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遺言書作成の費用はどのくらい?各専門家の費用相場を比較!
更新日:2023.11.19 公開日:2022.04.23
遺言書とは死後の相続について書かれた書面のことですが、その作成費用についてご存知でしょうか。
遺言書の種類や各専門家別の費用の相場について気になっている方は多いでしょう。
そこでこの記事では、遺言書作成費用について詳しく説明していきます。
この機会に遺言書の費用の相場について覚えておきましょう。
遺言書の内容を変更したい場合についても触れているので、ぜひ最後までご覧ください。
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- 遺言書とは
- 遺言書の種類
- 公正証書遺言作成を依頼できる専門家
- 公正証書遺言の作成にかかる費用
- 自筆証書遺言の作成にかかる費用
- 秘密証書遺言の作成にかかる費用
- 遺言書の内容を変更したい場合
- 遺言書作成の費用についてのまとめ
遺言書とは
遺言書とは、遺言書を書く方が持っている財産を、自分の死後「誰に、どの財産を、どのような割合で相続させるのか」または「相続させないのか」を指定する書面です。
一般的に、遺言と遺言書は同様のものとして認識されていますが、厳密には異なるものになります。
遺言は、死期が近づいてきた方の気持ちを記したもので、例外を除いて基本的には法的な効力はありません。
一方で遺言書は、法的な効力をもつ書面になります。
遺言書の種類
遺言書を依頼する上で、まず知っておかなくてはならないのが遺言書の種類です。
遺言書には「自筆証書遺言」「公正証書遺言」「秘密証書遺言」の3種類があります。
以下で詳しく説明していきますので、ぜひ覚えておきましょう。
自筆証書遺言
自筆証書遺言とは、遺言者が自筆で作成する遺言書のことをいいます。
好きなときに書き、いつでも修正ができるため、3種類の中で一番手軽で費用がかからない遺言書になります。
ただし、自筆証書遺言にはいくつか押さえておくべき書き方のポイントがあります。
- 遺言者は15歳以上で遺言能力がなければならない
- 遺言者の直筆のみ有効、代筆やPCは否認となる
- 家庭裁判所の検認が必須
- 録音や映像での遺言は否認となる
- 作成日の明記、署名・押印が必須
- 共同名義の遺言は否認となる
これらを間違えると法的な効力は無効になってしまう場合もあるため、細心の注意を払いましょう。
公正証書遺言
公正証書遺言とは、法務大臣から任命を受けた公証人が遺言者から伝えられた内容を基に作成する遺言書のことをいいます。
公正証書遺言は公正役場にて作成が行われ、遺言書を作成する際のサポートも受けることができます。
公正証書遺言を作成する際には「公正役場まで出向く必要があること」「作成費用がかかること」などの手間はかかりますが、不備により遺言書が無効になる心配はありません。
また、遺言書作成後は公正役場で保管してくれるため、紛失や改ざんの心配がないというメリットもあります。
秘密証書遺言
秘密証書遺言とは、自筆証書遺言と公正証書遺言の双方の性質を持っている遺言書のことです。
遺言書の内容を知られたくない場合に、証人2名と公正役場に出向いて、自筆証書遺言の存在を認めてもらうことができます。
自筆の署名と押印があれば代筆やPCでの作成も可能ですし、一見便利そうに見えますが、実際はあまり利用されていません。
その理由として、公正証書遺言と同様程度の手間や費用がかかるにも関わらず、公証人も遺言書の内容を確認できないため、不備による無効の可能性があるためです。
また、遺言書作成後の保管場所も、公正役場ではなく遺言者本人のため、紛失の心配もあります。
以上のことから特別な理由がない限り、秘密証書遺言はおすすめできません。
公正証書遺言作成を依頼できる専門家
公正証書遺言の作成は主に「司法書士」「行政書士」「弁護士」に依頼することが可能です。
ここでは各専門家のメリット・デメリットについて説明していきますので、依頼する際の参考にしてみてください。
司法書士
司法書士は、不動産名義変更といった相続登記を主に相続遺言の実務を行っています。
メリット
土地や建物などの不動産物が遺産にある場合は、相続後すぐに相続登記をして不動産名義の変更などをしなければなりません。
遺言書に不動産に関して多く記載したい場合には、遺言書の作成と相続後の登記に関することを一緒に依頼することが可能な司法書士への依頼がおすすめです。
デメリット
司法書士のメインの実務は不動産登記に関することですので、遺言書や相続は主な仕事ではありません。
そのため、遺言書や相続に関する知識はあっても実際に作成したことはなかったり、そもそも遺言書や相続に関しての知識がない方もいます。
司法書士に遺言書の作成を依頼する場合には、遺言書や相続に関する知識の有無を見極める必要があります。
行政書士
行政書士の主な仕事は許認可申請といって、公的文書の作成や提出を行うことです。
文章作成のプロフェッショナルといえます。
メリット
行政書士は、遺言書を作成する際に必要になる程度の法的知識もあり、他の専門家と比較しても費用が安価なので手軽に依頼することが可能です。
そのため、「相続人がひとりのみ」「相続内容が限定的」といった争いごとに発展する可能性の少ない遺言書を依頼する場合におすすめです。
遺言書の有効性を保障する目的で専門家に遺言書を書いてもらう場合には、行政書士に依頼すると良いでしょう。
デメリット
行政書士の主な仕事は、あくまで許認可申請になります。
そのため、弁護士と比較すると法的な知識は少なく、実際に遺言書を作成したことが無い行政書士もいます。
司法書士同様、行政書士に依頼する場合には見極めが必要になります。
また、遺言書を作成したことがある行政書士でも、相続の争いごとに関することには弱く、「争いに発展しない遺言書作成」は難しいことがデメリットになります。
「相続人が多い」「相続する財産がいくつもある」といった場合には行政書士への依頼はお勧めできません。
弁護士
弁護士は、法律のプロです。
士業の中でも一番信頼できると言えます。
メリット
相続人や相続する財産が多ければ多いほど、相続トラブルが発生しやすいのが実情です。
また、相続に関するトラブルのほとんどは被相続人が亡くなってから発生するため、遺言書の時点でトラブルを予防することが重要になります。
弁護士に依頼すれば、実際の相続トラブルの実情も把握しているため、相続トラブルが発生しないように遺言書を書いてもらうことが可能です。
さらに、実際に相続トラブルが発生してしまった際にも、すぐに対応してもらうことが可能です。
デメリット
弁護士に依頼した場合のデメリットは、司法書士や行政書士と比べて、圧倒的に費用が高額であるということです。
詳しくは後述していますので、そちらをご覧ください。
公正証書遺言の作成にかかる費用
公正証書遺言の場合には、遺言書を作成する際に使用する書類の発行量や後述する公正証書作成手数料とは別途で、遺言書の作成を依頼する専門家に支払う費用があります。
費用は、それぞれの専門家によって異なりますので、以下で詳しく説明していきます。
依頼する際の参考にしてください。
司法書士に依頼した場合
司法書士に依頼した場合の相場は、約7万〜15万円です。
司法書士による遺言書の作成は、一般的には相続財産の大きさによる費用の変動はありません。
ただし、自分が持っている財産を誰かに託す「民事委託」を含めた遺言書の場合は、通常よりも難易度が高くなるため、費用も上がります。
行政書士に依頼した場合
行政書士に依頼した場合の相場も、約7万〜15万円です。
行政書士も司法書士と同様に、一般的には相続財産の大きさによる費用の変動はありません。
弁護士に依頼した場合
弁護士に依頼した場合の相場は約20万〜300万円ですが、弁護士の場合は司法書士や行政書士とは異なり、相続財産の大きさによって費用が決まります。
数百万円の預金と不動産などの一般的な相続であれば、費用は20万〜30万円ほどになります。
司法書士や行政書士と比べると費用は高額になりますが、相続トラブルが予想される場合には、初めから弁護士に依頼することをおすすめします。
また、弁護士に頼む場合、初回の相談には1万円程度の相談料がかかることも多いため、その点も留意しておきましょう。
弁護士の費用が高い理由
弁護士は、遺言書の作成依頼を受けている専門家の中で唯一、遺言書の作成から死後のトラブルまでのすべてをカバーすることができます。
その中でも、司法書士や行政書士との一番の違いは代理権の有無です。
弁護士は、遺言者本人の代わりに交渉や調停、裁判などを行うことが可能な「代理権」を有しています。
一方で、行政書士には代理権が一切認められていないため、依頼が可能なのは書面作成のみになります。
また、司法書士においては、国が認可した認定司法書士に限って140万円以下のトラブルについてのみ代理権を有しています。
それを超える金額のトラブルは代理が不可能ですし、遺産分割調停の代理権も有していません。
相続トラブルはほとんどの場合が140万円以上のものですので、司法書士の有する代理権を利用する場面はほとんどないのが実情です。
遺言者の死後、相続トラブルがあった場合にそれを解決するには、弁護士の能力が必要になります。
以上のことから、弁護士の費用は司法書士や行政書士と比べて高額になっています。
公正証書作成手数料
公正証書遺言の場合は、前述した専門家へ支払う費用とは別途で公正証書作成手数料がかかります。
公正証書作成手数料は手数料令9条で定められています。
以下に表でまとめました。
相続の合計額 | 公正証書作成手数料 |
~100万円 | 5000円 |
100~200万円 | 7000円 |
200~500万円 | 1万1000円 |
500~1000万円 | 1万7000円 |
1000~3000万円 | 2万3000円 |
3000~5000万円 | 2万9000円 |
5000万~1億円 | 4万3000円 |
この手数料は、相続を受ける人数ごとに計算して合計額を算出し、総額1億円未満の場合には1万1000円加算されます。
例えば、遺言書で夫に500万円、娘1人に1000万円を相続すると記載されている場合には、「1万1000 + 1万7000円+1万1000円=3万9000円」の公正証書作成手数料がかかります。
また、公正証書作成を病気などが理由で公正役場以外で行う場合には、この手数料が1.5倍になります。
さらに、交通費と公証人の日当が1日2万円、4時間以内の場合は1万円、別途でかかることを覚えておきましょう。
証人手数料
公正証書遺言を作成する際には、2人以上の証人の立ち合いが必須です。
証人は、ご自身で用意することができれば費用はかかりませんが、探せない場合には公正役場や司法書士に相談するとで紹介してもらうことが可能です。
紹介してもらう場合の相場は、1人につき5,000〜1万5000円になります。
自筆証書遺言の作成にかかる費用
自筆証書遺言の場合、自分で遺言を作成することになります。
その場合、作成費用はかかるのでしょうか。
基本的に作成費用はかからない
自筆証書遺言は遺言者が自筆で作成する遺言書のため、基本的には筆記用具と印鑑以外の費用はかかりません。
ただし、法務局が遺言書の原本を保管する「遺言書保管制度」を利用する場合、費用がかかります。
詳しくは以下でご説明します。
遺言保管料の費用
自筆証書遺言の主な保存方法は「自宅」「法務局」「専門家(事務所)への依頼」の3パターンがあります。
一般的なのが自宅での保管で、この場合には特に費用はかかりません。
ただし、自宅での保管は紛失や改ざんの心配があり、それを防ぐために法改正によって2020年7月から、遺言書1件につき3900円で法務局での保管が行えるようになりました。
また、事務所によっては遺言を保管してくれる場合もあり、その際の費用の相場は月500〜1000円ほどになります。
気になる方は、遺言書の依頼を受けている弁護士や司法書士、行政書士などの専門家が在籍している事務所に問い合わせてみると良いでしょう。
秘密証書遺言の作成にかかる費用
秘密証書遺言の作成には特別な報酬や手数料は必要ありませんが、証人手数料がかかります。
秘密証書遺言に関する手数料は「手数料令28条」に定められており、一律1万1000円と決まっています。
遺言書の内容を変更したい場合
遺言書を作成した後に、その内容を変更したいと思うこともあるでしょう。
以下で、具体的な訂正方法をご紹介します。
公正証書遺言の訂正
公正証書遺言の場合には、原本が公正役場に保管されていますので、自宅にある遺言書のコピーのみを破棄しても、遺言書の内容を変更したことにはなりません。
公正証書遺言の内容を変更する場合には、新たに遺言書を作成し、その中で「前回の遺言書の内容を撤回する」と記載する必要があります。
公正証書遺言の場合は、何度も内容の変更を行ってしまうと、どれが最新のものなのかが分かりにくくなってしまいます。
手違いなどを防ぐためにも、内容を変更したい場合には、専門家に相談することをおすすめします。
自筆証書遺言と秘密証書遺言の訂正
自筆証書遺言や秘密証書遺言の撤回においては、民法第1022条に遺言者の好きなときに内容を変更して良いといった内容が記載されています。
自筆証書遺言と秘密証書遺言の変更は以下の手順で変更することが可能ですが、不備がある場合には撤回内容が無効となってしまいますので注意が必要です。
- 変更したい部分を明記する
- 変更内容を書く
- 署名する
- 変更箇所に押印をする
また、遺言書を全文書き直すこともできます。
保管も自宅で行われている場合がほとんどですので、自宅で保管してある遺言書を破棄してしまえば問題ありません。
遺言書作成の費用についてのまとめ
ここまで遺言書の作成方法や、作成する際の費用の相場などを中心にお伝えしてきました。
この記事のポイントをおさらいすると以下の通りです。
- 遺言書は、遺言者の財産を遺言者の死後どうするのかを指定する書面
- 遺言書を書く方法は主に3つある
- 遺言書を専門家に依頼する場合、専門家によって費用は異なる
- 遺言書を専門家に依頼する場合、専門家の特性を確認すると良い
これらの情報が少しでも皆様のお役に立てば幸いです。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。
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監修者
山口 隆司(やまぐち たかし)
一般社団法人 日本石材産業協会認定 二級 お墓ディレクター
経歴
業界経歴20年以上。大手葬儀社で葬儀の現場担当者に接し、お葬式を終えた方々のお困りごとに数多く寄り添いサポートを行う。終活のこと全般に知見を持ち、位牌や仏壇をはじめ、霊園・納骨堂の提案や、お墓に納骨されるご遺族を現場でサポートするなど活躍の場が広い。