死亡後の手続き
死亡退職金は非課税対象?非課税となる条件や弔慰金についても紹介
更新日:2024.01.24 公開日:2022.05.27
会社勤めしていた家族の誰かが亡くなった場合、会社側から死亡退職金というものが支払われるのですが、これには必ず税金の問題が絡んできます。
しかし、死亡退職金には非課税の部分もあることをご存じでしょうか。
そこでこの記事では、死亡退職金の非課税について詳しく説明していきます。
この機会に死亡退職金とはどういったものなのか、を覚えておきましょう。
どういった場合、非課税枠が適用されるかについても触れているので、ぜひ最後までご覧ください。
https://www.eranda.jp/sogi/family-funeral/procedure
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- 死亡退職金とは
- 死亡退職金の非課税枠とは
- 相続放棄すると非課税ではなくなる
- 死亡から3年後に支給でも課税対象になる
- 死亡退職金は相続税申告が必要?
- 弔慰金や死亡保険にも非課税枠は存在する
- 死亡退職金の非課税枠まとめ
死亡退職金とは
死亡退職金とは死亡してから3年以内に支給が確定した退職金のことです。
日本では勤めていた会社で定年を迎えると、企業はその従業員に退職金や功労金等を支払います。
ですが、定年を迎える前に従業員が亡くなってしまった場合にも、亡くなった従業員が受け取れなかった退職金を遺族がかわりに受け取ることができます。
これを死亡退職金といい、退職金制度のある企業であれば必ずもらうことができます。
また、その従業員が生前に会社を退職していて、その支給額が亡くなってから3年以内に確定していた場合も死亡退職金を受け取れます。
亡くなったと同時に退職した場合のみだけではないので、この点は覚えておきましょう。
死亡退職金の相場としては1000万円から2000万円くらいとなっており、勤続年数が長ければ長いほど、死亡退職金が多くなる傾向があるようです。
受け取りには優先順位があり、遺族に配偶者がいるときは必ず配偶者が相続人となり、その次に子、親、兄弟姉妹という順番となっています。
死亡退職金の非課税枠とは
死亡退職金は相続税の対象となります。しかし、すべての死亡退職金が課税対象になるかというと、そうではありません。
ここでは死亡退職金の非課税枠について詳しく解説をします。
死亡退職金は「みなし相続」として扱う
まず死亡退職金は「みなし相続」として扱われています。
「みなし相続財産」とは被相続人が亡くなったのを機に受け取る財産のことであり、死亡保険金と死亡退職金の2つが代表的なものといわれています。
相続した財産という扱いでないという点から、7相続財産ではないのではと思う方もいらっしゃるかと思います。
ですが厳密にいうと、みなし相続財産は財産ではないのですが、被相続人が亡くなったことで財産として受け取ることになるため、税法では相続税が発生するのです。
死亡退職金以外にも亡くなった方自身が保険料を支払っていた場合には、生命保険金もまたみなし相続に分類されます。
非課税枠の計算式
しかし、みなし相続財産は課税対象とはなるものの、遺族の今後の生活を配慮したうえで一定の金額を非課税対象としています。
非課税対象となる金額は「500万円×相続人の数」が死亡保険金の非課税枠となります。
この相続人の数というのは相続を放棄した人も相続人の数とみなされます。
また、養子の場合でも一部実子同じ扱いとなるケースはあるものの、相続人の対象となります。
ただし実子の場合は1名、実子がいない場合は2名までが対象です。
相続放棄すると非課税ではなくなる
ただし気を付けなければいけないのが相続放棄をしたケースです。
死亡退職金の相続は受取人固有の財産となるため、相続を放棄したとしても受け取ることができます。
しかし実は相続放棄をした場合は相続人から外れてしまい、相続人とみなされなくなるため非課税枠が適用されなくなってしまうので注意が必要です。
死亡から3年後に支給でも課税対象になる
そしてもうひとつ気を付けなければならないのが、死亡から3年以上断ってから死亡退職金を受け取ることが確定したケースです。
この場合ももちろん課税対象とはなるのですが、税目が変わります。
死亡から3年以上経ってから死亡退職金を受け取った場合には、死亡退職金は退職金と同様の扱いになります。
そのため、相続税ではなく所得税(一時所得)がかかります。
こういった場合は、給与所得や事業所得など他の所得があった際にまとめて死亡退職金と合わせて計算して確定申告をしなくてはなりません。
死亡退職金は相続税申告が必要?
ここまでは死亡退職金には税金がかかることを紹介していきましたが、実は必ずしも相続税の申告が必要となるとは限りません。
場合によっては不要となるケースもあります。
どういった時に非課税となるのか詳しく解説していきます。
非課税の場合は不要
冒頭で死亡死亡退職金の相続税には非課税枠があり、非課税対象となる金額は「500万円×相続人の数」で求められることを解説しました。
この計算式で計算したときにもし死亡退職金が非課税限度額よりも下回った場合には相続税は課税されません。
ただし例えば孫であったり内縁の夫もしくは妻など、相続人以外が受け取ることになる場合には非課税枠が適用されませんので気を付けましょう。
申告後に死亡退職金が支払われたら?
もし申告後に退職金が支払われた場合も、非課税枠以内であれば申告の必要はないのですが、問題は申告後に非課税枠を超えたときのケースです。
申告期限は相続することを知った日の翌日から10か月以内と決められており、申告期限内に受け取っていたのに申告しないままでは、隠喩行為と判断されることがあります。
きちんと申告しないままですと、申告した額が過少であったとして過少申告加算税や期限に納付しなかったために延滞税か課せられる可能性があります。
非課税枠を超えた場合には必ずもう一度申告書を提出するようにしましょう。
弔慰金や死亡保険にも非課税枠は存在する
非課税枠は死亡退職金だけではなく弔慰金や死亡保険にもあります。
課税対象となるかどうかも合わせてどのように金額を計算するかも解説していきます。
弔慰金非課税枠
まずは弔慰金の非課税枠について説明します。
弔慰金とは企業側が従業員やその家族が亡くなったときや、災害でなくなったときに行政が支給するお金のことです。
弔慰金には一般的にはそこまで金額が大きくないため、課税対象にならないケースがほとんどではありますが死亡した状況によっては課税対象となるケースもあります。
課税対象となるケースは2つあります。
業務上に死亡した場合
一つ目は業務上死亡したケースです。
このときに弔慰金が普通給与の3年分相当の額となる場合は課税対象となります。
業務以外で死亡した場合
二つ目は業務以外で死亡したケースです。
このときに弔慰金が普通給与の半年分相当の額となる場合は課税対象となります。
生命保険の非課税枠
生命保険は契約した際、保険料を支払った人と保険をかけられた人が同一で、受取人が法定相続人となっている場合は相続税の対象となり、非課税枠が適用されます。
非課税対象となる金額は死亡退職金と同様、「500万円×相続人の数」が死亡保険金の非課税枠となります。
死亡退職金との併用が可能
生命保険と死亡退職金はそれぞれで非課税枠が適用できます。
なぜなら、規定上「生命保険金当の非課税枠」、「死亡退職金の非課税枠」と明記されておりそれぞれ別枠の扱いとなっているのです。
そのため、どちらかで非課税枠を使ったからといってもう片方が非課税枠を適用できないということはありません。
死亡退職金の非課税枠まとめ
ここまで死亡保険金の非課税枠の情報と合わせて、弔慰金や保険金の非課税枠の情報についてお伝えしてきました。
この記事のポイントをおさらいすると以下の通りです。
- 死亡退職金とは死亡してから3年以内に支給が確定した退職金
- 死亡退職金は相続税の対象で「みなし相続」となる
- 相続放棄をした場合、非課税枠が使えなくなる
- 死亡から3年以降に死亡退職金を受け取ると非課税枠が使えない
これらの情報が少しでも皆様のお役に立てば幸いです。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。
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監修者
袴田 勝則(はかまだ かつのり)
厚生労働省認定 葬祭ディレクター技能審査制度 一級 葬祭ディレクター
経歴
業界経歴25年以上。当初、大学新卒での業界就職が珍しい中、葬儀の現場で数々のお葬式を担当し、身寄りのない方の弔いから皇族関係、歴代首相などの要人、数千人規模の社葬までを経験。さらに、大手霊園墓地の管理事務所にも従事し、お墓に納骨を行うご遺族を現場でサポートするなど、ご遺族に寄り添う心とお墓に関する知識をあわせ持つ。
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