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相続

遺産の放棄はどんな時にする?申請手続きの方法と注意点を紹介

更新日:2022.04.18

遺産

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記事のポイントを先取り!

  • ・負債も含まれる遺産は相続放棄した方がよい
  • ・遺産放棄する場合は必要書類を家庭裁判所に提出
  • ・遺産放棄期限は「相続を知った日」から3ヶ月
  • ・一部の遺産を処分すると遺産放棄できない

親などが残した遺産は子供などの相続人が相続しますが、それを放棄するケースについてご存じでしょうか。遺産を放棄したほうが良いケースを知っておくことが大切です。

そこでこの記事では、遺産の放棄について解説します。

この機会に、遺産放棄できない場合もあることや遺産放棄の注意点を覚えておきましょう。
後半には3ヶ月を過ぎていても遺産放棄できる場合についても触れているので、ぜひ最後までご覧ください。

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  1. 遺産放棄とは
  2. 遺産の放棄はどんな時にする?
  3. 遺産を放棄するメリットとデメリット
  4. 遺産の放棄に関する手続きと申告方法
  5. 相続放棄が認められない場合がある
  6. 遺産を放棄するときの注意点
  7. 遺産放棄の期限を延長する方法
  8. 他の人はこちらも質問
  9. 3ヶ月の期限以降も遺産放棄ができるケース
  10. 遺産の放棄のまとめ
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遺産放棄とは

人が所有する現金や不動産、有価証券などの金銭的価値がある資産は、その人が死んだ後に遺産として扱われます。

遺産は対象となる相続人へ引き継がれることになりますが、この遺産を受け取らずに放棄することも可能です。
これを一般的には、相続放棄と呼びます。

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遺産の放棄はどんな時にする?

手に入るはずの遺産をわざわざ放棄することは、場合によっては珍しいことではありません。
実は、遺産を放棄した方が良い場合が複数あるのでご紹介します。

遺産の放棄をした方が良い場合

遺産放棄した方が良い場合は、主に下記の3点です。

負の遺産が多い場合

実は遺産には、借金などのマイナスになる負の遺産も相続の対象として含まれています
借りたものは返すのが通常ですが、あまりに額が大きい場合は放棄することが可能です。

相続問題を避けたい場合

相続人が複数いる場合には、相続問題に発展するケースがあります。

相続問題とは、遺産の割合などをめぐる争いのことで、仲が悪い親族と関わりたくない場合も同様です。その場合、遺産を放棄すれば関わり合う必要がなくなります

特定の人に相続をさせたい場合

相続人が複数いる場合、「相続の土地を活用して仕事をしている相続人に土地を譲りたい」といった事情で遺産を放棄することもあります。

遺産の放棄をしない方が良い場合

下記の事例に当てはまる場合は、遺産を放棄しない方が良いでしょう。

限定承認ができる場合

限定承認とは、負債が不明確な場合に行う手続きです。
事前の遺産確認で負債がない場合や、負債よりも資産が多い場合は問題なく相続すると良いでしょう。

しかし資産に対して、負債が上回るか資産が上回るか調査に時間がかかる場合は、限定承認が行えます。
限定承認後、仮に「負債が遺産より少なければ相続する」といったことができる便利な制度です。

限定承認を行う条件

限定承認は相続人全員の合意が必要で、相続開始を知ってから3ヶ月以内に家庭裁判所に申し出なければなりません。

相続放棄と限定承認の違いとは

相続放棄と限定承認の共通点は、どちらも相続開始を知ってから3ヶ月以内が期限ということです。
相続放棄は個人の判断で行えますが、限定承認は相続人全員の合意が必要という違いがあります。

遺産を放棄するメリットとデメリット

ここでは、遺産放棄のメリットとデメリットを解説します。

メリット

メリットは主に2つで、相続放棄すれば負債を抱えることがなくなることと、相続トラブルを回避できることです。

デメリット

デメリットは、負債しかないと思っていたら後から遺産が出てきて損をする可能性もあることです。
また、相続放棄により他の相続人が負債を抱えてしまうことをどう捉えるかが、人によっては気がかりになるかもしれません。

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遺産の放棄に関する手続きと申告方法

遺産放棄を行う場合は、自分に相続があることを知った日から3ヶ月以内に家庭裁判所に必ず申請してください。

以下より、遺産放棄の手続きや申告方法についてご紹介します。

家庭裁判所に申し出る

相続を知ってから3ヶ月以内が期限なので、相続放棄されたい方は早めに申し出ましょう。

手続きに必要な書類

遺産放棄の書類は下記の2つです。

相続放棄申述書

相続放棄申述書(そうぞくほうきしんじゅつしょ)は、放棄する方の住所・氏名などの情報や理由を記入する書類です。
家庭裁判所でもらえる他、ダウンロードして利用することも可能です。

戸籍関係書類

戸籍関係書類とは、被相続人と相続放棄する方との続柄を確認するための書類です。
故人の住民除票や死亡が記載された戸籍謄本、相続放棄する方の戸籍謄本などが必要になります。

必要な費用

遺産放棄には主に下記の費用がかかります。

被相続人の住民票の除票

被相続人つまり故人の住民票の除票を出すのにかかります。

相続放棄をする人の戸籍謄本

遺産放棄したい方の戸籍謄本を手配するのにかかります。

印鑑代

印鑑をお持ちでない方は購入代金がかかります。

郵便切手代

書面のやり取りで使用する切手代がかかります。

相続放棄が認められない場合がある

事情により相続放棄をしようと思っても、制度上認められないケースがあります。

相続人が相続財産の全部もしくは一部を処分した場合

相続財産は、全てを明らかにすることが前提となっています。
そのため、相続人が財産の一部であっても処分すると遺産放棄は認められません。

相続人が相続財産の全部もしくは一部を隠匿・消費した場合

上記と同じ理由で、たとえ一部であっても隠匿(いんとく・隠すこと)や消費した場合は遺産放棄が承認されません。

相続人が相続放棄を家裁に申述していない場合

相続を知ってから3ヶ月以内に家庭裁判所に申し出なければ、相続放棄は認められません。

相続放棄の申述が熟慮期間内を超えている場合

前述のとおり、相続放棄の申し込み期限は3ヶ月です。
この3ヶ月が熟慮期間とされており、超えてしまうと相続放棄できなくなります。

ただし、3ヶ月間で相続放棄するかどうか判断できないと認められれば、期間の延長が可能です。

申述に必要な書類が不足している場合

前述した書類や記入に不備があれば、受理されることはありません。

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遺産を放棄するときの注意点

ここでは、遺産を放棄する上でおさえておきたい注意点をご紹介します。

​​生前に遺産を放棄はできない

被相続人が生きているうちは、相続人が遺産放棄の手続きをすることはできません。

先に遺産を処分すると相続放棄はできない

相続放棄を家庭裁判所に出す前に、遺産の処分や使い込みがあると相続放棄は認められません。

遺産放棄は原則、撤回できない

遺産放棄の手続き後に、放棄を取りやめて撤回することは基本的にできない決まりになっています。

遺産放棄をした人の子供は代襲相続できない

代襲相続(だいしゅうそうぞく)とは、相続人が亡くなっているなどの理由で、その子供が代わりに相続の権利を持つことです。
親が相続人で遺産放棄した後に、その子供が代襲相続することは不可能です。

思わぬ人が相続人になる可能性がある

遺言書に書かれた見知らぬ人や、知らなかった血縁関係が明らかになり、思わぬ相続人が現れることがあります。

また相続人には優先される順位があり、放棄することによって親族内で相続人が変わることがあります。そのため、相続放棄をする場合は、他の相続人にその旨を伝えておく必要があるでしょう。

相続人が誰もいない場合がある

相続相手を書いた遺言書がなく、法定相続人となる関係者が自分以外誰もいない場合は、遺産放棄すると相続人が誰もいなくなります。

相続税の計算上、相続放棄がなかったことになる場合がある

相続税の計算は意外とシンプルで、基礎控除や相続人の数、保険、退職金などの要因で変わります。

相続人の数が多いほど控除額が一人当たり600万円増えるのですが、ポイントは相続放棄をしてもその人の分の控除額は消えないことです。
相続税を計算する場合においては、相続放棄がなかったことになります。

遺産放棄の期限を延長する方法

絶対に認められるわけではありませんが、申し立てを行うことで遺産放棄の期限が延長されることもあります。

そのために必要な書類と費用についてご紹介します。

申請に必要な書類

遺産放棄の期限を延長するのに必要な書類は下記の通りです。

  • 家庭裁判申立書
  • 被相続人の戸籍謄本
  • 被相続人の住民票の除票
  • 延長を求める相続人の戸籍謄本
  • 申立人の利害関係を証明する書類など

申請に必要な費用

申請に必要な費用は、収入印紙代800円と郵便切手(連絡用)です。

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他の人はこちらも質問

遺産の放棄について、下記の内容が多く質問されています。
その質問に対する答えをまとめたので参考にしてください。

遺産放棄ってどういう意味?

遺産放棄とは相続人同士の話し合いで「自分は遺産の相続をしない」と明言して行う手続きのことです。

相続放棄をするとどうなるのか?

相続を放棄すると、他の相続人に遺産が相続されます
相続人がいない土地などは、国に還されます。

相続放棄は何ヶ月?

相続放棄の期間は、相続を知ってから3ヶ月以内です。

3ヶ月の期限以降も遺産放棄ができるケース

これまで本記事で説明してきた「遺産放棄は3ヶ月が期限」ということはご理解いただけたでしょう。
しかしいくつかの事例では、たとえ3ヶ月過ぎていても遺産放棄が可能になるケースがあるのでご紹介します。

被相続人の死亡を知らなかった

これまで紹介してきた遺産放棄の期限は、「自分が相続人であることを知ってから」という条件付きでの3ヶ月です。
もしも被相続人、つまり相続する遺産を所有している方が亡くなったことを知らなかった場合は、条件に該当しないことになります。

例えば親族との交流がなく、連絡先や住所がわからないなどの事情により、死亡を知る術がないケースが考えられます。
その他にも、親族や関係者に報告しないまま海外へ長期間渡航していたり、現地で生活をしていたりすると、被相続人の訃報が届かないこともあるでしょう。

先順位者が相続放棄したのを知らなかった

相続人には、被相続人との続柄によって相続人となる人物に優先順位が存在します。
配偶者は基本的に相続人となりますが、それ以外では子や孫、両親や祖父母、兄弟姉妹などの有無により上位となる続柄の方が相続人になります。

もしも該当する続柄の方がいない場合、その下の順位の方が相続人になるという決まりがあります。
ご自身が相続対象であっても、ご自身より上位の相続人がいる場合は相続人にはなりません。

しかし上位の相続人が相続放棄をしていた場合は、下位の方に相続権が移ります
上位の方の相続放棄の事実を知らずに3ヶ月が過ぎ、たとえ数年経過していたとしても、相続放棄は可能です。

その理由は「自分が相続人であることを知ってから」3ヶ月という条件があるからです。

相続遺産がないと信じたことに正当性があった場合

財産や負債は基本的に公に開示せず、個人情報として取り扱うのが普通です。
そのため故人が負っていた負債を誰にも言っていない、または虚偽の報告を家族にしていたとしたら、それを信じてしまうのも仕方がないことでしょう。

上記のような場合、「相続遺産がない」のを信じていたことに「正当性がある」と認められれば、3ヶ月を経過していても遺産放棄は可能です。

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遺産の放棄のまとめ

ここまで遺産放棄について、手続きの方法や申請期限を中心に解説してきました。
まとめると以下の通りです。

  • 財産ではない借金などの負債が多く含まれている場合は、遺産放棄した方がよい
  • 遺産放棄する場合は、戸籍関係書類などの必要書類を家庭裁判所に提出する
  • 遺産放棄の期限は「相続を知った日」から数えて3ヶ月以内
  • たとえ一部の遺産でも処分してしまうと、遺産放棄は認められない
  • 被相続人の死亡を知らなかった場合は、期限を超えても遺産放棄できる

これらの情報が少しでも皆様のお役に立てば幸いです。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。

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監修者

評価員(かまた)

鎌田 真紀子(かまた まきこ)

国家資格 キャリアコンサルタント ・CSスペシャリスト(協会認定)

経歴

終活関連の業界経歴12年以上。20年以上の大手生命保険会社のコンタクトセンターのマネジメントにおいて、コンタクトセンターに寄せられるお客様の声に寄り添い、様々なサポートを行う。自身の喪主経験、お墓探しの体験をはじめ、終活のこと全般に知見を持ち、お客様のお困りごとの解決をサポートするなど、活躍の場を広げる。

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