしたことをする際には、必ず業者の許可をもらうようにして、遺族が勝手に行うことは絶対にやめましょう。
遺品は除菌する
遺品を整理し、必要なものを手元に残すと決めた時には、その遺品を全て除菌する必要があります。
孤独死の部屋にある遺品には雑菌が付着しているため、そのままにしておくと人体に有害です。
残したい遺品がある場合には、事前に業者に残しても問題ないか確認しましょう。
遺品の状態が良くない場合には、衛生的な理由により持ち帰れない可能性もあります。
遺品整理と特殊清掃の費用相場
ここからは遺品整理と特殊整理で必要となる費用の相場をご紹介します。
平均的な金額を知っておけば、実際に業者に依頼する時に予算について考えやすくなるでしょう。
遺品整理
遺品整理にかかる平均費用は、20万円程度です。
ただし、遺品整理の費用は間取りや遺品の物量によっても変わってきます。
相場は1R・1Kだと3〜8万円、1LDKだと7〜20万円程度となります。
2LDKだと12〜30万円程度、4LDK以上だと22万〜60万円程度です。
また、整理する作業人数によっても上記の相場は変動してくる他、部屋が広いとそれだけ作業時間もかかります。
特殊清掃
特殊清掃にかかる平均費用は60万円程度です。
ただ、遺品整理と同様に間取りなどによって費用が変わってきます。
1LDKだと7万円以上、2LDKだと12万円以上、3LDKだと17万以上かかるものと考えられます。
しかし、故人が亡くなってからどれだけ日数が経過しているかや、汚れや腐敗がどの程度進んでいるかによっても金額は変わります。
例えば、床下まで汚れが入り込んでいる場合は、通常よりも高価になると考えられるでしょう。
業者に依頼するかどうかは、事前に相談して費用を知ってから判断することをおすすめします。
遺品整理と特殊清掃のまとめ
ここまで遺品整理と特殊清掃の違いや、作業の流れなどを中心にお伝えしてきました。
この記事のポイントをおさらいすると以下の通りです。
- 遺品整理は故人の持ち物を整理すること
- 特殊清掃は遺体が発見された部屋を専用の洗剤などを使って清掃すること
- 孤独死の部屋には特殊清掃後に、手袋・マスクを着用して入る
- 遺品整理と特殊清掃にかかる金額は部屋の状況によって変わってくる
これらの情報が少しでも皆様のお役に立てば幸いです。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。
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監修者
山口 隆司(やまぐち たかし)
一般社団法人 日本石材産業協会認定 二級 お墓ディレクター
経歴
業界経歴20年以上。大手葬儀社で葬儀の現場担当者に接し、お葬式を終えた方々のお困りごとに数多く寄り添いサポートを行う。終活のこと全般に知見を持ち、位牌や仏壇をはじめ、霊園・納骨堂の提案や、お墓に納骨されるご遺族を現場でサポートするなど活躍の場が広い。