相続
孫に遺産をどのくらい渡せる?相続方法やメリットデメリットを紹介
更新日:2025.03.19 公開日:2022.05.08

記事のポイントを先取り!
- 孫に遺産を残すには遺言書、養子縁組、代襲相続の方法
- 相続以外では生前贈与、生命保険の受取人にするなど
- 孫にどのくらい残せるかは方法によって違う
- 親が離婚していても遺産をもらえるケースもある
孫に遺産を渡したいけれど、どのくらい残すことができるのかと考えている方も多いでしょう。
また、孫に遺産相続をさせる方法についても気になるところです。
そこでこの記事では、孫に遺産をどのくらい渡せるのかについて解説します。
この機会に、遺産相続について理解を深めましょう。
後半では、孫に遺産を残すメリット・デメリットについて触れているので、ぜひ最後までご覧ください。
都道府県一覧から葬儀社を探す
こちらでご希望のエリアから葬儀社を検索できます。

こちらでご希望のエリアから葬儀社を検索できます。
- 孫は法定相続人に当たらない
- 孫に遺産相続させる方法
- 孫は遺産をどのくらいもらえるのか
- 相続以外で孫に遺産を残す方法
- 孫に遺産を残すメリット・デメリット
- 親が離婚していても孫は遺産をもらえる?
- 孫に遺産をどのくらい渡せるのかまとめ
- 中学受験生と保護者のための実践的アドバイスブログ
孫は法定相続人に当たらない
まず注意しておきたいのは、孫は法定相続人ではないということです。
法律で相続の順位が決まっていて、一位は配偶者で、常に相続人という立場です。
二位以下は子供、直系尊属、兄弟姉妹の順位で相続する順位が決まっていて、相続人には孫が入っていません。
同じ家に住んでいてどんなにかわいがっていたとしても、原則、孫は相続人になることはないと決まっています。
孫に遺産相続させる方法

孫に遺産を相続させることは絶対にできないのかというと、そういうわけではなく遺産相続させる方法はいくつかあります。
ここからは孫に遺産相続させる方法について解説しましょう。
遺言書を作成する
一つ目は遺言書による遺贈で、財産の持ち主である被相続人が遺言書に「孫に遺贈する」と書くことで、遺産を残せます。
遺贈とは、遺言によって財産を受遺者である孫に無償で与えることを言い、種類があります。
遺贈の種類について解説しましょう。
包括遺贈
包括遺贈とは、財産の内容を指定せずに割合で遺贈する方法のことです。
財産には、現金、土地、建物など様々ありますが、内容を指定することなく「遺産の3割を孫に遺贈する」と遺言に残します。
気をつけなければいけないのは、包括位増の場合、借金などの負の財産も遺贈されることです。
特定遺贈
特定遺贈とは、割合ではなく財産の内容を指定して遺贈する方法です。
「○○銀行の預貯金500万円を孫に遺贈する」「○番地の土地を遺贈する」など、遺言に残して遺贈します。
特定遺贈の場合は、負の財産を相続することがありません。
養子縁組を行う
孫と養子縁組をすることにより、子として扱われますので、遺産を相続できる権利を得ます。
養子縁組を行うことで、相続税の基礎控除額が増えるメリットもあります。
ただ、他の相続人や親族から養子縁組を反対されるケースが多いので、話し合って了承を得ておくことが大切です。
代襲相続させる
祖父母の子供が亡くなっている場合、子供に代わって孫が財産を相続するのが代襲相続です。
代襲相続の場合は、孫が相続することができ、子供に相続する法定相続割合と同じ割合で相続されます。
ただし、子が他界していないと代襲相続が発生しませんので、この状況を意図的に創り出すことはできません。
孫は遺産をどのくらいもらえるのか

孫に遺産を相続させる方法をいくつか紹介しました。
実際に孫がこの方法で遺産を相続した場合、どのくらいもらえるのでしょうか。
それぞれのケースで、もらえる遺産の内容について解説します。
遺言書を作成したケース
遺言書では、誰にどのくらい遺産を残すのか、自由に決めることができます。
例えば、「遺産のすべてを孫に渡す」「財産の半分は孫に」など自由に書けるので、自分の意思を残せます。
ただ、遺言書で書いたとおりに遺産が相続できるかというと、そういうわけでもなく、遺留分を考慮しなければいけません。
遺留分とは、一定の相続人が最低限遺産を受け取れる割合があることです。
遺留分を無視して、「孫に遺産を全額残したい」と遺言書に書いても、他の相続人ともめることになる可能性があります。
遺留分は配偶者や子供が財産の1/2、親は1/3、と決められています。
養子縁組をしたケース
孫と養子縁組をすることで、孫が子と同じ権利を持つことになります。
配偶者は財産の1/2、子は残りを人数分で割った金額を受け取れるので、養子縁組をした孫も子と同じ割合で相続が可能です。
例えば相続人として、配偶者、実子1名、養子縁組した孫1名がいた場合の財産5000万円の法定相続分は以下の通りです。
- 配偶者:5,000万円×1/2=2,500万円
- 実子:5,000万円×1/2×1/2=1,250万円
- 養子縁組した孫:5,000万円×1/2×1/2=1,250万円
養子縁組をした孫の場合、実子と同じ金額1,250万円を受け取ることができます。
代襲相続したケース
代襲相続の場合は、亡くなった子供の代わりに孫が相続人となるため、子と同じ割合の財産を相続することができます。
例えば、配偶者と子一人が相続人で、子が他界して孫が代襲相続する場合、配偶者が1/2、孫が1/2の相続割合となります。
相続以外で孫に遺産を残す方法
相続して孫に財産を残す方法を説明してきましたが、相続以外でも孫に遺産を残す方法がいくつかあります。
相続以外で孫に遺産を残すには、どんな方法があるのかそれぞれのケースを説明します。
生前に孫へ贈与を行う
生前贈与とは、生きている間に遺産を贈与することで、贈与税には110万円の基礎控除があります。
年間110万円までは贈与しても課税されませんので、一度にたくさんの金額を贈与するのではなく、毎年コツコツと贈与するのがいいでしょう。
また、生前に財産を贈与することで、死亡時に課税対象となる遺産が少なくなり、相続税の負担が軽くなるメリットもあります。
贈与税の特例を利用する
贈与税の特例の一つに「教育資金の一括贈与の非課税制度(特例)」という制度がありますので、それを利用します。
この制度は、原則30歳未満の子供や孫に対して、学費や教育資金を渡す場合、その金額が1,500万円未満であれば贈与税が非課税になります。
年間に110万円以上贈与しても贈与税がかからず、一括して孫に教育資金を渡すことができるので、この制度を利用するのも一つの方法でしょう。
注意点としては、孫が30歳までに教育資金を使い切らない場合、贈与税がかかることと、教育費という名目で使用する決まりがあることです。
生命保険金の受取人を孫にする
祖父母の生命保険の受取人を孫にすることで、亡くなったときの保険金として財産を残すことが可能です。
注意点は、生命保険金を受け取るとき法定相続人は「法定相続人の数×500万円」の非課税枠を利用することができますが、孫が受け取った場合はこれを利用することができないことです。
また、孫が受け取った場合、相続税額2割加算にもなり、税額の負担が大きくなります。
遺産分割協議の中で全員の合意を得る
遺産分割協議で、相続人全員が孫に遺産を渡すことを承諾すれば、トラブルなく孫に残すことができます。
具体的に言うと、相続した相続人が孫に遺産を贈与する形をとります。
この場合、相続人から孫へ財産を贈与する形となるため、贈与税がかかります。
孫に遺産を残すメリット・デメリット

孫に遺産を残す方法は色々ありますが、メリットデメリットについても確認しておきましょう。
ここでは、孫に遺産を残すメリット、デメリットについて解説します。
遺産を残すメリット
孫に遺産を残すメリットは、「可愛い孫に財産を残したい」という祖父母の希望を叶えることができるということでしょう。
また、一代分財産を飛ばすことができることで、相続税を抑えることができます。
通常は、親から子、子から孫と2回の相続がありますが、祖父母から孫にすることで1度の相続になります。
2回分の相続税を1回に抑えることで、税金を安く抑えることができます。
遺産を残すデメリット
孫が遺産を相続することで生じるデメリットは何でしょう。
デメリットは、相続税申告時に「相続税額2割加算」が適用され、子供が相続するよりも相続税が2割高くなることです。被相続人の1親等の血族以外が納める相続税は1.2倍と決められていて、孫も1親等以外の血族に含まれます。
また、孫は法定相続人ではなく、本来なら相続する立場ではないので、相続することで他の相続人に残る財産が少なくなります。このために、他の相続人とのトラブルに発展する可能性があることです。
トラブルに巻き込まれたくないと孫が遺産を相続したくないケースもありますし、事前に良く話し合いをしておくことが大切です。
親が離婚していても孫は遺産をもらえる?
親が離婚していて祖父母と疎遠という場合、孫は遺産を相続できるのでしょうか。
離婚していても親子関係が消滅していませんので、遺産をもらう場合もあります。
遺産をもらえるケースともらえないケースについて解説します。
遺産をもらえるケース
遺産をもらえるケースとしては、代襲相続が当てはまります。
離婚した親が死亡しており、遺産相続が発生したときに孫は亡くなった親に変わって相続権が発生します。孫が子に代わって代襲相続を行えば遺産を相続することができます。
その場合、子がもらうはずだった財産と同じ割合で相続が可能です。
具体例として、財産5,000万円、配偶者、実子2人の相続人だった場合。
配偶者は1/2である2,500万円を相続し、残りの2,500万円を子2人で分割します。
子の一人が亡くなっていて孫がいる場合は、子がもらうはずの1,250万円が孫に代襲相続されます。
遺産をもらえないケース
子供が特別養子縁組をしていた場合は、離婚することで親子関係が消滅しているので、相続することができません。
養子には、普通養子縁組と特別養子縁組という2つのケースがあります。
普通養子縁組は、実の親と親子の関係を残したまま、養親とも親子関係になることを言い、二重の親子関係が存在します。
特別養子縁組は、養親との関係が実子と同じ扱いになり、実親との親子関係は消滅します。
離婚した実親とは親子関係が亡くなっているので、法定相続人には該当しないことになります。
普通養子縁組の場合は、離婚していたとしても親子関係が成立していますので、代襲相続人として相続が可能です。相続割合は、子がもらうはずの相続割合と同じ額をもらうことができます。
特別養子縁組なのか、普通養子縁組なのかは、戸籍に記載されている続柄を確認するとわかります。
また、再婚していた親と養子縁組せずに親子関係が発生していない場合も、遺産をもらうことができないので注意です。
どちらの場合でも、離婚した妻は婚姻関係が消滅していて夫婦間に合った権利義務がなくなっているので、相続することはできません。
孫に遺産をどのくらい渡せるのかまとめ

ここまで、孫に遺産をどのくらい渡せるのかについて解説してきました。
まとめると以下の通りです。
- 孫に遺産を残すには、遺言書の作成、養子縁組、代襲相続がある
- 相続以外で残すには、生前贈与、保険の受取人、話し合いなどの方法がある
- 遺産を残すメリットは、祖父母の希望を叶えられる、1世代分財産を飛ばせること
- 遺産を残すデメリットは、相続税額2割加算とトラブルになる可能性があること
これらの情報が少しでも皆様のお役に立てば幸いです。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。
中学受験生と保護者のための実践的アドバイスブログ

中学受験生の視点で偏差値向上や集中力アップに効果的なアイテムを科学的根拠とともに紹介。デスクライトや文具選びから、SAPIXのプリント管理法まで実用的な情報が満載。さらに首都圏の折り紙部がある中学校情報など、受験生の興味・関心に合わせた学校選びにも役立つコンテンツを提供しています。
スポンサーリンク都道府県一覧から葬儀社を探す
こちらでご希望のエリアから葬儀社を検索できます。

こちらでご希望のエリアから葬儀社を検索できます。
監修者

鎌田 真紀子(かまた まきこ)
国家資格 キャリアコンサルタント ・CSスペシャリスト(協会認定)
経歴
終活関連の業界経歴12年以上。20年以上の大手生命保険会社のコンタクトセンターのマネジメントにおいて、コンタクトセンターに寄せられるお客様の声に寄り添い、様々なサポートを行う。自身の喪主経験、お墓探しの体験をはじめ、終活のこと全般に知見を持ち、お客様のお困りごとの解決をサポートするなど、活躍の場を広げる。