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死亡後の手続き

死亡退職した社員の年末調整の還付金は誰に?計算方法についても解説

更新日:2022.05.01

死亡退職

記事のポイントを先取り!

  • 死亡退職の場合も年末調整する
  • 還付金・給与の振込先は相続人
  • 源泉徴収票の交付は企業の義務

会社に死亡退職した従業員がいた場合でも、通常通り年末調整を行う必要があります。
その際、還付金を誰に渡せば良いのか分からないという方もいらっしゃるでしょう。

そこでこの記事では、死亡退職した場合の年末調整について解説します。

この機会に、年末調整の計算方法についても知っておきましょう。
後半では、相続人からの問い合わせへの対応方法についても触れているので、ぜひ最後までご覧ください。

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  1. 死亡退職した場合も年末調整は必要
  2. 還付金が生じた場合は相続人へ支払う
  3. 還付金・給与の振り込み先に注意
  4. 死亡退職した場合に年末調整を行う期限は?
  5. 源泉徴収の対象となる給与の範囲について
  6. 死亡退職した社員の年末調整の計算方法
  7. 相続人からの問い合わせに対する対応例
  8. 死亡退職での年末調整の還付金は誰まとめ
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死亡退職した場合も年末調整は必要

年末調整は、1年間給与から源泉徴収された所得税の金額が正しいか再計算して、税額の過不足を調整するためのものです。

死亡退職になった従業員でも、その年の所得税が給与から差し引かれていることには変わりありません

そして、この差し引かれた所得税額は正確な金額ではないため、年末調整で税額の過不足を精算する必要があります。

そのため、死亡退職した場合であっても年末調整は必ず行う必要があります

死亡退職した従業員だからといって、年末調整が必要ないということにはならないため、注意しましょう。

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還付金が生じた場合は相続人へ支払う

死亡退職した従業員にも、年末調整の結果によっては還付金が発生します。
還付金が発生した場合には、その従業員に対して還付金を支払う必要があります。

従業員が死亡退職している場合には、その従業員の相続人に対して支払いを行いましょう。
これは、従業員が亡くなった後は還付金も本人の所得ではなく、その従業員の相続財産として扱われるためです。

そのため本人宛ではなく、相続人宛に送る必要があります。
また、源泉徴収票も、還付金と同様、相続人に送る形となります。

死亡退職した場合の支払先は通常の還付金とは異なるため、注意しましょう。

還付金・給与の振り込み先に注意

死亡退職した従業員の還付金や給与は、すべて相続人に支払うこととなります。
その際、注意しなければならないのが振り込み先です。

従業員が死亡退職した場合には、本人の銀行口座に振り込まないように注意しましょう。
これは銀行口座は本人が死亡した時点で凍結されてしまうためです。

口座が凍結されてしまうと、口座への入金もできなくなります。

そうなると、給与が正常に振り込まれないという事態になるため、還付金・給与は遺族か相続人の銀行口座に振り込みましょう。

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死亡退職した場合に年末調整を行う期限は?

従業員が死亡退職した場合には、死亡日までに支払われた給与が対象となります。
死亡日後に支払われる給与については対象外となるため注意が必要です。

これは、死亡日後の給与は相続税として扱われるため、源泉徴収の対象とならないためです。
誤って源泉徴収をしないようにしましょう。

また、死亡退職の場合は死亡が発覚したら、年の途中であっても年末調整を行います。
年末に通常の年末調整と一緒に行うのではなく、すぐに手続きを始める必要があります。

支払われる給与は相続財産として、相続人に支払う必要があります。
相続財産は、相続手続きを行う必要があり、相続税などの申請の対象となる可能性があるため、早めの支払いを心がけましょう

源泉徴収の対象となる給与の範囲について

ここからは、源泉徴収の対象となる給与について詳しく紹介します。
どのような給与が対象となるのかを、この機会に知っておきましょう。

配偶者控除や配偶者特別控除について

年末調整において、扶養親族がいる場合には、配偶者控除や配偶者特別控除などの控除制度が利用できます。
これは、死亡退職した従業員の場合でも同様です。

しかし、配偶者控除には適用条件として「配偶者の所得合計額が48万円以下である」というものがあります。

死亡退職の場合、この適用条件は1月1日から死亡日までの間の日にちで計算されます。
その際、月割計算はせず、全額が控除されます。

また、配偶者特別控除も同様に、死亡日までの日にちで適用条件が計算され、全額が控除されます。

社会保険料は全額が社会保険料控除の対象

年末調整では社会保険料控除が適用されますが、死亡退職の場合でも、社会保険料控除の対象となることを覚えておきましょう。

社会保険料には、健康保険料介護保険料厚生年金保険料雇用保険料が含まれており、これらすべてが対象となります。

また、配偶者控除と同様、社会保険料控除も従業員の死亡日前までの社会保険料が対象となります。
そのため、死亡日前まで月ごとの社会保険料を合計し、計算します。

死亡日後の給与に関しては、年末調整の対象外となるため、社会保険料控除も適用外となることも併せて覚えておきましょう。

生命保険料控除・地震保険料控除・社会保険料控除について

生命保険料・地震保険料・社会保険料に関しては、支払った金額に応じた控除が受けられます。
また、これらの控除も死亡日までに支払った保険料が対象となります。

退職金について

死亡後に支払われる退職金は、相続財産としてカウントされます。
そのため、所得税は課されず、代わりとして相続税が課されます。

源泉徴収の対象とならないため、通常であれば必要となる退職所得の源泉徴収票も提出が必要ありません。

代わりとして、死亡退職金が100万円を超える場合には、「退職手当等受給者別支払調書」を提出する必要があります。

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死亡退職した社員の年末調整の計算方法

ここからは、死亡退職した社員の年末調整をどのように計算すれば良いか紹介します。
給与計算締め日と支払日が同日・別日のケースと、給料支払いが遅れたケースの3つをそれぞれ詳しく解説します。

給与計算締め日と支払日が同日のケース

締め日と支払日が同日の場合には、「亡くなるまでに支払った給与」までを年末調整します。

例えば、25日が締め日・支払日であり、従業員が5月3日に亡くなった場合、4月25日までに支払われた給与が、年末調整の対象です。

5月25日に支払われる給与に関しては、年末調整の対象となりません。

給与計算締め日と支払日が別日のケース

締め日と支払日が別日の場合には、支払日を基準として考えるため、死亡日前の支払日まで年末調整を行います。

例えば、25日が締め日で10日が支払日の場合、5月6日に従業員が亡くなったら、4月10日までの給与が年末調整の対象となります。

死亡日より後の支払日である5月10日に支払われる文に関しては、年末調整の対象とならないため注意しましょう。

給料支払いが遅れてしまったケース

給与の支払いが遅れてしまった場合、支払いが遅れたことを考慮せず、本来支払うはずだった日にちと死亡日で考えます。

例えば、5月10日に支払うはずの給与が5月17日支払いになり、従業員が5月15日に亡くなった場合、年末調整の対象となります。

これは、実際には5月17日と死亡日より後に支払われた給与ですが、本来5月10日と故人が亡くなる前に支払われるはずだったためです。

給与の支払いが遅れた場合は、混乱しやすいため注意しましょう。

相続人からの問い合わせに対する対応例

ここからは、相続人から問い合わせをもらった場合の対応方法について紹介します。
よくある問い合わせに応じた対応を詳しく紹介するので、ぜひ参考にしてください。

源泉徴収票が届かない

源泉徴収票に関しては、所得税法第226条で退職後1ヶ月以内に源泉徴収票を発行することが義務付けられています。
これに違反すると1年以下の懲役か50万円以下の罰金となる可能性があります。

そのため、源泉徴収票は1ヶ月以内に必ず交付しましょう。

また、住所不明の場合は源泉徴収票が返送されてくる可能性があります。
その場合、その源泉徴収票は処分せずに保管しておきましょう。

後から義務を怠ったという疑いをかけられた時にも、源泉徴収票を保管しておけば、返送されてきたことが分かるためです。

源泉徴収票を再交付してほしい

源泉徴収票を無くしてしまった方から、再交付をお願いしたいという問い合わせが来る場合があります。
源泉徴収票の再交付に関して、取り決めはないため、企業が自由に再交付することが可能です。

もし再交付の依頼が来た時は、必ず対応しましょう。

再交付に対応しなかった場合、依頼者が税務署に「源泉徴収票不交付の届出書」を提出し、会社に行政指導が入る可能性があります。

源泉徴収票の交付は企業の義務であるため、依頼があった場合はすぐに応じましょう。

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死亡退職での年末調整の還付金は誰まとめ

ここまで、死亡退職での年末調整の還付金は誰が受け取るのかを解説してきました。
まとめると以下の通りです。

  • 死亡退職の従業員も年末調整の対象となる
  • 死亡退職の場合、年の途中でも年末調整を行う
  • 死亡退職の場合、従業員が死亡する直前までの支払日が年末調整の対象となる
  • 源泉徴収票の交付は所得税法で決められているため、忘れずに交付する

これらの情報が少しでも皆様のお役に立てば幸いです。

最後までご覧いただき、ありがとうございました。

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監修者

評価員(はかまだ)

袴田 勝則(はかまだ かつのり)

厚生労働省認定 葬祭ディレクター技能審査制度 一級 葬祭ディレクター

経歴

業界経歴25年以上。当初、大学新卒での業界就職が珍しい中、葬儀の現場で数々のお葬式を担当し、身寄りのない方の弔いから皇族関係、歴代首相などの要人、数千人規模の社葬までを経験。さらに、大手霊園墓地の管理事務所にも従事し、お墓に納骨を行うご遺族を現場でサポートするなど、ご遺族に寄り添う心とお墓に関する知識をあわせ持つ。

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