閉じる

相続

位牌は相続税の控除になる?申告はどうやってすれば良い?

更新日:2022.11.17

遺産

ノートパソコンをもって紹介ているビジネスウーマン

記事のポイントを先取り!

  • 相続税とは相続人が支払うべき税金のこと
  • 葬儀に直接関係がある費用のみ相続税控除の対象
  • 位牌は各種あり、金額は1~10万円まである
  • 相続税の申告期限は10ヶ月以内で領収書の保管が必須

親や配偶者が亡くなり財産を相続する場合に、受け取った財産には相続税がかかることがあります。
葬儀費用が相続財産から控除できるということを聞いたことがある方は多いかもしれません。

では葬儀費用とは、葬儀にまつわる全てが控除の対象となるのでしょうか?
そこでこの記事では、葬儀に関連する位牌(いはい)も相続税控除の対象となるのかを中心に説明していきます。

この機会に葬儀関連費用がどの程度まで控除の対象となるのかについて知識を深めておきましょう。
相続税の申告方法についても触れているので、ぜひ最後までご覧ください。

都道府県一覧から葬儀社を探す

こちらでご希望のエリアから葬儀社を検索できます。

mapImg
searchIconエリアから探す

こちらでご希望のエリアから葬儀社を検索できます。

  1. 相続税とは
  2. 位牌は相続税控除になる?
  3. 葬儀費用に関する相続税の扱い
  4. 位牌の値段相場と種類
  5. 葬儀費用を相続税で申告するには?
  6. 仏具を使った相続税対策
  7. 位牌の相続税のまとめ
スポンサーリンク

相続税とは

まず、相続税について解説していきます。
相続税とは、亡くなった方(被相続人)の財産(預貯金や不動産など)を引き継いだ方(相続人)が支払わなければならない税金のことを言います。

相続税には法定相続人数に応じて決定される基礎控除があります。相続税は基礎控除額を相続財産額が上回った場合にかかるため、相続税がかからないケースもあります。
一般的に、亡くなった方の配偶者や子供が相続人になるケースがほとんどです。

また、遺言書によって第三者が相続人になることも考えられます。
相続税は、税務署から自動的に請求が来るわけではなく、相続人自身が自主的に申告し、期限内に税金を納めなければならないので注意が必要です。

スポンサーリンク

位牌は相続税控除になる?

葬儀費用が相続税の基礎控除の対象になると知っていたとしても、どの範囲までが控除の対象になるかまでは分からない方が多いでしょう。
ここでは、仏具の中でも重要度の高い位牌が相続税控除の対象になるかどうかについてご説明します。

位牌の相場は高価なもので2万円~5万円ですので、控除の対象になるなら助かるという方もいらっしゃるはずです。
ちなみに位牌は、葬儀から四十九日法要まで使われる「白木位牌」、四十九日法要までに購入して白木位牌と入れ替えて仏壇に置く「本位牌」、お寺に祀られる「寺位牌」などに分けられます。
私たちにとって身近な「白木位牌」と「本位牌」について以下にまとめました。

白木位牌は控除対象

白木位牌は葬儀の際に必ず置かれる仏具なので、葬儀費用に含めることができます。
そのため、相続税控除の対象となります。
費用がいくらかかったかメモすることを忘れないようにしましょう。

本位牌は控除対象外

本位牌は、四十九日法要までに購入して白木位牌と入れ替えて仏壇に置くものです。
葬儀には使用しないので、葬儀費用に含めることができません。
お墓もそうですが、本位牌も葬儀後に使われるものとみなされます。

そのため、相続税控除の対象ではありません。
位牌を新しく作ると、僧侶に魂入れをしてもらうことになります。
魂入れ後、位牌はただの木の札から手を合わせる対象へと変わるのです。

もちろんこの魂入れの際のお布施(読経していただいたお礼)の費用も、相続税控除の対象にはなりません。

葬儀費用に関する相続税の扱い

次に、葬儀に関する費用の相続税の扱いについて「控除の対象となるもの」「控除の対象とならないもの」に分けて解説していきます。
葬儀費用をきちんと把握し活用すれば、支払う相続税の額を少しでも抑えられます。

以下に詳細をまとめましたので、是非参考にしてください。

控除対象となるもの

葬儀を執り行うのに必要な費用は、相続税控除の対象になります。
葬儀費用の範囲をより具体的に言うと、次のようなものがあります。

  • 死亡診断書
  • 通夜・告別式の費用
  • 通夜・告別式でかかった飲食費
  • 葬儀でお世話になった葬儀社のスタッフなどへの心付け
  • お布施・戒名料・読経料など
  • 火葬・埋葬・納骨の費用
  • 遺体の捜索や、遺体・遺骨の搬送費用
  • 会葬御礼費(葬儀のすべての弔問客に御礼として渡す千円程度の物品)

なお、領収書やレシートは必ず取っておきましょう。
心付け(チップ)や読経料など領収書が出ないものについては、目的(内容)・支払日・金額・支払先名称・連絡先・住所を記録しておくことで相続税の控除に使えます。

控除対象とならないもの

葬儀に関する費用の中でも、葬儀に直接関わらないものや葬儀に必須でないものは控除対象外になります。
相続税の控除の対象にならないものには、次のようなものがあります。

  • 香典返しの費用(一般的に四十九日法要後に贈るもの)
  • 墓石、墓地の購入や借入にかかった費用
  • 位牌や仏壇の購入費用
  • 初七日や四十九日などの法事の費用(初七日法要を通夜・告別式と同時に行い費用が合算されている場合は、葬儀費用に含めることができる)
  • 遺体解剖(病理解剖や司法解剖)の費用
  • 親族の喪服レンタル費用

ちなみに、二つ目に挙げた墓石や墓地の費用に関してですが、生前に墓石や墓地などを購入すると相続税は非課税になります。
しかし、生前に金の仏像のような換金しやすいものを購入した場合は課税される可能性があります。

スポンサーリンク

位牌の値段相場と種類

電卓を持ちOKサインを出す女性

ここでは、位牌の値段相場を種類別にまとめました。
位牌にはいくつかの種類がありますが、その中でも代表的な塗位牌(ぬりいはい)唐木位牌(からきいはい)モダン位牌蒔絵位牌(まきえいはい)繰出位牌(くりだしいはい)を取り上げます。

塗位牌

塗位牌とは、伝統的な技法で白木に漆(うるし)を塗り重ね、金粉や金箔を施した位牌のことです。
現代では、漆に似ている質感が出せるカシュー塗料や、丈夫に仕上がるウレタン塗装などの塗り方が広まり、漆以外の塗料で仕上げた位牌も塗位牌と呼ばれるようになりました。

本漆の位牌は、作成するのに時間も手間もかかることから値が張ります。
塗り方や、装飾に使われる金のランクや量によっても大きく値段が変わります。
本漆の相場は4~10万円ほど、カシュー塗料のような合成漆のものは1万円程度です。

唐木位牌

唐木位牌は、仏壇の材料として知られている黒檀(こくたん)紫檀(したん)などで作られる位牌です。
黒檀・紫檀は唐木材と呼ばれ、耐久性に優れていることから、昔から位牌の材料として用いられていました。
唐木位牌は、使われている唐木材のランクにより値段に差が出てきます。

また、色・美しい木目・繊細な彫刻なども価格に反映されます。
唐木位牌の相場は、一般的に1~7万円ほどです。

モダン位牌

モダン位牌とは、現代の洋風が主流の住宅事情に違和感なくマッチするデザインの位牌です。
前述でご紹介した塗位牌や唐木位牌がモダンにデザインされたもの、クリスタル製、メープル・ウォールナットなどの価値のある木材を使ったものなど様々です。
モダン位牌の相場は1~5万円ほどですが、デザインにこだわった高価なものもあります。

​​蒔絵位牌

蒔絵位牌とは、塗位牌に日本の伝統技術である蒔絵を施した位牌のことです。
位牌の表面に漆で絵や文様を描き、その漆が乾かないうちに金属粉(金粉・銀粉など)を蒔いて表面に定着させていきます。

このように粉を蒔いて描かれる絵なので、蒔絵と呼ばれるのです。
蒔絵は熟練した技術が必要のため、デザインが美しいものは高価になります。
蒔絵位牌の相場は、2~10万円ほどです。

繰出位牌

繰出位牌は回出位牌とも書かれ、10枚ほどの戒名(かいみょう)が記載された札板を入れられる箱形の位牌のことです。
札板の1枚1枚が位牌になっています。
位牌が仏壇に並べられなくなるほど増えた場合などに、位牌をまとめるために利用されます。

繰出位牌の中で塗位牌、唐木位牌、モダン位牌などに別れ、それぞれに価格帯も異なります。
繰出位牌の相場は、2~20万円ほどです。

葬儀費用を相続税で申告するには?

最後に、葬儀費用を相続税で申告するのに必要な事柄について詳しく解説します。
以下に記したことに注意し、いざ申告するときに困らないようにしましょう。

申告に必要な領収書

葬儀費用に関連する領収書は必ず取っておくようにします。
お布施や心付け(チップ)は領収書がないので、支払った日・支払い先・金額・使途を記録しておけば申告の際に使えます。

申告書の書き方

相続税の申告書は第1~第15表に分かれています。
ここでは、葬儀費用の申告で使用する第13表「債務及び葬式費用の明細書」の「2.葬式費用の明細」の記載方法についてご説明します。

一番左側の「支払先」には、〇〇葬儀社や〇〇寺などと書きます。
「支払年月日」は、実際に支払った日付を書きます。
「金額」には、かかった費用を書きます。
「合計」とは、支払った金額の合計金額のことです。
「負担することが確定した葬式金額」には、負担する方の氏名と金額を書きます。

葬儀社へ50万円を支払うケースでの記載方法の例

  • 1名で負担する場合:その方の氏名と金額50万円を記載
  • 2名で負担する場合:2人の氏名とそれぞれ25万円と記載

申告・納税は10ヶ月以内に行う

前述でも触れましたが、相続税は税務署から自動的に請求が来るわけではありません。
相続人自身が自主的に申告し、期限内に税金を納めなければなりません。
相続税の申告・納税は、被相続人が亡くなったことを知った翌日から起算して10ヶ月以内に行います。

これを守らなければ罰則が適用される場合があります。

また、遺産が他にもあることを後から知った場合、修正申告をしなければなりません。
修正申告とは、誤って税額を少なく申告していた場合に不足分の税金を納付するための手続きのことです。

ちなみに、亡くなった方全員の財産がすべて相続税の対象となるわけではありません。
相続税を計算する際に、3000万円+法定相続人1人につき600万円という基礎控除額があります。
遺産総額がこの基礎控除額以下ならば相続税はかかりません。

この場合、相続税申告書の提出は不要となります。
令和元年の国税庁の調査では、相続税の対象になった方の割合が8.3%、つまり相続人の12人に1人が相続税を支払っているという結果が出ました。
このように実際に相続税を納める対象者はあまり多くないと言えます。

葬儀費用を控除できない場合とは

一般的に、葬儀費用の控除はすべての国民が使える制度です。
しかし中にはこの制度を使えない方もいます。

葬儀費用を控除できないのは、制限納税義務者特定受遺者の場合です。
制限納税義務者とは、相続時点または相続時点からさかのぼって5年以内に国内に住所がない方のことを言います。
国内にある財産にのみ課税されるように制限されているため、葬式費用は控除できません。

特定受遺者とは、特定の財産を遺贈された方のことを言います。
受遺者は遺言によって財産を無償で提供された人のことで、遺贈の対象が「遺産の〇%」といった割合ではなく、「〇〇の土地」など特定の財産の場合に特定受遺者となります。

一般的に遺贈は法定相続人以外にされることが多く、受遺者は葬儀費用を払う立場にない方のため葬儀費用は控除できません。

スポンサーリンク

仏具を使った相続税対策

ここでは、仏壇仏具やお墓などを使った相続税対策についてご説明します。
仏壇仏具やお墓・墓地などを生前に購入しておくと相続税対策になる、と聞いたことがある方もいるのではないでしょうか。

預貯金などの現金をそのまま相続すると相続税の対象になってしまうのですが、故人が生前に購入した仏壇仏具・お墓・墓地などを引き継ぐと相続税はかからないのです。

仏壇仏具・お墓・墓地などは祭祀財産(さいしざいさん)と呼ばれています。
祭祀財産に相続税がかからないのは、生前に購入代金の支払いが済んでいるケースに限られます。

生前にローンで購入し、未払い分が残っているとその残りに課税されてしまうのでご注意ください。相続対策をするなら、ローンではなく一括購入が良いでしょう。
しかし、祭祀財産であれば全て相続対策になるとは限りません。

例えば、純金の仏像・仏具などは資産価値が高く、換金することも予測されます。
純金の仏像や仏具であっても、日常的に手を合わせるなどの崇拝対象であり換金目的ではない場合、相続税は非課税とされています。

ただ、このような高価なものは税務署から祭祀財産として認めてもらえない可能性もあります。
税務署は個人のお金の流れを調査することができるので、隠し持ったり言い逃れなどはできません。

インターネット上などでは、純金の仏像や仏具を購入して相続税対策をするよう勧めているのを見かけることがあります。
しかし、節税できない可能性が高いのでむやみに信用しないようにしましょう。

祭祀財産は先祖・神様・仏様を祀るためのもので、大昔から大切に伝えられた文化です。
もともと換金するようなものではないため、課税の対象になっていません。
注意して上手く利用すれば相続税対策ができますので、是非参考にしてくださいね。

位牌の相続税のまとめ

キーボードの上に載っている「ま」「と」「め」と書かれた積み木

ここまで位牌は相続税の控除の対象となるのか、また、葬儀関連費用がどの程度まで控除の対象となるのかを中心にお伝えしてきました。
この記事のポイントをおさらいすると以下の通りです。

  • 葬儀に直接関わる費用が相続税の控除対象となる
  • 位牌には様々なタイプがあり、金額も1~10万円まで幅広い
  • 相続税の申告に必要な領収書・メモを保管し、申告期限10ヶ月以内を遵守する

これらの情報が少しでも皆様のお役に立てば幸いです。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。

スポンサーリンク

都道府県一覧から葬儀社を探す

こちらでご希望のエリアから葬儀社を検索できます。

mapImg
searchIconエリアから探す

こちらでご希望のエリアから葬儀社を検索できます。

監修者

評価員(やまぐち)

山口 隆司(やまぐち たかし)

一般社団法人 日本石材産業協会認定 二級 お墓ディレクター

経歴

業界経歴20年以上。大手葬儀社で葬儀の現場担当者に接し、お葬式を終えた方々のお困りごとに数多く寄り添いサポートを行う。終活のこと全般に知見を持ち、位牌や仏壇をはじめ、霊園・納骨堂の提案や、お墓に納骨されるご遺族を現場でサポートするなど活躍の場が広い。

相続の関連記事

コラム一覧へ