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相続

祭祀承継者は生前でも変更できる?変更後の手続きについても説明

更新日:2022.05.01

記事のポイントを先取り!

  • 祭祀承継者を生前変更する場合、贈与税に注意する
  • 新しい祭祀承継者が決定したら、墓地の名義変更を速やかに行う
  • 祭祀主宰者は、祭祀承継者以外

先祖代々のお墓や仏壇を継承する、祭祀承継者(さいししょうけいしゃ)は生前でも変更可能なのでしょうか?
また、祭祀承継者を変更した場合、どのような手続きが必要なのでしょうか。

そこでこの記事では、祭祀承継者を生前に変更する場合について解説します。

この機会に、祭祀承継者を決定する際の優先順位も学んでおきましょう。
後半では、祭祀承継者を生前変更する場合の注意点にも触れているので、ぜひ最後までご覧になってください。

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  1. 祭祀承継者とは
  2. 祭祀承継者は誰がなる?
  3. 生前に祭祀承継者を変更する方法
  4. 変更後に必要な手続き
  5. 祭祀承継者は放棄もできる?
  6. 祭祀承継者は複数人でもなれる
  7. 祭祀承継者の変更まとめ
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祭祀承継者とは

そもそも、祭祀承継者とはどのような人を指すのでしょうか?
ここでは祭祀承継者の概要や変更するタイミングについて解説します。

祭祀承継者の意味

祭祀承継者とは、先祖代々引き継がれているお墓や仏壇などを維持・管理する人のことです。
先祖から継承された品物を「祭祀財産」といいます。

承継者の種類

祭祀財産は、民法上では主に3つの種類に分類されます。

系譜

その家の血縁関係を記した、家系図や家系譜を指します。
巻物や額に入れて保管されているのが一般的です。

祭具

祭祀に使用される器具全般を指します。
仏教であれば仏壇や位牌、神道なら神棚などが祭具にあたります。

キリスト教であれば、礼拝に使用する十字架が祭具となります。

墳墓

ご先祖様の遺骨が安置されている土地や物品を指します。

お墓や墓碑が墳墓に分類されますが、併せて墓地を利用する権利である「永代使用権」も墳墓に含まれるでしょう。

これらの祭祀財産を、一括で管理していくのが祭祀承継者の重要な役割となります。
また、一周忌や三回忌などの年忌法要を行う際には、祭祀承継者が中心となって準備を行います。

祭祀承継者が変更するタイミング

祭祀承継者を受け継いだ人は、基本的に亡くなるまで承継者であり続けます
そのため、祭祀承継者を変更するタイミングは前の承継者が亡くなったときが一般的です。

祭祀承継者がお墓の管理を全くしなくなった、など特段の事情がある場合は生前の変更が可能になる場合もあります。

生前変更については後ほど詳しく解説します。

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祭祀承継者は誰がなる?

ここでは祭祀承継者の選び方について説明します。
新しく祭祀承継者を決定する際には、民法に沿った選び方の優先順位があります。

被相続人からの指定される

祭祀承継者の選び方で最も優先順位が高いのは、被相続人が遺言書などで次の承継者を指定する方法です。
遺言書以外に、何らかの書面や口頭で伝える方法でも問題ありません。

親族内の慣習によって決まる

被相続人からの指定がない場合、次いで優先されるのが親族内の慣習で決める方法です。
被相続人との続柄や適性を考慮して、親族内の話し合いで決定されます。

家庭裁判所からの指定される

被相続人の指定も親族内の慣習もない場合は、家庭裁判所に調停・審判の申し立てを行います。
家庭裁判所でも、被相続人との関係や続柄、祭祀に関する意思・能力などをさまざまな観点から判断されます。

生前に祭祀承継者を変更する方法

現在の祭祀承継者が、病気などで祭祀財産の管理が難しいなど事情がある場合、生前変更も可能です。
生前変更する方法としては、当事者間の同意もしくは家庭裁判所への調停・審判の申し立てのどちらかになります。

家庭裁判所へ申し立てをするのは、祭祀承継者本人のほか、親族が行っても問題ありません。

生前に変更する場合の注意点は2つあります。

引き継ぐ祭祀財産に贈与税がかかる点

基本的に祭祀財産は非課税なのですが、生前の引継ぎには贈与税が発生する場合があります。

年間110万円を超える祭祀財産の贈与には税金が課せられますので、気を付けましょう。

祭祀承継者の変更が認められないことがある

家庭裁判所に申し立てる場合、必ずしも変更が認められるわけではない点です。
現在の祭祀承継者がお墓の管理を全くしないなど、具体的な問題がないと変更が認められないかもしれません。

贈与税や家庭裁判所への申し立てで不安なことがあれば、税理士や弁護士など専門家へ相談しましょう。

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変更後に必要な手続き

新しく祭祀承継者を変更した後は、墓地の名義変更を忘れずに行ってください。
ここでは意義変更時の必要書類や、手続きの流れについて解説します。

必要な書類

墓地の名義変更に必要となる書類は、主に以下の5点です。
墓地を管理する霊園や寺院によって必要書類は異なりますので、事前に確認しておきましょう。

名義変更申請書

墓地の名義変更を申し立てる書類のことです。

「承継使用申請書」という名称の霊園もあります。
様式は各霊園で異なりますので、変更の連絡をした際に受取り、もしくは郵送してもらいましょう。

戸籍謄本・住民票

新しく祭祀承継者になる人の戸籍謄本と住民票を提出するのが一般的です。
前承継者が死亡している場合は、死亡の明記された戸籍謄本も必要でしょう。

戸籍謄本と住民票は発行から3カ月以内のものを提出してください。

墓地使用許可証

お墓の使用を許可してもらう書類のことで、「永代使用許可証」とも呼ばれています。
墓地使用許可証は墓地を建てる契約をする際、寺院・霊園から発行される書類です。

紛失してしまった場合は、寺院・霊園の管理者へ連絡して再発行が可能ですので安心してください。
ただし、再発行には数百円〜1万円ほどの手数料が発生します。

実印・印鑑登録証明書

新しく祭祀承継者を引き継ぐ人の、実印や印鑑登録証明書を求められることも多いようです。

親族の同意書

新しい祭祀承継者を認める意向を記載した、親族の同意書の提出を促されることもあります。
前承継者の遺言書がある場合も、同様に提出を求められるかもしれません。

手続きの流れ

寺院・霊園への名義変更は、以下の流れで行っていきます。

  1. 墓地を管理する寺院・霊園へ連絡し、提出書類の確認をする
  2. 提出書類の取得・記入。
  3. 書類が全て整ったら、寺院・霊園の管理者へ提出
  4. 新しい祭祀承継者が記載された「墓地使用許可証」を発行してもらう

墓地を管理する霊園には公営民営があります。
公営霊園にお墓がある場合は市区町村役場、民営霊園なら管理事務所へそれぞれ連絡しましょう。

昔から付き合いのあるお寺の檀家となっている場合は、お寺へ変更を告げます。
墓地を管理する霊園や寺院には、年間管理料を支払わなくてはなりません。

年間管理料の相場は、公営霊園で1,000円~5,000円、民営霊園では5,000円~1万5,000円ほどです。
寺院墓地の場合は6,000円~2万5,000円くらいが相場となります。

管理料の支払いも祭祀承継者が窓口となりますので、変更が確定したら速やかに手続きしましょう。

祭祀承継者は放棄もできる?

祭祀承継者に指定された場合、基本的に放棄はできません
しかし、引き継いだ祭祀財産は祭祀承継者の所有物となります。

祭祀承継者となった後にお墓や仏壇の処分をしても、法律上の罰則はありません
年忌法要についても、祭祀承継者が「行わない」と判断したら親族は従うしかないということです。

祭祀承継者の放棄はできませんので、ひとまず引き継いで墓じまいの手続きを進めていく方法を取りましょう。
墓じまいすることで実質、祭祀承継者の放棄と同等の意味となります。

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祭祀承継者は複数人でもなれる

祭祀財産は分割することが難しいため、基本的に1人に継承されるのが一般的です。

しかし、お墓が2か所にある場合など、ケースによっては祭祀財産の分配や役割を負担することも認められています。

祭祀承継者は協力ができる

祭祀承継者の役割はお墓や仏壇の管理から法要の取りまとめ、檀家の付き合いなど実に多岐にわたります。
新しく祭祀承継者となった人に兄弟などがいる場合は、役割を分担して協力し合うことも可能です。

祭祀主宰者を頼むこともできる

祭祀承継者の重要な役割のひとつに、年忌法要の取りまとめがあります。
法要の取りまとめをする祭祀主宰者については、祭祀承継者以外の人へ依頼することも可能です。

法要を行うまでの手順は、おおよそ以下の流れになります。

日時・会場の決定

年忌法要を行う日時を決めて、会場を予約します。
セレモニーホールで行うと、準備や当日の段取りもサポートしてもらえるため主宰者の負担が減るでしょう。

お寺へ連絡

法要では僧侶にお経をあげてもらいます。
お寺へ連絡して希望の日時を伝え、僧侶の予定と調整しましょう。

参加者へ案内状の送付

法要に参加する人をピックアップして、案内状を送付します。
参加可否の返信ハガキがついたタイプを送り、参加人数を把握します。

返礼品の準備

法要に参加する人は香典を持参しますので、返礼品が必要です。
いただく香典の、3分の1半額程度のお返しをするのがマナーとなっています。

お供え物・お布施の準備

お線香やロウソクなど基本のお供え物のほかに、会場に飾る供花も注文しておきましょう。
また、お経をあげてくれる僧侶へはお布施を渡さなくてはなりません。

一周忌や三回忌などの重要な法要では、1万円~5万円がお布施の相場となっています。

お布施のほかに、出向いてもらった交通費として「御車代」が5,000円~1万円ほど必要です。
法要後に会食があり、僧侶が参加されない場合は「御膳料」も用意します。

御膳料の相場は御車代と同様に5,000円~1万円ほどです。

会食場所の決定・予約

法要後に会食を行う場合は、会食場所の予約も行います。
食事内容はアレルギーのある方や、お子さんが来る場合を考慮して選びましょう。

祭祀主催者だけでこれらの準備を行うのは、大変な労力を要します。
さらに法要当日は、参加者への挨拶も行わなければなりません。

兄弟や補佐できる親族がいる場合は、祭祀主催者に任せきりにせず分担することで負担も軽減できるでしょう。
仕事の都合で難しいのであれば、代わりにお布施を負担するなどの方法もあります。

祭祀承継者の変更まとめ

ここまで、祭祀承継者を生前に変更する場合について解説してきました。
まとめると以下の通りです。

  • 祭祀承継者の生前変更は可能
  • 生前変更時は贈与税に注意する
  • ケースによっては複数人で継承することも可能

これらの情報が少しでも皆様のお役に立てれば幸いです。

最後までご覧いただき、ありがとうございました。

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監修者

評価員(たなか)

田中 大敬(たなか ひろたか)

厚生労働省認定 葬祭ディレクター技能審査制度 一級 葬祭ディレクター

経歴

業界経歴15年以上。葬儀の現場で数々のお葬式を担当し、身寄りのない方の弔いから著名人や大規模な葬儀までを経験。お葬式を終えた方々のお困りごとに数多く寄り添いサポートを行う。終活のこと全般に知見を持ち、特に士業や介護施設関係の領域に明るい。

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