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死亡後の手続き

死亡退職した従業員に年末調整は必要?年末調整のタイミングと流れ

更新日:2024.01.24

死亡退職

記事のポイントを先取り!

  • 死亡退職者であっても年末調整する
  • 死亡後すぐに年末調整する
  • 年末調整にはいくつか注意点がある

従業員の退職理由はさまざまですが、死亡退職の際の対応はご存知でしょうか。
死亡退職した従業員がいた場合、年末調整をどのように対応すればいいか悩むこともあると思います。

そこでこの記事では、死亡退職した従業員の年末調整について解説します。

この機会に、年末調整のタイミングや流れについても覚えておきましょう。
後半には遺族が確定申告しなければならない場合についても触れているので、ぜひ最後までご覧ください。

https://www.eranda.jp/sogi/family-funeral/procedure

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  1. 死亡退職とは
  2. 死亡退職した従業員に年末調整は必要?
  3. 死亡退職者の年末調整のタイミングと流れ
  4. 死亡退職者の年末調整の計算方法
  5. 死亡退職者の年末調整する際の注意点
  6. 他の人はこちらも質問
  7. 死亡退職者の遺族で確定申告が必要なケース
  8. 死亡退職の年末調整まとめ
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死亡退職とは

死亡退職とは、会社などに雇用されている人物が何らかの事由で死亡し、雇用継続が不可能となって退職することです。

基本的な処理は通常の退職に従いますが、詳細部分では死亡退職時に行うべき手続きなどもあるため、処理の違いが生じる部分もあります。

また、死亡退職の退職日は死亡した日となり、雇用保険などの喪失日はその翌日となります。

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死亡退職した従業員に年末調整は必要?

そもそも年末調整とは、各月での精算が困難である保険料や所得税などの支払い、または納税額を年末にまとめて精算する事務になります。

そのため、退職理由にかかわらず、その年に給与資格を得られるほど働いていた場合は、必ず年末調整しなければなりません。

この際、死亡日を基準に年末調整の範囲が定まります。
給与の確定日ではなく支払日を基準として、死亡日が支払日より前であればその月の支払いに関しては年末調整の必要はありません。

あくまで、一部例外を除いて死亡時に受け取っていた給与までが年末調整の対象となります

死亡後に支払いすることとなった給与は相続財産として計算されますので、年末調整の際に計算しないように注意してください。

死亡退職者の年末調整のタイミングと流れ

死亡退職であっても年末調整が必要とはいえ、年末調整は基本的に年末に行うものです。
そのため、年の終わりから離れている時期に従業員が死亡してしまった場合、年末調整のタイミングに悩んでいる方もいるでしょう。

死亡退職者の年末調整について、タイミングや流れを紹介しますのでぜひ参考にしてください。

死亡退職者の年末調整はすぐに行う

死亡退職後の給与はすべて、相続財産として扱われます。

死亡退職者は死亡時点で支払われる給与が確定しています。
死亡時点で年末調整を進めることが可能となっているので、死亡退職者がでたらすぐにでも年末調整を進めるようにしましょう。

死亡退職の場合、遺族は「準確定申告」と呼ばれる故人の代理としての確定申告しなければなりません。
この際に源泉徴収票も必要となるため、会社側が早めに源泉徴収票を交付しないと遺族も困ってしまいます。

可能な限り早急な年末調整と源泉徴収票を交付してください。

死亡退職者の年末調整の流れ

死亡退職者が出てしまった場合、早急に年末調整を終えなければなりません。
事前に年末調整に必要な流れを知っておくことで、実際にその状況になった際の対応がスムーズになります。

以下で紹介する流れをしっかりと覚えておくようにしましょう。

死亡退職者の給料の確認

最初に最新の給与がいつになるのかを把握してください。

直近の給与支払日と故人の死亡日から、故人にとっての最後の給与がいつになるのかわかります。

故人の死亡日以前に支払われた給与は故人の生前給与であり、故人の死亡日以降に支払われる予定の給与は、すべて相続財産として扱われます。
そのため、直近の支払日が故人の死後に予定されていた場合は、その前月の給与が故人にとっての最後の給与です。

給与の計算締め日が20日、支払日が月末の場合に従業員が7月28日死亡のケースでは、故人の最後の給与は6月末の支給分となります。

このケースでは、7月の給与と8月の給与が支払われることは確定していますが、それらの給与はすべて相続財産として扱われるのです。

また、死亡日が支払日を過ぎていた場合に何らかの事由でまだ支払いの事実がない場合でも、その支払いに限り生前の給与として扱われます

上記の例であれば、8月1日が故人の死亡日であった場合は、まだ支払われていない給与であっても、7月分の給与は故人の生前給与として扱われるのです。

これは賞与についても適用されるため、上記の例で夏の賞与が7月25日に支払われているようであれば、それは故人の生前給与なので注意しましょう。

年末調整の対象となる給料の計算

故人の生前最後の給与が確定しましたが、次に計算するのは年末調整の対象となる給与の総計です。

給与の計算締め日が20日、支払日が月末の場合に従業員が7月28日死亡のケースで説明します。
このケースであれば、6月分の給与までが故人の生前給与となるため、同年の1月〜6月までの給与すべてが年末調整の対象となります。

冬や春の賞与が1月以降にあった場合は、その賞与に関しても年末調整の対象となるので注意が必要です。

同年6月までの賞与を含めた給与が年末調整対象となり、7月8月の給与および賞与に関しては相続財産として遺族が遺産分割します。

年末調整の対象範囲がわかったら、早急に作業を進めるようにしてください。

源泉徴収書の交付

遺族の準確定申告のためにも、源泉徴収票は少しでも早く交付する必要があります。
年末調整の対象となる範囲を把握し次第、すぐに源泉徴収票交付の手続きをしてください。

この際に交付が遅れてしまえば、遺族とのトラブルにも発展する可能性があるので、可能な限り早急な手続きを心がけましょう。

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死亡退職者の年末調整の計算方法

死亡退職者に対する給与は、締め日や支払日の関係によって扱いが変わります。
それぞれのケースについて解説しますので、ぜひ参考にしてください。

締め日と支払日が同日の場合

給与の支払いについて、計算の締め日と同日である場合はとてもシンプルです。

給与計算の締め日がそのまま支払日となるため、その締め日が故人の死亡日前後いずれにあるかで判断しましょう。

故人の死亡日と支払日が同じ場合 生前給与として考えます
給与の支払い時間が遅くなる可能性もありますが、基本的にはその日の内に支払われる予定であれば、生前給与として考えてください。

死亡日より以前に締め日と支払日の場合 生前給与として考えます
死亡日のあとに締め日と支払日の場合 相続財産として扱います

締め日と支払日が別日の場合

締め日と支払日が異なる場合、基準とするのは支払日です。

死亡日と給与の関係性を問うのは締め日ではなく支払日であるため、支払日が死亡日の前後いずれなのかで扱いが変わります。

支払日が、死亡日より前であれば生前給与、死亡日以降の支払いであれば相続財産として扱います。

給料の支払いが遅れる場合

振り込み制限などによって給与の支払いが遅れ、生前の内に支払われる予定だった給与が故人の死亡後に支払われることもあります。

この場合も、あくまで支払日を基準とするので、支払いが遅れても生前給与として扱いましょう。

名義人の死後の振り込みなどでは注意点もありますので、別項で紹介する注意点にも気をつけてください。

死亡退職者の年末調整する際の注意点

死亡退職では、年の途中で退職した場合は時期に応じた年末調整が必要になります。
以下では、死亡退職者の年末調整する場合の注意点を解説します。

各種保険の控除範囲

年末調整では以下の生命保険料の一部が控除されます。

  • 生命保険
  • 地震保険
  • 社会保険

中途退職であっても、すでに支払いが終わっている保険料に関しては控除されるため、年末調整の際に手続きしなければなりません

年の始めから死亡日までに支払われた保険料が控除の範囲となるので覚えておきましょう。

配偶者控除と扶養控除の判定基準

配偶者や扶養家族がいる場合は、配偶者や扶養に対しての控除があります。
この際、死亡退職時は死亡日までの状況を参照して控除率などを特定します。

そのため、年末に行う場合とは少し異なった考え方をしなければなりません。
正確な控除率などを求める際は、一度調べてみることをおすすめします。

各種保険料の支払い

社会保険の保険料には支払い義務が生じています。

これは、保険喪失日の前月までを基準として、それまでに支払うべき保険料について支払わなければなりません。

支払いが必要となる社会保険として、健康保険、介護保険、厚生年金などが該当しますが、対象範囲に生じた保険料はしっかりと支払いましょう。

また、死亡退職の場合の「被保険者資格喪失日」は、死亡日の翌日となります。

給料の支払い方法

死亡退職の場合、給与の支払い方法に悩む方もいます。

基本的に銀行口座は、名義人の死亡が発覚した時点で凍結されるため、いつも通り振り込んでも振り込めないケースがあるのです。

こうしたトラブルを避けるためにも、給与の支払いに関して一度は遺族と相談しておくようにしましょう。
遺族と相談しておくことで、故人の口座に振り込む代わりに他の口座を用意したり、あるいは遺族に現金を直接渡したりといった手段を選べます。

可能な限り故人と近しかった遺族や同居人に渡すことで、トラブルに発展するリスクを最小限に抑えられるでしょう。
故人に配偶者や同居する両親などがいた場合は、その配偶者や両親などに相談することをおすすめします。

退職金

退職金は基本的に、退職日から1ヶ月後に支払うこととなっています。

死亡退職者にとっての退職日は、死亡日とするケースがほとんどなため、死亡日から1ヶ月後に退職金を支払いましょう。

退職金は給与と同じ扱いになるため、死亡退職の場合は死亡後給与とみなされ、相続財産になります。
そのため、退職金に関しては年末調整の対象としないように注意しましょう。

また、支払い方法についても給与同様、故人ともっとも近しい遺族と相談して決めることをおすすめします。

遺族への相続税の申告漏れの防止

故人への給与は、生前財産であれ相続財産であれ、相続税や準確定申告などに影響してきます。
そのため、給与の支払いや源泉徴収票の交付は可能な限り早急に行い、遺族にとっての負担を少しでも抑えられるようにしましょう。

生前は従業員として貢献してくれた故人ですので、その遺族の負担を少しでも抑えることは雇用主としての義務とも言えます。

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他の人はこちらも質問

死亡退職者の年末調整について、あまり例のないことなためさまざまな疑問が持たれています。
よくある質問についてまとめましたので、ぜひ参考にしてください。

死亡退職、年末調整、還付金、誰に?

死亡退職者では、年末調整によって還付金が生じた場合に本人に渡せません。
そのため、基本的には死亡後給与を渡した遺族へと渡すのが良いでしょう。

故人にもっとも近しかった、配偶者や同居する両親などが該当しますので、振り込みあるいは現金で渡すようにしてください。

また、この際の還付金についても生前所得にはならず、相続財産となるので可能な限り早期での返金を心がけましょう。

専従者、年末調整、いつまで?

「専従者」は、個人事業主が家族などを雇って給与を払っている場合の呼び方です。
雇って給与を払っている以上、基本的に年末調整しなくてはなりません。

専従者の年末調整であっても、基本的に一般の従業員と同様の時期に年末調整します。
ただし、青色専従者の場合は「青色事業専従者給与に関する届出書」を専従者に給与を支払う予定のある年の3月15日までに提出しておく必要があります。

必要な手続きを終えた専従者に限り、一般の従業員同様に年末調整してください。

死亡、源泉徴収票、いつ?

故人の死亡後、遺族は準確定申告しなければなりません。
この際に所得などの計算するための源泉徴収票が必要になります。

そのため、可能な限り早期の源泉徴収票交付が望まれるでしょう。
明確にいつまでといった決まりはないものの、準確定申告は故人の死後4ヶ月が申告期限とされています
遅くとも申告期限の1ヶ月前までには交付しておくようにしましょう。

とはいえ、基本的には早期の交付が大切であることから、故人の死後1ヶ月以内には交付できるように手続きを進めるように心がけてください。

死亡、給与、誰に?

基本的に、死亡退職時の未払い給与に関しては、故人にもっとも近しい遺族に渡します。
しかし、上記の考えでは内容が不明瞭であり、誰に渡さなければならないのかわからない方もいるでしょう。

民法の原則として、未払い給与や退職金について、遺産相続人または就業規則などに則った支払先に支払うことが定められています。

そのため、事前に死亡時の規則が決まっていない限りは、故人の配偶者または子ども、両親または祖父母、兄妹姉妹の順番で渡す相手を決めましょう。

手段については遺族と相談することをおすすめしますが、基本的には振り込みまたは現金の手渡しになります。

死亡退職者の遺族で確定申告が必要なケース

死亡退職者について、その年の生前利益に対して、確定申告しなければなりません。
しかし、本人は生存しておらず手続きができないため、遺族が代わりに手続きする必要があります。

以下では、遺族が代わりに行う確定申告について解説しますので、ぜひ参考にしてください。

準確定申告とは

準確定申告とは、故人の生前利益に対しての確定申告を遺族が代わりに行う手続きです。
基本的な流れなどは通常の確定申告と変わりませんが、本人でないことから戸惑う場面もあるでしょう。

故人が生前に利益を得ていた以上、必要となる可能性のある手続きですので、準確定申告という手続きがあることだけでも覚えておくことをおすすめします。

遺族による準確定申告が必要なケース

準確定申告はすべての死亡退職者が必要になる手続きではありません。

基本的に、故人の生前の所得において確定申告が必要であったかどうかが基準となります。

そのため、故人が以下に当てはまる場合のみ準確定申告が必要です。

給与として2,000万円以上または年金として400万円以上の所得があった
自営業での所得を得ていた
土地などの売却事実があった
複数箇所から給与を得ていた
副収入が20万円以上あった

また、サラリーマンとして給与を得ていた場合や、遺族が相続放棄した場合には準確定申告の義務がなくなります。

準確定申告は手間を要しますし、必要のない公的手続きをしてしまうと無用なトラブルにもなりかねないので、しっかりと条件を把握しておきましょう。

準確定申告・納税の期限

準確定申告の手続きとそれに応じた追加納税などがあった場合の納税期限は、故人の死の事実を知った翌日から4ヶ月です。

もし7月11日に死亡した事実を知った場合では、11月12日が期限となります。

また、海外にいて連絡が取れなかった場合や故人と関係を断っていたなど、やむを得ない事由により死の事実を遅れて知る場合もあります。
7月11日に死亡していても、やむを得ない事由で8月1日まで死の事実を知らなかった場合では、12月2日が準確定申告の期限となるのです。

事由がやむを得ないことでなかったり、死の事実を知っていた場合は基本的に死亡日が基準となるので注意しましょう。

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死亡退職の年末調整まとめ

ここまで死亡退職者の年末調整の情報や、注意点について解説してきました。
まとめると以下の通りです。

  • 死亡退職者でも生前給与については年末調整の手続きが必要
  • 年末調整は可能な限り早く手続きする
  • 死亡退職の場合は注意する点がいくつかある
  • 死亡退職の場合は遺族が準確定申告する

これらの情報が少しでも皆様のお役に立てば幸いです。

最後までご覧いただき、ありがとうございました。

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監修者

評価員(かまた)

鎌田 真紀子(かまた まきこ)

国家資格 キャリアコンサルタント ・CSスペシャリスト(協会認定)

経歴

終活関連の業界経歴12年以上。20年以上の大手生命保険会社のコンタクトセンターのマネジメントにおいて、コンタクトセンターに寄せられるお客様の声に寄り添い、様々なサポートを行う。自身の喪主経験、お墓探しの体験をはじめ、終活のこと全般に知見を持ち、お客様のお困りごとの解決をサポートするなど、活躍の場を広げる。

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